立憲民主党は、3月7日、農林水産部門会議(部門長・金子恵美ネクスト農林水産大臣・衆院議員)を国会内で開催、森林経営管理法・森林法改正案について林野労組・森林労連と意見交換を行いました。

 続いて、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)の骨子(案)、土地改良法等の一部を改正する法律案、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律等の一部を改正する法律案の条文について農林水産省より説明を聴取し、質疑応答を行いました。

 農林水産省説明者の退席後、土地改良法等の一部を改正する法律案の法案審査を行いました。(司会:神谷裕農林水産副部門長・衆院議員)。


 冒頭、金子部門長より、「森林経営管理法・森林法改正案についてしっかりと審議しようと考えていたところ、林野労組・森林労連の皆さんとの意見交換の場を設けさせていただくことができた。昨日は、鳥インフルエンザ対策本部として、小川本部長を中心に、対策強化の申し入れを副大臣に対してさせていただいた。本日はよろしくお願いする」とのあいさつがありました。

 

■森林経営管理法・森林法改正案について林野労組・森林労連と意見交換

 森林経営管理法・森林法改正案について、林野労組(全国林野関連労働組合)・森林労連(全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会)と意見交換を行いました。

 同法案は、森林経営管理制度について、森林の集積・集約化を進める新たな仕組みを創設し、市町村の事務負担を軽減するとともに、太陽光発電に係る不適正事案を背景とした林地開発許可制度の実効性の強化等の措置を講じようとするものです。

 林野労組・森林労連から、まず、林野庁公表資料に基づき、森林経営管理制度の概要と実績について触れた後、法案に係る課題と要求について、説明がありました。


 まず、市町村の体制の状況について、説明がありました。

 森林・林業行政において、地域に密着した行政主体である市町村の重要性は年々大きくなるとともに、内容も高度化しています。所有者や境界が不明確な森林の増加等の課題が顕在化し、森林経営管理制度導入後、市町村の役割はますます重要になっている中、市町村の森林・林業職員は全国で3,000人程度、1市町村あたりの林業部門の職員数が0~1人という市町村の割合が64%を占めるという状況にあります。

 こうしたことから、林野労組・森林労連は、「地方交付税算定基礎における職員配置数の拡充など、地方財政措置の拡充等を通じ、市町村の林務行政を充実させることが必要」との考えを示しました。

 また、市町村の体制強化に向けた支援策として、平成29年度より、民間の林業技師等が市町村からの委嘱や業務委託等を受けて、市町村の森林・林業行政の実務をサポートする地域林政アドバイザー制度が創設されています。同制度は、市町村が地域林政アドバイザーの雇用や委託に要した経費については、特別交付税措置の対象(措置率0.7、上限額350万円)とするものです。

 林野労組・森林労連は、「地域林政アドバイザー制度に係わる特別交付税の措置率・上限額の引上げなど、国としての支援の拡充が必要」「私有林人工林1,000ha以上の市町村では、地域林政アドバイザーの雇用などが進むが、OB等が多い状況であり、人材の育成を図っていくことが必要」といった課題認識を示しました。


 次に、林業労働力の現状と課題について、説明がありました。

 林業労働者は長期的に減少しており、平均所得は全産業平均(432万円)に比べ、約90万円以上低くなっています。林業事業体は中小・零細企業が多く、就業条件の改善について、事業体の自助努力のみでは限界で、林野庁は、生産性向上を通じた処遇改善を図ろうとしていますが、これにも限界があるとしています。

 林野労組・森林労連は、「現場作業従事者の5年後、10年後の労働諸条件を設定し、目標管理を設定する等の仕組みを取り入れつつ、体系的な人材育成と併せ、政策的に就業条件の改善を図る必要がある」との認識を示しました。

 特に、林業における労働災害発生率(令和3年・死傷年千人率)は、全産業(2.7)の10倍(24.7)となっています。林業における労働災害について、死亡災害の約7割が伐木作業中に発生している、従業員が9人以下の小規模な林業経営体での発生のリスクが高い、被災状況が目撃されず、発見に時間を要している、救急連絡や救助に時間がかかっている、といった実情にあります。


 以上を踏まえ、林野労組・森林労連から、森林経営管理法・森林法改正案に対し、

(1)市町村の森林整備を促進するため、市町村の林務担当者の育成・確保を図る仕組みの確立、「地域林政アドバイザー制度」等の活用に係る市町村の意向と人材のマッチング、境界の明確化等、国の支援を拡充するとともに、地方財政措置の拡充等必要な予算を確保すること。

(2)林業労働力の育成・確保に向けた施策の拡充及び必要な予算の確保を図ること。また、労働安全をはじめとする労働条件改善に向けた対策を強化し、林業への定着を図ること。

(3)森林環境譲与税については、これまでの森林施策では対応できなかった奥地等の森林整備を確実に進展させるため、林業需要の高い自治体への譲与額を増大させるよう、譲与基準について適時適切に見直しを行うこと。

との要求が示されました。


 市町村の体制について、参加議員から「市町村における林務担当職員が足りないということは聞いているが、皆さんの立場から、どう感じているのか、現場のイメージはどうか」(渡辺創衆院議員)との質問がありました。

 林野労組・森林労連から「各地方で自治体や自治労と意見交換をしてきた中、自治体は人事異動で2,3年くらいしか部署にいないので、専門分野を担当する職員の育成ができていないことがよく言われている。森林が多く、林業が活発に営まれているところは、都道府県を中心として担当者がいるが、小さい自治体では担当者がほとんどいない。農業関係と一緒に担当しているというところもかなりあると思っている」との回答がありました。


 また、参加議員から「今回の改正により、市町村の業務負担が軽くなるとされているが、森林の集積・集約化を進める計画の策定は前進すると考えてよいか」(渡辺創衆院議員)との質問がありました。

 林野労組・森林労連から「一括して権利設定ができるので、事務負担的には楽になると思う。ただ、まだまだ森林所有者の理解が進んでいない。そもそも、森林所有者がどこにいるのかわからない、不明森林が多い。入口の段階で国として手だてを講じないと、市町村としても制度自体を活用しきれないのではないか」との回答がありました。


 林業労働力に関し、参加議員から「林業における外国人労働者の状況はどうなっているのか」(神谷裕衆院議員)との質問があり、林野労組・森林労連から「林業の技能検定制度が創設された。外国人は技能検定を受けた上で、ステップアップしていく。まだまだ始まったばかりなので、我々としても状況を把握しながら、課題が生じればご相談したいと思う」との回答がありました。

 関連して、「緑の雇用制度による人材育成、定着の状況はどうか」(金子恵美衆院議員)との質問がありました。

 林野労組・森林労連から「緑の雇用は、毎年1,200人の新規就業者を確保する予算が計上されている。1,000人ほど来ているが、定着率が悪い。2、3年から4,5年くらいでやめてしまう人が多い。労働条件、賃金、労働安全の問題がある。先ほど年収が全産業より90万円くらい低いと説明したが、どんな田舎に行っても年収500万円くらいないと家族を含めて暮らしていける労働条件にないことが課題だと思っている」との回答がありました。


 木材輸送について、参加議員より「以前、徳島で組合の皆さんと意見交換をさせていただいたところ、『木材輸送はそれなりの技術が必要。ドライバーが高齢化している中、技術をもったドライバーを育成していかないと、木材輸送が困難になっていくのではないか』というお話を伺った。現状はどうなっているのか。また、どのような技術が必要なのか」(徳永エリ参院議員)との質問がありました。

 林野労組・森林労連から「トラックドライバーはかなり高齢化している。特に、林業の現場で道の悪いところよりも町の方がいいという意向もあり、木材輸送には昔ながらのドライバーに来ていただいている。しかも、林道自体が、予算不足で、人手も足りず、荒れている。道幅が狭い中で苦労してトラックドライバーが輸送してくださっている。林野庁は10トン積みトラックが通れる林道を作っていくと言っているが、実際は予算不足で進んでいない。この法律とは別に、山村振興法改正案が議員立法で提出されると思うが、その中でも林道の必要性を訴えているところ」との回答がありました。


 森林環境譲与税について、「譲与基準となる面積の割合が5%引き上げられているが、依然として足りない状況。北海道のほとんどの自治体から更なる拡充を求めるという要望書が出されているが、思うように進んでいかない。ネックはどこにあると考えるか」(西川将人衆院議員)との質問がありました。

 林野労組・森林労連から「一番のネックは、大きな市町村、横浜市や東京都の23区では、税金をとるという事務手続きだけさせられて、なんの見返りもないのか、という反発がかなりあるということ。理解の醸成が課題」との回答がありました。



■酪肉近(酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針)、土地改良法改正案、食品等流通法・卸売市場法改正案についてヒアリング

 続いて、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)の骨子(案)、土地改良法等の一部を改正する法律案、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律等の一部を改正する法律案の条文について、農林水産省より説明を聴取し、質疑応答を行いました。


 酪肉近は、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づき、酪農及び肉用牛生産の振興施策に関し、政府が中長期的に取り組むべき方針を定めるものであり、情勢変化等を踏まえ、農林水産省において、食料・農業・農村基本計画と連動して、新たな酪肉近の策定を進めているところです。農林水産省から酪肉近骨子案の全体像について、説明を聴取しました。


 土地改良法改正案の概要については、2月7日の森林・林業・山村振興WT・農林水産部門合同会議において、同法案の条文については、2月14日の農林水産部門会議において説明を聴取したところですが、今回は法案審査のため、さらに、説明を聴取しました。


 食品等流通法・卸売市場法改正案の概要については、2月28日の農林水産部門会議において説明を聴取したところですが、今回は法律案の条文について説明を聴取しました。


 説明の後、一括して質疑応答が行われました。

 酪肉近について、参加議員から、「肉用牛については、増頭奨励をやめて、母牛の資質向上に転換を図ってきたが、和牛の生産量、頭数は過剰気味か、適正水準か、どう認識しているか」(渡辺創衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「国産牛肉の生産量は堅調で17万頭強まで増えている中、2年ほど前から物価高で、消費が落ち込み、需給が緩和しているとみている」との回答がありました。


 「酪肉近の骨子案では、『酪農経営由来の値ごろ感のある国産牛肉の生産推進』がうたわれている。これは大事なこと。和牛に偏りすぎ、牛肉離れがあるような気がしている。国産牛がある程度あって、その中で和牛の価値が担保され続けていくべきと考える。国産牛肉の生産振興のための施策としてどのようなことを考えているのか」(渡辺創衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「我が国の牛肉消費量は85万トン、そのうちの7割が赤身の肉。輸入牛肉が全体の6割、ホルスタイン、交雑種を入れると9割近くになる。和牛には脂肪交雑があり、海外の顧客を含め人気があり、牛肉の一つの個性となっている。これを生かしつつ、ホルスタインの肉、交雑の肉を含めて生産振興を図っていかなければならないと考えているので、こうした記載の仕方をしている。脂肪交雑の和牛について、A5の割合が6割を超えるような状況にあるが、A5の肉で差別化ができるかと言えば、そういう状況ではなくなってきている。そのため、資質を高めていくことが重要と考えている。オレイン酸で差別化を図るとか、小ザシ(きめ細かい霜降り)にして、油が入っても食べやすい肉などが出てきている。こうしたものの推進を図っていきたい」との回答がありました。


 飼料に関し、「飼料の目標値を定めることとされているが、九州のように湿気の多い地方では飼料国産化に限界があり、輸入に頼らざるを得ない。どのくらい国産化を考えているのか」(野間健衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「酪肉近とあわせて食料・農業・農村基本計画について議論している。飼料については、基本計画において定める目標として位置付け、酪肉近は、これを引用する形になる。国産化に限界があるとのご指摘はまさにそのとおり。特に、濃厚飼料、飼料穀物については、国内の農地では、需要量を満たせる状況にない。食料安全保障の観点からも、輸入穀物については、安定供給を図る、飼料備蓄を含め、しっかり運用していくことを記載していきたい。一方で、粗飼料についてはできるだけ国産化を進めていきたいと考えている」との回答がありました。


 「配合飼料価格が高止まりになっているが、現行制度の計算方式では補填金が出せない。どうする考えか」(野間健衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「配合飼料について、トウモロコシ価格の海外相場が落ち着いているが、円安基調が続いていて、高止まりの状況にある。配合飼料価格安定制度は、激変緩和、すなわち、価格高騰時に高騰分を抑えるという機能を有する制度。配合飼料価格安定制度と各種経営安定対策、金融対策を組み合わせ、総合的に畜産の再生産を確保していきたいと考えている。配合飼料価格安定制度については、価格高騰が続く中で、持続性をどうするのかとの議論があり、来年度から若干の運用改善を行い、できるだけ枯渇することのないよう、制度の見直しを行っているところ」との回答がありました。


 関連して、「飼料自給率向上に関して、粗飼料については比較的自給率が高い一方、濃厚飼料の自給率は非常に低く、ほとんど輸入に頼っている。骨子案に『粗飼料を中心とした国産飼料の優位性の向上』との記載があるが、飼料全体の自給率を上げるためには、濃厚飼料の自給率を上げていかなければならないのではないか」(西川将人衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「濃厚飼料は家畜の栄養要求からすると高い。飼料用米含め、国内で濃厚飼料をどうしていくのかという議論がある。自給率に跳ね返っていく部分では大きなウェイトを占める。一方で、飼料用米については、水田政策の見直しの議論が始まる段階である。現場の実態を踏まえ、需要サイドと生産サイドとが歩調を合わせて考えていく必要があると考えている。北海道は粗飼料に関してはほぼ自給できている。課題は都府県の粗飼料。今後労働力が減っていく中、農地を有効活用した飼料生産は粗放的にできる面もある。骨子の中にも書いてあるが、『地域計画』に飼料生産をきちんと書いていただき、地域の中で飼料生産も含めた農地の活用を推進していきたい」との回答がありました。


 骨子案に「放牧の更なる推進」と書かれていることに関し、「地元長崎県で放牧の現場を視察したが、放牧は環境保全でもある。放牧された土地は土壌が豊かになり、地力が上がっていく。災害にも強くなる。海の環境にもいい影響を与える。そのため、放牧を環境直接支払いの対象とすべきではないか」(山田勝彦衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「放牧は、省力化だけでなく、条件不利地の活用、景観の面からも観光資源となる。しっかりすすめていきたい。一方、必ずしも放牧イコール有機というわけではない。環境直接支払いについて、担当部局がまたがることもあり、ご指摘を踏まえ、持ち帰らせていただきたい。放牧をやろうとすると、周辺住民が反対することもある。理解の醸成を進めながら推進してきたい」との回答がありました。


 アニマルウェルフェアについて「我が国は世界から大変遅れており、Gランクという最下位の位置付けである。大変問題である。世界からの遅れを取り戻すには法整備が必要。骨子案に『アニマルウェルフェアの推進』と書いてあるが、具体的にどう取り組む考えか」との質問がありました。

 農林水産省から「令和5年に国際基準に沿った『アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針』を公表した。これを現場にしっかり浸透させ、取組状況についてアンケート調査をしながら、具体的な目標設定をすることにより、推進していきたい」との回答がありました。


 生乳生産について、「後継牛の不足と農家戸数の減少で、日本全体の生乳生産が足りなくなるのではないかとの予想もある。どういう認識か」(石川香織衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「生乳生産の今後の見通しは難しい。一点目として、インプットは種付けで、3年後の頭数が変わる。去年、過去最高の種付けをしているので、3年後には相当数が出てくる。もう一つは、どのタイミングでリタイアさせるか。酪農は2産から3産くらいで肉に回す。これをどこまで粘るかによって搾乳の頭数が変わってくる。さらに、1頭当たりの搾乳量が、令和4年、5年に生産抑制があり、飼料高が加わったことで、今までの傾向と違って、大きく落ちた。現在、これが回復途上にある。これらが短期的にどう動いていくかによって、令和7年、8年の全体の生産量が変動していくと考えている。確実に予想できる人はいないと思う。上振れも下振れもある。Jミルクは、令和7年度は令和6年度よりも生産量は落ちるとみている。生乳は、まず価格の高い牛乳に充てて、次に脱脂粉乳・バターに回す。バターは需要が堅調なので、それに基づき、北海道は生産計画を立てている。その生産計画を満たすと脱脂粉乳が余る。脱脂粉乳の過剰在庫に全国協調する形で対応しており、これが一つの課題」との回答がありました。


 「和牛の頭数が多くなり、価格が下落することへの懸念がある中、北海道でもホルスタインに和牛の受精卵を移植して和牛を生ませることをめぐって、農家同士で考え方がぶつかることがある。和牛の血が濃くなってしまっているとの指摘もある。骨子案に『和牛の遺伝的多様性への配慮』との記述があるが、具体的にどうするのか」(石川香織衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「和牛について、脂肪のサシを重視して改良してきたが、これを現状維持程度としつつ、新たに、食味やどれだけよく育つかということなどに対応して、サシ一辺倒でない改良を進めていく。希少血統などに着目した種雄牛造成をしていくことによって、遺伝的な多様性を確保した改良を進めていきたい」との回答がありました。


 土地改良法改正案に関連し、「水土里ビジョン(地域の農業生産基盤の保全等に関する計画)策定について、関係者が連携して取り組むこととされている中、市町村の人材不足が課題。市町村関係者を支える仕組みを作るべきではないか」との質問がありました。

 農林水産省から「水土里ビジョンの策定は、市町村を含めて、という形にはしているが、作成主体は土地改良区。土地改良区が策定することに対して、国及び地方公共団体が支援するとの規定を設けた。都道府県土地改良事業団体連合会が、土地改良区に対する指導・助成の業務を行っているので、こちらをサポートしたい。予算の中で、ビジョン1地区当たり300万円の定額助成を盛り込んでいる。聞き取りを行っている限りでは、法案の内容が見えない中にあって、この助成措置に70件前後の要望がある。周知しながら、進めていきたい」との回答がありました。


 また、「土地改良法改正案は日切れ扱いであり、予算関連法案であるが、予算との兼ね合いはどうなっているのか。令和7年度予算の執行見込みはどうか」との質問がありました。

 農林水産省から「⼟地改良施設突発事故復旧・防⽌事業のうち、復旧事業については、突発事故が発生しないと実施しないので、執行見込みはお約束できない。防止事業については、⼟地改良施設に漏⽔や⻲裂等の事故の兆候が認められ、事故による被害が⽣じるおそれがある場合に補修・補強等を緊急的に実施するもので、すぐにも動ける部分は作っておかなければならないと思っている。農地中間管理機構関連農地整備事業は、実施主体に市町村を追加するとともに、農地中間管理機構が所有する農用地も事業の対象に追加するもの」との回答がありました。


 土地改良施設の更新について、「埼玉県八潮市で下水管が破裂した。農業水利施設のストックもそれなりにあり、長寿命化で対応いただいているが、老朽化が進んでいる。計画的な更新が必要と思うが、どう考えるか」(神谷裕衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「八潮市の事案は我々にとって教訓になる。農業水利施設の同じパイプラインに連続して破裂が発生した事例がある。同じ時期に同じような条件で作っているので、一カ所だけ壊れても、全体が危ういという状況。いろいろメンテナンスをやっていたが、こうしたことが起こらないよう、急施の復旧事業について、原形復旧だけでなく再度災害の防止のための事業、突発事故被害と類似の被害を防止するための事業を追加することとしている」との回答がありました。


■土地改良法改正案の法案審査

 農林水産省説明者の退席後、土地改良法改正案の法案審査を行いました。

 協議の結果、前回の土地改良法改正案に対しては賛成しており、今回の法案は前回の改正をバージョンアップした内容になると考えられることから、附帯決議を付すことを前提に、賛成の方向で部門長に一任することを了承しました。