泉健太代表は9月22日、国会内で定例の記者会見を開き、(1)岸田総理の経済対策指示表明(2)デジタル庁への個人情報保護委員会の行政指導(3)衆参の補欠選挙――等について発言しました。

(1)岸田総理の経済対策指示表明

 岸田総理が訪問先の米国での記者会見で、ようやく新たな経済対策の財源となる補正予算の編成を明言したことについて泉代表は、「物価高がここまで続き、国民生活も厳しい中で、ずいぶん遅い」と指摘。早急な臨時国会の召集を求めるとともに、立憲民主党はすでに「ガソリン・エネルギー高騰対策」を提案しているとして、党としても「経済対策」を策定し、国会論戦に挑んでいくとの決意を表明しました。

(2)河野太郎デジタル大臣の留任

 内閣改造で河野太郎デジタル大臣が留任したことについて泉代表は、相次ぐマイナンバーカードをめぐるトラブルを受け、個人情報保護委員会がデジタル庁へ行政指導を行ったことを踏まえ、「河野大臣が昨年、紙の健康保険証を廃止する」としたことが発端だと指摘。さらに、「無理やり(マイナ保険証に)統合しようとしたことで、むしろ資格確認書など大量の紙の文書が発生」する本末転倒な事態になったとして、次期臨時国会で追及していく構えを示しました。

(3)衆参の補欠選挙

 10月22日に投開票される衆院長崎4区補選、参院徳島・高知補選について泉代表は、「自民対非自民」の闘いだとして、「野党第1党として自民党以外の選択肢をつくっていく」との決意を表明しました。


泉健太代表記者会見

2023年9月22日(金)10時32分~11時24分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/4kuFpH0_KCc


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○経済対策・補正予算について

【代表】
 おはようございます。
 まず、岸田総理、国連総会で演説をされてということで、その演説と現地での記者会見の中で、新たな経済対策の財源となる補正予算、これを編成すると明言したわけです。国会への提出ということが待たれるわけですが、巷では、いつ、この補正予算の編成を指示するのかと、随分遅いなと、財務省にも全然指示が来ていないということを多くの関係者はいぶかしがっていたわけですよね。ようやくということではありますが、確かに外交というのはさまざまな取組をアピールするという意味はあるのでしょうが、物価高がここまで続いていますから、そして、国民生活も厳しい中で、早く国民生活に経済対策を届けるべきだというのが当然のことではないかと思っています。
 その意味で、我が党も、早急にやはりこの臨時国会を開催して、開会して、この経済対策、補正予算の議論をしていくべきだと考えているところです。特に立憲民主党は既にガソリンの価格対策ということでトリガー(条項)の凍結解除も訴えていますし、電力料金についても少なくとも(1世帯当たり)月3000円を6カ月間、半年間ということでの電力エネルギー手当ということも出しています。そういったものと経済対策全体を改めて考えて、我々としてもこれを策定していきたいと考えております。

○マイナカード問題について

【代表】
 そして、内閣改造でデジタル庁は、デジタル大臣は代わるかなと思っていたのですが、引き続きということでありますけれども、その中で、個人情報保護委員会が改めてデジタル庁に行政指導を行ったということであります。大臣が昨年、マイナ健康保険証に全て移行するということで、紙の保険証を廃止するという話になってから特にこうした混乱が大きくなっているということでありまして、改めて、臨時国会でもこれは論戦をしていかなければいけないなと思っています。
 改めて、立憲民主党の考え方、立憲民主党の姿勢というのは、デジタル化は進めていく。デジタル化は進めていくけれども、しかし、国民が取り残されてしまってはならないし、国民の利便性を向上するはずが、むしろ手間を多くしたり、国民のリスクを高めるようなことになってはいけない。当然のことですよね。こういう当然のことを立憲民主党は訴えています。
 ですから、当面は今の健康保険証というものも選択できるほうが国民の要望にかなうし、リスクも抑えることができる。紛失のリスクとか、暗証番号の漏えいのリスクだとか、いろいろなものを防ぐことができる。それに加えて、結局無理やり統合しようとする余りに、今度は資格証明だの資格確認など、いろいろな紙のものが、紙の文書が逆に大量に発生するということも含めて、立憲民主党としてはシンプルな、国民の願いにかなった制度をつくっていくべきだと、そのように考えております。

○国政補選に向けた取組について

【代表】
 その他、いろいろありますが、徳島・高知、そして、長崎4区ですね。
 立憲民主党の取り組み方としては、当然ながら長崎4区については党公認候補として出すということを考えておりますので、こちらのほう、体制をもう既につくっておりますが、必勝に向けて取組をしていきたいと思います。
 ただ、他の野党も事実上候補者を出さないというような状況でありますし、自民党の側の候補が世襲候補になるであろうというふうにも言われています。そういった意味で、この長崎、やはり自民対非自民の戦いになろうと思っていますので、そういった野党としての責任を立憲民主党が果たしていくということをしっかり担っていきたいと考えております。
 また、徳島・高知については、自民党の参議院議員の暴力事件による議員辞職ですから、これはもう徳島・高知の県民の皆さんの怒りというのは党派を超えて大きい。政治不信というのは党派を超えて大きいと考えています。そういう中で、まさにその県民の怒りや不信感というものを代弁する、それを克服したいということで、広田一さんが無所属で立候補されるというようなことが今伝わっているところであります。
 これは各政党としては、それは野党は直接に公認だとかということではなく、その広田さんの戦いというものを我々としても評価をし、そして、側面というか、政党として組織的にどうこうというよりも、我々はその思いに共感をして、その県民党である広田さんを支えていきたいと、このように考えているところであります。既に、広田さんと関係をこれまで構築してきた国会議員も数多くおりますので、応援にも入っていっているというところであります。
 こちら徳島・高知も、責任を持った野党第1党として、自民党以外の選択肢、これはつくらなければいけないと考えていました。直接党の公認ということではありませんが、広田さんが今回出馬の方向で、今、作業を進めているということであって、そして、他の野党もこの徳島・高知では候補者を擁立するという話は現時点ではないと私は認識しておりますので、こちらもまた自民対非自民という構図になろうかと思います。
 こういった選挙で力を合わせて、自民党の緩んだ政治、乱暴な政治、そういったものに対抗していくことができればと、このように思っているところです。我々もまた協力をしていきたいと考えております。


■質疑

○経済対策・補正予算について

【NHK】
 冒頭の、補正予算の編成に関して伺いたい。早急に臨時国会を開会すべきだということだが、どういった論戦を展開するお考えか。また、いつ頃に、早期といっても開会すべきとお考えか。あわせて、党としても経済対策を策定するということだが、どのような内容・時期になるか教えていただきたい。

【代表】
 ちょうど今、一部触れましたね。経済対策については、特にこの物価高が相次いでいる中で、エネルギー関係、ガソリン関係、電力料金関係、そういったものは我々として既に出しているものもありますから、そういうものをパッケージ化していくという作業になっていこうかと思います。
 早期と言っているわけですから、これはできるだけ早いほうがいい。それは国民生活も、10月1日からまた値上がり品目が数多く出てくるわけですよね。春闘というのは注目されますが、基本的にはまさに春に春闘というのが行われるわけで、四六時中賃金が上がるという環境にはないけれども物価は毎月毎月上がっていくわけですので、その意味で、切れ目のない国民生活の支援をしていかなければならない。
 あとは、インボイスですね。こちらも10月1日からスタートする。今まで個人事業主だとか零細で仕事をしてきた方々は、これは実質負担増になるわけで、その意味で、私たちはこのインボイスについては導入廃止を訴えてきているわけです。
 そしてまた、給付付き税額控除。この法案も既に出していますが、消費税がどんどん高まっていく中で、消費税負担が家計に影響を与える。その影響度合いが大きい家庭に対して、やはり一定の給付が行われてしかるべきだというふうにも我々は考えております。
 そういったさまざまな点を、この臨時国会では論戦をしていきたいと考えています。

【NHK】
 あわせて、この間の岸田総理大臣の補正予算編成や経済対策をめぐる対応の内容、評価を教えていただきたい。

【代表】
 外交で、何々に何億円とか、どこどこ支援に何兆円とか、そういう声が岸田総理からはよく聞こえてくるわけですが、やはり国内、内政、国民生活が後回しになっているのではないかと、そういう印象を持っています。ですから、外務大臣をやってきたというのはそれはあるのでしょうけれども、やはり国民生活。
 これは私もアメリカやベトナムに訪問して、日本の国力、日本の競争力が下がってきているというのは本当に感じます。しかも、この円安で、私も海外に行っても非常に日本人にとっては負担が増えていると実感をしますし、輸入品についても当然ながら我が国の国民にとっては物価が上がっているという状況がありますから、やはりもっと内政に目を向けて、国民生活の改善、消費からの経済再生、これは立憲民主党が特に言っていることですから、国民が安心して消費できる環境をつくっていく。そこが今の岸田総理には足りないと思います。

○公設秘書と自治体議員の兼職について(1)

【日本テレビ】
 今少し話題になっている、秘書と自治体議員の兼職について伺いたい。昨日、長妻政調会長が、これについて党所属の国会議員の皆さんに調査票を送り来週26日の火曜日締切りで綿密な調査をし、その上で対応を、結論を出していくとおっしゃっていた。これについて、改めて代表の口からも、どういう調査を行うのかということを伺いたい。

【代表】
 私は幹事長から調査を行っているという報告を受けていますので、現時点でそういう状況です。できるだけ早く結果は伝えていきたいと思います。
 そもそも、今、確かにそれ自体がどうなんだという話はあるのですが、秘書の兼職、これはたぶんいろいろなケースがあって、一つは秘書がそういう今出ている議員だとかの公職との兼職というパターンと、確かに秘書さんが稼業を持っていたり自身でもう一つ別な仕事を持っていたりということでの民間の兼職ですよね。だから、兼職というのはかなり幅広のものがあるということだと思うのですが、事の発端というのは、本来国に議員秘書の兼職届というのを、これは衆議院議長宛ての議員秘書の兼職届というペーパーの書式があるのですが、これを民間の兼職であろうと公職の兼職であろうと出さなければいけないというルールがあって、維新の議員がそのルールを守っていなかったというところが発端ですよね。これは、とにかく今のルールを守っていなかったのであれば、それはもう問題ですねと。ほかのところで、もちろん、こういう届出をしていないケースがあれば、やはり問題ですよねと。
 院の、国会の職員の側にこの届出の趣旨だとかを聞くと、やはり公設秘書というのは国からお給料をもらっているわけなので基本的に職務に専念するということになると。で、その職務に専念するというのは何をもって示すかというと、これは雇用している議員がきちんと認めて兼職届を出しているかどうかによって、議員が認めているということはそれは職務を全うしているのだろうと、そういう位置づけだそうです。そういうことで、兼職届が出ていれば職務を全うしているという立てつけにはなっていると。それが届出が出されていなかったというのは一つ問題であろうと思います。
 一方で、これもいろいろと話を聞いてわかってきたのは、公職選挙法。これは公職選挙法では、地方公務員とか国家公務員が、その公務員の立場のままで選挙に立候補するということができないようになっているのですね。それは公職選挙法の89条というところでそうなっていて、そう考えてみると、例えば公設秘書がどこどこ市議会議員選挙に立候補したいとなると、それは当然辞めなければいけないし、辞めさせられるわけですよね、秘書を。そこでは兼職できないように公選法ではなっている。一方で、では、もう既に議員になってしまった人が公設秘書になれるのかというと、今は届出を出せばなれるようになっている。これはちょっと私、不思議だなと。やはりおかしいのではないかという気はします。
 ですので、その辺りは早急に、超党派でというか各党問題意識を持って議運なりで、これは前回の改正のときもやはり議運の中で最終的に決められていったというふうに聞いていますから、そういった問題意識を持って早急にそこを整理していくべきだと、今はそう考えています。

【共同通信】
 今の関連で伺いたい。公設秘書と地方議員を兼職する、今のところ法的にはルール上は兼職届を出していればオーケーということだが、地方議員と公設秘書を兼職すること自体についての代表のお考え、この是非、あるべきかどうかということについてのお考えを伺いたい。

【代表】
 そういった意味で、公選法で求めていることと、国会議員の秘書の給与に関する法律で求めていることに、僕は矛盾を感じます。やはりそこの整理が必要ではないかと考えます。

【共同通信】
 現状、党内でお一人そういった状況の方がいらっしゃるわけで、今、調査をされているが、今後、例えば自民党などはどちらかを辞めさせることを茂木幹事長は表明されているが、立憲のほうではどういった対応を考えていらっしゃるか。

【代表】
 まだ、実態としてどれほどの人がというところ、基本的にはあまりないと思うのですが、あるということと、あと、やはり現時点で届出をすればそれは認められるという立てつけになっているので、確かにそれをどこまで強制できるのか。要は辞めなさいとか辞めさせなさいとか。そういうことというのは確かにあると思うので、その辺の整理をしなければいけないなと。
 ただ、やはり先ほど言ったように公選法との矛盾があるというのは感じますし、そもそも両方公職の場合は特に、では、どちらが本業なのかということも問われるところもあると思いますから、やはり問題意識は持っています。

【毎日新聞】
 関連だが、兼職をすることで、それぞれの公職を全うできると代表はお考えか。

【代表】
 これはどうなんでしょうね。人やケースによったり、何をもって「全う」と言うのかにもよりますよね。現時点では、「全う」というのは、その雇用している議員がそうみなすかどうかということになっているということです。

【毎日新聞】
 地元の有権者から選ばれた立場である市議の方がほかの職を行っているということは、有権者からの信頼というか期待に応えるには差し支えにはならないとお考えか。

【代表】
 これですね、私も本当、細かくは見ていないのですが、たしか小渕さんの以前のドリル云々の話が出たときに、事務所長が町長とか、何かそんなこともあった気がするのですね。ですから、さまざまな地域の考え方というのはあるのかもしれませんが、逆にすごいパイプであるということをアピールする、そういうようなこともこれまで行われてきたのかもしれないですね。確かに、市議会議員とか、あるいは県議会議員で、プラス私は秘書ですみたいな形で、国政とのつながりをアピールするみたいなのが今まではあったのではないかという気はします。

○国政補選に向けた取組について(1)

【読売新聞】
 冒頭に二つの補選の言及があったが、現時点では野党の他党の候補が出馬する動きは決まっていないという状況だと思う。代表としてはこうした二つの補選で野党の候補が一人になること、複数出るのでなく一人になることが望ましいとお考えかどうか教えていただきたい。

【代表】
 望ましいかどうかというのは、これはもう各党それぞれの考え方もありますから。
 私としては確かに、今の自民党、これは長崎もそうだし徳島・高知もそうですが、基本的には保守が強い地域ですので、そういうところでやはり県民の皆さんというか有権者の皆さんにわかりやすい対決の構図というものができることは望ましいと考えています。

【読売新聞】
 候補者が出る出ないに加え、長崎4区では社民党が立憲の候補者を推薦することを決めているが、一本化にとどまらず、こうした推薦とか、さらに連携の強化とか、そういった野党間の望ましい体制のあり方はどのようにお考えか。

【代表】
 それは基本的には各地域地域で最適な形は何かということを考えて判断をしてきていると思っておりますので、全国一律ではないのかなと思います。そういう地域の中でできる限り支持を拡大していくために何がいいのかということを日々考えながら構図をつくっていっていると、そう思っています。

【読売新聞】
 この二つの補選の結果が岸田首相の衆院解散戦略に影響を与えるとの見方もあるが、代表はどのようにお考えか教えていただきたい。

【代表】
 それは影響を与えるでしょうね。なので、我々も、影響、解散にどうこうするためにというよりも、とにかくやはり勝利に向かって頑張っていきたいと。
 これはきのう全国の商工会議所の全国大会があったときにも話をしたのですが、自民党からすれば、安定政権を継続するためにぜひ与党にご支援をという言い方をするのですが、その政権が安定したという中で少子化が進行し我が国の競争力が落ちているわけで、政権が安定することよりも国民生活が安定しなければいけないわけです。
 そういった意味では、今の政権に任せっぱなしではむしろ国民生活が安定しない、どんどん凋落していくというのが我々の考え方ですから、むしろ緊張感を持たせなければいけないという意味では野党にぜひ勝たせていただきたい。そういう訴えをしていきたいです。

○自民・杉田議員「人権侵犯」認定について(1)

【朝日新聞】
 昨日、杉田水脈衆院議員のアイヌ民族に対する差別投稿をめぐり、札幌法務局が人権侵犯の事実を認定したことで伺いたい。こうした差別的な投稿が差別と人権侵犯と認められたということで、与党のほうからも議員の資質を問うような声もある。改めて、代表としてこのような議員の投稿についての受け止めをお願いしたい。

【代表】
 人権侵害、人権侵犯というのは、もちろんこれは誰がやってもいけないものであり、札幌法務局が人権擁護機関による救済の一つである啓発という措置を行ったということですから、杉田議員による人権侵犯を認めたということですよね。そして、杉田水脈議員に対して啓発を行ったということですから、これは国民を代表する立場としてはやはりいかがなものかということですし、啓発を法務局が行って、では、当の本人は今、国会議員としてどういう認識を持っているのか。これはおそらく多くの国民が説明を聞きたいと思っていると思うのですね。ですから、私は謝罪と説明を行うべきだということを既にお伝えさせていただいています。
 あとは、やはり自民党も、そうした法務局から啓発を受けた人物が国政の候補者にふさわしいかどうかということが、やはり自民党の判断が今後問われるのではないですかね。

【朝日新聞】
 代表としては、進退についても、本人としてやはり議員辞職をすべきだと思われたりとか、そういうお考えはあるか。

【代表】
 マスコミはよくそういう聞き方をしますが、これはやはり所属政党、特に比例の議員でありますから、自由民主党がどう判断するかが問われると思います。

【朝日新聞】
 最後に。この件で、臨時国会の件だが、先日の長妻政調会長の会見もそうだが、こうした人権の問題といったことについて、立憲民主党として臨時国会等でこの杉田水脈氏の件について問うたり追及していく、そういうお考えはあるか。

【代表】
 その臨時国会の時点で、この件を自民党が放置しているのかどうか。そこにもよるのではないですかね。私はこれは自民党がそのまま放置をしておくものではないとは思っていますが、現時点ではまだどうなるかわかりません。

【朝日新聞】
 放置をしていて、余りにもこの問題に自民党が対応しなければ、それはあり得ると。

【代表】
 あり得るという話で言えば、あり得ます。

○次期衆院総選挙に向けた取組について

【TBS】
 野党協力について伺いたい。先日の「市民連合」と幹事長・書記局長との懇談で、「市民連合」側からは、できるだけ野党が協力して候補者の調整、一本化を進めてほしいと要望が出されたということだが、その後、小池書記局長は会見などで、野党協力に対して何らかの協力・連携の意思が示されれば前に進めることができると思っていると発言があり、立憲民主党と協力するには代表がこれまで協力を否定してきた発言の説明が必要だとの考えを示した上で、党首がボールをきちんと返していただくことが必要だとの発言もあった。こちらについて、代表のお考え、受け止めをお願いしたい。

【代表】
 そうですね、6月のときにぶわっという岸田総理の解散風があり、そして、その解散が一旦流れて、ある意味野党としても陣容を再構築せねばならないと、そういうふうにフェーズが変わったという話をしましたが、改めて野党各党に、そういった野党議席の最大化に向けての候補者調整が重要であるという認識を持って各政党に対してさまざま問いかけ等々をしてきたという経緯があります。これは基本的に変わっておりません。
 ですから、野党という意味では、共産党についてもそれは同様であって、野党議席の最大化をいかに図っていくかと。そのように考えています。

【TBS】
 小池さんは、協力・連携の意思が示されれば候補者調整などを前に進めることができると発言しているが、泉さんはこちらについてはどう返すか。

【代表】
 別に記者会見同士でキャッチボールする話ではないと思うので、今私がお話ししたように、私たち立憲民主党からすれば、各政党に対して、やはり野党議席の最大化が必要だし、この自民党の政権の下で国力が下がってきたのは事実だし、それを克服するために緊張感のある政治状況を生み出さなければいけないし、自民党一人勝ちという状況をつくってはならないと。その思いを共有できて、そして、共にこの自民党に対峙していこうということで、野党議席の最大化ということに向けて立憲民主党としては取り組んでいこうとしておりますので、この一本化を含む候補者調整が重要であるという考え方で各政党に私たちとしては話をしていくし、そこは共産党も同様であると考えています。

○公設秘書と自治体議員の兼職について(2)

【テレビ東京】
 秘書の兼業の件に関して伺いたい。昨日、福田昭夫議員に話を伺い、福田議員は、地方で解決できない問題を国の予算とかで解決したりするなど、そういうメリットがあるので、これからも秘書として使い続けると発言した。一方で、維新の会は内部ルールで兼業の禁止などを検討するという発言もある。代表として、立憲内部で今後、独自ルールとして兼業を禁止するといった考えはあるか。

【代表】
 可能性はやはりありますね。いろいろなことを検討しなければいけないと思います。先ほど言った公選法との矛盾の問題もありますから。
 ただ、各党がそれぞれで、きちんとした大本のルールをそのまま置いておいて、各政党で努力すればいいという話なのかというと、それまた中途半端なやり方だなという気がします。やはり国として、ここまでつくってきたルールがあって、それは放置するということではなく、きちんと検討すべきだと思います。ですから、公職との兼業を認めるのかどうか、それはやはり根本的に国として問うていかなければならない。そんなふうに思います。
 もちろん、そこにもし多少時間がかかるということはあるかもしれません。そのときに各政党として、立憲民主党も、それがどうあるべきかということはやはり検討はしていきたいと思います。

○自民・杉田議員「人権侵犯」認定について(2)

【北海道新聞】
 先ほどの杉田水脈議員の差別に関する質問の関連だが、代表は謝罪と説明を求められるということだったが、杉田議員は発言の撤回というのはされたかと思うが、ご自身の投稿内容、差別表現というのは昨年の11月以来一貫して認めていない。こうした杉田議員の態度をどう見られているかと、関連で、アイヌ新法が制定されてからことしで4年を迎えるかと思うが、そういう差別やアイヌ民族に対する権利侵害を禁じているわけだが、こうして杉田水脈議員のように差別発言というのも相次いでいる。法律の実効性に関してはどのようにお考えか。

【代表】
 本来であれば、そんな発言、たしか杉田議員は7年前、国連の会議の参加者について、SNSにちょっとひどい発言をしたと。それが人権侵犯と認められたということですよね。ですから、本当にいかがなものかとまず思いますし、発言で実際に傷ついた当事者の方々がおられる。そこにどう向き合うのかというのが問われると思います。
 ただ、立憲民主党が杉田水脈議員の指導役でも指南役でもないわけで、指導役は自民党ですよ。その自民党がどうするかですよ。これは例えば党内でのこういう人権に関する研修だとか指導だとかというのは、それはそれでどうなっているのかという話になりますよね。やはりこれは自民党ではないですか、何かをきちんと措置すべきは。

○国政補選に向けた取組について(2)

【北海道新聞】
 もう一点。代表は冒頭で補選についてお話しされ、野党第1党としての責任を果たしたいと。先日、元国民の議員が首相補佐官に起用されたり、維新が野党第1党を目指しているわけだが、改めて立憲として、野党第1党はどういう役割が今求められているか、もう少し詳しく教えていただきたい。

【代表】
 維新さんは今、野党第1党を目指しているのか、自民党第2党を目指しているのかというところが、やはり言われていますよね。第2自民党と言っているわけですから、基本的には第2自民党を目指しているという話で、野党第1党を目指しているのではないのかもしれないですね、そこは。あとは、選挙の結果次第では連立もと言っているわけですから、そうなると余計と、自民党と、与党か野党かよくわからない立ち位置になっているということです。
 そういった意味で、今の自民党の政治で国力が下がってきた、賃金が上がらない、国際競争力が落ちてきている、少子化が進んでいるという問題に、(自民党と)違うアプローチでこの国難を克服しようとして、自民党と違う旗を立てているのは、やはり立憲民主党が最大の勢力であると思っていますし、その立憲民主党としての責任を、まさに真っ当な政治をつくっていく。自民党でいろいろと不祥事も、議員が離党したりとか、そういうことが出てきていますから、やはりこういう真っ当な政治を確立していく、旗を立てていくというのは立憲民主党の役割だと、そんなふうに思って活動しています。

【北海道新聞】
 補選においては、もう少し、どういう責任というか、果たしていきたいかということに関しては。

【代表】
 もう既に私たちは応援すべき人を明確に確定していますから、それは他の野党が、なかなか、確かに各政党が候補者を立てるか立てないかという中では、立憲民主党としての責任を果たしてやっていきたいと思っていますので、この長崎の自民党の候補だとか、あるいは徳島・高知の自民党の候補に、立憲民主党もリーダーシップを持って戦っていきたいと。他の政党の皆さんとも協力をして戦っていきたいと思っています。

【西日本新聞】
 関連になるが、泉代表、立憲民主党として真っ当な政治をとおっしゃっている中で、なかなか各種世論調査で政党支持率が芳しくない。泉代表として、何が原因で、党勢拡大に向けて何を変えていく必要があるとお考えか教えていただきたいのと、その文脈の中で、先ほどからお話のある二つの衆参補選、これをどう位置づけて反転攻勢として捉えていらっしゃるか。そこについて伺いたい。

【代表】
 まず、二つの補選で言うと、一つ、徳島・高知は党公認という形にはなっていないので、党としての位置づけというのはあくまで側面支援ということになるし、これは県民の正義だとか、政治不信の克服だとか、そういう戦いであろうと思いますから、そこを立憲民主党としてはやはり側面支援していくという戦いです。
 長崎については、元々自民党の持っていた議席で、そこに我々が挑むという形になりますから、ここはやはり最大限の勝利を目指してやっていきたいと思っています。
 それは当然勝ちたいのは当たり前だし、これに勝てば大きいとは思っていますから、党としては全力を尽くして戦っていく。位置づけとしてはそういうことです。
 支持率というのは、どの政党もそうでしょうけれども、それが簡単に説明できて簡単に克服できるのであればそれは簡単に上がっていくでしょうし、他党とも当然競争をしながらのことであるということと、今、国民の皆さんからすれば、これだけ政党の数が多いとやはり支持が分散してしまうということもあるし、いろいろな政党の動きを見なければいけないということもあって、なかなかそういった中でどこが最もよいかというのは選びづらい。ドングリの背比べの状態になっているというところがあると思うのですね。
 その意味でも、やはりこの野党の力をできるだけまとめていくだとか、そういう取組が必要であろうと。その中で立憲民主党は主導的な役割を担っていきたいし、そして、できる限り自民党に対抗していける力をつけていきたいと考えています。

○「国会レポート」「NTT法改正」「インボイス」について

【フリーランス】
 今回、立憲民主党は「国会レポート2023」をPDFで公開することにしたと、これは郵送費がかかるからだとネットの番組でおっしゃっていたと思うが、こちらの反響や、元々代表としてPDF公開された狙いについてお聞きしたい。

【代表】
 昨年のものもPDF公開されていて、特段新しいことではないです。紙でも作っているのですが、販売まではしていないので、あくまで党の各都道府県連だとか議員に資料として届けていくということになっているのですね、紙の部分は。あとは、もう皆さんインターネットで全国どこでも見ていただけますよと。無料でですね、もちろん。そういうふうにしていると。
 それをまた見ていただければ、立憲民主党が本当にこの国のために、いいものはいい、悪いものは悪いという、一つ一つの判断をして、また、悪いものに対しては対案を出しているという姿も、これはもうつぶさに見ていただけるかなと思っていますので、できる限り多くの方々に、確かに文字は多いのですが、よく見ていただけたら嬉しいなと思っています。

【フリーランス】
 「ニコニコ」さんで代表が発信されると、またこのように認知度が広がると思う。次に、全く違う質問だが、一部でNTT株を政府が売却、外資に売却するのか、非常に話題になっている。これを売却して防衛費に充てるつもりなのかということだが、むしろインテリジェンスの部分を危険にさらすのではないかという論調もある。これについて、海底ケーブルの話をたしかされていたと思うが、NTT株の売却について何か思うことがあれば教えていただきたい。

【代表】
 今まさに言っていただいたとおりで、NTTは非常に我が国の通信を担う大きな主体でありますから、単純にどの企業に買われてもいいということではなかろうということ。ある程度NTTそのものの経営ということについては安定していなければならないと思っておりますので、そういったところはやはり懸念事項です。ですから、そこにどういう条件、ルールを課していくのかというところは、どうしても一つ論点になっていくと思います。
 立憲民主党は、例えば昨年の経済安全保障法案の中で、セキュリティクリアランスについて、立憲民主党のほうからむしろ法案審議の中で提案して附帯決議に入れてきたという経緯もありますし、また、今お話のあった海底ケーブルについても立憲民主党の側から発議して、政府のほうでも対応するという、そういう答弁を引き出した経緯もありますから、このNTTの売却はどこにでも誰にでも売却していいというものではないのではないかという視点を持っていかねばならないと思っています。
 あとは、これは我が党としても、ちょっと別件ではあるのですが、クラウドですよね。これはやはり国産クラウド、我が国企業の政府クラウドというのをきちんとつくっていって導入していくべきだということも訴えています。

【フリーランス】
 3点目、また別の質問だが、代表がお帰りになる少し前、14日に弁護士・税理士・司法書士という青年士業3団体がインボイスについての苦言を述べる院内集会を開き、大変わかりやすく、実際に自営業者の面倒を見ている方々で、声を明確に伝えてくださったと思う。その前日、9月13日には菊田真紀子NC文部科学大臣のほうで広島・静岡で給食が出せなくなったという問題を取り上げており、立憲ニュースでも記事になっているが、給食業者がだめになるということも、消費税の滞納の期限が来てしまって、これを払わなければならなくなってしまったというところで倒れてしまったということが原因だったそうだ。このような地方における社会インフラ、小さな零細企業、良心的な庶民の方々の小さなところが担っている部分が多いと思う。こういったものがインボイスでばたばたと潰れていくということで、本当に私も実家に帰って、廃墟と化した町並みというのが進んでおり、こういった深刻な事態に対して代表からも強く何かメッセージをいただければと思う。先ほど一つ法案提出されている件はおっしゃったが、こういった地方の末端の社会的インフラを担う皆様に対してのメッセージをお願いしたい。

【代表】
 立憲民主党は、このインボイス廃止に向けて、今、努力をしています。末松議員を先頭に、我が党の仲間たちが、さまざまな集会ですとか取組にも協力をし、参加をして、国民の声を高めていこうと努力をしています。
 それはなぜかというと、本当に私自身もさまざまな事業者の皆さんから話を聞いていますが、単に業務量が増えるということだけでも相当大変なわけですが、取引がやはり切られてしまう可能性もありますし、そして、そこが倒れてしまうと実はその上の企業も重要な技能・技術を持った取引先を失うということにもなるのですね。ですから、単に零細だけが困るとか個人事業主だけが困るのではなく、中には、「さすがにもう、今のうちの経営規模であれば今回のインボイスの登録はちょっとやめておこうかな」と思っていると、では、そこに仕事を発注している企業がほかの人に頼めるかといったら、「いや、ちょっとあなた以外にはその仕事は頼めないんですよ」というケースもいっぱいあって、大手さんだってそういう意味では困ると思いますよ。ですから、大手は大丈夫とか、大変なのは小さいところだけだとか、そんな話ではない。日本経済全体が混乱に陥るし、特に地域経済が打撃を受けるし、そして、個人事業主を中心に廃業に追い込まれるという深刻な今状況だということです。
 これを国民に我々も一生懸命訴えていきたいと思いますし、私もSNSなどでは繰り返し発信をしていますが、もっともっと声を高めていきたいです。

【フリーランス】
 9月末までに岸田首相が止めれば止まるという話だが、岸田首相、すごく泉代表の影響を受けやすいというふうに私も思っているので、ぜひ岸田さんに向けても一言お願いしたい。

【代表】
 確かに、コロナ(禍の対応)のときに、家賃支援給付金、最初言っていた自民党の案よりも、当時の政調会長である岸田さんを私たち野党の政調会長側で説得して、私と逢坂さんで説得をして、その家賃給付金の期間を延長したりとか、10万円給付についても自民党の方針を変えたということはありましたから。
 今、直接これ話ができるか。インボイスに反対する多くの方々の署名を我が党の末松衆議院議員が代表して財務大臣に届けようと思ったら、財務大臣の面会が拒否されて、そして、副大臣かと思ったら副大臣は何か体調不良だという話になって、政務官にお届けをしたということもあったようで、どこまでこういったことについて政府側が話を聞く考えがあるのかというところもありますが、できる限りのことはやっていきたいです。

○公設秘書と自治体議員の兼職について(3)

【デイリースポーツ】
 確認だが、先ほどの地方議員と秘書の兼職の問題だが、今後調査をしてルールづくりもするかもという話だった。福田昭夫議員だが、現時点でその秘書を使い続けるとおっしゃっているが、福田さんは兼職届を出しているということで、現時点では何ら問題はないというような考えでよろしいか。

【代表】
 手続的には、という話にはなるのでしょうね。
 ただ、やはり兼職そのもの、先ほど話をしたように公職選挙法との関係で言っても、そこはやはり矛盾があるのではないかと私は感じますし、党としては検討したいです。

○国会議員情報本の秘書欄について

【フリーランス】
 秘書のことで伺いたい。「国会議員要覧」などを見ると、泉さんも第2秘書がいないのか。

【代表】
 たぶん、その「要覧」というのは国が発行しているものではなく、民間のところが、たぶんどこかの時点での秘書について記載をしているのだと思うのですね。何月何日現在みたいな感じで。
 現在はおります。

【フリーランス】
 これが全く正しいかどうかわからないが、秘書名を全然書いていない人がいる。立憲にも自民党にも。これは秘書というのは必要だから雇っていると、国の税金で。そういったことに対してどのように思われるか。

【代表】
 ただ、すみません、やはりその民間が出されているデータ集みたいなものが、どこまで例えば正しい正しくないとか、どの時点のものを載せているとか、載せる基準がどうだこうだというのは僕はよくわからないので。
 例えば国のほうで閲覧できる制度があって、そこで抜けている抜けていないがあって、例えばいるのに抜けているとか、そういうのがもし何か状態化しているのであれば、何でという気はしますよね。ちょっとそこはよくわかりません。

○国政補選に向けた取組について(3)

【フリーランス】
 衆参補選で責任を取る勝敗ラインを教えていただきたい。全敗、2連敗でも、辞めるのかどうかお聞きしたい。

【代表】
 突然来られてご苦労様でございます。
 とにかく、もう常に代表というのは責任も背負っているし、当然それを全うするのが仕事ですから、今はとにかくそのために全力を尽くすのみです。それ以上のことはありません。