立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2022Policies 2022

財務金融・税制

財務金融

財政の健全化

  • 確かな税財源の確保や、行政需要の変化に応じた予算配分、適切な執行、成長力強化による税収増など、歳出・歳入両面の改革を行い、中長期的に財政の健全化を目指します。

金融政策の正常化に向けて

  • 「異次元の金融緩和」については、物価安定目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とした政府・日本銀行の共同声明(アコード)を見直すなど、市場との対話を通じながら見直しを進め、企業の持続的成長と国民の安定的な資産形成に資する金融環境の構築を目指します。

金融・資本機能の強化、技術革新

  • 成長資金が必要な主体に対して、円滑、効率的かつ効果的に資金が供給されるよう、民間・公的金融の役割を踏まえつつ、調達手段の多様化などわが国の金融・資本市場の機能向上を図ります。
  • 地域経済の発展に欠くことのできない地方銀行・信用金庫等について、経営の安定化・収益源の多様化を図ります。
  • 金融機関のノウハウを生かし、リバース・モーゲージ、人材の融通、仮想地域通貨の発行など、生活者・事業者・地域の将来不安を解消するためのビジネスモデル構築に向けた支援を行います。
  • フィンテックと呼ばれる金融・IT融合の動きの進展に対し、利用者保護や不正の防止等の観点も踏まえつつ、決済サービスのイノベーション、規制の見直し等を進めます。フィンテックの発展に伴いデジタル格差、情報格差が生じないための環境整備を行います。
  • ESG投資などサステナブルファイナンスを推進するための税制優遇策などを検討します。
  • 金融のデジタル化の推進や手口の巧妙化を踏まえ、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策の実効性を向上させます。
  • 暗号資産の健全な発展を目指したルールを整備します。
  • 決済手段の多様化と低コスト化を図るため、世界に後れを取ることがないように、日銀が行っている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験や研究などの検討を促進します。

予算・財政の透明化

  • 特別会計を含む予算・決算の透明性を高め、税金の使い道を確認して行政の無駄を排除します。
  • 行政のICT化を推進し、スリム化とコスト削減を図るとともに、予算の執行状況をリアルタイムで把握できる環境に変え、税金の使い道の透明化と検索一覧性を向上させます。
  • 民間企業と同様の会計原則、複式簿記等による国の財務諸表を作成し、インターネットで公開することを義務付けます。地方自治体等も含めた財務諸表の連結範囲について検討し、行政活動の実態に即した財務情報の提供を目指します。
  • 財政規律が緩む中で、中立的・長期的な観点から財政政策を調査・評価するために、独立財政機関「経済財政等将来推計委員会」を国会の下に設置します。
  • 国が計上した巨額の「コロナ予算」の使途や効果について検証を実施します。
  • 肥大化する政府基金について、情報公開を進め、透明性を確保するとともに、費用対効果や成果の検証を行います。

税制

所得税

  • 所得税については、分厚い中間層を復活させるため、勤労意欲の減退や人材の海外流出等の懸念に十分配慮した上での最高税率引き上げ、所得控除から税額控除へ、さらに税額控除から「給付付き税額控除」への転換、基礎控除の拡充をはじめとした諸控除の見直し等により、所得再分配機能を強化し、高所得者に有利な税体系を中低所得者の底上げにつながるものに改めます。
  • 共働き世帯の増加など社会の構造変化に対応し、ジェンダー平等社会に資する、性やライフスタイルに中立的な税制の実現に取り組みます。共働き世帯、ひとり親家庭の増加など世帯の態様の変化や家計の実質的な負担に配慮しつつ、配偶者控除も含め、人的控除全体の見直しを行います。
  • 基礎控除を増額することを基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を給付する「給付付き税額控除」の導入を進め、所得再分配機能を強化します。
  • 給与所得者と比較して個人事業主・フリーランスの働き手が税制上実質的に不利な取り扱いを受けることが多いことに鑑み、青色申告特別控除の拡充などにより税格差を是正します。
  • 職業の違いによる税制の不公平を是正する観点から、給与所得控除を見直しつつ、どうしてもかかる経費を実額控除の対象とすることを検討します。
  • 退職所得控除については、働き方の多様化、雇用の流動化等が進む現状を踏まえ、「公平」かつ「中立」な税制を目指す観点から改革を行います。また、企業年金制度の普及の状況、退職一時金の原資が企業経営上の内部資金に流用される可能性にも留意しつつ、退職給与引当金損金算入制度の復活を検討します。
  • ベビーシッターの利用料について税の控除や補助金で支援することを検討します。
  • 労働者の福利厚生を向上させるとともに、食事手当等の非課税限度額の拡充を行います。
  • 前年より大幅に所得が減少した人々を支援する観点等から、住民税の現年課税化が理想ですが、現年課税化は税務上困難であるため、前年の所得税を返すことで所得税負担を平準化する制度の導入を検討します。前年より大幅に所得が減少した場合、前年と当年の所得を合算して割り算をし、所得税を計算し直して還付等の対応を検討します。
  • 金融所得課税については、当面は分離課税のまま累進税率を導入し、中長期的には総合課税化します。同時に、資産形成を支援するためNISA(少額投資非課税制度)を拡充します。
  • 多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、個人投資家を金融市場に呼び込む観点等から、損益通算の対象範囲の拡大を進めます。
  • クラウドファンディングや暗号資産への課税のあり方について、さらに検討を進めます。
  • 新しい公共の担い手を支える税制をさらに拡充させます。NPO等に対する支援税制(市民公益税制)について改善を図り、大学等に対する寄付金税制を充実させるとともに、現行の寄付控除の拡充やNPO法人をはじめとする中間支援組織などへの新たな税制上の措置を創設します。また、不動産、有価証券等資産による寄付が促進されるよう新たな控除の創設等、税制上の措置を講じます。
  • 認定NPOや公益法人等に対する寄付税制を維持・拡充します。認定NPO等への寄付とふるさと納税との競合状態を是正するとともに、遺贈・相続財産寄付やフードバンクへの食品寄付といった現物寄付の推進等、寄付文化の醸成につながる税制面での支援措置について改善を図ります。あわせて、特定寄付信託(プランドギビング)において、現金だけでなく土地・建物も信託対象となるよう制度のあり方を検討します。
  • 性暴力や児童虐待などによる被害者を支援するため、公認心理師・臨床心理士等からカウンセリングを受ける場合も、その費用を所得控除の対象にします。
  • 現役世代の社会保障への不安解消、高齢者の生活の安定に寄与するため、所得税法上および地方税法上の生命保険・介護保険・個人年金の各保険料控除の最高限度額を引き上げるとともに、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を引き上げます。
  • 貸与型奨学金の返還額を所得控除の対象にするとともに、返還免除制度を拡充します。(再掲)

法人税

  • 法人税については、租特透明化法に基づき精査を行い、必要な租税特別措置を残した上で、法人の収益に応じて応分の負担を求める税制に改革します。
  • 中小・小規模企業への法人税減税を検討します。
  • 企業の内部留保が賃上げに回るように税制等による措置を強化します。いわゆる「賃上げ税制」については、少なくとも、基本給の引き上げを実現するため、適用要件判定などで使用される「給与等支給総額」から、時間外・休日労働による支給額を除外します。
  • 正社員を新たに雇用した中小企業の社会保険料事業主負担軽減等により企業活動を支援し、従業員の手取り増につなげます。賃金や教育訓練費だけではなく、退職金の増減や余裕資金の多寡に応じたボーナスの増減等について法人税に差をつける「人への投資促進税制」の導入を検討します。
  • 働き方改革やジェンダー平等に配慮した上で、リモートワークの導入に必要となる設備等への投資や、リモートワークの活用を通じて介護や育児などに対し柔軟性の高い働き方を導入した企業などに対して、税制上の優遇措置を講じます。

消費税

  • 消費税の逆進性対策については、真に効果的・効率的な低所得者対策となっておらず実務上の負担や混乱などの問題も多い軽減税率制度は廃止し、「給付付き税額控除」の導入により行います。
  • 2023年10月導入予定の適格請求書等保存方式(インボイス制度)については、免税事業者が取引過程から排除されたり、不当な値下げ圧力を受けたり、廃業を迫られたりしかねないといった懸念や、インボイスの発行・保存等にかかるコストが大きな負担になるといった問題があることから、廃止します。
  • 適正な価格転嫁が行われるよう対策に万全を期します。
  • 総額表示の義務化を見直し、外税表示の選択肢を恒久化します。
  • 医療機関の控除対象外消費税問題を解消するため、診療報酬への補填を維持した上で、新たな税制上の措置を早期に講じます。

相続税・贈与税

  • 相続税については、格差是正の観点から税率構造の見直しを行います。
  • 教育資金贈与特例措置等の効果も見極めつつ、格差是正と資産の世代間移転を促進する観点から、相続税・贈与税のあり方について見直しを進めます。
  • 雇用を支え地域経済の中核となっている中小企業や、地域の医療を支える医療機関等の事業承継の円滑化を推進するため、10年限定の特別措置となっている事業承継税制の恒久化および免除措置の創設を行います。
  • 相続税の小規模宅地評価にかかる特例措置の拡充を検討します。

個別間接税

  • 電子たばこに対するたばこ税の課税については、健康被害の実験結果も見ながら、適正な税率を検討します。
  • 酒税については、類似する酒類間の税負担の公平性の観点から引き続き見直しを行います。
  • 自動車重量税の「当分の間税率」廃止、自動車重量税の国分の本則税率の地方税化により、ユーザー負担の軽減と地方財源の確保を両立させます。また、自動車関連諸税の簡素化を図ります。
  • 高齢者の交通事故対策として、ブレーキとアクセルの踏み間違い等を防ぐ安全装置を装着した車については、減税を深掘りします。
  • 自動車の任意保険についても所得税の控除の対象とし、ユーザーの負担軽減を図ることを検討します。
  • 揮発油税のトリガー条項については、復興財源に配慮し、必要な期間にわたり一時的に凍結を解除して、原油価格高騰時には確実に発動できるようにします。発動により減収する地方税(地方揮発油税、軽油引取税)については国が補填します。

納税環境

  • 納税者の利便性の向上を図る観点等から、複雑な手続きの改善等に資する「納税者権利憲章」の制定を含め、納税環境整備を進めます。
  • 確定申告制度の周知に努めるとともに、確定申告がしやすい環境を整えるため、現在は手続きが煩雑かつ初期費用がかかるe-Taxの改善を図ります。
  • e-Tax及びeLTAXの利便性を高めるとともに、その活用等を通じ、電子化対象手続きを拡充するなどして、税務手続きのデジタル化・簡素化を進めます。

国際課税

  • 巨大IT企業等のいわゆる国際プラットフォーム企業が、ビジネスを展開し利益を上げている国でほとんど納税していない実態に対し、法人税の最低税率に関する国際合意が実現したことも踏まえ、国際課税の枠組みをさらに強化します。
  • いわゆる国際連帯税について検討を行います。

租税特別措置

  • 租税特別措置等については、「租特透明化法」をさらに強化するとともに、効果が不明なもの、役割を終えたもの等は廃止します。

中小企業・農林水産業への支援

  • 地域雇用の基盤である中小企業、農林水産業を支え、育てるため、取り巻く環境に配慮しつつ、支援・育成する税制について幅広い角度から検討し、強化・改善します。
  • 税制、立地支援、規制などの見直しにより、産業空洞化対策や中小企業を含めて企業が活動しやすい環境を整備します。
  • 中小企業を支援する税制の強化・改善に取り組みます。特に、外形標準課税の中小企業への適用拡大はしません。
  • 産業・企業の振興や誘致等の観点から、中小企業の機械等一部の償却資産にかかる特例措置の拡大を検討します。
  • 自動運転や次世代自動車などの最先端技術での競争力を高めていくため、研究開発促進税制を拡充します。
  • 製造業が対象となっている減税(設備投資減税・研究開発税制・固定資産税減免等)や補助金制度について、非製造業に適用拡大することを検討します。
  • 中小企業の交際費課税の特例について、拡充を検討します。
  • 都市農地は「なくてはならないもの」であることに鑑み、実情を踏まえた支援措置の創設を図ります。生産緑地指定の下限面積を引き下げ、対象農地を貸借した場合の相続税納税猶予制度の継続適用の拡大や、農業経営の安定的な継続を可能とする固定資産税の減免等の税制改正を検討します。(再掲)

住宅対策

  • 住宅ローン減税をはじめとする負担軽減措置については、良質かつ環境に配慮した住宅の取得に重点化した制度に改めます。
  • 空き家の発生を抑制するための税制上の特例措置について、今後の空き家数の推移を見つつ、拡充を検討します。
  • 良質な中古住宅を提供し、家計を支援していく観点から、空き家のまま利用されていない住宅を市場に流通させるべきです。売り手は負のストックを清算し新たな購買力となり、若者を中心とする買い手は良質な中古物件をより廉価で取得が可能とするために、不動産売却損の他の所得との損益通算の復活に向け、適用回数、所得等の制限も念頭に置きつつ再検討を行います。
  • 良質な中古物件供給のため、耐震基準適合証明書の取得について税財政面での支援を検討します。

災害復旧・復興支援税制

  • 近年、大きな災害が多発していることを踏まえ、雑損控除から災害による損失控除を独立させ、「災害損失控除」を創設します。
  • 被災地支援のボランティア活動を支援する観点から、交通費等の自己負担分について税額控除を行う「ボランティア活動支援税制」の創設を検討します。
  • 被災地では人の移動や物資の運搬に車両が不可欠ですが、被災により車両を再取得する必要に迫られた場合、中古車であっても、車齢13年超から自動車税・自動車重量税が重課される現状があるため、被災者の車両の再取得については税負担の減免を図ります。
  • 遺族の生活資金を確保するため、災害時の死亡保険金の非課税枠を拡充します。
  • 巨大自然災害への保険金支払いに耐え得る異常危険準備金残高の早期回復等のため、積立率・洗替保証率の引き上げ等の措置を講じます。

脱炭素社会の実現に向けて

  • 断熱をはじめとする省エネや再エネの普及を進めるとともに、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成できるよう、脱炭素の技術革新・技術開発を税制面からも強力に支援し、税制全体の見直しの中で炭素税のあり方を検討します。
  • 環境に配慮した農業生産・経営を支える多様な設備・機械装置等の導入及びソーラーシェアリング等を促進するための税制上の措置を創設します。(再掲)
  • わが国の基幹産業である自動車産業の脱炭素化を推進し、国際競争力の維持・強化を図るべく、電動自動車の普及や脱炭素化に資する自動車開発等を支援する税制上の措置を講じます。

印紙税

  • 印紙税については、電子契約には課税されないことも踏まえ、税制抜本改革法7条に基づき、建設工事の請負に関する契約書、不動産の譲渡に関する契約書、金銭または有価証券の受取書(百貨店や飲食店等での領収書を含む)について負担の軽減を検討します。