2024年1月26日から6月23日まで開会した第213回通常国会では、政府が提出した閣法・条約72本のうち、立憲民主党は60本に賛成し、閣法・条約への賛成率は83.33%となりました。
また、立憲民主党会派が提出した議員立法(立憲民主党が提出会派の議員立法数+委員長提案の議員立法数)は25本(衆議院23本、参議院2本)となりました。
【立憲民主党が提出した議員立法】
●被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案
●就労支援給付制度の導入に関する法律案
●旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(委員長提案)
●令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案(委員長提案)
●令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律案(委員長提案)
●訪問介護事業者に対する緊急の支援に関する法律案
●介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案
●有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法の一部を改正する法律案
●外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案
●食品衛生法の一部を改正する法律案
●政治資金規正法等の一部を改正する法律案(通称:政治資金透明化法案)
●政治資金パーティーの開催禁止に関する法律案
●公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案(委員長提案)
●ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(委員長提案)
●障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(委員長提案)
●風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(悪質ホスト被害防止法案)
●水俣病問題の解決に向けて講ずべき措置に関する法律案
●農業用植物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等に関する法律案(公的新品種育成促進法案)
●地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する法律案(ローカルフード法案)
●不払養育費立替・取立制度の導入に関する法律案
●手話言語法案
●子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(委員長提案)
●子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(日銀保有ETF活用法案)
●令和六年能登半島地震災害により被害を受けた建物の除却の円滑化に関する法律案(公費解体促進法案)
●性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の一部を改正する法律案
【立憲民主党が提出した修正案】
閣法への修正案を8本提出(衆議院7本、参議院1本)しました。
可決された修正案3本(1,2,3=衆議院)は以下の通りです。
1,重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に対する修正案
2,民法等の一部を改正する法律案に対する修正案
3,出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
※2,は委員会で修正案を除く原案反対、本会議において賛成
※3,は委員会で修正案を除く原案反対、本会議において反対
【反対した閣法・条約についての反対理由】
●金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案
(反対理由)
本法案は、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の下に策定された「資産運用立国実現プラン」に基づくものであった。しかし、その実は、規制緩和等により、投資運用業者の参入促進などを図るもので、一般国民・家計の視点は置き去りにされていた。この法案の行き着く先は、投資運用業者あるいは投資家間の競争促進による「株主資本主義」への先祖返りに他ならず、「公益資本主義」の実現を求める我が党の立場と相容れない。
●事業性融資の推進等に関する法律案
(反対理由)
本法案は、無形資産を含む事業全体を担保とする「企業価値担保権」の創設を主たる内容とするものであった。しかし、新たな担保物権を創設する特別法でありながら、法制審議会の答申を経ていないという前代未聞の法案であり、また、その具体的内容も政省令等に委ねられている部分が多く、物権法定主義の趣旨に反しているなど、立法上看過し難い問題を抱えていた。その政策的な内容についても、経営者保証によらない、事業性に着目した融資の推進という目的には賛同できるが、この「企業価値担保権」が実行された場合、雇用が切り売りされる懸念があることなどを踏まえれば、手段としての合理性には相当な疑問が残った。
●所得税法等の一部を改正する法律案
(反対理由)
本法案には、岸田首相肝煎りの定額減税が盛り込まれたが、制度が極めて煩雑なために、企業や自治体の現場に多大な負担を強いることになるなど、明らかに合理性を欠いたものであった。その他にも、効果が判然としないにもかかわらず漫然と拡充される賃上げ促進税制、賦課金などの国民負担を財源に10年間で2兆円規模の大企業減税を実施する戦略分野国内生産促進税制、防衛増税の実施時期決定の再度先送りなど、様々な課題が山積していた。
●地方税法等の一部を改正する法律案
(反対理由)
(1)基幹税である住民税を利用した定額減税は歳入の自治に逆行する、(2)法人事業税の外形標準課税の見直しが不十分である、(3)賃上げ促進税制の有効性に疑問が残る、④地方への抜本的な税源移譲が進んでいないなどの理由で反対した。
●地方自治法の一部を改正する法律案
(反対理由)
(1)「想定していない事態」をあえて想定してまでの立法事実がないこと、(2)2000年の地方分権改革の成果を無にし、「上下・主従」の時代へ逆行させ、憲法の保障する地方自治の本旨を損ないかねないこと、(3)補充的指示権の要件や範囲も不明確で、時の内閣の恣意的な判断で乱用が懸念されることなど、地方自治の根幹に関わる重大な問題を有しており、最低限の歯止めとして求めた、自治体との事前協議・調整の義務化、国会の事前関与と事後検証などの修正を与党が受け入れなかったことから反対した。
●出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案
●出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案
(反対理由)
国際機関等から「現代の奴隷制」とも指摘されてきた外国人技能実習制度をめぐり、政府は入管法・技能実習適正化法改正案を提出したが、育成就労制度に衣替えするにすぎず、全く不十分な内容であった。立憲民主党は政府案への対案として「外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(外国人労働者安心就労法案)」を衆議院に提出し、外国人労働者に選ばれる日本となるため、悪質民間ブローカーの排除などを提案した。永住権取消の際の配慮を明記した附則修正で合意したため、法案の修正案には賛成したが、修正を除く原案、および修正後の法案に反対した。
●食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案
(反対理由)
法案審議の中で、これまでの農政の失敗に対する検証が不十分であること、基本理念や基本的施策の書きぶりが曖昧であることなど、様々な問題点が浮上したことから、わが党は、食料自給率の向上、多様な農業者の役割、有機農業の促進等を明記すること等を内容とする修正を求めたが、政府与党はこれに応じず、規定済み、対応不可などとして、ゼロ回答だったため、政府提出の原案に反対することとした。
●食料供給困難事態対策法案
(反対理由)
農業者に対して必要以上に強権的な仕組みを強いるものであり、刑事罰は不当に重すぎるため、刑事罰(20万円以下の罰金)を行政罰(20万円以下の過料)に修正すること等を求めたが、政府与党はこれに応じなかったため、政府提出の原案に反対した。
●特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案
(反対理由)
装備品の調達コストが縮減する可能性は一定理解でき、長期の安定契約は国内の防衛産業の維持に資するという意見もあった。しかし、本法案は、時限法であった長期契約法を恒久化するもので、後年度負担額の増加による予算の硬直化、政府が恒久化の根拠とする縮減効果の説明が不十分、など恒久化の必要性が認められなかった。
●日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定
(反対理由)
安全保障分野の共同訓練の実施、人道支援、PKO、災害派遣などを通じ、ドイツとの関係を促進する意義はある。また、質疑を通して、外務省はドイツとは存立危機事態における協力について具体的に協議していないと答弁、防衛省からは存立危機事態の認定に関わる、「わが国と密接に関係ある他国」とは現実的には相当限定されるとの答弁があった。しかし、条文解釈上は「存立危機事態」等を含むと政府が答弁したことを問題視した。