27日、参院予算委員会で今年度第3次補正予算の基本的質疑があり、立憲民主党から蓮舫代表代行が質問に立ちました。

 蓮舫代表代行は(1)自民党・公明党の幹部議員による緊急事態宣言下の銀座クラブ通い(2)緊急事態宣言の今後の見通し(3)休業要請に応じた事業者に対する補償のあり方(4)政府が補正予算に盛り込んだ中小企業への一時金(5)野党が求めた補正予算の組替動議(6)政府の医療崩壊への対応の失敗――などについて取り上げました。

(1)自民党・公明党の幹部議員による緊急事態宣言下の銀座クラブ通い

 冒頭、蓮舫代表代行は自民党、公明党の2議員による、銀座クラブでの深夜に及ぶ会食などについて追及。「SNSでは『国会議員は上級国民』と拡散されている。えらい迷惑ですよ。国民にお願いしている立場として、怒るところではないのですか」と、自民党総裁として何らかの処分を下すつもりはないのかをただしました。これに対し菅総理は「国民の皆さんに正直に申し訳ないと思います」とは述べたものの、議員の処分については「幹事長室で対応してもらう。私が今、ここに立っているのは行政の長としての立場」であるとして、直接的な処分についての言及は回避しました。

(2)緊急事態宣言の今後の見通し

 民間シンクタンクや京都大学の西浦教授による、新型コロナウイルスの感染者数についてのシミュレーションを取り上げ、緊急事態宣言の今後の見通しについて尋ねました。

 蓮舫代表代行はまず三菱総研が政府の予算を使って行ったシミュレーションについて触れ、「このシミュレーションでは『楽観シナリオで2月末、悲観シナリオだと4月末まで緊急事態宣言を解除できない』としている。京大の西浦教授による試算でも、7月末までだ」と指摘。その上で、これらの試算に対する政府の見解をただしました。菅総理らは、「個別の試算についてのコメントは差し控えたい」と述べるにとどまりました。

 また蓮舫代表代行は「1月7日の会見で菅総理が『1カ月間で必ず事態を改善する』と述べた科学的根拠」「現下の感染はなぜ収束に向かっていないのか」「緊急事態宣言の解除ないしは延長は、いつ頃までに国民に伝えられるのか」といった点についても問いただしました。

(3)休業要請に応じた事業者に対する補償のあり方

 現在「1日6万円」となっている事業者に対する休業補償については、事業者の規模を無視していることや、補償の対象が飲食店に限られており、同じように時短営業に応じている他の職種(小売りや興行など)に対しては全く補償がなされていないことを指摘。その上で、仮に緊急事態宣言が延長される場合には、(1)一律6万円の枠組みを見直すことと(2)時短に応じている飲食店以外の事業者に対してもしっかりと補償を提供すること――を政府に提案しました。菅総理は「提案として受け止めさせて頂く」とは答弁したものの、「資金繰り支援や雇用調整助成金、その他助成金の中で、できる限りのことをしている」とも述べ、今の政府の立場を崩すことはありませんでした。

(4)政府が補正予算に盛り込んだ中小企業への一時金

 この日の政府とのやり取りの中で、補正予算に盛り込まれた中小企業への一時金の申請受付が3月の頭になることが判明すると、蓮舫代表代行は「3月からの受付ではあまりに遅すぎる」として、昨年活用された持続化給付金を再度利用するつもりがないのか、菅総理らをただしました。しかし菅総理らは、今回の緊急事態宣言については、「対象となる地域が限定されており、飲食につながる人の流れを削減することに主眼が置かれている」などとして、持続化給付金の活用については消極的な姿勢に終始しました。

(5)野党が求めた補正予算の組替動議について

 「まずは自助」と説く菅総理に対し「まだ『自助』を言うのですか、国民の皆さんは本当によくやっている。『自助』の言葉を口にするのはやめてもらいたい」と述べた蓮舫代表代行。この苦言に対し菅総理は「『自助』というのは抽象論で、コロナ対応に関しては生活保護に陥る前にきちんとした形で対応する」と釈明せざるをえませんでした。

 また蓮舫代表代行は、今回の補正予算が編成された12月15日時点での社会の雰囲気が、今とは全く異なっていたと指摘。「変異種(変異株)の存在が英国で確認されたのは、補正予算が編成された日の前日にあたる12月14日。補正予算にはこの事実が反映されていない」「11月20日、25日、12月11日の分科会によるGoToキャンペーン停止の提言を無視をし、補正予算を決定した。翌日に大きく報道されたのは、総理のステーキ会食のお詫びだった。はしご会食、4人以上で会食しててもいいという、当時の総理の考えが国民に本当に批判された。その時の感覚で組んだ予算が、緊急事態宣言下のいま、本当に通用するとお考えですか」とただしました。

 その上で「困窮者への支援や自粛要請に応じた事業者への補償、小口緊急資金。(政府の補正予算では)これらの規模があまりにも小さい」「私たちの組み換えを全て認めろとは言いません。ただ困窮している生活者の支援、あるいは持続化給付金、私たちが出している法案。それらに賛成していただけませんか。あるいは政府から出していただけませんか」と菅総理らに迫りました。

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(6)医療崩壊への政府の対応の失敗

 蓮舫代表代行は、11月中旬から専門家による医療ひっ迫の訴えが相次いでいたことをグラフで示した上で、政府の対応が遅すぎたのではないかと指摘しました。またコロナ患者向け病床の増床を支援するための予算の使い勝手が悪く、予算がほとんど使われていないことを田村厚労大臣とのやり取りの中で確認し改善を求めました。

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 蓮舫代表代行は補正予算の中身についても触れ、「基礎疾患を抱える人間に対するPCR検査の拡充が42億円。1,848万人いる75才以上の人口のうち45万人分にすぎない。院内感染を防ぐ措置のための予算が1病院あたり100万円で計212億円。コロナウイルスの行政検査拡充のための予算が計672億円。これに対しGoToキャンペーン予算は約1兆円、グリーン化基金に約2兆円」と指摘した上で「おかしいですよ。組み換えするべきではないですか」と、再度補正予算の組み換えを迫りました。しかし菅総理は「必要な予算については、しっかりと手当している」と、これまでと同様の答弁を繰り返すだけでした。

 質疑の中で、菅総理の答弁について蓮舫代表代行が、「言葉が伝わらない。そんなメッセージだから国民に危機感が伝わらない。あなたには総理としての自覚や責任感、それを言葉で伝えようとする、そういう思いはあるのですか」と、強く批判するやりとりもありました。

 最後に蓮舫代表代行は、昨年末に新型コロナウイルスに感染し急逝した羽田雄一郎参院議員と最後に交わした会話を振り返った上で、「(今日は)命を守る提言もしたが、総理からは熱意とか積極的になるという姿勢が感じられなかったのが非常に残念だ。私たちはこれまでもこれからも提案を続けるので、良いものは飲んで頂きたい」と述べ、質問を終了しました。

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