立憲民主党ジェンダー平等推進本部は6月4日、議員会館において「すべての人が、生きやすく、生きがいのあるまちへ~ジェンダーギャップの解消~」をテーマに、兵庫県豊岡市のくらし創造部長・谷岡慎一さんをお招きしての講演会を開催しました。豊岡市は2021年度からの10年間を計画期間とする「豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略」を策定し、目指す姿を「固定的な性別役割分担を前提とした仕組みや慣習が見直され、お互いを尊重し支え合いながら、いきいきと暮らしている」と定め、職場、家庭、地域、学校等を含めたまち全体のジェンダーギャップ(社会的・文化的に作られた男女格差)の解消に向けた取組みを進めています。

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 谷岡さんは、進学や就職で豊岡市を出た若者が20代になって帰ってくる(入ってくる)「若者回復率」(2010年~2015年)が男性52.2%に対し女性26.7%で、男性は2人にひとり帰ってきているのに対し、女性が4人に1人しかいないこと、その背景として、同市のジェンダーギャップの実態(平均収入の格差、女性の非正規率の高さなど)を挙げました。そして、まず職場のジェンダーギャップ解消を進めるために2019年1月にワークイノベーション戦略を策定し、経営者の認識向上と意識改革、人事担当者、管理職・従業員の意識改革や、女性従業員のキャリア形成支援のための各種セミナーやワークショップに取り組んだことを説明しました。そして、これらの取組みに参加した会社の中から、社長自ら育児休業を取得したり独自の育児目的休暇制度「ペアレント休暇」を創設した会社、夜の残業を減らしたり、女性の管理職を登用したりしている会社などが出てきたことを紹介しました。また、豊岡市の女性育休取得率に占める男性育休取得率の割合は2023年度で36%(出典:ハローワーク豊岡「雇用保険育児休業給付取扱状況」)(2021年度:全国の割合は16%)で、まだまだ女性の取得件数には遠く及ばないものの、変化が現れていると述べました。

 谷岡さんはまた、ジェンダーギャップの背景には、性別役割分担意識とそれに基づいた慣行があり、ジェンダーギャップ解消のメリットなどが理解されておらず、自分ごとになっていないという課題があることから、2021年策定の「豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略」を踏まえた地域コミュニティ向けのジェンダーギャップ解消の取り組み、幼稚園教諭・保育士対象の研修会、小中学校の教職員向けの研修会、女子中高生向けのプログラミング体験キャンプの実施などに取り組んできたことも説明しました。

 最後に谷岡さんは、「ジェンダーギャップの解消は、未来に向けた取り組み。過去の社会のありようや、人々の生き方を否定するものではなく、産業構造や人口構成の急激な変化に対応しながら、すべての人にとって生きやすい社会、持続可能な地域社会をつくるための取組だ」と述べ、お話しを締めくくりました。このあと、谷岡さんと出席議員やオンライン参加の自治体議員との間で活発な質疑、意見交換が行われました。

 会合には西村智奈美・ジェンダー平等推進本部長を始め、衆議院から中川正春、篠原孝、金子恵美、岡本あき子、早稲田ゆき、櫻井周、吉田はるみの各議員が、参議院から辻元清美、打越さく良、岸真紀子、宮口治子、横沢高徳、古賀千景の各議員が参加しました。