立憲民主党など野党は5月22日、第3回目の「難民問題国対ヒアリング」を国会内で開催。現在、参院法務委員会で政府提出の入管法改正案および立憲民主党などが提出した対案が並行して審議されるなか、難民当事者や支援者の声を聞きました。

 冒頭のあいさつで石橋通宏参院議員は、「政府案の問題点と、政府案が通ると当事者の皆さんが大変になるか、当事者の皆さんの思いを多くの国民の皆さんにもしっかり聞いてもらいたい」と発言。21日に東京都内で行われた入管法改悪反対のデモ行進に約7千人(主催者発表)が参加したことにも言及し、「人権を守る、皆さんの安全を守る制度改革が必要だ。政府案を止め、野党案を成立させるため頑張っていく」と力を込めました。

 参院法務委員会筆頭理事の牧山ひろえ参院議員は、「党派を超えて(制度を)命を守る方向にもっていきたい。われわれ野党は、国会での数は足りないが当事者の皆さんの力と、世論の動きで解決しようという思いでいっぱいだ。国会の内外で取り組んでいく」と述べました。

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 同日のヒアリングでは、難民当事者であるガーナ国籍の母子、コンゴ国籍の母子、ペルー国籍の母子、支援団体の代表や、弁護士らが出席。両親ともにガーナ人で、生まれた時から在留資格がなく、小学生の時から2年前まで仮放免、2021年6月に在留特別許可が取れたという、現在19歳で大学2年生のガーナ人Mさんは、「入管と関わり始めたのは、幼稚園の年長の時」と話し、何も悪いことをしていない父親がある日突然いなくなり、入管に収容されたときの衝撃を告白。学生時代仮放免での生活がいかに大変だったか、在留資格がないと大学に進学できないと言われたり、自分には在留資格を与えても親には与えないと入管職員に言われたりと心がすごく苦しくなったと振り返りました。Mさんは、「入管法を変えなくても、在留資格を与えるだけで救われる子どもたちはたくさんいる」「野党がつくった入管法が実現したら、在留資格がない子どもたちは救われる。かつての私のような若者、その家族を救えるのはこの対案しかない。非人道的な入管法案ではなく、在留資格を与えて、たくさんの外国人が救われるようになってほしい」と訴えました。

 日本で生まれ、日本で育ったという15歳で中学3年生のコンゴ人のS君の将来の夢はプロバスケット選手。4月からバスケの強い中学校に入り、バスケも勉強も頑張っているが、入管の許可がないと全国の試合に行けないと言います。「ビザがないから、お母さんは働くことができないし、私はバスケでけがをしても、保険もないしお金もない」「いつかプロになってお母さんを楽にさせたい。日本に生まれているのに、日本しか知らないのに、夢を実現できるチャンスをもらえませんか。どうか、ビザをください。力を貸してください」と悲痛な叫びを上げました。

 兄と妹、母親はビザがなく、父親と弟は在留資格があるというペルー人の母子。高校卒業後2年間、在留資格がないために、就職も進学もできず家で勉強と家の手伝いをする毎日を送っているという兄は、「未来ある子どもたちとその家族が、みんな在留資格をもらえるようにしてもらえるとありがたい」と切望。小学校5年生のときに自分が仮放免だと気づいたという妹は「入管に行き、自分はまわりにいる友達とは全然違って、生きる権利をもっていないことを知った」「ウィシュマさんの話を聞き、このようなことをほとんどの人に知られず、霞んでしまうことがとても悲しい。みんな命の重さは一緒で、亡くなっていい人なんていない。一人の人間として、この社会のために生きようとしている人がたくさんいる。そんな人の思いに耳を傾けてください。陰に隠れている現状にしっかり目を向けてください」などと訴えました。

 支援者は「調子がいい時は30万人以上のオーバーステイがいて世の中が助かり、調子が悪くなると刈り込みをして『ルールに従え』と言うが、技能実習生、留学生とルールに従わずにごまかしてきた」「入管庁の担当者は在特の実態をまったく知らない。厳しくなったのはこの10年位で、それまでは在留資格を出していた」などと指摘。Mさんは、オーバーステイ、仮放免の人たちは入管の外の人たちからは「不法滞在者」「犯罪者」として見られると話し、「誤解を生むようなことはやめてほしい。法務省の人は一週間でも入管に入ってどれだけ大変かを体験してもらいたい」と述べました。