新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会が10日午前、国会内で開かれました。立憲民主・無所属からは、小川淳也政調会長が出席し、新型コロナウイルス対策等に関する要望事項を提出し協議を求めました。

 協議会終了後に記者団からの取材に応じた小川政調会長は、重傷者数や死者数が増えている状況にあるため、場合によっては緊急事態宣言の発出を含めた人流抑制策を検討する必要があることを申し入れたことを明かしました。

 その他にも(1)高齢者等のワクチン接種は、今月中にも打ち終えるスピード感が必要である(2)5歳〜11歳児へのワクチン接種の努力義務化は見送るべき(3)みなし陽性のような運用を回避するために検査体制を充実させる(4)立憲民主党提出の感染症法改正案を含めて、感染症法改正のあり方について与野党協議を行う(5)自宅療養者へのケアや入院体制の充実ーー等について申し入れたことを説明しました。

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 また小川政調会長は協議会について、「ぜひ次回も2週間後をめどに開催をお願いし、できる限り定例化をしていきたいと思っている。同時に少々だがせっかく与野党が膝詰めで話し合う機会ですから、少々でも合意とか、取り扱いが定まったとか、何らかの成果を生む場にしようと提案した」と述べ、「木原官房副長官からも非公式の場ではあるが『そういったことも大事、重要ですね』という答えがありました」と明かしました。

 小川政調会長は、「科学的な根拠がしっかりないと、雰囲気だけで政策の変更はできない」と強調し、ワクチン接種者がどの程度重症化を避けられているのか、逆に非接種者がどの程度リスクにさらされているのか等の精緻な分析がないと政策変更に説得力がないことを会議で指摘したとも述べました。


■要望事項(案)

【今回協議を求める件】

1.第6波の1日の死者数が第5波を上回っている状況に鑑み、国民の命を守ることを最優先に、緊急事態宣言の発出も含め、人流抑制等感染拡大を防ぐ対策を速やかに講ずること。また、その際には、事業や生活への経済的支援を速やかに行うこと。

2.岸田首相は「一日100万回接種」の目標を立てたが、達成時期が曖昧で、高齢者接種の完了期限等もはっきりしない。現下の感染拡大状況に鑑み、ワクチン接種について、「一日100万回接種」体制の早期に確立し、高齢者や基礎疾患のある人などコロナ感染の高リスク者(特に高齢者施設入所者)への3回目接種を2月中に完了させること。

3.子どもを守るために、まずは周囲の成人(子どもに関わる業務従事者等)へのワクチン接種を促進すること。5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種はワクチン接種については、接種のメリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を十分説明するとともに、本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応を図ることができるようにすること。また、5歳~11歳の基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談すること。

4.各地で、濃厚接触者が検査を受けることができないこと、「みなし陽性」や「自主療養」といった運用をせざるを得ない状況が生じていることついて、検査体制等を充実し最悪の事態を想定したにもかかわらずなぜこのような事態になったのか速やかに検証し、今後の対策に生かすこと。

5.感染症法等を改正し、都道府県を越えた患者の受け入れや医療従事者の派遣のための体制等を法的に整備すること。立憲民主党が提出した「オミクロン・感染症対策支援法案」(通称)を踏まえ、感染症法等改正について、速やかに与野党協議を行うこと。

6.第5波の反省に立ち、自宅死を出さないために、自宅療養者へのケアを充実するとともに、入院が必要な患者がすぐに入院できる体制を整備すること。また、今後の重症者数の急増を想定し、病床確保など、先手の対策を打つこと。

【継続的に協議を求める件】

(検査の拡充)
1.濃厚接触者、医師が必要と判断する者、エッセンシャルワーカー、検査を希望する者が迅速確実に検査を受けることができるよう、十分な検査キットを確保するなど検査体制を拡充すること。

2.感染急拡大地域でもすみやかに無料検査が受けられるように、無料検査所を大幅に増やすこと。

3.地域において外来医療のひっ迫が想定される場合には、「症状が軽く重症化リスクが低いと考えられる方について、自らが検査した結果を、行政が設置し医師を配置する健康フォローアップセンターに連絡し、医療機関の受診を待つことなく健康観察を受けること」を可能とするという方針について、最悪の事態を想定していたにもかかわらず、なぜこのような事態になってしまったのかを速やかに検証し、今後の対策に生かすこと。

4.感染拡大が起こっても感染経路を確実に追うことができるよう、PCR検査、全ゲノム解析を充実させること。

5.出入国管理を徹底し、全ての入国者をホテルで10日間隔離し1日目、6日目、9日目にPCR検査を実施すること。

(医療提供体制の充実)
6.法的整備までの間は、首相をトップとする病床確保等本部を官邸に設置し、国と都道府県の協議の下、都道府県を越えて患者を受け入れる体制や医療関係者を融通し合う体制、在宅診療をフォローアップし保健所が対応できない自宅療養者等をケアする体制を確立すること。

7.第5波の反省に立ち、自宅死を出さないために、自宅療養者へのケアを充実するとともに、入院が必要な患者がすぐに入院できる体制を整備すること。ついては、オミクロン株についての重症化予想率を策定、公表するとともに、今後の重症者数の急増を想定し、病床確保など、先手の対策を打つこと。

8.患者が自宅療養する場合には、在宅で持続的な酸素投与ができる体制を整備するとともに、感染防護品を確実に供給すること。

9.経口薬「モルヌピラビル」を全国に迅速に十分な量を届けること。また、登録された 医療機関や薬局に対して、感染者の急増に対応するために希望量を配備すること。

(濃厚接触者の待機期間)
10.新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者の待機期間について、社会機能の維持の観点から科学的知見を踏まえ短縮を検討し、速やかに結論を得ること。

(事業者支援、生活者支援)
11.「新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた低所得者に対する特別給付金の支給に関する法律案」(コロナ困窮労働者給付金法案)について、与野党協議を行うこと。

12.政府が個人申請方式の導入を決めた小学校休業等対応助成金について、既に取得した休暇に対しても個人申請方式で支給すること。

13.雇用調整助成金の特例措置の縮減を撤回すること。また、企業規模にかかわらず、労働者を解雇せず休業させた事業主に対する雇用調整助成金の助成率を10/10とすること。

14.事業復活支援金は、オミクロン株の拡大が想定されていない昨年12月時点で予算化されたものであることから、長期にわたる事業者への不安に備え、予見性を高めて事業継続が行われるよう、事業復活支援金について、対象期間や給付上限額を拡充すること。

15.活動の縮小や停止を余儀なくされている文化芸術関係者や関連業種従事者への支援について、支援対象を拡大し、予算を大幅増額すること。

16.移動の自粛により、公共交通機関の経営が極めて厳しい状況にあることに鑑み、需要回復に至るまでの支援策を講ずること。

17.コロナ後の観光立国再構築を見据え、GoToトラベルの一時停止等により窮地に陥っている観光関連産業の雇用・事業継続のため、支援策を講じること。

(学校関係)
18.集団で行われる入学試験や資格試験が、安全かつ円滑に、また受験生に不公平が生じないよう行われるよう万全を期すこと。

19.学校現場において必要十分な教員や指導員などの人材の確保を行うとともに、必要な備品の確保、施設・設備の改修支援を行い、学びの機会を保障すること。

20.飲食店の時短営業などに伴い、保護者の収入やアルバイト収入等が減少している学生等への支援を行うこと。

(自殺対策)
21.全国の自治体等と連携し、自殺対策(生きることの包括的支援)に万全を期すこと。

(ワクチン)
22.ワクチン3回目の追加接種の前倒しの加速のため、ワクチンの確実・円滑な調達・配送に加えて、供給スケジュールを前もってしっかりと示すとともに、医師や看護師ら打ち手の確保や接種体制の整備に万全の支援を行うこと。

23.オミクロン対応ワクチンの確保に万全を期すこと。国産ワクチンの早期開発に向け、さらに支援を強化すること。

24.ワクチン供給が限られている中では、医療従事者・施設系介護職員だけでなく、訪問系の介護職員、学校教職員、保育園職員、学童保育関係者、妊婦、在宅の透析患者や血友病患者、中和抗体値が下がっている方等を大規模接種会場における優先接種の対象にすることを検討すること。

25.交差接種を含むワクチンの有効性及び安全性、副反応情報など、具体的情報を正確、迅速に伝えるなど、ワクチンに関するリスク・コミュニケーションを一層強化すること

(政府与野党連絡協議会・政府組織)
26.政府与野党連絡協議会を原則毎週開催すること。

27.政府に専任の広報官を設置すること。

以上


新型コロナウィルス対策等に関する要望事項(案).pdf