立憲の政策がまるごとわかる政策集Policies 2022

新型コロナウイルス感染症対策

基本的な考え方

  • 政府が進めてきた「withコロナ」(社会経済と感染対策の両立)では、これまでの間、感染抑制と感染拡大の波が何度となく繰り返され、社会経済活動の制約が長期にわたり、国民生活や経済に深刻な影響を与えています。司令塔機能の不在、政治の都合で科学をないがしろにした対策、薬・ワクチンの開発力の不足、公的病院比率の低さなど医療提供体制の脆弱さ、格差拡大を招いた政府のコロナ支援策からの転換を図ります。これまでのコロナ対策を検証し、科学と事実に基づくコロナ対策(ビヨンド・コロナ)を推進します。
  • 感染防止対策と医療支援、そして生活者・事業者支援を集中的に展開し、感染拡大の波を十分に収束させ、その状態を継続させることで感染を封じ込め、通常に近い生活・経済活動を取り戻し、国民生活と経済を力強く再生させます。
  • コロナ対策について国が司令塔機能を発揮できるよう法改正します。
  • 強力な司令塔である「危機管理・防災局」を設置することで、戦略的で効果的な対策を進めます。(再掲)
  • 政府のこれまでのコロナ対策を専門的見地から客観的に検証するための「コロナ対策調査委員会」を国会に設置します。

医療等支援

  • 新型コロナウイルスのまん延時であっても、重症化リスクが高い人などが確実に医療にアクセスできるよう、「コロナかかりつけ医」制度を導入します。重症化リスクが高い人などが「コロナかかりつけ医」を登録できるようにします。「コロナかかりつけ医」は、平時においては、登録した人にコロナ等の健康相談、症状がある場合の検査を行い、登録した人が患者、濃厚接触者になった場合は、健康観察、医療提供、入院調整(症状悪化の場合)を行います。「コロナかかりつけ医」が属する医療機関に協力金等を支給します。制度導入にあたっては、患者による医療機関の自主的な選択(いわゆるフリーアクセス)を阻害しないよう配慮します。
  • 新型コロナウイルス感染症患者については、本来軽症であっても入院とすべきところ、医療ひっ迫地域においても、中等症以上の患者が入院して治療を受けられる体制を整備します。そのために、全国規模で広域的に医療人材を相互調整し、臨時の医療施設を設置します。また必要かつ十分な医療を受けられる体制を整備します。
  • あらゆる方策を講じても入院ができない場合には、酸素吸入器付きの入院待機ステーションや宿泊療養施設を確保するとともに、確実に訪問診療等を受けられる体制を作ります。在宅で持続的な酸素投与ができる体制を整備するとともに、感染防護品を確実に供給します。宿泊療養・自宅療養の食事等の環境を改善します。また、入院調整等に関する保健所と地域医療との連携および情報共有を強化し、自宅や宿泊施設で療養する患者の容体悪化に即応できる体制を整備します。
  • パルスオキシメーター、経口薬、検査キット等の物資の必要量を予測し、機動的に確保して適切に配分します。
  • 自宅療養者等に対する健康観察等を行った医療機関に協力金を支給します。
  • 医療提供体制確保のため、都道府県等が医療機関と協定を締結できるようにします。また、協定を締結した医療機関に対して協力金を前払いで包括的に支給します。
  • 患者等に対する医療を確実に行うため、都道府県知事が医療機関に対し、設備、人員の配置の変更等の要請・指示をできるようにします。その要請や指示に従った医療機関に協力金の支給を行います。
  • 政府対策本部長(内閣総理大臣)は、都道府県知事から政府に求めがあった場合に、他の都道府県の知事に対し、患者等の受け入れ、医療関係者の派遣、オンライン診療の実施のため必要な措置を取ることを要請することができるようにします。
  • 政府対策本部長(内閣総理大臣)が総合調整を行うため必要があると認めるときに、都道府県知事等に対し、新型コロナウイルス対策の実施に関して必要な情報の提供を求めることができるようにします。
  • 医療崩壊を食い止めるため、アカデミア・中核病院・総合病院の勤務医の待遇改善を行い、出産難民や救急車の不応需、医師の過重労働による医療過誤等をなくすこと等を実現するための予算を充実させます。
  • 医療システムを守るため、クラスターが発生したことによる減収への支援を含め、収入の減った全ての医療機関への経済的支援を実施します。また、感染者を受け入れている医療機関に対しては、減収分と負担増を全額事前包括払いにして、煩雑な手続きなく速やかに支給します。
  • 介護事業者に包括的な支援金を支給します。
  • 診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の上乗せ特例を再実施します。
  • コロナ禍の下で地域医療を支えている医療機関の仕入れにかかった消費税を還付する等の新たな税制上の措置を早期に講じます。
  • コロナ禍の下で医療を支えている医療従事者に対する待遇改善を行います。
  • 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府対策本部が設置された場合で、国民の生命および健康を保護するため緊急の必要があると認めるときに、新型インフルエンザ等(新型コロナウイルス感染症を含む)の治療のため、一定の要件の下、使用価値を有すると認められる医薬品を指定し、医療保険の保険給付、副作用救済給付の対象とする制度を導入します。指定は、企業からの申請に基づいて行いますが、申請を待ついとまがないときは、厚生労働大臣が申請によらずに行うことができるようにします。また、当該医薬品を確保するため、買い取りや企業への増産の要請等を行います。(再掲)
  • 国内でワクチン・治療薬を開発できるよう、支援体制を強化します。
  • 感染症のための医薬品の研究開発を推進するため、医薬品の基礎的な研究開発から臨床試験に至る過程における取り組みに対する支援、開発された医薬品の買い取り等を実施するために必要な財政上の措置等を講じます。(再掲)
  • 新型コロナウイルスの後遺症の研究調査、診療する医療機関を拡充します。
  • 後遺症とみられる症状に悩む人の相談体制を整備します。最新の知見をもとに、診察やリハビリの方法などを示した手引きを改訂するとともに、地域の医療機関で迅速に治療を受けられるようにします。

感染防止対策の徹底(検査の徹底、出入国管理の徹底など)

  • 科学的知見とエビデンスに基づく対策を講じるため、全ゲノム解析を官民挙げて推進し、変異株の出現の早期検知と感染経路把握と政策の実効性の検証に活用します。
  • 新型コロナウイルス感染症対策については、適時適切で平易な情報公開・情報提供を行います。
  • 政府対策本部長が、まん延防止等重点措置の実施等に係る都道府県対策本部長の要請に応じない場合、その旨および理由を示さなければならないこととします。
  • 安価で迅速大量に検査できる機器の開発・導入が各地で進むよう、国が支援します。
  • 医療機関等の検査機器購入代金の全額を補助することにより、検査件数の拡大を図ります。
  • 唾液による定性抗原検査の生産を支援し、大量生産により手軽・安価に感染確認ができるようにします。
  • エッセンシャルワーカーの希望に応じて実施する検査について、国が費用を負担して円滑かつ確実に実施するための制度を構築します。その際には、自費で検査した後の精算も可能とします。さらに、感染拡大地域の住民に対するより積極的な検査の実施について検討します。
  • 濃厚接触者の濃厚接触者も行政検査の対象とします。
  • 自主的な検査を受けやすくするため、検査を無料化します。
  • 濃厚接触者等に対する措置(待機期間等)のあり方について不断に見直します。
  • 人手不足の保健所について、職員の増員や非正規職員の正規化などにより、早期かつ確実に感染ルートを把握できる体制を作ります。今後の新たな感染症のまん延に備え、恒常的に職員の適正配置を進めます。同時に著しく減少した保健所を大幅に増設します。(再掲)
  • 公衆衛生の視点から、コロナ禍で多発している不審死を含めてPCR検査、遺体解剖の体制を強化します。
  • コロナ自宅死の実態調査を行い、今後の対策に生かします。
  • 入国管理を徹底し、海外からのウイルスの持ち込みを防ぎます。
  • 新型コロナなどの病原体が国内に侵入する恐れがあると認められる外国人を上陸拒否の対象とするため、現在、法解釈で行われている上陸拒否を排し、明確な法的根拠に基づく入管法の改正を行います。

新型コロナ対応の法的支援・差別解消

  • 新型コロナウイルス感染症に関する各種支援策の申請手続きが、簡素で迅速なものとなっているかを検証し、必要に応じて改善を求めるとともに、専門士業の活用を推進し、支援が迅速かつ適正に行き渡るようにします。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響によってさまざまな法的課題を抱えた国民等が適時適切に弁護士による法的支援を受けることができるように、総合法律支援法に基づく民事法律扶助に東日本大震災時に準じた特例を設ける法案を成立させ、無料法律相談、弁護士報酬・実費等の立替金の償還猶予等の援助を行います。
  • 新型コロナウイルス感染症に関連する差別解消の推進に取り組みます。改正後の新型インフル特措法には、相談体制の整備や知識の普及啓発が定められました。それに加えて、差別禁止を法律上の義務とし、国や自治体の責務、事業者が講ずべき措置などを明らかにする「新型コロナウイルス差別解消推進法案」の制定を目指します。
  • 性風俗産業従事者に対する差別を是正するため、法制度上の不備を見直し、権利を守ります。
  • 後遺症への理解・啓発を行うとともに、後遺症の影響で仕事を失ったり休業を余儀なくされたりする人が相次いでいることから、職場への復帰や再就職を支援します。

暮らしと事業を守る

  • 最近の新型コロナウイルス感染症拡大や、巨大災害などをはじめとする事態に際しては、財政による機動的な対応を躊躇なく行います。
  • コロナ禍や物価高騰により、国民生活や国内産業に甚大な痛みが生じていることを踏まえ、税率5%への時限的な消費税減税を実施します。これにより生じる地方自治体の減収については国が補填します。(再掲)
  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で減収した「ワーキングプア」の人、低年金者に臨時の給付金(5万円)を支給します。
  • ひとり親の職業訓練を促進するため、給付金(高等職業訓練促進給付金等事業)を増額します。
  • 職業訓練受講給付金受給者に対し、臨時職業訓練受講給付金(職業訓練受講給付金と同額の10万円程度)を支給します。
  • 失業手当の給付額の支給割合を20%引き上げるとともに、失業手当の所定給付日数を一律90日間延長します。
  • 住居確保給付金を再度延長するとともに、給付額を拡充し住居を確保できるようにします。
  • 緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付上限と返済免除措置の対象を拡大します。
  • 生活保護については、生活保護の扶養確認を一時的に中止する、財産要件の緩和等により受給を確保して命を守ります。
  • 新型コロナウイルス感染症等の影響等に鑑み、生活保護の実施機関に対し、要保護者・扶養義務者の資産等の状況調査その他の調査を一層簡素化・合理化するとともに、積極的に保護を行う努力義務を課します。また、国に対し、要保護者が生活保護の開始の申請をするまでの間でも、当面の生活に必要な短期の資金の融通その他の必要な支援を行う義務を課します。
  • 業務に起因して新型コロナウイルスに感染した労働者が労災補償を受けることができるよう、事業主や労働者に周知徹底します。また、新型コロナウイルス感染症の後遺症も含めた長期の病状についても労災補償の充実を図ります。
  • 大学生等の今年度分の授業料の半額を免除するとともに、アルバイト収入が半減した学生に給付金を支給し、学生を支援します。
  • 今年度中に返還の期限が到来する学資貸与金等の返還が困難な者に対し、返還を免除するなど、奨学金返済中の社会人に対する返済猶予・免除を行います。
  • 少人数学級の実施等のための教員の加配、オンライン教育等へ対応するための学習支援員の増員を行います。
  • 学校での感染防止対策のための学校裁量金の給付や、夏休み中の授業実施に対応するための特別教室、学校調理場への空調設備の導入を進めます。
  • 学校行事やスポーツ大会のあり方を検討します。
  • オンライン教育のための環境整備を推進するとともに、内容についても国が一定のガイドラインを示すなど、教育効果の確保を行います。
  • コロナ禍により多額の借り入れを余儀なくされた中小企業の事業再生と雇用維持を図るため、過剰債務について減免の法的整備等や資本性資金への転換促進を、金融機関の理解・協力を得て行います。
  • 事業復活支援金について、支給上限額を大幅に引き上げるとともに、2022年度においても必要に応じて給付金が支給されるようにします。
  • 新型コロナウイルスに対する新しい補助金制度や要件を緩和した家賃支援給付金制度の創設を図ります。
  • 休業協力金、一時支援金支給の要件を緩和するとともに、事業規模に応じた支援を実施します。
  • 迅速な事業支援のため、一定の要件を満たせば、融資の全額または一部の返済が免除される制度(日本型PPP=Paycheck Protection Program)を創設します。
  • 減収分の補填など、公共交通機関への支援を行います。
  • 窮地にある観光産業で働く労働者の雇用と観光産業の継続性の両面を担保するため、観光事業者およびその主な取引先事業者等に対して観光産業持続化給付金を支給するとともに、観光関連事業者向けのさらなる支援制度の創設を検討します。
  • 宿泊施設が感染対策等を講じる際の十分な支援措置を実施します。あわせて、宿泊療養を受け入れる宿泊施設の風評被害対策を講じます。
  • 休業手当の支払を促進するため、労働者を解雇せず休業させた事業主に対する「雇用調整助成金」の助成率を、政令で定める日まで10/10とします。また、雇用調整助成金の特例措置を延長します。
  • 休業手当が支給されない大企業の労働者について、対象者を制限せず、休業支援金・給付金の対象とします。また、休業支援金・給付金を延長します。
  • 小学校休業等対応助成金・支援金を継続します。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大に便乗した特殊詐欺、悪質商法による消費者被害や、旅行や結婚式場などのキャンセルに伴う解約料に関するトラブルも多発していることから、新型コロナウイルス感染症に関連する消費者被害等の防止に向けた対策について検討します。
  • 暮らし方、働き方が一変していることから、2拠点居住施策や地方移住への支援や、リモートワークの場所として宿泊施設を活用する際の助成など、各種支援策を多角的に検討し、柔軟に措置・対応します。
  • コロナで苦境に立たされた文化芸術活動を、その基盤から支え、活動の維持とポストコロナに向けた新たな展開を見据えた文化芸術活動を振興します。
  • コロナ禍で活動が制限されたライブハウスや劇場などへの支援策を強化します。
  • コロナ禍は、特定産品の供給を外国に依存するリスクを明確にしました。特に食料供給は、国民の生命にも直結する重大な問題であり、あらためて食料安全保障の重要性が明確になりました。一方で、さまざまな農林漁業生産物が国内での需要を失い、多くの在庫が残ったことで、価格低下や新たな生産を阻害する要因にもなっています。農業での他作物転換や、次期作の取り組みへの支援、国内需給緩和時に国外市場向けの転換を可能とする代替新市場開拓など、コロナ禍であっても安心して農林漁業経営が行われるよう取り組みます。(再掲)

災害避難対策と感染防止対策の両立

  • 新型コロナウイルスが収束しない中、災害避難は「3密回避」との両立が至上命題です。避難態勢の運営状況、衛生管理等を迅速に把握できる環境を整え、感染防止に資する避難行動等の住民周知、より多くの避難先の確保、避難所内での感染防止対策を徹底します。

コロナ禍のもとでのきめ細やかな女性支援

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大による社会的・経済的影響は、女性の自殺者の急増に見られるように、女性により深刻なダメージを及ぼしています。その影響を把握し、きめ細やかな支援を実施します。
  • ひとり親等ダメージを受けやすい層に配慮したきめ細やかな現金給付を実施します。
  • 医療や看護、介護に従事する女性たちの感染拡大防止や、給与を含む待遇の悪化防止を図ります。
  • 妊娠中の医療従事者等が希望すれば休めるようにするなど、適切な配慮を促します。
  • 妊婦と胎児の安全を守るため、官民問わず、パート、派遣、有期契約など多様な働き方をしている人も含めて、テレワークや時差通勤、休暇制度の活用等、事業主の安全配慮義務を徹底させ、妊娠を理由に解雇されることがないよう、取り組みを強化します。
  • 不妊治療の保険適用の年齢上限について、感染拡大が収束するまでの延長の検討等、不妊治療を希望する者が治療を受けられるよう環境を整えます。
  • 妊娠・出産・育児の準備に関する個別ケアの実施や電話相談、オンライン相談等の支援を促します。
  • 広域的に分娩施設の確保に取り組みます。

ワクチン対策

ワクチン接種の基本的な態度

  • 新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種を希望する人が、一刻も早く、安心・安全、円滑・確実に接種を受けられるよう環境整備と体制確立に全力で取り組みます。
  • ワクチンそのものの正確な情報の迅速・的確な公表・提供、ワクチンの確実な確保・供給、担い手の確保、差別や偏見などの社会的課題への対策などを講じつつ、現場の自治体や医療機関に丁寧に寄り添いながら地域の実情に応じた接種体制を確立します。
  • ワクチン接種体制を確実に整備するため、地方負担が生じないよう、ワクチン接種にかかる全ての経費を確実に全額国の負担とします。接種単価の増額など各種財政支援策について、希望する全ての国民への接種が完了するまで確実に継続するようにします。国としてのあらゆる資源を総動員した支援策を強化します。

リスクコミュニケーションの強化

  • リスクコミュニケーションを強化し、政府はリスクとベネフィットを包み隠さず、最新情報が更新される度に迅速に説明するとともに、リスクとベネフィットを比較衡量して接種を判断できるよう、わかりやすく科学的根拠に基づいて説明するようにします。
  • 最新のエビデンスに基づいて、ワクチン接種の意義、ワクチンの有効性・安全性、副反応に関する正確で具体的な情報を迅速かつ分かりやすく情報発信します。
  • 新型コロナウイルスワクチンの副反応を専門に検討する会議体を設け、その開催頻度を高め反応の分析を一層深められるようにします。接種後の副反応等の相談窓口を身近な自治体ごとに置き、医療機関との速やかな連携を図ります。
  • 新型コロナワクチンの接種による健康被害が生じた場合の予防接種法に基づく救済制度をより分かりやすく周知します。健康被害救済制度において、市町村が医療機関に対しカルテ等を求められるようにするなど、申請者の負担を軽減するとともに、制度を改善・充実させます。
  • コロナワクチンの接種後、長引く体調不良などの後遺症について、訴えている人数や症状について十分に把握できていないことから、国による実態調査を行い、知見を深めるようにします。孤立しがちな後遺症を訴える人に寄り添い、ワクチン後遺症の啓発や理解を進めるとともに、専門の相談窓口の開設、専門的な医療機関の公表など必要な医療にアクセスしやすい環境づくりなど、さまざまな社会的支援を行います。

ワクチン接種の計画的・円滑な実施

  • 政府にはワクチンを確保・供給し、接種をスムーズに進める義務があります。「ワクチン接種円滑化法」を制定し、ワクチン接種の計画的かつ円滑な実施を推進します。ワクチン接種の開始時期・終了時期、一日当たり接種回数、ワクチン接種従事者の確保などを盛り込んだ工程表を策定します。
  • 高齢者・障がい者施設などでのクラスター発生が相次いでいることから、希望する60歳未満の医療従事者や介護従事者などのエッセンシャルワーカーを4回目接種の対象とします。
  • 子どもの重症化リスクは大人より低く、現時点でリスクとベネフィットを勘案すると、5~11歳の健康な子どもへの接種を急ぐべきではありません。まずは同居家族や保育・幼稚園関係者、学校関係者など、子どもの周囲の大人が感染対策を徹底し、大きな負担が子どもたちにかからないよう気を配るべきです。また、5~11歳の子どもへの接種については、重症化を防ぐことが期待される基礎疾患を抱える子どもや、免疫不全の家族と同居する子どもに限定して推奨するようにします。

ワクチンの国産化の推進

  • 将来のパンデミックから国民の生命と健康を守り、国際社会の「人間の安全保障」に貢献するためにも、国産ワクチンの研究・開発や製造体制強化を加速するとともに、安全性を確保するため、予算を拡充します。中核となる国立感染症研究所の予算・人員(特に研究者、ワクチン開発者、管理職)の配置を増やし機能強化を図るとともに、医薬・バイオに携わる事業者への支援を拡充します。

担い手の確保

  • 接種体制構築に必要な人員の確保など、自治体の現場が抱える課題の解決を促進します。各種団体への働きかけや潜在看護師の掘り起こしを、縦割りを打破し国が責任を持って行います。
  • 接種を実施する医師・看護師等が不足する事態に備えて、薬剤師等の医療関係の職種が接種を実施する場合の必要な研修内容の検討等を行います。

希望者を取り残さない

  • すべての接種希望者が取り残されることがないよう、相談窓口の充実、予約・案内、接種自体について、親身で丁寧かつユニバーサルな対応を図ります。
  • 地域の見守りや巡回接種などの支援を強化し、一人暮らしの高齢者やホームレスを取り残さないようにします。
  • ワクチン接種には、医師との良質なコミュニケーションが重要であり、普段から健康状態を把握している「かかりつけ医」や利便性の高い地域の診療所、さらには施設の嘱託医等、身近な医療機関での個別接種、巡回接種や訪問接種の体制を整備します。
  • 現地での接種を望む声が大きいことから、大使館の医務官による接種や現地の病院との提携による在外邦人の接種を求めていきます。
  • ワクチンの予約や接種方法について、自治体の創意工夫の事例をひろげます。
  • ワクチン接種会場までの高齢者の移動を支援するため、「ワクチンバス」や「ワクチンタクシー」の取り組みを進めます。
  • 接種当日や翌日を出勤扱いや有給休暇とするなど、「ワクチン休暇」の導入を推進し、国民が安心して接種できる環境整備を進めます。

システム

  • 「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」や「ワクチン接種記録システム(VRS)」について、ワクチン接種に遅滞・混乱が生じないよう、入力などの事務作業を極力省力化し、現場の負担軽減を図ります。自治体現場の意見を取り入れ、必要に応じてシステムの見直し・改修を行うとともに、サポート体制を強化し、セキュリティに万全を期します。

社会的課題

  • ワクチン接種が進む一方で、「ワクチン・ハラスメント」が問題になっています。接種や接種意思の有無による誹謗中傷や偏見、差別、いじめ、行動制限、職業上の制限などの不利益が起こらないよう十分な配慮を行い、ガイドラインの策定や周知・啓発、相談体制の整備に取り組みます。未接種者への差別を禁止する条例の制定を進めます。
  • 接種証明書を「GoToキャンペーン」参加、入院や介護施設への入所・通所などの条件にすることは認めないなど、必要な人が社会的・福祉的サービス等を受けられないなどといったことがないように配慮します。

今後の接種に向けて

  • 諸外国にも配慮しながら、今後必要とされるワクチンの確保・供給に万全を期します。体制整備についても先手先手で備えます。
  • 国家的なプロジェクトとなった今回の新型コロナウイルスワクチン接種の状況や課題を検証し、得られた教訓や経験を今後の接種に生かすようにします。今後追加接種を行う場合には、優先接種の対象者や進め方についても改めて議論し見直します。ワクチン接種の費用対効果、製薬会社とのワクチン契約の検証に取り組みます。
  • ワクチン接種を担う医療機関や自治体現場の疲弊は高まっています。ワクチン接種による負担増で疲弊している医療従事者や自治体職員などへの支援を強化します。中長期的な「バッファー」を確保するよう努力します。
  • ワクチンが有効期限切れとなり大量に廃棄されていることから、その実態を調査し、調査結果を公表します。
  • 新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束は全世界的な課題であり、国際社会の「人間の安全保障」に貢献するためにも、COVAXへの拠出拡大を含め、コロナ対策における国際社会の取り組みに貢献します。