立憲の政策がまるごとわかる政策集Policies 2022

環境

脱使い捨てプラスチック・廃棄物対策

  • 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の基本として、使い捨てプラスチックの使用量を減らすことが最も必要かつ効果的な対策であることから、脱使い捨てプラスチック社会を目指し、「廃プラゼロ法案」を検討します。
  • 現在政府が「有効利用」している廃プラスチックの熱回収については、実態としては石油から生産されたプラスチックを使用後に燃やしてエネルギーを得ているものであることに鑑み、気候変動対策の視点から、熱回収ではなくリサイクルする仕組みを検討します。
  • マイクロプラスチック問題の深刻化を踏まえ、環境中での挙動の調査や、国際的な取り組みを強化するとともに、生態系への影響を防止するための規制を導入します。
  • 海洋プラスチックごみの回収について、労務費の助成などのコスト面も含めた具体的な対策を検討します。
  • 全国の約2800件、総残存量1500万トン以上の過去の不法投棄に関しては、循環型社会への転換の過程で、2050年に向けて国が先頭に立ち、全件を適正処理することを目指します。
  • 省資源型の循環型社会への転換を実現し、廃棄物の不法投棄や不適正処理を防ぐため、廃棄物に関連する法制度を抜本的に見直します。
  • 「負の遺産」として遠ざけられがちな廃棄物の最終処分場について、適正かつきめ細かな管理・監視体制を構築し、人の健康が脅かされることのない安全・安心な社会づくりを目指します。
  • 循環型社会へ移行を進めつつ、廃棄物の最終処分場の新たな建設は必要であることから、地下水脈など飲料水の水源地となっている地域には処分場を建設しないように規制を制定し、水環境を守ります。

生物多様性の保全

  • 豊かな生物多様性を守るため、2030年ネイチャー・ポジティブの実現を目指します。
  • 生物多様性条約の愛知ターゲットの目標が達成できなかったことについての検証と、これからの目標設定に積極的な提案を行っていきます。
  • 侵略的外来生物駆除、野生生物適正管理を機動的に行うための基金を創設します。
  • 外来種対策の強化として、問題を引き起こしている外来種の中から特定外来種をリストアップし、その移入や移動を禁止する「ブラックリスト」方式ではなく、海外からの生物の持ち込みを原則禁止し、徹底した予防原則に基づいた安全等が確認されたもののみ輸入を許可する「ホワイトリスト」方式への変更を検討します。
  • ヒアリなどの特定外来生物による日本の生態系への影響を水際阻止するため、港湾・空港、運輸、自治体等、関係省庁との連携を強化し、水際対策を進めます。また、狩猟を行う後継者の育成のため、狩猟を学び訓練する施設の増設を進めます。
  • 湖沼等の水を抜いて水質浄化し、外来生物を駆除する「かいぼり」を積極的に活用し、在来種保護と生態系保全を推進します。
  • 遺伝資源の取得の機会およびその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)について、薬品や健康食品等では、産業界から学術分野など多様な分野にわたっており、指針だけでの対応では限界があるため、ABS国内指針の法制化を検討します。
  • 2018年に種の保存法の改正が行われましたが、いまだに日本市場から他国への不正な象牙の取引は止まっていないことから、象牙の違法な国際取引を阻止するための規制強化等を検討します。
  • ゲノム編集技術の一部は生物多様性を確保するカルタヘナ法の規制対象とはなりませんでしたが、科学技術の進展によっては今後、環境や安全へのリスクが増大する可能性に鑑み、法が規制をしていない対象物についても、政府が情報収集を行うよう提言します。
  • これまでの拙速な議論を見直し、予防原則に立った遺伝子組み換え生物の施策のあり方について検討します。
  • 日本の美しい自然、豊かな生態系を後世に引き継ぐため、民間が行うナショナルトラスト活動に対し支援を行う法制度(ナショナルトラスト法案)の検討を進めます。
  • 里山、里地で育まれていた生物多様性の復活を目指して、里山、里地の自然再生とバランスの取れた活用を進め、都市部での緑地の保全、緑のネットワーク整備を進めます。
  • 生物多様性の宝庫でもある海を豊かな状態で保つため、海と海岸域や河川さらには森林と、陸域とのつながりを重視した一体の保全と管理を実施していきます。
  • 森林は生物多様性の源であり、またCO2(二酸化炭素)の吸収源としても重要な多面的価値を持つことから、間伐等森林の計画的管理、更新期を迎えた森の伐採とその後の潜在植生による自然林の復活を進め、健全な森林再生を推進します。
  • 伐採木材の有効活用(国産材の利用促進、C・D材のバイオマス資源としての活用など)を充実させ、あわせて海外から流入し日本の木材市場に悪影響を及ぼす違法伐採木材の関連法についても検証し、対策強化について検討します。
  • 生態系保全、国立公園管理、外来種対策、野生鳥獣保護、エコツーリズム等を推進する環境省自然系職員(レンジャー)の増員を行います。あわせて分野を限定せずに地域でサポートをする人・団体が増加する仕組みを検討します。

ワンヘルスの実施施策強化

  • 近年の新興・再興感染症の多くは動物由来の人獣共通感染症となっており、有効な人獣共通感染症対策、薬剤耐性(AMR)対策等を推進するため、人や動物の感染症研究を担う国や大学等の機関、全国的に構築された医師と獣医師との連携体制の下、人および動物の健康並びに野生動物を含む環境の保全を一体的にとらえて対処する「ワンヘルス」の実施施策を強化します。(再掲)

動物愛護・福祉の強化

  • 人と動物が幸せに暮らす社会に向け、動物を飼養・管理する者の責務と動物取扱業者の責任の強化、動物に不必要な苦痛を与える虐待行為に対する罰則の強化などに取り組みます。ペットショップにおける生体販売の規制のあり方について検討します。
  • 産業動物や動物実験への対応を含め、動物福祉に関する法整備や「動物園法」の制定を目指します。
  • 畜産動物の福祉を向上させるための支援ができる法規制等を整備し、アニマルウェルフェアの世界標準達成を目指すとともに、畜産物を調達する企業の国際競争力の低下を防止します。具体的には、ケージフリーやバタリケージの導入など、消費者・生産者目線に立ちながら検討します。
  • 動物の高額取引や密輸入などを規制するため、罰則の強化について検討します。
  • 動物虐待事犯を取り締まるためのアニマルポリスの設置、虐待所有者からの「所有権はく奪」と「緊急一時保護」制度の創設について検討します。
  • 虐待飼育下にある学校飼育動物の救済について検討します。
  • ペットの同行避難の推進や、難病FIP治療薬などの動物用医薬品の拡充を検討します。

鳥獣保護

  • クマ類の個体群の維持を担保しつつも、人間とのあつれきを軽減し、人身被害等を防止する体制整備も含めた効果的かつ効率的な保護管理について検討します。
  • 近年、イノシシ、シカ、サル、クマ、キョンなどの野生鳥獣による農作物被害や人身被害が増えています。生態の調査及び適切な管理体制を強化します。

環境教育・環境情報の公開

  • 環境問題の解決のため、自分たちの生活と自然環境との関係について学ぶ機会が重要であるという観点から、地域やNGOと協力し、環境教育プログラムの開発や学校などでの環境教育を充実させ、環境と経済が両立する持続可能な社会を構築します。
  • 幼少期の自然との触れ合いは自然環境への意識、感性、命に対する意識に大きな影響を与えるものであることに鑑み、学校教育でのプログラムに加え、地域での環境教育プログラムの充実を図ります。
  • エコツーリズム・グリーンツーリズム(自然や農業に親しむ観光)・里山体験・ホエールウオッチングなどを推進し、自然環境保全態勢を整備するとともに、自然環境・生物多様性の重要性、希少性、経済性を学び、自然環境が損なわれる事態が生じないよう、意識の向上のための取り組みを進めます。
  • 大気、水質等のモニタリング、自然環境保全基礎調査、各法律の施行状況調査、気候変動枠組み条約等国際条約に基づく報告等、環境省をはじめ各省庁で環境に関する情報の集約は行われているが、環境問題ごとの項目の整理がされておらず、データベース化されていないことから、それらの情報が政策決定を行う際に十分に提供され、調査の結果が反映できるよう、抜本的な見直しについて検討します。
  • 政策形成過程における市民参画のあり方、環境団体訴訟(環境団体が、環境利益を守るために、行政や企業などに違法行為の差し止め等を求める公益訴訟)の導入について検討します。

食品ロスの削減

  • コロナ禍の下で「新しい生活様式」への転換が求められる中、「2000年度比で2030年度までに食品ロス半減」の政府目標に向け、「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、国民運動として食品ロスの削減を推進します。(再掲)
  • サプライチェーンを通じた連携やフードバンク等の取り組みを推進するため、生ごみの資源化や個人や企業によるフードバンク等への食品の現物寄付に関する税金控除等の優遇措置や、意図しない不慮の食品事故についての寄付者への免責制度の導入、商慣習の見直し等による食品ロスの供給システムの確立を進めます。(再掲)

化学物質対策、化学物質過敏症への対応

  • 縦割り行政を排し、人の生命・健康と環境を守る観点に立った総合的な化学物質対策を進めます。昨今被害が増加してきた香害などへの対応を含め、成分表示や表記の統一等、化学物質の製造から廃棄までの全体を、予防的取り組み方法に基づいて包括的に管理するための総合的な法制度の検討を進めます。
  • 建築物に由来する化学物質被害を防止し、シックハウス被害者がこれ以上増加することを防ぐため、建築物完成後の居室内の有害化学物質濃度測定を義務化し、基準を超えた場合には改善を求める、大規模な公共建築物における有害化学物質の定期的な測定を義務付ける等を内容とするシックハウス対策のための法制度の検討を進めます。
  • シックハウス症候群や化学物質過敏症など、化学物質による健康リスクを低減させるために、実態調査や発症メカニズムの解明など科学的知見を充実させます。被害者には、有効な治療体制の確立、都道府県ごとに長期滞在型療養施設を建設するなどの対策を進めます。

健康被害対策

  • 環境健康被害の回復・軽減策および被害防止対策の迅速な実施を図るため、「環境健康被害者等救済基本法」制定の検討を進めます。
  • 公害健康被害補償不服審査会の審査を迅速化すべく、委員の増員やオンライン審査のあり方など検討し、提案します。
  • アスベスト被害者の属性により救済内容に格差が生じない間のない救済を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開、情報開示の促進、患者・家族をはじめとする関係者の参加を確保しながら、基金の創設などのアスベスト対策を総合的に推進します。
  • 解体作業でのアスベスト飛散防止を徹底するため、特定粉じん排出等作業での大気濃度測定の義務化や、専門的知見を持つ第三者による事前調査・作業完了段階での調査の義務化、特定粉じん排出等作業を行う事業に関する許可制度の導入を検討します。
  • 呼吸器系、循環器系への影響が心配されているPM2.5について、モニタリングポストを増やし監視体制を充実させるとともに、有効な発生源対策を講じていきます。また、海外の発生源に対しては環境技術供与などを通じて、日本に飛来するPM2.5を減らしていきます。また、PM2.5の濃度が増加した場合の措置(注意報)を大気汚染防止法に位置付けるなど、全国で統一的な対応ができるよう検討を進めます。
  • 公害を風化させないため、公害問題のアーカイブ化などを推進し、かつ、他国への知見の共有を推進します。
  • 国民の約3割が罹患(りかん)しているといわれるスギ花粉症の対策強化を図るため、スギ人工林の伐採・利用・植え替えの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発をさらに進めます。

環境を巡るさまざまな課題の解決

  • 公共施設の建設などへの違法伐採木材の使用や、イベント開催時に多くの使い捨てごみが排出される現状を変革するため、責任ある調達や積極的な3R体制の構築を推進し、大型イベントのグリーン化を積極的に進めます。
  • 重大な環境影響を未然に防ぐことを目的とした環境影響評価法ですが、事業の実施決定後に配慮書が作成されるものの、住民の参加や情報公開がまだ不十分であることなど問題点が散見されていることに鑑み、地域を主体とし、自然保護を重視したエリア等を設定するゾーニング制度の導入や、自治体の負担を削減するため、国と自治体の役割分担を見直す観点から欧州のセントラル方式の導入の検討など法改正を含めて検討します。
  • 気候変動や生物多様性の喪失など、環境問題には切迫した課題があり、持続可能で、環境にも調和した社会への移行に対応するため、国家レベルで専門的かつ省庁横断的な課題解決の仕組みを検討します。
  • 環境に対する情報アクセス権の保障・意思決定に対する市民参加・司法へのアクセスに関するオーフス条約の批准を目指します。
  • NGO・NPOの知見や声を丁寧に聞き、環境分野での政策立案をともに進めます。
  • 下水道、農業集落排水、合併浄化槽の適切な配置について見直しを行い、良好な水循環の確保と効率的な生活排水対策を進めます。特に、新たに公共下水道の排水区域となる地域については、硬直的な接続義務を見直すことにより、より効率的に事業を進めます。
  • 生物が厳しい生存競争の中で獲得してきた巧妙な仕組みや形態は、極めてエネルギー効率が高く、環境への負荷が非常に少ないという特色があることから、このような生物の機能や形態をまねた技術、バイオミメティクスの研究開発を推進します。