立憲民主党不妊治療等に関するワーキングチーム(WT。座長:岡本あき子衆院議員)は22日、不妊治療に関する政策について党所属自治体議員らとオンラインで意見交換をしました。
同WTは「生殖補助医療プロジェクトチーム」(座長:寺田学衆院議員)と共同では11日、7月から中医協(中央社会保険医療協議会)で、来年4月からの不妊治療の保険適用に向けた議論が始まることを踏まえ、立憲民主党の考えがこの議論に反映されるよう、党でとりまとめた「不妊治療の保険適用についての提言」の厚生労働省への申し入れをおこないました。提言は、(1)保険適用の対象および要件(2)子どもを授かりたい人々を支える治療と環境の整備(3)若年期における理解・啓発の促進(4)仕事との両立に関する環境整備――の4項目。「保険適用の対象および要件」として、中医協での議論の過程の透明性の確保や、男性の不妊治療に対する支援、切れ目のない保険適用、保険外治療におえる助成制度の検討などを盛り込んでいます。
冒頭、岡本あき子衆院議員は、こうした政府の動きを注視しながら、必要に応じて党として今後も当事者や現場の声などを踏まえてさまざまな働きかけをおこなっていきたいとあいさつ、積極的な議論を呼びかけました。続いて、当事者でもある事務局長の山川百合子衆院議員が提言内容の概要を説明。「保険適用の対象および要件」に加え、特に立憲民主党らしい視点が反映されているものとして、カウンセリングを保険適用のパッケージとしての導入や、産婦人科医と泌尿器科の男性不妊専門医の連携支援、学校教育における包括的性教育の充実、職場における不妊治療休暇制度(多目的休暇制度)の推進などを紹介しました。
参加した自治体議員からは、「小児・AYA(※)世代のがん患者等の妊よう性(妊娠するための力)温存治療費の助成を対象とするかどうか、意思決定ができない子どもに対しても保険適用を考えるのか」「『包括的性教育』についてもう少し具体的に説明してほしい」といった質問のほか、当事者でもある市議からは、専門医が少なく隣県で治療を受けていたところ、コロナ禍で県をまたがる移動が制限され苦労したという発言がありました。「包括的性教育」について岡本議員は、「当時(2005年)の安倍晋三自民党(「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査PT」)PT座長の批判にさらされ、小・中学校で性教育自体が止まった時期がある。現在は性暴力を受けないための、『生命(いのち)の安全教育』の方向になりつつある。思春期に自分のからだにどんな変化があり、どんなことがありうるか、精子、卵子には元気な時期があるという科学的なことを盛り込んでほしいと要望した」などと解説。文部科学省は2021年4月、性教育についての教材と指導の手引きを公表したことから、今後各都道府県の教育庁、教育局が重要となるなか、地元自治体でどのような内容になっていくか注視してほしいと呼びかけました。
会議では、千葉県の岡本優子松戸市議から「仙台市では(2019年度から)不妊治療休暇制度が創設されている。導入に至った経緯を知りたい」などの発言があがるなど、党に対する質問や意見にとどまらず、参加議員同士での活発なやり取りも。仙台市の事例については、樋口典子仙台市議が「労働組合と当局とが毎年おこなっている男女平等に関する交渉の中に盛り込んだもので、毎年地道に交渉を重ねてきた成果だ」と説明。こうした先進的な事例を共有し各地での取り組みを広げていくこと、今後も意見交換、情報交換を定期的におこなっていくことなどを確認しました。参加した自治体議員からは、党として提言を政府に要請したことへの謝意が述べられ、今後取り組みを進めるにあたって、当事者にとって優位な制度となるようにとのコメントが寄せられました。
※AYA(アヤ)世代とは、Adolescent & Young Adult(思春期・若年成人)のことをいい、思春期・若年成人の世代を指しています。