長妻昭代表代行は2月17日、定例の記者会見を国会内で開催。(1)高額医療費制度の上限引き上げ(2)自民党の裏金問題(3)参院選挙に向けて――等について発言しました。
長妻代表代行は冒頭、北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんの父、有本明弘さんが亡くなられたことに「心よりお悔やみを申し上げます」と表明。「娘さんの有本恵子さんが北朝鮮に拉致されたことが判明した1988年以降、ご夫妻で恵子さんの帰国を願って活動されてきたが、ご存命のうちに叶わなかったことでご無念だったと思う。われわれも、党内に対策本部があり、早期解決に向けて少しでも前に進むよう努力を続けていく」と力を込めました。
同日の衆院予算委員会での審議については、特に高額医療費制度の上限引き上げに言及。石破総理が4回目以上については見直しを凍結する考えを表明した上で、それで済んだような趣旨の答弁があったことに、患者団体らは制度の見直し内容に加え、その議論の過程に当事者が入らなかったこと、わずか2カ月の短期間であったことなど決め方も問題視していると述べ、「医療費については、ほかに見直す必要があるところがあるにもかかわらず、一番生きるか死ぬかという、保険がもっとも対応しなければならない方からお金を取る、財源を見出すやり方について怒っている」と指摘しました。現在、制度利用者のなかで70歳以下が400万人いて、この方たちがどのような病気なのかを政府は把握していないとして、「今回値上げすることで、その副次効果として2270億円分の受診控えが起こるという推計値も出ている。全国保険医団体連合会調べでは、上限引き上げの場合46%の方が治療を中断する、61%の方が治療の回数を減らすと回答しているという。自分の治療費なのか、子どもの教育費なのか二者択一のような選択を迫られて治療を断念することを検討される方々もいるというのは社会保障の常識からもあり得ない。いったん凍結をし、少なくとも1年以上かけてエビデンスを分析して議論すべき」だと主張。党として19日に凍結を求める議員立法を国会に提出する予定だと述べました。
東京都議会自民党の裏金問題については、同日から確定申告が始まったことにも触れ、「税務署に行き、税金を払う必要があるかどうかを確認してもらいたい。国税庁には、政治家に対し一般国民と同じ対応をしてもらいたい」と強く要請。関連で、旧安倍派の会計責任者である松本元事務局長が出席を拒否している参考人招致については、「自民党の派閥の職員だったわけであり、他人事では済まされない。国会の政治倫理審査会での(旧安倍派の)議員と、裁判所での松本事務局長の発言が真っ向から違う。これを放っておくことは到底許されない」と、出席に向けて自民党のさらなる対応を求めました。
参院選挙に向けていかに党勢を拡大していくかとの問いには、ショート動画など発信も工夫しているとした上で、「中長期的なビジョンとともに、国会でわれわれがやるべき政策と、われわれのやるべき政策にかかるお金は、こうして捻出するという方法をセットで提案するという政治文化、責任野党としての手法を理解してもらいたい。派手ではないかもしれないが、政権を担う責任野党としての姿勢を見ていただきたい」と述べました。
また、「高齢者らが老人ホームなどの高齢者施設に入る際、施設を紹介する業者が介在し、施設側から業者に高額の「紹介手数料」が支払われるケースが相次いでいる」とする同日の一部報道を受け、「到底容認されるものではない」とコメント。厚労省からは何らかの規制は必要との発言があったと紹介し、「速やかに対応しなければいけない。そうでなくても今保険財政は厳しく、特に氷河期世代、現役世代への社会保険料は先進国の中でも日本は非常に高くなっている。一方で富裕層、超高額所得者の保険料は先進国の中でも非常に安くなっている。こういう負担のアンバランスも変える必要があり、取り組んでいく」と述べました。