立憲の政策がまるごとわかる政策集Policies 2022

厚生労働

共生社会

ハンセン病対策

  • ハンセン病患者・回復者への偏見・差別解消に取り組みます。「らい予防法」が廃止された現在でも、社会に残る偏見・差別から、親や兄弟姉妹と一緒に暮らすことができない、自由に故郷に帰ることができない、実名を名乗ることができない、亡くなっても故郷の墓に埋葬してもらえない等、困難を抱える患者・回復者をサポートします。
  • ハンセン病回復者の社会復帰の円滑化を進め、退所者・非入居者への医療・介護・相談等の体制整備と、継続的・安定的な経済支援を行います。
  • 国立ハンセン病療養所については、その入所者の良好かつ平穏な療養生活のため、医師、看護師、介護員、その他職員の確保に最大限努め、特に医師の確保に当たっては、地方自治体等関係機関の協力を得て欠員補充に努めます。
  • 「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」に基づき、国会と政府が悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病の元患者の家族がこれまでに被った精神的苦痛を慰謝するための補償金を支給します。
  • ハンセン病の患者であった者等及びその家族の名誉の回復を図るとともに、ハンセン病対策の歴史に関する正しい知識を普及啓発するため、資料館の充実と職員の待遇改善を図ります。

生活保護・生活困窮者支援

  • 健康で文化的な最低限度の生活を保障できる生活保護基準を検討し、必要な措置を講じます。
  • 生存権保障を強化する観点から、生活保護法のあり方を見直します。
  • 児童扶養手当は子ども1人当たり月額1万円を加算し、ふたり親低所得世帯にも月額1万円を支給します。
  • 生活保護が適正に運用され実施されるよう、体制整備、行政処分のチェック機能の強化と人材育成、権利擁護を強化します。
  • 親族による扶養は生活保護の要件ではないこと、生活必需品である自家用車の保有を認めることなどを運用面で周知徹底します。
  • 福祉事務所の実施体制について抜本的な見直しを行い、総合相談体制の強化と正しく法の解釈と運用がなされる環境を確保します。
  • 貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護受給資格の要件を分かり易く提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与するとともに、受給資格があるにもかかわらず給付を受けない事態が放置されないように対応します。
  • 就労インセンティブを損なわないようにするために、生活保護の収入認定や生活保護の各扶助を単独で支給することの是非等について検討します。
  • 2017年に行われた生活保護の基準の検証に用いられた水準均衡方式を見直して必要な措置を講じるとともに、その間、要保護者に不利な内容の保護基準を定めないようにします。
  • 生活困窮者自立支援制度で現在任意事業となっている就労支援や学習支援などについて、義務化を目指します。本制度とホームレス自立支援制度については、相互の役割分担のもとに円滑な事業の連携を進めます。
  • 経済的に困窮している人や社会的に孤立している人に対する生活支援を拡充するため、求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体のさまざまな相談機能の縦割りの解消、NPO等との連携により社会復帰、早期就労支援や住居確保、食料支援、医療支援、学習支援など、自立支援を充実させます。
  • 今後、単身高齢者世帯が増加していくことに鑑み、空き家等の活用を含めて検討し、要介護度にかかわらず、低所得の高齢者であれば入居できる支援付き住宅の整備を進めます。
  • 貧困による子どもの不登校、引きこもり、ひとり親家庭の生活困窮の状況、フリーターなどを含む子ども、若者、女性、非正規労働者等の生活実態などについて、貧困との関連から縦断調査を含め詳細な調査と分析を進めます。
  • 無料低額宿泊所に関わる問題を解決し、いわゆる「貧困ビジネス」などによる被害を防止します。

住まいの安心の確保

  • 賃貸住宅の家賃については、給付条件を整理した上で月1万円を補助します。(再掲)
  • 生活困窮者等の空き家への入居およびその後の生活支援に取り組んでいるNPOに対して、財政的支援を行います。NPOとの協同により、空き物件のオーナーが抱える不安やリスクを解消し、従来、入居を断られてきた生活困窮者等の住まいの安心を確保します。

引きこもり等対策

  • 若者が気軽に立ち寄れる安全な居場所を確保するため、若者の居場所「青少年センター」(仮称)の設置を進めます。
  • 家族が悩みを相談できるワンストップ窓口を作り、家族全体を支援します。精神保健福祉士や保育士などの専門職や子育て経験者、元教師など地域の人材を活用します。
  • 引きこもりの状態など、生活実態等についての縦断調査を含め総合的な調査と分析を進めます。
  • 不登校、引きこもり、摂食障害等、心の悩みや問題を抱える青少年への診療体制を整備します。
  • 福祉事務所、市町村保健センターなどと連携し、支援の手が伸びていない家庭に対し、積極的に働きかけるアウトリーチによる対策を進めます。

自殺対策等

  • 誰も自殺に追い込まれることのない社会を目指します。
  • 自殺対策基本法に基づき、国が都道府県・市町村の自殺対策計画づくりを支援し、計画に基づく事業への財政支援や事業の結果の検証を行うことで、国が自治体と連携して全国的な自殺対策を改善・進化させます。
  • 若年世代への「包括的な生きる支援」の強化や、働く人の尊厳と健康が守られる職場を増やすための枠組みづくり、「よりそいホットライン」の拡充など、「自殺総合対策大綱」に即した対策を実現するための予算等を確保して、引き続き自殺対策を推進します。
  • 国が指定した法人が中心的役割を担い、労働や福祉分野など広く関連施策と連動させた総合的・効果的な自殺対策の実施に必要な調査研究、その成果の活用等を行ったり、地域レベルでの自殺対策を担う地方公共団体の取り組みに対して支援します。
  • 自殺予防対策を強化します。精神医療の場での向精神薬への過度の依存を是正し、アウトリーチ支援を充実させます。また、厚生労働省、内閣府、文部科学省等の連携をさらに充実させます。
  • 小中高校での相談体制の強化と意見表明権を保障する仕組みとともに、学校外にも若者の居場所作りを進める等、子どもの自殺対策を進めます。

被爆者援護施策

  • 被爆者やその家族、それを支える人々の意見に真に向き合い、被爆者援護施策の一層の充実を図るとともに、原爆症認定の遅れに伴う援護措置の遅延など、懸案の諸課題の解決を図ることを検討します。訴訟によらない全面解決を図るため、原爆症認定制度の抜本的な見直しを行います。

戦没者遺族等に対する援護施策

  • 一日も早く、一柱でも多くの遺骨を遺族の元に返せるよう、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」に基づき、諸外国や他省庁、民間団体との協力や情報の収集を積極的に行って、遺骨収集に集中的に取り組みます。戦没者の遺骨が混入した土砂を埋め立てに使うことは認めません。
  • 戦争体験者が高齢化していることを考え、平和を守り、戦争被害が風化しないよう後世に伝えるために、被爆者のみならず、空襲被害者、沖縄戦体験者などの体験を伝承する伝承者の育成を行い、全国に派遣する事業を作ります。
  • 空襲等で負傷等の被害を受けた「特定戦災障害者等」に対して特別給付金を支給する法律の制定を検討します。

アスベスト被害者の救済

  • 「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」の不十分な点を踏まえ、すべてのアスベスト被害者の全面救済を図ります。
  • トンネルじん肺についても、訴訟を提起しなくても補償を受けることができる基金制度の創設等の解決策を作ります。

働き方

総論

  • 1990年代以降、雇用の非正規化、不安定化、低賃金化を招いてきた労働者保護ルールの緩和政策を抜本的に見直します。
  • 女性や若年層の正規雇用化、賃金上昇に向けて取り組みます。
  • 「労働基本法」(仮称)をつくり、働くことの価値と重要性を再確認するとともに、雇用については「無期、直接、フルタイム」という3要素を基本原則に位置付けて、雇用の本来あるべき姿を取り戻していきます。望めば正社員として働ける社会を目指します。
  • 未批准のILO中核条約(第111号差別撤廃)の早期批准を目指すとともに、ILOからの勧告等を尊重し、批准済みのILO条約の遵守徹底を図り、ディーセント・ワーク(ILOが提唱する「働きがいのある人間らしい仕事」という考え方)の実現に努力します。あわせて、強制労働や児童労働などによって生産された製品等の輸入・取引をしないようにする取り組みを推進します。
  • 誰もが安心して働き、安心して年齢と経験を重ねていけるよう、雇用形態に関係なく、会社等で働いていれば原則として社会保険の適用を受けられるようにします。
  • 社会に出る若者が自らの権利等を守る力を養えるよう、「ワークルール教育推進法」を制定します。その中で、社会に出てからの継続的な知識の習得や、使用者のワークルール教育についても行い、健全な労使関係の醸成にも寄与します。
  • 雇用や労働に関わる全ての政策について、「三者構成原則」を徹底し、政府、労働者代表、使用者代表が対等な立場で協議して決定し、お互いに尊重して実行することを徹底します。
  • 過半数労働組合が存在しない事業場では、従業員代表が対象労働者による民主的な手続きで選出され、代表制が確保されるよう、現行制度の徹底と監督の強化を図りつつ、労使団体と協議の上、「従業員代表制法案」(仮称)を検討します。
  • 政府が実現を目指している「解雇の金銭解決制度」の導入については、現状ではかえって経営者による解雇権の乱用を助長しかねないことから、認めません。不当な解雇が多発している現状に対して、紛争解決や救済制度の拡充による労働者保護の強化を図ります。
  • 地域や職務を限定する「限定正社員」の名を借りて、正社員を解雇しやすくしたり賃金引き下げなどを狙う見かけ正社員づくりなどの労働規制緩和は認めません。
  • 医師、看護師、保育士、介護職員の有料職業紹介を原則禁止し、例外的に認める場合も手数料に上限を設けます。
  • 雇用形態の多様化により、フリーランスやフリーシフト制、個人請負や一人親方、副業・兼業、ギグワーカーなど、同じ働く者でありながら、労働法令等による保護から除外されてしまう働き方(働かせ方)が拡大している中で、労働時間や賃金、安全衛生など労働者保護ルールの適用のあり方を検討し、働く者全ての命と健康と暮らしが守られる環境や法制度を整備します。
  • 毎月勤労統計調査の不正により、この調査をもとに算定する雇用保険、労災保険、船員保険、事業主向け助成金について、多くの人の給付が支払い不足となっていました。一人でも多くの方の被害が回復されるよう、あらゆる手段を尽くすことを政府に求めていきます。

長時間労働の是正

  • 一人一人のライフスタイルと希望に応じた働き方を選択できる「ワーク・ライフ・バランス社会」を実現します。
  • 法定労働時間である「1日8時間、週40時間」働けば、安心して普通の暮らしができる労働環境の整備を目指します。
  • 夜勤を含む深夜労働や連続長時間勤務などの問題に対応するため、健康への影響を含めた包括的な研究調査を実施し、具体的な規制対策を講じます。
  • すべての労働者が、生活上・健康上必要な休暇・休業(有給休暇、出産休暇・育児休業、病気休暇・介護休業など)を必要な時に取得できる環境を整備します。
  • 「人間らしい質の高い働き方を実現するための働き方改革」を実現し、過労死ゼロ社会の実現を目指します。過労死等防止対策推進法に基づいた施策を一層、着実に実行します。
  • 事業場外の労働や在宅勤務などでの労働時間の使用者による適正な把握と管理を徹底し、総実労働時間の削減を図るとともに、労働災害が発生した場合等の労働時間認定を容易にし、労災認定が迅速に行われるようにします。
  • 「ブラック企業ゼロ」を目指して、ブラック企業やブラックバイト対策を徹底します。
  • 長時間労働を抜本的に改善し、過労死や過重労働を断固根絶するために、残業時間を含む総実労働時間の上限規制の遵守徹底を図り、時間外労働の上限時間のさらなる規制を検討していきます。
  • 労働法令遵守の徹底や質の高い雇用の維持・確保、労働条件の向上や福利厚生の拡充に努める経営者を支援します。
  • 毎日の睡眠時間と生活時間を確保するため、勤務間インターバル(休息)規制を義務化(原則11時間以上)して、「過労死ゼロ」社会を実現します。
  • 裁量労働制については、制度の乱用・悪用による健康被害などが生じているとともに、長時間労働の温床となっていることから、なし崩しの適用拡大は認めません。健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け、それを上限規制の範囲内とすることを制度導入の要件とするといった規制強化によって制度の適正化を図ります。
  • 違法残業など法令違反に対する罰則を強化します。
  • 労働基準法の違反に当たる不払い残業(サービス残業)の実態の把握などを進め、すべての職場から不払い残業をなくしていきます。
  • 1週間に1日は必ず休日をとることを法定化し、違反への罰則を設けます。
  • 労働時間の把握・記録・保存・管理の徹底により、残業代の完全な支払いを確保するとともに、事業所の労働組合や労働者に対し前年度の月平均所定外労働時間の実績や前年度の有給休暇の平均取得日数を公開すること等により、労働時間の削減、有給休暇の取得率向上等に向けた労使の話し合いを促進し、総実労働時間の削減につなげます。
  • 個々の労働者ごとに労働時間管理簿を作成すること等によって労働時間の適正な把握と管理を徹底するとともに、本人等の要請で情報開示することを義務付けます。
  • 教職員の健康と安心を確保するため、産業医の確保を実現します。
  • 社会正義の確立を通じた恒久平和の実現というILOの基本理念に立ち、三者構成主義と国際労働基準、およびディーセント・ワークの国内外でのさらなる推進を目指します。
  • 企業および事業所ごとの働き方情報(3年離職率、残業時間、有休・育休・産休の取得率、過労死・労災死の有無など)の開示義務の対象の拡大を目指します。青少年雇用促進法による新卒求職者への企業情報開示についても、対象情報を拡充します。
  • 固定残業制(みなし残業)については、基本給と残業代(所定外賃金)の明示を法律で義務化します。
  • 医療や介護分野などでの夜勤・宿直・連続勤務問題や、労働時間規制の適用が除外されている業務等(管理・監督者、農業・漁業従事者、研究開発業務など)や時間外労働の法的上限規制の適用が5年間猶予された業務等(建設業、自動車運転手、医師など)については、規制の適用・強化に向けた見直しを図ります。また、深夜勤務が健康等に与える影響についての研究・調査を進めます。
  • 政府の「働き方改革関連一括法」では、法施行5年後に適用される自動車運転業務の時間外労働の上限が年960時間と長いため、一般則である年720時間とします。
  • 結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。
  • 生活と仕事とを両立するために必要な有給休暇や出産・育児休業など、各種休業・休暇制度を希望通り取得できるよう、法を整備し、企業文化改革を促します。ジェンダー平等社会実現のため、男性の育児休業取得を促進します。
  • 労働基準監督官や需給調整指導官等の増強を含む抜本的な労働法令遵守の徹底・強化策を実行するとともに、求人情報開示のさらなる適正化と違反企業等に対する罰則の強化を図ります。
  • 「働き方改革関連一括法」によって創設された高度プロフェッショナル制度は廃止します。

同一価値労働同一賃金

  • 女性の賃金水準は男性の水準の7割台にとどまり、賃金格差が大きく開いたままです。また、同じ価値の仕事でも、非正規雇用などを理由に賃金が低くなることが多く、不公平です。こうした処遇の改善を目指し、まずは立憲民主党が提出した「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律」(同一価値労働同一賃金関係)を制定します。法律には、合理的と認められない待遇の相違を禁止すること、事業主の説明義務の対象に合理的と認められない待遇の禁止等に反するものではないと判断した理由等を追加すること、待遇格差の是正は正規雇用の待遇を低下させるのではなく、非正規雇用の待遇の改善によって行われるようにすること等を盛り込み、現行の同一労働同一賃金の法制度の不備を改めます。
  • その上で、ILO第100号条約の遵守徹底を図るため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価方法の調査研究等を進め、同一事業主の下だけでなく、産業間・地域間・企業規模間においても同じ価値の仕事をすれば同等の賃金が支払われることを確保し、処遇格差の是正が図られるよう、「同一価値労働同一賃金(均等待遇)」の法定化を目指します。

最低賃金

  • 時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。

ハラスメント対策

  • 「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」(ILO第190号条約)の批准を目指します。
  • セクハラ、マタハラ、パワハラ、いじめなど職場でのあらゆる形態のハラスメントを禁止する法制の整備を目指し、防止対策の強化を図ります。すべての働く人を保護し、被害者を救済する制度を整えます。
  • フリーランス、就活中の学生などへのセクハラも含めた「セクハラ禁止法」を制定します。(再掲)
  • セクハラを行った社員などに対して処分を課す、被害者に対して支援情報を提供するなど、会社が社員などのセクハラに厳正対処することを義務付けます。(再掲)
  • 国、自治体は、セクハラ禁止の対象となる言動の具体的内容等を定めた指針を作成し、相談体制を整備、人材を育成します。(再掲)
  • 会社間のセクハラ・マタハラ対策を強化するため、事業主に対する義務を新設する法律を制定します。具体的には、①被害側の事業主は、加害側の事業主にセクハラを行わないよう求める、または厚労大臣に是正を図るよう求める、②加害側の事業主は、加害者(社員)に対し、セクハラを行わないようにするための必要な措置をとる(加害側企業の事業主は、被害側企業に対して不利益な取り扱いをしてはいけない)こととします。
  • 取引先などの他の会社の労働者からのパワハラ、下請け会社などの他の会社の労働者へのパワハラに対して、労働者の安全・健康を守る観点から必要な予防・保護のための措置を講ずることを事業者に義務付ける法律を制定します。
  • コールセンターなど消費者対応業務に関係する「カスハラ」に対応するようにします。

非正規雇用対策

  • 「無期の直接雇用」を雇用の基本原則として確立し、雇用に安定と安心を取り戻します。
  • 非正規雇用については、臨時的・一時的なものであるべきことを明確化し、入り口規制(雇い入れ要件)の導入と出口規制(更新期間や回数要件など)の改善を図るとともに、社会保険の適用や差別禁止の徹底により安心を確保します。
  • パートタイム労働者や有期契約労働者、派遣労働者などいわゆる非正規労働者の均等処遇を確保し、正規、非正規を問わず働く意欲を持つすべての人に対する能力開発の機会を確保するとともに、正規労働への転換を推進します。
  • 正規雇用の採用や増員、非正規雇用の正規雇用への転換、および社会保険の適用拡大など、雇用の質的・量的充実に取り組む中小企業経営者への支援策を強化します。
  • 非正規労働から正規労働への転換を積極的に進める企業に対する社会保険料の軽減措置など、支援措置の拡充を行います。
  • ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・自治体職員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。(再掲)
  • 労働者派遣法については、真に労働者にメリットがある制度となるよう、対象を真に専門性のある職種等に限定することも含め、抜本的な見直しを断行します。
  • 派遣労働者保護の観点から、マージン率の適正化に取り組みます。
  • 誰もが安心して働き、年齢と経験を重ねていけるよう、社会保険(被用者保険)の適用を拡大するとともに、中小零細企業の労使への支援策を講じます。
  • 有期契約労働者に対する育児・介護休業の適用要件をさらに拡大し、事業主・労働者双方への周知徹底その他積極的な取得促進策を講じます。
  • 正規労働者はもとより、非正規労働者の育児休業取得・復職が容易となるよう、復職支援を事業者支援とともに進めます。さらに企業が就業規則に非正規労働者でも育児休業が取れることを盛り込むように都道府県労働局からの働きかけを強化します。

フリーランス支援

  • 社会保険料負担逃れなどの目的で個人請負やフリーランス契約などを乱用・悪用する行為を規制するとともに、兼業・副業などについても労働法令による保護を確保します。
  • 個人請負やフリーランスがさらに幅広く労災保険の特別加入制度の対象となるよう検討します。
  • フリーランス、農山漁村や自営業の女性の産休・育休相当期間中の所得保障、社会保険料免除など経済的、社会的自立のために実態把握・調査研究を実施し、法整備を検討します。(再掲)

フランチャイズ問題

  • 名ばかり店長など雇用契約の乱用・悪用行為の規制を強化するとともに、フランチャイズなどを含め、労働時間や賃金、安全衛生など労働者保護ルールの適用のあり方を検討し、働く者すべての命と健康と暮らしが守られる環境を整備します。

労災ゼロ

  • 労災ゼロを目指し、労働安全衛生法等の見直しを行います。
  • 軽度外傷性脳損傷の労災認定が適正に行われるよう、診断方法の研究を踏まえ、認定要件の見直し等を行います。
  • 労働安全衛生法、安全衛生規則を改正し、建設現場での墜落死・転落死ゼロを目指します。

雇用保険

  • 雇用保険の国庫負担は、雇用政策に対する政府の責任を示すものであることから、失業等給付の国庫負担を従来の本則である4分の1に戻します。育児休業給付、職業訓練受講給付金の国庫負担についても従来の本則に戻します。
  • 育児休業給付を、雇用保険制度から独立させ、国の負担による新たな制度を創設します。これにより、これまで雇用保険に加入できなかった非正規雇用者やフリーランスも育児休業給付を受けられるようにします。(再掲)

雇用の創出・雇用の確保

  • 新規の正規労働者に係る社会保険料の事業主負担を軽減する「社会保険料・事業者負担軽減法」を制定して、企業活動を支えるとともに、従業員の手取り増と生活の充実へつなげます。(再掲)
  • 成長分野で新規雇用を増やし、希望する人が成長分野への新規就労や転職を実現できるよう、個人や企業の取り組みを支援します。経済政策の最大の目的が質の伴った雇用の維持・拡大であることを明確に位置付け、グリーン(環境・エネルギー分野)、ライフ(健康・医療・介護分野)などの成長分野での産業育成を進めます。
  • 自ら起業したり、農林漁業やものづくりなどの専門職への道を希望する若者を応援する制度を強化します。
  • 「職業訓練・訓練中の生活保障・マッチング」をパッケージ化した雇用の総合的セーフティネットを創設します。
  • 職業訓練や社会的セーフティネットなどを強化して、成長分野への移動を希望する人材の円滑な移動を支援します。科学者、芸術家、起業家など、クリエイティブ人材の育成と集積を進めます。イノベーションや人材開発に必要な海外からの高度人材の受け入れは、労使との協議に基づき計画的に認めていきます。
  • 雇用を守るため、雇用調整助成金を維持します。他方、「失業なき労働移動」を推進するための「労働移動支援助成金」については、成長産業への移動を希望する労働者への支援策に改めます。

就職氷河期世代への支援

  • 就職氷河期時代に学校を卒業し、不本意ながら非正規雇用で社会人としてのスタートを切り、その後も正規雇用への道が閉ざされている世代に各種の積極的労働市場施策により、正規雇用・無期転換の促進を図ります。
  • 「就職氷河期世代支援基本法」の制定を目指します。
  • 「就職氷河期世代支援プログラム」を拡充して延長します。

高齢者の雇用

  • 年を重ねても就労を希望するすべての国民が就労可能な環境を整備し、年金と雇用との接続を確保します。
  • 働き続けたいシニア世代が働き続けられるよう、高年齢者雇用安定法の徹底等により、定年の引き上げや継続雇用制度の導入に加え、高齢者の積極採用などを企業に促す取り組みを着実に実行します。再雇用後の待遇については、パートタイム・有期雇用労働法第8条の規定にのっとり、不合理な差別待遇とならないよう周知と指導を強化します。

女性の雇用

  • 女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)の実効性を高めるため、男女の賃金格差と女性労働者の非正規比率等について、企業等が把握し目標を設定することを義務付ける法改正を行います。
  • ジェンダー平等を実現するため、長時間労働の是正や均等待遇原則の確立など、女性が安心して働き続け、生活と仕事との両立が可能な環境を整えつつ、女性管理職比率の目標値の設定・公表を義務付ける等の具体的な施策を実行します。
  • 女性の採用や管理職・役員への女性の登用についての具体的な目標を設定するなど、実効性のある計画を策定します。
  • 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に際しては、「継続就業のための環境整備」にとどまらず、物理的な「職場環境の整備」も進めます。
  • 男女雇用機会均等法を「男女雇用平等法」とするとともに、「男女労働者の仕事と生活の調和を図る」ことを目指します。
  • 日本が未批准のILO第183号条約(改正母性保護条約)の批准を求め、雇用形態に関係なくすべての女性労働者に対する母性保護と母性を理由とした差別の禁止が法令で担保されるよう改革していきます。
  • 在宅就労を可能とするテレワークの普及、教育訓練給付制度を活用したスキル習得機会の拡大などにより女性の社会参加を促進します。
  • 就業継続のための取り組みを前提として、妊娠、出産、育児により退職した女性の再就職支援策を進めます。
  • 母性保護、授乳権の確保の観点からも、妊娠・出産前後の女性が働きやすい環境を整備する企業への支援を拡充します。
  • 結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。(再掲)
  • フリーランス、農山漁村や自営業の女性の産休・育休相当期間中の所得保障、社会保険料免除など経済的、社会的自立のために実態把握・調査研究を実施し、法整備を検討します。

人材の育成、就労支援

  • 情報・通信技術やAIの活用、ロボット等の導入により、仕事と私生活の境界が曖昧になったり、職場での「人間」の役割が大きく変わったりすることが想定されるため、こうした変化の中でも、ゆとりのある働き方ができるよう働き方のルールを見直すとともに、職場環境の変化に対応した人材を育成するため、学校教育や職業訓練の見直しを進めます。
  • グローバル人材と高度技能人材の育成のため、まず人的資源の裾野を広げることに注力し、その上で、産官学の連携による体制の強化を図ります。
  • 若者が自立できるように就労支援を拡充し、未来を担う人材を育てます。若者が夢と希望をもって働ける社会を実現するため、新卒世代を中心に、学校での職業教育やカウンセラーによる進路指導、ハローワークでの職業相談など就労支援をさらに拡充し、若年者雇用を促進します。
  • 高校、大学等での職業教育・訓練やキャリア教育を大幅に拡充するため、企業に協力を求め、その企業規模に応じて職業教育・職業訓練やインターンなど生徒・学生の受け入れを行い、さまざまな仕事を実際に体験する制度を展開します。
  • 公的職業訓練の求職者支援制度について、新卒者も含め、制度を周知徹底し、ニーズをより重視したカリキュラムの再編など抜本的な拡充を行います。特に企業の協力を得て職場実習を重視するように見直します。さらに訓練期間の大幅延長を図ることで多様な資格取得の支援も可能とし、確実な就労につなげます。
  • 急増した非正規雇用、女性、高齢者をはじめ再チャレンジ希望者に多様な学び直し(リカレント教育制度)の機会を創出提供し、複線型のキャリアパスの形成を支えていくことを可能にするため、教育機関が社会人の学び直しに対応した入学・履修制度、カリキュラム、人員体制を整備しつつ、「教育訓練給付制度」の拡充を図るなど、「学び直し」の最大の課題である経済的負担の軽減を図ります。
  • 大学と企業との連携による再教育機会の推進や通信教育・放送大学の拡充などを進めます。社会人のキャリアアップ促進のための対策を大学・企業等に求めます。同時に大学等高等教育機関での社会人特別選抜枠の拡大等の編入制度の弾力化、夜間大学院の拡充、科目等履修制度・研究生制度の活用、通信教育の拡充を進め、社会人の受け入れを促進します。
  • 高齢者を中心に再犯率が高く、刑務所が福祉施設の代替となっている現状があります。特に高齢者や障がい者等の受刑者については、その特性に応じて刑務所出所後の就労支援など再犯防止を法務省のみならず厚生労働省との共通事業として取り組みます。

労働者協同組合

  • 労働者協同組合法が円滑に施行され、労働者協同組合が広範に活用されるよう、国が積極的に広報活動を行うとともに、予算措置のあり方を検討した上で、プラットフォームづくりをはじめとした地域的取り組みを支援します。

社会保障と税の一体改革

  • 少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシック・サービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。
  • ベーシック・サービスを支える人材を確保するため、ベーシック・サービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。ベーシック・サービスの従事者の処遇改善は、結果として地域経済に潤いをもたらし、個々人の消費を拡大させることで内需を充実させるものでもあります。
  • ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・自治体職員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。(再掲)
  • 誰もが必要な医療や介護、子育て支援などのサービスを、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化します。
  • 公正な配分により格差を解消し、一人一人が幸福を実感できる社会を確立するため、社会保障などのモノサシを変えます。①社会保障の効果を測るモノサシは、格差是正とQOLを重視します。②豊かさを計るモノサシは、GDPからGPI(真の進歩指標)へ変更します。③税制を評価するモノサシは再分配を重視します。④将来経済推計のモノサシは、過大になる政府試算から国会に設置する機関による試算へ変更します。⑤官僚を評価するモノサシは、国民のための仕事を評価するようにします。
  • 社会保険料については、負担と給付の関係性を重視しつつ、低所得者への保険料軽減措置などを拡充します。
  • 社会保険料負担の上限額を見直し、富裕層に応分の負担を求めます。
  • 医療・健康・福祉のスマート化(いつでも・どこでも健康状態を確認できるオーダーメイドの健康管理システム等)を推進します。
  • 社会保障の充実・安定化を図り、将来世代に過度な借金を押しつけないことが基本です。その改革を進めるに当たって、行政組織及び業務については、社会経済情勢の変化に対応した見直しに努め、消費税の使途の社会保障・子育て支援への限定、家計支援対策を行います。
  • 世代間公平に配慮しつつ、重点化と効率化によって、子どもから高齢者にわたる、持続可能で安心できる社会保障制度を構築します。
  • 社会保障制度の充実・安定化により将来不安を軽減します。少子高齢社会に対応し、子育て支援、雇用の安定、老後の安心など、生活の不安を希望に変える「人への投資」により、可処分所得を増やし、消費を活性化します。
  • 医療や介護への財政支出抑制方針を転換します。
  • 日本はOECD諸国で唯一、大人が全員働いている世帯(共働き世帯やひとり親世帯など)で所得再分配後にかえって格差が拡大(相対的貧困率が悪化)し、税と社会保障の再分配機能が逆回転しています。その大きな要因となっている社会保険料の逆進性を改善するなど、税と社会保障の仕組みを見直します。その際、「社会保障と税の一体改革」の理念である「全世代対応型社会保障への転換」を重視します。
  • 医療・介護・障害福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について、所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。
  • 短時間労働者への社会保険の適用拡大を進めます。
  • 固定的な性別役割分担を前提とした税制や社会保障制度を見直し、世帯単位から個人単位への転換を進めます。

医療

医療提供体制

  • 医療と介護の需要が増加する中、地域医療を支える観点から診療報酬の適正な改定を進めます。誰もが必要な医療を受けられるようにするため、医療の技術や医学管理を評価する観点から、引き続き診療報酬の引き上げに取り組み、医療の質の改善や効率化を進めていきます。その際、薬価のあり方について検討します。
  • 国民にとって分かりやすい専門医制度を確立します。地域包括ケアを実現するために2次医療圏内の関係機関が自主的に地域医療構想や地域医療連携を作成できるよう積極的に支援します。
  • 公立・公的医療機関を狙い打ちにした再検証対象医療機関のリストを撤回しないまま、自主的な病床削減等を行う医療機関に対して財政支援を実施する「病床機能再編支援事業」は中止します。
  • 地域医療構想について、新型コロナウイルス感染症のまん延により生じた医療提供体制に関する課題を十分に踏まえた見直しが適切に行われるよう、地域での病床の機能の分化や連携の推進のあり方について検討し、必要な措置を講じます。それとともに、地域で必要となる介護等の提供体制のあり方について検討し、必要な措置を講じます。
  • 新型コロナウイルス感染症のまん延により生じた医療提供体制の課題も十分に踏まえ、地域の医療提供施設相互間の機能の分担と業務の連携、医師の地域間および診療科間の偏在の是正等に関する調整のあり方、新たな感染症のまん延時等の医療提供施設に対する財政上の支援や医療従事者の適切な処遇のあり方などについて検討し、必要な措置を講じます。
  • 中小病院や有床診療所をはじめとした地域の医療機能全般の底上げを図ります。また、病床機能分化については、より一層の需給バランスの適正化を図ります。
  • 地域の医療と介護の切れ目のないサービスの提供を目指します。
  • 後発医薬品などの活用を図るために、医薬品情報提供体制を強化する一つの方法として、地域中核病院の薬剤部の活用を図ります。
  • 予防中心の医療を実現するため、日常からの健康管理・相談や総合的な医療提供(プライマリ・ケア)機能を持つかかりつけ医を「家庭医」と位置付ける「日本版家庭医制度」を創設します。具体的には、患者が任意で「家庭医」に登録する制度を創設します。「家庭医」は一定の研修を修了することを要件とし、患者に対する医療提供の司令塔として、地域におけるプライマリ・ケアその他の健康の維持増進のための措置、専門的な医療機関との適切な連携、患者に関する医療情報の一元把握といった役割を果たします。制度導入にあたっては、国民への情報提供・開示の強化等、必要な環境整備を進めます。
  • 地域の持続的な活性化を担う中核として、国公立や日赤等の公的病院の再生や存続を目指し、救急医療・産婦人科・小児科などをしっかりと確保します。
  • インフォームド・コンセントをはじめ、カルテやレセプト(診療報酬明細書)などの医療情報について開示を進めるとともに、医療関係者と患者との信頼性を高め、医療の質を向上させます。
  • 専門医養成のあり方や、指定医の認定制度のあり方に検討を加えた上で、診療報酬上の評価を行うことを目指します。
  • 成育基本法に基づき、成育過程にある者とその保護者・妊産婦に対して必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策を総合的に推進します。
  • 無痛分娩に対応可能な病院を増やします。
  • 在宅医療の拡充のため、訪問看護ステーションの活用を促進します。
  • 医薬分業の適正化を図り、患者本位の新たな医薬分業制度を推進します。
  • 遠隔医療、ドクターヘリの配置、運営の強化など、緊急対応のための体制を整備します。
  • 精神医療については、入院患者の地域生活移行を促進し病床数を削減します。同時に、精神病院に配置される医療従事者の配置人員を改善します。

医療従事者の働き方改革、人材確保

  • 医師および医療従事者の働き方改革(タスク・シフティング<業務移管>やタスク・シェアリング<業務の共同化>の推進)を進めます。
  • 医師と患者の立場にたって新専門医制度を改善します。
  • 医療従事者の長時間労働の是正、女性医療従事者の就業継続・再就業支援などにより医師・看護師を確保します。また、職能職域分担の見直しや特定看護師の職務拡大を目指します。
  • 看護師の処遇を改善し、働き続けやすい環境の整備に努めます。
  • 多職種が連携することにより医療の質が高まります。医療現場での医療職間の連携を強化するとともに、医師の指示の下で看護師が行う行為のあり方を見直すことにより、質の高い医療を受けられるようにすること等チーム医療を推進します。
  • 新たに解禁された看護師の日雇い派遣について、看護師の待遇や医療の質などの観点から運用をチェックし、問題があれば見直します。
  • 薬剤師の処遇を改善するとともに、医療機関への配置、在宅医療への参加を促進します。
  • 専門医制度の地域医療に与える影響を検証しつつ、医師の偏在の是正に取り組みます。医師の偏在解消に向けて、医学部の定員と地域枠のあり方について検討します。医師不足対策を進めます。
  • 医療人材の育成と確保、グローバルなブレイン・サーキュレーション(頭脳循環)を強化します。
  • 診療看護師(NP)の確立を推進します。

医療保険

  • 国民皆保険を堅持し、安定した医療保険制度をつくります。医療保険制度全体の安定的な運営のため、保険者間の負担の公平化、国民健康保険の都道府県単位化の適切な推進など、格差をなくすために医療保険の安定化を進めます。
  • 医療機関の控除対象外消費税問題を解消するため、診療報酬への補填(ほてん)を維持した上で、新たな税制上の措置を早期に講じます。(再掲)
  • 団塊の世代が後期高齢者となり、その医療費が増え、後期高齢者支援金を拠出する現役世代の負担は今後さらに厳しさを増していくことが懸念されます。被用者保険からの大幅な拠出金が課題となっている高齢者医療制度については、抜本的な改革を行います。
  • 当分の間、後期高齢者医療保険の保険料賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いします。また、一部国費を充当します。将来的には、医療保険制度全体の負担のあり方などについて検討を進め、医療保険制度の持続可能性の強化と現役世代のさらなる負担軽減を目指します。
  • 政府がコロナ禍の中で行う後期高齢者の医療費窓口負担割合引き上げ(1割→2割)を撤回します。
  • 高額療養費制度を拡充することにより、治療が長期にわたる患者の負担軽減を図ります。
  • レセプト審査の効率化、医療ビッグデータのさらなる活用によって、保険者機能の強化、医療費効率化、健康課題への活用を推進します。
  • 高額医薬品については、総額医療費に配慮しつつ、保険適用の対象とすることを目指します。
  • 国民健康保険の保険者が被保険者を対象に産前産後・育児期に保険料の免除を行った場合には、国が必要な財政上の援助を行います。
  • 国民健康保険の出産手当金や傷病手当金の制度は、手当を支給するかどうか自治体の定める条例に委ねられています。支給を積極的に推進するため、条例を制定した自治体を財政的に支援します。
  • 診療・調剤報酬の不正請求事例をなくします。

歯科医療

  • 生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。
  • 歯科口腔保健法に基づき、口腔ケアをはじめとする生活を支える歯科医療を充実し、歯科領域でもチーム医療を推進します。
  • 地域包括ケアシステムの中に口腔ケアや歯科治療を明確に位置付けます。
  • 歯科技工士の賃金・労働時間等の就労環境を改善し、「製作技工に要する費用」の考え方を明確にします。歯科技工士の待遇改善のため、歯科技工指示書を処方箋化します。歯科衛生士については、健康寿命に極めて重要な口腔ケアの担い手としての働く場を拡大する等、就労環境を改善すると同時に、復職支援を進めます。
  • 定期健康診断に歯科検診を組み入れます。

予防医療

  • 医療のビッグデータ活用、医療情報の積極的な活用による予防医療が重要であり、保健指導の充実を図ります。
  • 地域包括ケアシステムの中で、市町村が実施主体となり、地域住民の主体的な参加と保健師や栄養士などによるフレイル(健康と要介護の中間で、心と体の働きが弱くなってきた状態)対策と栄養指導、食育を充実させます。
  • 安全性や効果が確認されている予防接種の定期接種化を検討します。
  • 予防接種の副反応等が迅速に把握され、その検証や被害者救済、接種継続の可否判断等が適正になされる体制を確立し、国民が安心して予防接種を受けられる社会体制の整備を目指します。必要なワクチンについては、十分に供給されるよう、可能な限り国内生産体制の整備・確立を目指します。
  • 健康寿命を延ばすため、保健衛生と健康指導、運動器障害(ロコモ)対策の充実、口腔ケアの奨励などの予防医療やリハビリテーションを充実させ、健やかに老後を迎えることができるようにします。
  • 予防重視で、妊娠から乳幼児健診、学校保健、産業保健、老人保健までを国民のライフサイクルに応じた切れ目のない生涯保健事業として実施します。メタボ健診、がん検診、婦人科検診などの受診率を高め、早期発見・早期診断につなげます。
  • 行政と民間の連携を推進することにより、若年世代が気軽に健診を受けられる環境を整備します。
  • 痛くない乳がん検診(ドゥイブス法)の普及を目指します。
  • 予防やリハビリ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の活用に対する診療報酬上の評価を行います。
  • 自殺予防対策を強化します。精神医療の場での向精神薬への過度の依存を是正し、アウトリーチ支援を充実させます。また、厚生労働省、内閣府、文部科学省等の連携をさらに充実させます。(再掲)
  • 現在、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の患者に対する乳房・卵巣の予防的切除に対する保険適用が認められていることを踏まえ、広く予防的切除の保険適用のあり方について検討します。

生殖補助医療

  • 2020年12月に成立した「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」の附則に盛り込まれた課題について、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の保障を前提として、生まれてくる子の福祉と人権を最優先に、「出自を知る権利」の明定をはじめ、包括的な法整備に取り組みます。
  • 生殖補助医療の提供に当たっては、商業利用や優生思想的悪用を禁止します。副作用などのインフォームド・コンセントの充実と健康被害への対策強化、精子・卵子提供者の情報管理・開示の基準整備を進めます。生命倫理の観点も踏まえた国民的議論の場を保障し、命と健康が守られるためのあるべき生殖補助医療の構築を図ります。
  • 適正な性・生殖に関する情報の提供を進めるため、若い世代の男性(泌尿器科)、女性(婦人科)の検診の普及促進を図ります。

不妊治療

  • 不妊治療を総合的に支える応援パッケージをつくります。
  • 望む人が最良の不妊治療を受けられるように、不妊治療の保険適用を拡充します。全ての検査と治療(評価療養・患者申出療養・選定療養などを含む)について、保険適用または保険診療との併用が認められるよう、適用範囲を拡大します。
  • 不妊治療の現行の年齢制限についての検討を行います。
  • 不妊治療と仕事が両立できる環境整備を図るとともに、治療に応じて男女ともに利用できる不妊治療休暇を導入します。治療に関する職場のハラスメントを防止し、不妊治療への職場の理解を促進するため、各企業内の相談支援員の創設を後押しします。
  • 個人の意思を尊重したカウンセリング体制を強化します。
  • 不妊治療への社会の理解を深めるため、啓発に取り組みます。
  • 男性不妊についてもカウンセリングを含めた環境を整備します。精子濃度の低下と不妊の関係性など、男性不妊の要因について調査を進め、男性の不妊治療の適用範囲を拡大します。
  • 包括的性教育(ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育)を充実し、男女ともに性と生殖を含む自らの身体に関する健全な理解の推進を図ります。生殖可能および適正年齢や不妊に対する啓発教育について、慎重な配慮のもとで進めます。
  • 養育里親や特別養子縁組の認知度を上げ、普及と支援体制を強化し、多様な家族のあり方を支えます。

子どもの医療費

  • 子どもは健やかにかつ安全に育つ環境が保障されるべきものであり、子どもの医療費について、国のナショナルミニマムとして、統一的な医療費助成制度を検討します。子育て家庭などの医療費の経済的負担を軽減します。

感染症対策

  • 感染症指定医療機関の拡充、医療従事者の専門性強化、関係機関との連絡体制の強化など、感染症対策を拡充します。
  • 国立感染症研究所への予算・人員(特に研究者、ワクチン開発者、管理職)の配置を増やし機能を強化します。また、地方衛生研究所の体制を強化します。
  • 人手不足の保健所について、職員の増員や非正規職員の正規化などにより、早期かつ確実に感染ルートを把握できる体制を作ります。今後の新たな感染症のまん延に備え、恒常的に職員の適正配置を進めます。同時に著しく減少した保健所を大幅に増設します。
  • 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府対策本部が設置された場合で、国民の生命および健康を保護するため緊急の必要があると認めるときに、新型インフルエンザ等(新型コロナウイルス感染症を含む)の治療のため、一定の要件の下、使用価値を有すると認められる医薬品を指定し、医療保険の保険給付、副作用救済給付の対象とする制度を導入します。指定は、企業からの申請に基づいて行いますが、申請を待ついとまがないときは、厚生労働大臣が申請によらずに行うことができるようにします。また、当該医薬品を確保するため、買い取りや企業への増産の要請等を行います。
  • 感染症のための医薬品の研究開発を推進するため、医薬品の基礎的な研究開発から臨床試験に至る過程における取り組みに対する支援、開発された医薬品の買い取り等を実施するために必要な財政上の措置等を講じます。

ワンヘルスの実施施策強化

  • 近年の新興・再興感染症の多くは動物由来の人獣共通感染症となっており、有効な人獣共通感染症対策、薬剤耐性(AMR)対策等を推進するため、人や動物の感染症研究を担う国や大学等の機関、全国的に構築された医師と獣医師との連携体制の下、人および動物の健康並びに野生動物を含む環境の保全を一体的にとらえて対処する「ワンヘルス」の実施施策を強化します。

HIV対策

  • 薬害HIV被害者の生活を支援します。
  • キーポピュレーション(高い感染リスクにさらされている集団)への働きかけを強化し、対策を進めます。
  • 現在の基準に合わなくなった障害者手帳の取得基準の見直しを進め、治療を開始すべき時に障害認定による治療助成を利用できるようにします。
  • HIVについての啓発を一層進めます。

医療の安全

  • 薬害事件の再発を防ぎます。これまで薬害エイズ・薬害肝炎事件をはじめさまざまな薬害事件が起きたことに鑑み、薬害防止のため医薬品行政の監視・評価機能を強化します。
  • 医療事故調査体制の充実を図り、医療に対する国民の信頼を回復するとともに、医療事故を未然に防ぐ仕組みづくりを加速させます。また、被害者救済のための制度づくりを目指します。

医療・介護分野の研究開発体制強化

  • 医薬品などに係る副作用など有害事象を正しく評価できるように疫学調査なども充実し、日本発の医薬品の信用向上と過度な規制緩和の抑制に努めます。
  • 日本発の先進医療、画期的な新薬や再生医療を世界に向けて発信できる環境を整えます。
  • ワクチン開発を支援し、日本企業の国際競争力を高めます。
  • iPS細胞を利用した再生治療研究等の促進・創薬への支援や創薬の環境整備を進め、日本発の医療技術を海外に輸出するための産業育成を図ります。
  • 開発途上国が必要とする医薬品の開発を支援し、日本の医薬品が海外で使用される基盤づくりを進めます。
  • 新生児のへその緒から採取できる臍帯血には、さまざまな細胞のもととなる幹細胞が豊富に含まれています。臍帯血を再生医療に利用することで、従来治療が不可能とされていたさまざまな病気の治療につながることが期待されています。適正な管理体制の下で、臍帯血を使う再生医療を推進します。
  • 成長産業である医療関連産業の育成に努め、新たな労働市場を開拓していきます。
  • 医療・介護分野で研究開発型の独立行政法人を最大限活用します。研究開発型の独立行政法人について、世界の第一線で競う研究開発の特性に応じ、研究開発成果を最大化するための制度構築・運用改善を行います。
  • 介護・医療従事者の身体的負担を軽減するため、ロボット技術の開発と運用を支援します。
  • 医療・介護のIT化をさらに推進します。在宅患者も含めた情報集約による地域医療連携ネットワークの構築や、情報共有による日常生活圏を中心としたシームレスな医療・介護サービスの提供を目指します。
  • 抗生物質などの研究開発、難病治療を促進します。
  • 後発医薬品の質の確保、先発品の特許切れ後の値下げを進めます。
  • AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究室併設を含む抜本的改革による研究開発環境を整備します。
  • 医学部では基礎医学に留まらず、臨床科目の教室におけるPh.D.のポスト増加、特に教授ポストの新設確保により欧米並みの研究力を確保します。
  • 臨床研究法に基づき、実効性のある取り組みを進め、研究の中での多様な利益相反を適切に管理し、研究対象者の健康と人権を守ります。
  • ドラッグラグやデバイスラグの解消を念頭に置きつつ、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の機能強化をはじめ、高度管理医療機器の申請と更新の適正化、国産医療機器医薬品推進政策を進め、医薬品・医療機器の審査が迅速に進むように制度を整備します。また、医薬品などに係る副作用など有害事象を正しく評価できるように疫学調査なども充実し、日本発の医薬品の信用向上に努めます。
  • 国産医薬品・医療機器の開発と既存の必須医薬品・医療機器の国産化のため、国主導で産官学一体支援の体制を構築します。

がん、脳卒中、心臓病対策

  • がん患者の緩和ケアをはじめ、わが家で療養できる在宅医療の基盤を整備します。
  • がん対策基本法に基づき、がんの早期発見・治療がなされ、がん患者の状況に応じて緩和ケアが診断の時から適切に提供されるようにします。
  • がん患者の療養生活の質を維持向上させるための施策と就労支援を推進します。また仕事と治療の両立に向け、事業所の理解促進と時間単位の休暇取得を推進します。
  • 小児がん患者が学業と治療を両立できるようにするための施策を推進します。
  • 小児がん治療後に予防接種を再度受け直しする費用の支援を検討します。
  • AYA世代(思春期・若年成人)のがん対策を重点化し、実態調査を進め、就労支援および治療と就労の両立支援や教育環境の整備、理解・啓発を促進します。
  • 希少がんおよび難治性がんに関する研究や治療等を着実に推進します。
  • iPS細胞による再生治療研究等を促進します。
  • 良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための予算確保と法整備を進めます。
  • 脳卒中や心臓病(心不全など)の原因疾患の早期発見と介入治療の推進、予防と救急対応のための教育・啓発、地域間格差のない治療機関のネットワークづくり、失語症などの後遺症の対策など、脳卒中・循環器病対策基本法に沿った施策を強力に推進します。
  • 脳卒中・心臓病(心不全など)予防のための継続的・全国的な市民啓発を進めます。
  • 適正な救急受診を促す市民啓発を推進します。
  • 義務教育での予防教育の充実を図ります。
  • 診断および治療に地域間格差のない医療機関の体制を整備します。
  • 超急性期脳卒中・心臓病に対応できる施設の把握を進めます。
  • 的確な救急搬送が行われる仕組みを作ります。
  • 脳卒中・心臓病の発症登録、調査、評価、公表を通じた、地域医療の質を客観的に評価する体制を構築します。

アレルギー対策

  • 国民の約5割が当事者とも言われる各種アレルギー疾患の研究と総合対策を推進します。

統合医療

  • 漢方、あんま・マッサージ・指圧、鍼(はりきゅう)、柔道整復などについて調査・研究を進め、専門的な医療従事者の養成を図ります。

心身医学

  • 心身医療の提供体制の整備を着実に進めるとともに、不登校、引きこもり、摂食障害等、心の悩みや問題を抱える青少年への診療体制を整備します。乳幼児健診への専門スタッフの参加等を検討します。カウンセリングの再評価を行い、カウンセラーの資格、評価を見直し、薬剤治療を中心としなくても適切な治療ができるようにします。

違法薬物対策

  • 違法薬物への依存に対しては、治療を中心に据えて依存からの回復と社会復帰を進めます。
  • 薬物(危険ドラッグを含む)、アルコール、ギャンブル、ゲーム、スマホ等の依存症から患者が回復できるように、民間団体を支援し、相談体制、専門的な治療、リハビリの体制を充実させます。
  • 危険ドラッグ禁止法を活用し、店舗・インターネットでの販売、広告等を取り締まり、危険ドラッグの根絶を目指します。

死因究明推進

  • 死因究明等推進基本法に基づき、死因究明等が地域にかかわらず等しく適切に行われるよう、死因究明等に係る医師、歯科医師等の人材の育成、資質の向上、適切な処遇の確保、死因究明等に関する教育・研究の拠点の整備、死因究明等を行う専門的な機関の全国的な整備など、死因究明等に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。また、子どもが死亡した場合のその死亡の原因に関する情報の収集、管理、活用等の仕組みを導入します。

受動喫煙対策

  • 2018年に改正された健康増進法による規制を徹底させます。屋内全面禁煙に向けて健康増進法の見直しを検討します。

水の安全・安心確保

  • 生活者の立場から水の安全・安心を守ります。政府が2018年に制定した改正水道法によって、地方自治体の水道施設の運営を民間企業に委ねるコンセッション方式の導入が促進されることになりました。コンセッション方式には、災害で断水が起きた場合に適切な対応が取られなくなる恐れがあるなど、大きな問題があります。水道事業の運営権を民間に委託するコンセッション方式を廃止します。

臓器移植・骨髄移植

  • 適切な臓器移植医療の推進と、臓器移植に関する啓発活動、骨髄移植でのドナー・レシピエントの環境改善を目指します。
  • 骨髄移植に関わる予算を増額し、休暇制度など、ドナーになりやすくするための環境を整備します。

望まない妊娠・生理の貧困問題対策

  • 望まない妊娠を避け、生理の貧困問題にも対応するため、若者に生理用品や避妊具を配布したり、性教育や心身の健康に関わる相談に乗る取り組みを進めます。

病室等における通信環境の整備

  • 患者の孤独解消や外部とのコミュニケーション確保のため、病院内医療機器への影響等を勘案の上、Wi-Fiをはじめとする病室の通信環境の整備を促進します。老人福祉施設や児童福祉施設などにおいても、同様の整備を促進します。

介護

介護保険制度

  • 高齢者人口の増加に伴い、介護サービスの需要が増加していく一方で、支え手である現役世代が減少し、地方自治体の財政負担が大きくなる中で、保険料が過度に増加することがないよう、国庫負担の引き上げ、自己負担のあり方、被保険者の対象について検討を進め、将来に向けて持続可能な介護保険制度を構築します。
  • 介護報酬の改定に当たっては、すべての介護事業者のサービスが安定的に提供されること、介護従事者の賃金が改善して生活が安定し、離職が防止されることにつながるよう配慮します。
  • 介護保険制度の改正、介護報酬の改定については、前回の改正・改定の影響の調査、分析、評価を踏まえて調査、予測、評価を行います。

介護サービス提供体制

  • 地域の絆を強め、医療・介護・教育などが連携することによって、地域包括ケアシステムを拡充し、地域の「支え合いを支える」仕組みを構築します。
  • 「かかりつけ医」と訪問看護など医療と介護、医療および介護従事者、ケアマネジャー等との連携を強化します。
  • サービス付き高齢者向け住宅の確保など安心して暮らせる住宅の提供、在宅サービスの充実、配食や見守りなど生活援助サービスの促進などにより、介護が必要となっても住み慣れた地域で暮らせるように配慮します。
  • 地域包括ケアシステムを子どもからお年寄りまで全世代を支援するシステムへと進化させ、地域コミュニティの再生に努めます。
  • 介護・保育・障害福祉等の複合施設である共生型福祉施設の整備促進を図ります。
  • 軽度者に対する介護サービスを将来にわたり全国で十分な内容と水準で提供されるようにするため、地域支援事業に移管された要支援高齢者向けのサービスの実態調査を行います。
  • 現行制度の高齢者の健康増進策を推進します。要介護1、2の生活援助サービスを介護保険から総合事業へと移行することなど、要介護1、2の生活援助サービスを削減することがないようにします。
  • 要介護度の進行の抑制、症状の改善のための介護サービスを重視します。
  • 福祉用具が高齢者の自立を促進し、重症化を防止していることを重視して、現行制度は維持します。
  • 医療療養病床・介護療養病床から老健施設等への転換への助成を引き続き行います。

認知症対策

  • 認知症になっても住み慣れた地域で暮らすことのできる「見守りのネットワーク」をつくります。
  • 認知症基本法を制定します。
  • 認知症予防事業や認知症患者の徘徊(はいかい)対策を推進します。
  • 早期の認知症の人が早期に診断を受け、一刻も早く専門職や専門機関につながるシステムを構築し、診断後の心身のケア・見守り・生活支援等の早期サポート体制を確立するとともに、初期認知症の人の居場所や生きがいづくりの支援環境を整備します。また、認知症グループホームの費用負担軽減を図ります。
  • 若年性認知症患者の地域生活、就労支援、認知症グループホームの費用負担軽減を図ります。具体的には、若年性認知症の人については、介護保険優先原則に縛られることなく、障害者総合支援法によるサービスの就労支援や作業所、移送サービスが必要に応じて利用できるようにします。また、若年性認知症への適切なケアが提供されるよう介護支援専門員や介護スタッフの研修を進めます。
  • 認知症になっても本人が希望すれば働き続けられるようにするため、企業が認知症に対する理解を深め、支援者を置く等の環境を整えます。
  • 経済的支援制度を活用して、生計維持者が認知症になった家庭の子どもの就学を支援します。

介護離職ゼロ対策

  • 介護離職ゼロに向けた取り組みを強化します。誰もが必要に応じて介護休業を取得できる制度への見直しを進めます。
  • 家族を介護する期間が長期化した場合に介護休業の通算期間を延長するなど、介護する家族の立場に立って、仕事と介護を両立できる環境を整えます。
  • 特別養護老人ホームを整備するとともに、入居基準を見直し、待機者を解消します。
  • 介護休業を取得しやすくするため、介護休業中の賃金補償(毎月の賃金補償実質100%、ボーナスも一定程度手当て)を行います。
  • 介護休業、育児休業の代替要員として働く人が自らのスキルを高めるとともに、十分な給与や十分な失業給付を受けることができ、非常に短い期間の雇用であっても厚生年金・健康保険に加入できるようにするため、教育訓練、失業給付、社会保険に特例を設けることや、中小企業が育児休業取得者の代替要員を確保した場合に支給する「両立支援等助成金」について支給額の引き上げを含めた見直しを行うことを目指します。
  • 「両立支援等助成金」については、育児や介護を理由に短時間勤務で働く人の代替要員を確保する際にも支給されるようにすることも検討します。
  • 在宅で介護をしている家族に対するケアを重視し、レスパイト入院(介護家族支援短期入院)など、介護する家族が一時的に介護から解放され、リフレッシュするための支援を進めます。
  • ヤングケアラーを含む家族介護者の支援、とりわけカウンセリングなど介護者自身のメンタル面での支援を推進します。
  • 家族の介護などによって離職し長期間職業に就いていない人が再度就職できるよう、相談、資格取得を含めた職業訓練などの支援策を講じます。
  • 政府の掲げる「介護離職ゼロ」には何が足りないのか、現場の声を吸い上げ、職場での介護休暇の改善などにつなげます。

介護従事者離職ゼロ対策

  • 介護現場の人手不足解消のために、立憲民主党が提出した「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を早期に成立させます。政府の処遇改善策からさらに支給対象を拡大、支給額を増額(介護サービスの事業所で働く全ての職員1人当たりプラス月額1万円)します。
  • 全ての介護職員の賃金を全産業平均の水準に引き上げることを目指して、着実に処遇改善を行います。
  • 介護従事者における、施設介護従事者と訪問介護従事者の待遇を同等にします。
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士(ソーシャルワーカー)など介護分野で専門性が発揮可能な職種の人材活用や医療機関・介護施設への配置を進めます。
  • 介護従事者のキャリアや能力がより評価されるよう、介護分野のキャリアアップのための制度を推進します。
  • 介護ロボットやAIの導入に積極的な事業者に対する支援を充実させることで、これらの技術の普及を促進し、介護従事者の負担軽減や作業の効率化を進めます。
  • 子どもたちが介護を職業として積極的に選択できるよう、介護という仕事の意味や魅力を学校教育の中で学ぶ機会を設けます。

ヤングケアラー支援

  • ヤングケアラーについての公的な調査が実施されたことを踏まえ、問題の社会的周知の徹底を図ります。(再掲)
  • ヤングケアラーを早期発見し、関係者と情報共有する体制構築の推進、ヤングケアラー家庭への支援、教育や医療、就労など横断的な支援を実現する法律を整備します。カウンセリングなどの支援、家事支援やレスパイトケアなど、子どもと家庭への必要な支援策を拡充し、子どもの心身の発達と学びを支えます。(再掲)
  • 自治体がヤングケアラーのアセスメントおよびケアマネジメントを行う部署を設置したり人材を確保できるよう、国が支援を行います。(再掲)

年金

公的年金

  • 「老後2000万円問題」に向き合い、安心して老後を過ごせる社会をつくります。
  • 老後の生活を社会全体で支え合う共助・公助の観点から、国民皆年金を堅持します。若い世代をはじめ全ての世代の国民に信頼される持続可能な年金制度の確立を目指し、最低保障機能の強化、世代間公平の向上に向けた年金制度の抜本改革案について検討を進めます。
  • 当面、低所得の年金生活者(年金とその他の所得の合計額が基礎年金満額相当以下などの場合)に対しては、年金生活者支援給付金を手厚くします。さらに年金制度とは別に、簡易な資力調査を実施した上で低所得の高齢者に一定額を年金に上乗せして給付する制度を設けます。
  • 長期的に、現役世代の収入水準を参照しつつ、一定以上の所得のある高齢者には、基礎年金の一部、特に税財源を原資とする部分の支給制限を検討します。
  • 政権の意向や経済目標の影響を受けずに数字に基づいて年金制度を設計するため、年金財政の中長期試算や世代会計、将来の年金所得分布や高齢者貧困率など、多様な将来推計も行える「経済財政等将来推計委員会」を国会の下に設置します。
  • 年金のマクロ経済スライド強化策の影響を検証し、年金改革論議の中でそのあり方を検討します。
  • 将来の安心を高めるため、短時間労働者でも厚生年金に加入できるよう適用拡大を進めます。段階的に50人超規模まで引き下げられることが決まっている企業規模要件については、新たに適用される事業所に対して必要な支援策を講じた上で撤廃します。また、賃金要件については月6.8万円に引き下げます。
  • 子育て世代の社会保険料の負担を軽減するため、国民年金第1号被保険者が1歳に満たない子を養育するための期間について、国民年金の保険料の納付を免除します。
  • 未適用事業者に対する適用を速やかに徹底します。
  • 年金の第3号被保険者制度の問題について、制度的公平や働き方に与える影響等を勘案しつつ見直し論議を進めます。
  • 年金積立金の運用は被保険者の利益、確実性を考慮し、運用割合が倍増された株への投資を減らします。ただし、10年間については市場等に与える影響等を考慮した経過措置を設けます。また、GPIF等に年金積立金の運用リスク情報の公表を義務付けます。公的年金の積立金運用については、労使の十分な経営参加や監査、理事の報酬決定など、被保険者の目線でガバナンス体制を構築します。
  • 「歳入庁設置法」を制定し、税金と年金の保険料、雇用保険の保険料等をまとめて扱う歳入庁を設置します。(再掲)
  • 「消えた年金問題」について、これまで約1575万人の年金記録を取り戻しました。未統合の年金記録約5千万件のうち、2022年3月までに約3321万件の記録を解明し、生涯年金額で約2.8兆円の年金給付額を回復しました。また、年金記録が訂正されてから支払うまでの期間が大幅に短縮されました。今後も、残りの未統合記録の解明を着実に進めます。
  • 日本年金機構を巡る度重なる不祥事を踏まえ、業務委託のあり方を含む事務処理の適正化や人員体制の確保、情報管理等の徹底など再発防止に取り組み、公的年金制度に対する国民の安心と信頼を確保します。
  • 無年金者を減らすため、これまで25年以上の保険料納付等が必要であった年金受給要件について、10年以上の納付等で受給可能にしました。さらに残された無年金の問題に取り組みます。

私的年金

  • 国民年金基金・個人型DC(イデコ)の加入資格を有していたにもかかわらず加入していなかった期間がある場合について、公的年金への加入にかかわらず、加入期間を任意で伸ばすことができるようにします。
  • 厚生年金加入者(企業型DC加入者を除く)等の個人型DC(イデコ)の拠出限度額を、企業型DCと確定給付型年金を実施している場合の企業型DCの拠出限度額と同額に引き上げます。
  • 中小事業主掛金を拠出できる中小事業主の範囲について、従業員規模の要件を500人以下とします。