岡田克也幹事長記者会見

2023年5月16日(火)16時04分~16時31分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/91y9J9-GhmM


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○定例会見について

【幹事長】
 ご苦労さまです。
 この記者会見ですが、従来は隔週、常任幹事会が開かれたときということで行ってまいりました。幹事長としては本来毎週やるべきだというふうにも思いますが、代表も毎週会見されているということもあって、少しこちらもそれを尊重してやってまいりましたが、選挙も近くなりましたので、選挙関係のいろいろ皆さんにお伝えすることも増えるかと思います。そういう中で、毎週開催をさせていただきたいと考えております。

○財務相不信任決議案を提出

【幹事長】
 さて、きょうは幾つかのことをまず申し上げたいと思いますが、一つは、財務大臣の不信任決議案ということで提出をいたしました。
 これは国対委員長のほうからお話もあったと思いますので、基本的にはそこに尽きているわけでありますが、非常に重要な、43兆円の(防衛費確保に伴う)負担増、5年後には倍増するという非常に大きな話を、極めて説明不十分なままやろうとしている。1兆円の増税ということが言われていますが、その増税そのものも十分な説明がなされているとは言えませんが、そもそも1兆円の増税で収まるのかどうかということも含めて、非常に問題が指摘をされていると思っております。
 いろいろかき集めて、それで賄っていくということですが、5年後にはそういうこともできなくなるわけであります。ですから、5年後、5年以上先も見据えて、果たしてこの考え方で持続可能なのかということを考えたときに、とても十分な説明がなされているとは思えないということであります。
 もっとしっかり議論を尽くさなければいけないし、こういうかなりいい加減な法案(防衛財源確保法案)を出してきた財務大臣の責任は重いと考えております。

○少子化対策の財源問題について

【幹事長】
 それから、それにも関係してくるのですが、少子化対策の財源問題について、今、政府と与党の間で意見の明らかな違いが見られるということも指摘しておきたいと思います。
 茂木幹事長は「既存の保険料収入の活用で確保したい」と言っておられますが、一方で、7日のテレビ番組で加藤厚生労働大臣は「現行の保険料を他に流用する余地はない」と言われました。言うことが全く幹事長と担当大臣で異なっているということであります。
 加藤大臣は、こういうふうにも言っておられるわけですね。「医療・年金など、それぞれ目的と負担の関係で行っているので、年金に使う金、医療に使う金を子どもに持っていくという余地はない」ということも同じテレビ番組で言っておられます。
 これは私もかねて主張しておりますように、それぞれの制度の趣旨というものがあって、しかも保険制度ということですから、医療であれば、自分が病気になったときのリスクを分散するために多額の保険料を払っている。いざ病気になれば自己負担以外はそこからみてもらうという、そういうまさしく保険制度として機能しているわけであります。年金はやや、世代間の助け合いですから、若干違うところがありますが、基本的にはやはり一種の保険制度として機能している。だからこそ、例えば(医療)保険料を上げるときに、それが法律に基づかなくても上げられるということになっている。
 基本的には、税を上げるというのは、租税法律主義というのがあって、これは民主主義の根幹に関わるところですが、必ず議会の議決が要る。その例外を保険制度というものがあるがゆえに認められているということであります。もし、この保険料として集められたものを他の目的に使うということになれば、これは実質的には税と同じでありまして、それを国会の議決なくして勝手に上げて他に流用していくというのは、これは民主主義の根幹である租税法律主義に反すると言われても仕方がない問題だと思います。
 したがって、私は加藤大臣の言っていることはもっともだと思うのですが、茂木大臣は「歳出削減や既存の保険料収入の活用でできる限り確保したい」とワシントンで述べられました。岸田大臣も、「今の段階で財源について申し上げるのは適当でない」と厚生労働委員会でまずこの間には言われていますが、その前には衆議院の本会議で「子ども・子育て予算倍増に向けて大枠を提示します」と言っておられます。その中には「保険」という言葉も出てくるわけですね。全く方針が明確ではない。
 このまま行くと、国会が終わって「骨太の方針」の詰めの段階で方向性が示されるということになりかねない。国民にとって非常に重要な負担の問題を、「今の段階で財源について申し上げるのは適当でない」と、何が適当でないのかわかりませんが、そういう形で回避しているというのも、これまた理解しがたいことであります。
 事は租税法律主義、憲法84条に関わる話だということも申し上げておきたいと思います。

○LGBTQの人権を守るための法整備について

【幹事長】
 それから、LGBT法案について、自民党の考え方がまとまったということですが、内容的には我々は全く理解しがたい、改悪であります。超党派で合意されたものから大きく後退している。そのことについて何の説明も受けていないという状況です。
 自民党が国会に法案を出してくるということのようですが、我々としては、既に超党派で合意されたものを国会に提出をして、しっかりと議論していきたいと思います。一旦超党派で合意されているわけですから、与党も含めて皆さん賛同していただけるものと思っております。

○芸能界における性的虐待問題について

【幹事長】
 最後に、ジャニーズ問題です。きょうヒアリングを行いました。
 児童虐待防止法からは読みにくい今の法律の構成になっておりますので、そこのところについてしっかり議論していきたいと思っております。
 そもそも、長く続いたと言われる、この虐待問題。最高裁の判決の途中であったり、あるいは、最近であればBBCの放送もありながら、なかなかこれ、当事者が明確に声を上げていてもメディアに取り上げられることは非常に限定されていたというのは、なぜそうなっていたのかということも含めて、しっかりと国会としては責任を果たしていきたいと考えているところであります。


■質疑

○財務相不信任決議案の提出について

【共同通信・恩田記者】
 冒頭不信任のことについて触れられたが、今回、共産党には声を最終最後にかけて、立民単独提出ということになった。この狙いについて幹事長のお考えを教えていただきたい。

【幹事長】
 これを決断したのは非常に、我々相談して決めたわけですが、他党にまで相談をする、その時間的なタイミングではなかったということです。

【共同通信・恩田記者】
 もう一点。先ほど維新と国民民主と有志の会が会談をして、今回の不信任案に賛同できないということで一致した。立憲だけということになるが、この点についてはどうか。

【幹事長】
 必要なものはしっかりとやっていきたいと、貫いていきたいと思います。
 多くの野党が増税には反対しておられると思いますが、粛々と採決に応じてしまっていいのかと。議論は尽くされていないと考えるべきだと思います。

○LGBTQの人権を守るための法整備について(1)

【NHK・岩田記者】
 LGBT法案について伺いたい。冒頭、既にできている超党派の法案を国会に提出すべきだとおっしゃったが、自民党が今から出そうとしている法案とは別に、野党というか立憲民主党として主導して既にある法案を出していくように調整していくということなのか。

【幹事長】
 そういう方針で考えております。

【NHK・岩田記者】
 それは、どこの範囲まで声をかけるというのは、もう与野党含めて幅広く声をかけるということか。

【幹事長】
 自民党が出してくる、そのタイミングに間に合うように出していきたいと思っています。

○財務相について

【フリーランス・宮崎記者】
 財務大臣に関して、つけ加えの内容になるが、麻生前財務大臣と鈴木俊一財務大臣は義理の兄弟で、この10年以上3代目政治家が総理をやっているが、10年以上財務省と国税庁の大臣が義理の兄弟でやっているというと、何かもうそのこと自体が変だと私はずっと思っているが、ほとんどそれは報道には乗らない。大枠としてそういったところは、財務大臣不信任決議案で趣旨説明などもあるわけだが、幹事長は問題だと思われないか。

【幹事長】
 それが具体的に、義理の兄弟であることが何らかの具体的な弊害につながっているという明確なことがあれば問題だと思いますが、現時点で具体的なそういうものがあるというふうには認識しておりません。

○芸能界における性的虐待問題について

【フリーランス・宮崎記者】
 ジャニーズ問題だが、12時からの国対ヒアリングも取材させていただいた。警察庁から来ている役人の方は、ジャニーさんが故人なので処罰の対象にならないから捜査そのものにはならない、会社というものに関しては警察庁の担当ではないといったことで、基本的には児童虐待防止法を今後改正していきましょうというのが1時間あの場所にいた人のきょうの中間的な取りまとめだったかと思う。この立法に関して、ジャニーさんは保護者ではないという答弁も政府側からあったが、今後、児童虐待防止法のほうで進めていきたいとお考えか。

【幹事長】
 児童虐待防止法を、現行法では不十分だということであれば、それを修正するというのは一つの方向です。
 ただ、それだけで済む話ではなくて、やはり虐待や、場合によっては非常に広範囲に、しかも力関係が明確にある中で行われてきたということについて、多くの被害者がいらっしゃる可能性が高いわけで、それに対して我々が放置していいという話ではない。被害者の声が上がれば、その声に真摯に応えていくということが必要だと思います。
 会社のほうは、ビデオで社長がご説明されましたが、あれで十分だというふうには到底思えません。

○LGBTQの人権を守るための法整備について(2)

【テレビ朝日・森本記者】
 LGBT法案のことで、先ほどのNHKさんに関連するが、冒頭の発言で、他党も同意してくれると思っているという趣旨のことをおっしゃったと思うが、その他党というのは、維新とか国民とか、具体的にどこまで、全党かけていくのかということを教えていただきたい。

【幹事長】
 超党派で出すことに合意した各党です。

【テレビ朝日・森本記者】
 現時点で決まってはいなくて、これから声をかけるということでよろしいか。

【幹事長】
 正式に法案を出すということを党として決めて、その上での話になります。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【フリーランス・宮崎記者】
 選挙のことで二つ伺いたい。一つ目は、きょう議員会館で聞いていたら、地元のほうから解散があるのですかとスタッフから連絡がいっぱい実は来ているというふうな話を、きょう衆議院の現職の議員の事務所で聞いた。それこそ選挙事務所を借りるかどうかなんていう話もするくらいに、地元のほうからは、テレビを見て、もう解散ですねみたいな問い合わせが来ていると。もう一度解散に関しての見立てをお願いしたい。

【幹事長】
 解散を決めるのは総理大臣です。ですから、我々にはわかりません。
 ただ、いろいろな状況から見て、解散があっても不思議ではない状況ですから、党としては、この国会の会期中に解散があっても十分対応できるように準備を進めているということです。

【フリーランス・宮崎記者】
 新山口2区に関して伺いたい。報道で見るところでは、山口県連が平岡秀夫さんを公認といった形で上申しようという形で話が進んでいるように、電子版で見た。前回は、中国電力労働組合の人が、ちょっと平岡さんは脱原発なので推せないということで、連合山口全体としてもそういうことならばちょっとということで、県連のほうでは半々ぐらいだったようだが、無所属での出馬となったというふうに理解している。それは間違ってはいないと思う。今後、県連のほうで、地元の電力会社の仲間たちから異論があるというふうなこともあるかと思うが、党本部としてはある程度、県連に対して、比例もあるから、できる限り公認でやってほしいと、そういった形で何かメッセージを働きかけるような、そういった局面は今後あるか。

【幹事長】
 今お話しになった、一部の報道。それから、宮崎さんの説明。それはそれで説明として、私がそれに対してコメントすることはございません。
 あくまでも候補者の公認というのは、県連でまず議論していただいて、そして本部に上がってくる。これが基本になります。

【NHK・岩田記者】
 衆議院の候補者調整の件で伺いたい。きのうの民放の番組で泉代表のほうから、維新と共産党との関係に触れ、候補者調整をしないという形で発言をされていた。先月行われた補欠選挙では大分とか和歌山での候補者調整というか、候補者を一本化したことによる意義は大きかったと強調されていたかと思うが、改めて、次期衆議院選挙で維新や共産党との候補者調整はやらないという方針なのか。党としての考え方を改めて確認させていただきたい。

【幹事長】
 代表がきのうおっしゃったとおりだと思います。ただ、それは現時点ではそういうふうに考えているというふうに私としては理解しています。

○小西議員の対応について

【産経新聞・大橋記者】
 小西さんの関係で、きょう通告をしたが、見ていただけたか。先週の泉代表の会見で申し上げたので細かいやりとりは申し上げないが、一点、小西さんとのやりとりで私が気になったのは、幹事長注意の中に小西さんが私に対して送ったLINEの件は含まれているのかと。あなたはそのことを確認したのかと私は小西さんに言われたので、改めて確認したいと思う。

【幹事長】
 個別のことは申し上げられません。
 ただ、私はこの場で、その措置の内容を説明したときに、その後、3点について申し上げました。そこにどういうふうに説明したかというのは議事録を見ていただければわかることなのですが、「30日の記者会見、それから3月29日以降のツイッターには、不適切な表現で記事の訂正の要求を行うなど、攻撃的で誤解を招きかねない慎重さを欠いたものがありました」と指摘をした上で、「報道の自由をめぐり国会で議論がなされる中での、かつ、議論の中心人物の一人であった小西議員の発言だけに、より謙虚さと慎重さが求められたと考えられます」と申し上げたところです。そこに尽きていると思います。

【産経新聞・大橋記者】
 今の説明を聞く限りは、ちゃんとそこは入っていますよと受け取れるが、それでよろしいか。

【幹事長】
 今申し上げたとおりです。

【産経新聞・大橋記者】
 その上で、小西さんは今なお法的措置を検討しているということを私におっしゃるのです。幹事長は、今回のその幹事長注意という処分を小西さんが本当に真摯に受け止めていると、反省されているとお考えか。

【幹事長】
 法的措置というのは、この小西さんの発言に関しての法的措置ということですか。それについての。

【産経新聞・大橋記者】
 ではなくて、小西さんの「サル」発言を報じた産経新聞に対する法的措置です。

【幹事長】
 私は同じところで申し上げているのですが、「例えば事実に基づかない記事、あるいは明らかに誤解を招きかねないバランスを欠いた報道があったときに、政治家がそのことを指摘したり訂正を求めること、さらには名誉毀損として裁判で争うことは権利として認められています」と申し上げています。その上で、「しかし」ということで後段申し上げたことを述べている。そこに尽きているのだと思います。

【産経新聞・大橋記者】
 幹事長のおっしゃっていることは私もよくわかるが、小西さん自身が、私の目から見ると、全く反省の色は見られないし、このやりとりを見れば客観的に見て誰しもがそう思うと思うが、それで幹事長注意という処分が十分にご本人に利いていると、必要十分だと幹事長はお考えか。

【幹事長】
 幹事長の注意というのは非常に重いのです。本人もそれを重く受け止めておられましたので、重く受け止めているのだと思います。

【産経新聞・大橋記者】
 ちょっとしつこいかもしれないが、重く受け止めていたら今なお法的措置を取るぞということは言わないと思うが。

【幹事長】
 私としては先ほど申し上げたとおりであります。あとは、個別のことについては、当事者同士で理解を深めてもらいたいと思います。

【産経新聞・大橋記者】
 これを最後にするが、記事に対して私もこれまで怒られたことは与野党を問わずたくさんあるが、小西さんが今回やったことは、現場の記者が本当に萎縮しかねないというか、普通に考えれば萎縮しますよ。こんな記事を書きやがって、法的措置を取るぞと言っているわけだから。それをやはり、びしっとした方針を示さないでいるというのは、幹事長には全くそういうお考えはないと思うが、では立憲民主党が本当に今後報道の自由を尊重していくのかと、別に少々現場の記者なんか恫喝したって注意で済むぞという誤ったメッセージにならないか。

【幹事長】
 先ほど繰り返しましたように、議論の中心人物の一人だった小西議員の発言だけに、より謙虚さと慎重さが求められたと考えられます。そう考えております。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 幹事長は参議院の1人区での全ての一本化というのを実現した、そういうまさに野党の大きな固まり論者のリーダーであり、まさに立役者だが、この段階で共産党とは選挙協力も候補者調整もしないと泉さんはおっしゃるわけだが、大きな固まり論というのは断念というか挫折というか、やはり無理だという判断なのか。それとも、先ほど現時点ではとおっしゃったわけだから、いや、そういうものでもないと、まだまだやはり大きな固まり論という信念は捨てておられないという趣旨なのか。そこを伺いたい。

【幹事長】
 まず、私は大きな固まりということをよく申し上げるのですが、基本的にそこで念頭に置いているのは、国民民主党と立憲民主党で大きな固まりをつくるべきだということなのです。
 ほかの党はどうなのかということですが、維新については、従来から私は申し上げておりましたように、国会の中で共闘は案件によっては進めていくけれども、国会を出てしまえば、選挙ではライバルであるということを私は一貫して申し上げていて、その認識は今も変わりません。
 他の政党については、基本的には大きな固まりということではありませんが、お互いにメリットがあれば調整を追求していくというのは、幹事長としてはそういう役割があるのではないかと思っています。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 明快でよくわかりました。ということは、ある意味できのうの泉さんの発言というのは、立憲自体がセンターに寄せて、大きな固まりの中央の部分ということで国民との考え方を、これからそういう話になっていくと見ていいと。当然そうなのだと思うが、そうお考えなのか。

【幹事長】
 国民民主党とは大きな固まりということは常に私は申し上げております。ただ、なかなかそれが思うように進まないというか、玉木代表は、維新のほうが近いと言われたり、いろいろな発言もあります。ただ、榛葉幹事長は選挙の調整の必要性についても言及されています。
 まだまだ、これは実際の投票日まで、解散があるかどうかわかりませんが、解散があったとしても、政治は生き物ですから、1議席でも増やせるように、原則は原則として、これは代表が言われたわけですから、しかし、その中でお互いにメリットがあれば、いろいろなことを追求していくのは幹事長の仕事ではないかと思っています。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 最後に伺うが、必達目標というのは、あれは代表と幹事長で腹合わせがあって使ったお言葉か。それだけ伺いたい。

【幹事長】
 内容についていろいろ言うのは適切ではないと思いますが、ただ、代表が自らの進退に言及しながら言われた数字ですので、それを何としてでも達成するというのが、私たち泉代表の下で執行部を形成しているわけなので、そのために全力を尽くすということになります。