枝野幸男代表記者会見

2021年9月7日(火)17時40分~18時03分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/PKMwjMS_brI


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」7項目を発表

【代表】
 きょうは定例の幹事長の会見に先立ちまして私のほうから発表を1件させていただきたいと思います。総選挙が具体的に近づいてまいりまして、今後も順次政権公約を発表してまいりたいと思っておりますが、事実上その第1弾となります「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」について発表させていただきたいと思います。これは、政権がかわれば何が変わるのかということを、まず初閣議でもこれだけ変わるということを国民の皆さんに具体的に知っていただくということにつながるのではないかということで、まずこの点について整理させていただいて発表させていただくことにいたしました。
 一つ目には、補正予算の編成を初閣議で指示いたします。
 二つ目には、新型コロナ対策の司令塔を設置いたします。
 三つ目には、既に概算要求などが出ております2022年度予算編成の見直しを指示いたします。
 四つ目に、日本学術会議人事で任命拒否されている6名の方がいらっしゃいます。この6名を初閣議で直ちに任命いたします。
 5番目に、スリランカ人ウィシュマさん死亡案件における監視カメラ映像と関係資料の公開を決定いたします。
 6番目に、いわゆる「赤木ファイル」関連文書の開示を決定します。
 7番目に、森友・加計・「桜」問題真相解明チームを政府に設置いたします。
 以上の少なくとも7点を、政権がかわれば間違いなく新しい政権として直ちに決定できるということを皆さんにお約束させていただきたいと思っております。もちろん初閣議でこの7点だけを決めるわけではございませんが、現時点、国民の皆さんの関心も高い、そして明確にお約束ができる7点を選ばせていただきました。
 一個ずつ若干の補足をさせていただきますが、既に新型コロナウイルス感染症の感染防止と事業・生活支援のため緊急かつ当面の手当として新しい持続化給付金など少なくとも30兆円規模の補正予算、それについての概要を用意するように政調会長と江田経済政策調査会長に指示しているところでございます。まとまりましたら改めてこれも発表することになると思いますが、そこでの方針に基づいて財務大臣及び各省に指示を出すことを決定いたします。
 2点目でありますが、官邸に総理直轄で官房長官をトップとする新たな司令塔、仮称「新型コロナウイルス対応調整室」を設け、そのもとで権限と役割を整理するとともに、専門家チームも見直し強化いたします。政権公約でお示しさせていただくことになる、従来からも申し上げている仮称「危機管理・防災局」、役所をつくるということには一定の時間がかかります。まずは直ちに動き出さなければなりませんので、この「対応調整室」を中心とした司令塔でまず目の前の危機に対応した上で、感染状況が落ち着いてきたところでこれを「危機管理・防災局」に発展させたいと考えております。
 予算編成ですが、既に概算要求などが出ております。選挙そして特別国会の時期が11月以降と想定されます。そこから来年度予算の編成をゼロから見直すというのは大変困難がありますが、しかし、今進んでいる国民生活に寄り添っていない時代錯誤の予算編成は抜本的に見直さざるを得ません。したがいまして、財務省及び各省に対して概算要求を抜本的に見直すことを決定し指示したいと思っております。
 ウィシュマさん死亡案件の映像と関係資料については、もう説明するまでもないと思います。この間、国会として、野党として政府に求めてまいりました。残念ながら編集されたビデオの一部が遺族に示されただけであります。ご遺族の方にまず全面的にごらんいただいた上で、ご遺族の立場から大変悲惨な部分があるのではないかと残念ながら予想されておりますので、ご遺族のお許しがいただける部分については全面的に公開したいと思っております。
 「赤木ファイル」については、まさに真っ黒けの、のり弁当状態での公開でございます。ほぼ全面的に公開するということで、これについての真相究明の第一歩が明確になると思っております。
 最後(森友・加計・「桜」問題真相解明)は、説明の必要はないと思います。政府としてチームをつくって、改めてきちっと調査を行う。当然のことながら我々の考える公文書管理と情報公開の基準に基づいて対応させていただきます。
 今後発表する政権公約に掲げる各政策・法案・予算措置等も、初閣議以降、順次もちろん実施してまいります。
 なお、立憲民主党としての目玉政策となると予想されているような項目が入っていないではないかというご指摘があろうかと思いますが、これは初閣議で調整なく指示・決定が明確にできることについてお示しさせていただいています。例えば我々は選択的夫婦別姓を目玉の公約の一つとして掲げるつもりでおりますが、これについては例えば普通にやりますと、基本法の改正ですので、法制審議会の審議を経て、法務省のプロセスを経て政府として決定するというプロセスになります。そうしたプロセスを飛ばしていいものかどうか。あるいは、場合によっては閣法ではなくて議法でやることを考えてもいいのではないかと。こうしたことは政権獲得段階で、その時点で任命される法務大臣とも、あるいは各党とも調整をしながら決めていくということになりますので、この初閣議で何らかの決定をするのではなく、そうした調整を速やかに開始するということになりますので、そうしたものについては入っていない。つまり、国会・予算等の具体的な中身を伴うことについては今回あえて入れていない。我々、私も幹事長も官房長官・副長官として閣議や政府のプロセスを既に経験して十分承知しておりますので、その中で、初閣議で明確に決定できることをピックアップさせていただきました。  私のほうからは以上です。


■質疑

○「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」について

【読売新聞・田村記者】
 2番目の「新型コロナウイルス対応調整室」に関して伺いたい。内閣府や厚労省にまたがる権限を官邸に一元化するという狙いだと思うが、新型コロナ対策の権限を官邸に一元化する意義や、この組織の詳細をもう少し教えていただきたいのと、代表は常々、危機管理庁の創設というお話をされていたと思うが、その危機管理庁という考えは今どうなったのか、その点も伺いたい。

【代表】
 私自身の経験からも、危機管理は、それぞれ日常業務を担っている各省がフル回転しないと担えない。したがって、医療に関連することはやはり厚生労働省がフル回転するわけで、別にその外側に大臣をつくったりしても、結局、屋上屋を重ねることに過ぎないということは、この1年間、ワクチンなどで明確にもう結果が出ていると思っています。ただ、まさに危機管理は省庁にまたがります。実は具体的実務は各地方自治体にお願いをしていることがこのコロナ対策でも多い。少なくとも厚生労働省と総務省との間で明確な調整が必要になります。こうしたことを調整するもともとの役割があるのは内閣官房でありますし、東日本の経験からも、あるいは自然災害などに対する危機対応も、危機管理監は官房長官のもとにあって各省庁調整をして迅速に対応するということですので、これはやはり官邸に置くことが一番効果的である、効率的であると。
 そして、これまでも危機管理の司令塔をつくっていこうということを、最近時々申し上げていますが、10年前、官房長官を離れるときからずっと検討してまいりましたが、やはりこの1年半の状況を見て、いわゆる各役所と横並びの庁ではなく官邸の中に。今、官邸に内閣人事局というのがいい悪いは別として省庁またがって官邸が調整するという役割を担っています。これと似たような形で、官邸で調整するというのが実務に一番適していると思っています。

【読売新聞・田村記者】
 きょう発表された内容を含め、代表は最近「zeroコロナ」戦略という言葉はあまり使われないが、この言葉は封印されたのか。あまり最近使っていない理由も含めて、今この言葉はどうされているのかお聞きしたい。

【代表】
 国際的には「ZeroCOVID」戦略ということで、国際的には通用している言葉だとは思っておりますが、どういう表現をすれば一番国民の皆さんにわかりやすいのかということを日々考えながら発言をしております。

【読売新聞・田村記者】
 その中で、最近はあまり使っていらっしゃらないということか。

【代表】
 逆に、例えばZoomでのネットを通じての説明の場とか、具体的なことを、中身を説明できますので、全体にこう表紙をつける、看板をつけるということよりも、むしろ中身をお伝えしていくことが今重要だと思っています。

【NHK・佐久間記者】
 確認だが、きょう発表されたこと、これは後々発表される公約に盛り込まれていくのかどうか、この関係性。それと、このタイミングで発表された狙いを伺いたい。

【代表】
 このこと自体が、立憲民主党として政権をとったら実現するという、いわゆる政権公約であると。それと一体を成すものであるとお受けとめいただいて結構でございます。
 このタイミングになりましたのは、実は少し前から検討をしておりました。そして、たぶんいろいろなものを、我々の政権をとった場合のお約束について発表していくに当たっては、まずこれをやるということを時系列的な意味で申し上げるのが一番わかりやすいかなと思ったので、順次発表していく最初にやろうと思っていたので、今そういうタイミングになったということです。

【NHK・佐久間記者】
 初閣議ということで、政権交代が実現したらという前提の話だと思うが、実現には現状かなりの議席数をひっくり返していく必要もあると思う。今度の衆議院選挙に向けて、これを実現するための決意のほどを端的に伺いたい。

【代表】
 なかなか二大政治勢力によって政権を競い合うという構造が2010年代にはつくれなかった。そういう意味では国民の皆さんには大変申しわけなかったと思っていますが、この4年間で明確に自民党か立憲民主党かということを国民の皆さんに選択していただける状況はつくれたと思っておりますし、それ以外の政党の皆さんにもいろいろな意味で連携協力を進めていくということでこの間もご尽力をいただいてきて、まさに二者択一をしていただける状況をつくれたと思っています。
 今の国民生活の疲弊。コロナに対する対応ぶり。そしてこの間、この約10年の間、国民が分断されてきた。政府の味方なのか敵なのかというような形で国民すら分断されてきた。こういう状況は一刻も早くとめなければならない。そのためには政権をかえるしかない。政権をかえるのが、私の今、課されている責任だと強く感じております。必ずそれを実現したいと思っています。

【NHK・佐久間記者】
 今回の中身を見ると、補正予算であったり、コロナ対策の部署であったり、現状政府の対応についてどのような点が問題であるという意識のもと今回のものを発表されているのか伺いたい。

【代表】
 一つは、初閣議で明確にできることを並べているということと、それから、やはり今、国民の皆さんのご関心の高い、急いで結論を出さなければならないことをピックアップさせていただいたという意味です。

【NHK・佐久間記者】
 国会召集、きょうまた改めて安住氏が求めたが、現時点で与党から色よい返事はない。今後、召集に向けて与党にどう働きかけていくのか。代表の考え方を伺いたい。

【代表】
 繰り返し申し上げておりますが、憲法に基づいて、国会の召集要求に対しては国会を召集しなければならないと、政府は義務を負っている。その憲法上の義務を果たさなくていいはずがありません。
 ましてや、今、自宅に放置されている感染者の方、十分な医療を受けられずに自宅で亡くなられている感染者の方、倒産の危機にある飲食店にとどまらずさまざまな業界の皆さんがいらっしゃいます。こうした皆さんの状況を把握して、そして今、迅速にやらなければならないことは何なのか。国会でしっかりと議論をする必要がありますし、我々は例えば持続化給付金であれ、あるいは困窮の状態にある皆さんに対する給付金であれ、国会に法案を出していますので、そうしたものを審議していただきたいし、そして財源の裏づけが足りなくなる予備費の積み上げということも具体的に提案しています。
 今の国民生活を守るために、そして憲法上の義務を守るために、政府・与党は開かなければ、それはもうまさに国民に目を向けていないということだと強く指摘しておきたいと思っています。

【フリーランス・横田記者】
 確認だが、「zeroコロナ」戦略という名前は使わなくても、実質的な中身、台湾、ニュージーランド、オーストラリアの政策を参考にするという中身は変わっていないという理解でいいのかということと、もう一点は、森・加計・「桜」問題真相解明チームということだが、これは安倍・菅政権時代の金権腐敗事件、例えば河井案里買収事件も対象に含まれると考えていいのかどうか伺いたい。

【代表】
 まず1点目ですが、繰り返し申し上げておりますとおり、水際対策の徹底。広範に検査を行うことで症状の自覚のない感染者の早期発見と隔離保護。そして、補償はセット。これを従来から申し上げてきている。このことについては全く変わりはありませんし、これは少なくとも現時点でもニュージーランドや台湾では成功している方針だと思っております。
 後者についてですが、もちろん新政権のもとでさまざまな問題をやっていきますが、河井事件については行政の問題ではありませんので、閣議決定するのは行政の中の問題についての調査を政府として行う、枝野政権として行うということでありますので、森友・加計・「桜」についての真相究明。あえて申し上げれば、例えばオリンピック・パラリンピックの金銭の使い方などについては、その後、やはりどういう形で全貌を明らかにしていくのかということは今後の検討課題だとは思っています。

【フリーランス・横田記者】
 岸田さんが言うウィズコロナ戦略とは明らかに違うという理解でよろしいか。

【代表】
 コロナが市中で感染を広げている状況を放置するとウィズコロナというのは認めざるを得ない、それでは結局感染のリバウンドの繰り返しをとめることはできないというのは、もう既にこの1年半で明確な決着がついていると私は思っています。そういう失敗を続けてきたやり方はしません。

【フリーランス・宮崎記者】
 予算に関して、12年前は政権交代後、その年度の予算を減額補正したり中止したりというようなこともあり、やや混乱があったかと思う。それでも当初予算は12月28日には決まったが、子ども手当の所得制限という政治案件があったので、かなり当初予算の決定まで混乱したようなことになった。今回、この30兆円の補正というのは、増額の補正だけであって、今動いている予算を減額したりストップしたり、そういったものはない、霞が関の人たちは今ついている予算がストップする心配はしなくていいということになるか。

【代表】
 もちろん時間的余裕があればいろいろな検討をした上でやるべきなのかもしれませんが、何しろ本来は今やっておくべきものが政権獲得後直ちに行わなければならない補正予算ということになると思っていますので、とにかく迅速さが求められる。したがいまして、何か既存予算の減額等について精査をしている時間はないので、それはやむを得ないことだと。したがって新たな積み増しだと思っています。

【共同通信・小野塚記者】
 全体の政権公約の関係で確認だが、「zeroコロナ」という表現について、政策の中身は変わらないとしても、今後、政権公約の中で「zeroコロナ」という文言は使われるのか。

【代表】
 まさに番(記者)の方はご承知のとおり、この1年間、去年の9月15日以降、本会議、国会や、あるいは党大会などで申し上げてきたことは全て、政権をとったら目指す公約だという中身であります。今我々が進めている作業はその編集作業であって、その編集作業の中でどういう表現をしたら一番有権者に伝わるのかというのは、まさに今検討しているところであります。

【朝日新聞・吉川記者】
 先ほど、このタイミングでの発表の理由があったが、今回自民党の総裁選が始まることを意識されているのかと、自民党との違いをどのぐらい差別化していくかというところも必要になってくるかと思うが、そのあたりの考えを伺いたい。

【代表】
 まず一つは、これの準備を始めたのは、すみません、菅総理が出ないとおっしゃったのは3日でしたか、そんな短期間で精査はできません。もっと前から、いずれにしても9月に入れば順次選挙に向けて改めて公約を整理してわかりやすく訴えていこうと準備をしてきた、それが今に至っているということでありますので、たまたまであります。
 後者については、そもそも初閣議で直ちに決定する事項を最初に申し上げたのは、政権がかわれば政治は変わるんだと、誰がやるかで政治は変わるんだということを国民の皆さんに知っていただきたい。したがって、間違いなくもう一日ですぐにこれは変わるんですよということをお伝えしたいというのが、まさに今の政権では、それまでにやっていただければ結構なことでありますが、まさに違いとして際立つことに結果的になっていると思っています。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 自民党政権が瓦解する、その中でいよいよという感じで、これもいいアイデアだと思うが、やはり野党の首班は枝野さんなのだから、初閣議で立憲はこういうメンツで、過去に閣僚経験者も副大臣もいるわけだから、このメンツで行くんだというようなぐらいのことを示していただかないと。与党は「オールスター歌合戦」みたいなことになってハイジャックしているわけだが、野党には準備がしてあるわけだから、政権交代となればこのメンツで世の中を変えてやると、やはり人の顔が見えるようなメッセージを出していただけないか。

【代表】
 一つのご意見として承っておきます。