エネルギー
気候危機対策
- 気候変動は人類存亡につながる人類共通かつ最大の脅威であり、その影響はこれまでにない厳しい気象現象や生態系へのダメージなどの形で顕在化し気候危機といわれる時代を迎えています。将来世代への責任を果たすため、あらゆる施策を総動員し、気候危機からの脱却を実現します。
- 気候危機対策を強力に推進し、2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%および2050年100%をめざし、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。
- パリ協定の目標を達成するため、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギー50%の導入等により、2030年に2013年比55%以上の温室効果ガス削減を目指します(60%削減も実現可能と検証済)。
- 国民の意見を気候変動対策・エネルギー政策に反映させる仕組みを作ります(抽選による国民会議の設置=くじ引き民主主義)。
- 将来世代への影響を長期的観点から検討する「未来世代委員会」を創設し、公平公正で開かれた科学的な政策議論を行い、国会や政府に対して提言・勧告を行うことができるようにする、「未来世代法」の制定を目指します。
- 技術革新に過度に依存せず、既存の省エネ・再エネ技術で最大限の温室効果ガス削減を行います。国民の意見を気候変動対策・エネルギー政策に反映させる仕組みを作ります。
- 再生可能エネルギーの最大限導入と、水素エネルギー等の活用により、2050年までにカーボンフリー電源化を実現します。
- 全体としての税負担の軽減を図りつつ、気候危機対策を推進するためのカーボンプライシング・炭素税のあり方について税制全体の見直しの中で検討を進めます。
- 石炭火力発電からの転換を図り脱炭素化の設備投資を支援するとともに、EV・HVや燃料電池車などの普及で運輸部門の脱炭素化に向けた取り組みを支援します。
- 強力な温室効果ガスであるフロンについては、その回収を徹底するとともに、助成制度の充実等により速やかな自然冷媒など代替物質への転換を推進します。
- 2030年までの期間に公的資金50兆円を集中的に投入し、脱炭素社会を実現するとともに日本経済の構造変革、日本産業の成長分野における競争力強化を実現します。
- 産業社会のグリーン化を推進することにより、再生可能エネルギーや蓄電技術など新しい成長産業分野において250万人の新たな雇用の創出を目指します。
- 各産業の脱炭素化を進めるにあたり、地域振興、新産業育成、雇用の公正な移行を強力に支援します。特に雇用については新しい成長分野における雇用創出を進めると共に、雇用環境の激変緩和、失業対策として、企業の雇用維持支援、職業教育施策の充実、雇用転換にともなう所得補償制度などを法制化します。
- 産業競争力強化の観点から、製鉄産業などエネルギー多消費産業、脱炭素への対応が求められる自動車産業等へ、産業構造変革を促す財政支援を一層強化します。大きな投資が見込まれる設備更新については、前倒しで実施できるよう各企業の成長戦略を後押しする支援を行います。
- 地球温暖化対策に関する国際社会に通用する新たな中長期数値目標の設定、再生可能エネルギー導入目標の設定、省エネルギーの徹底、技術開発、環境外交の推進、適応等を盛り込んだ基本法の制定を図ります。これにより、地球環境・生態系の保全、新たな産業の創出、就業機会の拡大など環境と経済発展の両立を図ります。
- 気候危機リスクの開示を進めることなどにより、環境金融やESG投資(環境、社会貢献、企業統治に配慮する企業への投資)を促進します。
エネルギー
目標・方向性
- 気候危機対策を強力に推進し、2030年における再生可能エネルギーによる発電割合50%程度および2050年100%をめざし、2050年までのできる限り早い時期にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成をめざします。
- 省エネルギーの取り組みを強化して、2030年に最終エネルギー消費30%削減(2013年比)、2050年には同60%削減をめざします。
- 産業部門については、補助金、税制優遇等の施策を充実させ省エネ設備への更新を促進し、2030年に全工場の80%で優良工場並のエネルギー効率を実現します。
- 省エネルギーのさらなる推進とあわせて、日本の資源である再生可能エネルギーを最大限活用することで、年間20兆円を超える資源輸入のための国富流出を止め日本経済の成長につなげ、再生可能エネルギー中心の災害に強い地域分散型エネルギー社会を実現します。
- 2030年までに省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間約250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現します。
- 災害に強く持続可能な社会づくり、少子高齢社会や消滅可能性都市やインフラ更新などの社会課題に対して、エネルギーを呼び水として、新しい社会の創造を模索します。
- 自治体・エネルギー企業・組合方式の運営主体などが共同参画し、地域内の発電所等からの熱を積極的に活用するまちづくり、地域の状況に合わせた親和性の高い再生可能エネルギーの導入の推進、エネルギーの地産地消を通じた分散型エネルギー社会を目指すスマートコミュニティへの転換を推進します。
新規技術・国際貢献
- グリーン=環境・エネルギーインフラ分野、ライフ=医療・介護分野、ローカル=地域資源を生かした地域活性化・観光分野と、あらゆる産業分野におけるデジタル関連の研究開発などを支援します。
- グリーン成長を社会の大変革につなげていきます。グリーン(環境・エネルギー分野)をわが国の主要な産業へと育成し、次世代自動車の研究開発促進や、スマートシティ構築の強力な推進、洋上風力を中心とする海洋エネルギーの戦略的開発、蓄電池の高度化・低コスト化・普及を加速させることで、新たなマーケットの創造を図りつつ、地産地消の分散型エネルギーシステムを展開します。これによって、再エネ・省エネ産業の市場と雇用を拡大し、成長率のかさ上げと持続可能な経済社会を目指します。
- 日本のものづくり産業の省エネルギー化・脱炭素化に向けた技術開発およびその実装を支援し、日本のものづくり産業の活性化と世界の脱炭素化に貢献します。
- 鉄鋼分野での水素還元技術を世界に先駆けて実用化するため、国の財政支援を行うこと等により、カーボンニュートラルを進める中においても、鉄鋼産業の競争力・持続可能性の確保と雇用維持を図ります。
- 自動車分野でのカーボンニュートラル実現のための技術開発への支援、脱炭素エネルギーインフラ整備、電動車購入支援等を国が大胆に行うことにより、自動車の脱炭素化で世界をリードし、日本の自動車産業の発展と雇用の維持を図ります。
- 電気自動車(EV)の充電ポイントや水素スタンドの設置支援、EV・ハイブリッド車(HV)・燃料電池車の普及促進、公共交通機関の脱炭素化への公的助成の拡充など、脱炭素化の基盤整備を強力に進めます。
- 一人一人の命と暮らしを支え合う経済システムや低廉で安定かつ低炭素なエネルギーシステムを確立します。その際には、雇用の公正な移行を維持します。
- 環境エネルギー分野での革新的技術開発と実用サービス展開を図るため、「スマートグリッド革命」を推進します。具体的には、再生可能エネルギーの安定的な利用と国民全体の省エネ・節電行動の拡大を同時に実現するため、①あらゆるレベルでのエネルギー管理システム(EMS)の普及促進、②デマンドレスポンス(需要応答)の導入、③民間資金を活用した日本版グリーンニューディールの導入を図ります。
- IoT、AIなどの最新デジタル技術、蓄電技術、VPP(バーチャル・パワー・プラント)等の高度な需給コントロールシステム、海流発電、小型高効率地熱発電の開発・導入を加速し、省エネ・再生可能エネルギー分野を日本の経済成長の柱となるように育てます。
- 次世代のエネルギー関連技術の開発に国を挙げて取り組みます。次世代型太陽光パネル、洋上風力発電、環境調和型地熱発電(地熱のカスケード利用等)、海流発電、高効率蓄電技術、直流ネットワーク、再生可能エネルギーと組み合わせた水素利用モデル、IoT技術に基づくスマートコミュニティ、デマンドレスポンス、グローバルなエネルギー分配に向けた送電線の開発など、新たな技術開発を加速化させます。
- 次世代のエネルギーとして注目される核融合技術については、主要国の連携のもと進むITER計画への参画等を通して、その安全性、科学的・技術的実現性について検証します。
- 波力発電、潮力発電など、新たな再生可能エネルギー技術の開発を進めるとともに、Power to Gas等の余剰電力対策の実用化を目指します。
- 次世代の蓄電技術(全固体電池等)の開発を支援します。
- 世界的には再生可能エネルギーは最もコストの低いエネルギーとなっていますが、日本では未だ十分にコストが低下していないことから、技術開発、関連産業の構造改革などを通じてさらなる低コスト化に取り組み、国民負担の軽減を図ります。
- 再生可能エネルギー、蓄電技術への支援を強化し、太陽光パネル、風力発電設備などの再国産化を目指します。
- 世界では再生可能エネルギーは新しい産業として雇用を生み出し世界の経済を牽引するエンジンとなっています。日本でもこうしたエネルギー分野での成長の果実を享受できるよう、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を目指します。
- 住宅断熱の義務化・省エネ努力の見える化など、日本の持つ優れた技術の飛躍的な普及を図るとともに、熱供給などのエネルギーインフラ整備を推進します。世界最高水準の省エネルギー社会を実現し、日本の技術を海外にも広め、世界の脱炭素化に貢献します。
- 再生可能エネルギーの普及を通して、エネルギーをめぐる紛争や貧困、格差、気候危機といった課題の解決に日本として積極的に貢献します。再生可能エネルギーを核とした社会インフラの整備について、資金と技術(含む人材育成)をパッケージで提供し、支援国・支援地域の自立的内発的発展を促します。
- CCS(二酸化炭素回収)、CCUS(二酸化炭素回収・利用)などの次世代エネルギー関連技術の実用化に向けた支援を行います。
分散型・スマートコミュニティ
- 再生可能エネルギーによるエネルギーの地産地消や、省エネルギー、蓄電技術の向上などで、地域の活性化と雇用創出を図ります。
- 持続可能な社会への転換に投資し、新たな市場・産業・雇用を創出します。再生可能エネルギーやエネルギー効率化、エネルギー市場のデジタル化、自動運転による共有型モビリティ等に官民の投資をシフトすることで、エネルギー輸入に伴う海外への資金流出を抑制し、地域で資金が循環する「分散ネットワーク型の持続可能な社会」を構築します。
- エネルギーの地産地消を推進し、エネルギーの自給を通じて地域でお金を回すことにより、地域の自立、地域活性化と雇用創出を図ります。これを実現するため、分散型エネルギー社会推進のための法律の制定を目指します。
- 地域の工務店、電器店を中心に建物の断熱化や省エネ機器への切り替えを進める支援制度を創設します。省エネの初期投資の負担軽減のため融資制度を創設します。
- 公営住宅の断熱化を推進するとともに、低所得世帯向けの省エネ家電製品への買換を公費によって行うなど、福祉的エネルギー転換施策を創設します。
- 発電に利用されていないダムによる水力発電の推進、温泉の持つエネルギーの農業等への有効活用などを進める法整備を行い、エネルギーの地産地消を推進します。
- 地域主導再生可能エネルギーの普及により、地域の経済循環、地域の自立的発展につなげます。地域の特性を生かした再生可能エネルギーの開発を進め、地域の中小企業、地方自治体、市民などが活躍する地域再生、活性化を実現します。
- 地域内で発電された電力については、系統向けの売電や固定価格買取制度(FIT)を経由させない地産地消を原則的に優先させ、有効に利用するために規制を緩和して域内送電線を適切に敷設するとともに、昼夜のバランス等を勘案し、スマートコミュニティ内で適切に電力消費できるような環境の整備を図ります。
- 工場立地地域や商業地域、田園地域など、それぞれの地域にある特徴を最大限尊重し、水力発電、地熱発電、地上・洋上風力発電などの再生可能エネルギーとバイオマスなどによる火力発電を組み合わせ、発電で生じる熱は、熱伝導管で施設へ融通し冷暖房に活用するなど徹底した有効利用を図り、スマートコミュニティのまちづくりを進めます。
- 地元企業等、地域のさまざまな主体が参加する地産地消の再生可能エネルギー事業を推進することで、地域における経済循環、地域の自立的発展を実現します。エネルギー事業、公共交通事業、上下水道事業等を一体的に運用することにより地方自治体が運営する事業の安定化、サービス向上を実現します(シュタットベルケ=ドイツにおける地域のさまざまな公共サービスを担う事業体)。
再生可能エネルギー(分野別)の推進、ヒートアイランド対策
- 太陽光発電については、環境破壊につながる大規模開発を抑制し、屋根置き太陽光発電、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を普及させます。公共施設の太陽光発電設置の義務化、ソーラーシェアリング向けFITの導入などにより太陽光発電事業を支援します。
- 風力発電については、ポテンシャルの大きな洋上風力発電について、その導入目標を明確にし、ゾーニングを進め導入を加速します。産業の裾野の広い洋上風力発電について、機器製造から建設、メンテナンスまで競争力のある産業となるように国を挙げて支援します。
- 再生可能エネルギー源として、河川エネルギーの利用促進策について検討します。
- ポテンシャルが世界第3位の地熱大国である日本の特性を生かして、地熱の利用を拡大します。比較的低温でも発電できるバイナリー発電を活用し、温泉利用と調和のとれた地熱発電を普及させます。発電と合わせて熱の直接利用も広げ、地熱を有効に使い尽くすカスケード利用を推進します。データに基づいた効果的効率的で持続可能な地熱利用、環境保全のためのゾーニングの実施、地域の合意形成を支援します。
- 「地中熱利用促進法」を制定し、省エネ効果の大きい地中熱の導入を加速化します。
- 都市のヒートアイランド対策として、保水性アスファルト舗装の推進、建築物の遮熱塗装や高断熱化の推進、地中熱・河川熱の利用拡大などにより、大幅な省エネルギーと快適な生活の両立を図ります。(再掲)
- 農地を活用する「ソーラーシェアリング促進法」を制定し、資金貸し付けのネックとなっている農地法上の一時転用許可についての規制緩和措置などを講じ、全国的にソーラーシェアリングを展開します。また、生産緑地についてもソーラーシェアリングを可能とするよう法改正を目指します。
農業と再生可能エネルギー
- 農林漁業とエネルギー事業の融合、エネルギー兼業などにより、農山漁村や過疎地域を再生可能エネルギーにより活性化します。そのためにソーラーシェアリング、小水力発電、バイオマス発電、洋上風力発電等の利用拡大のための制度改正とコストダウンを目指します。
- 農業分野での化石燃料に頼らない持続可能な農業(小水力や太陽光発電の電力を耕耘機に利用、ビニールハウスの地中熱利用など)モデル事業を各地で展開し、エネルギーの自給自足を支援します。
- 農山漁村は、再生可能エネルギーを産するのに好適な条件を備えています。資源の乏しいわが国にあって、エネルギーの地産地消を実現し、さらには都市への供給も可能とするなど、その可能性を最大限引き出す施策を展開し、農山漁村の活性化を図ります。
- 環境に配慮した農業生産・経営を支える多様な設備・機械装置等の導入およびソーラーシェアリング等を促進するための税制上の措置を創設します。
- 農地や林地、海洋における再生可能エネルギー発電事業による収益が農林漁業者を支えるエネルギー兼業を推進します。
省エネルギー
- 中小企業の省エネルギー設備導入を進めるため、省エネ診断や省エネ機器導入への大胆な財政支援を行います。また、大企業の省エネ競争を促進するための支援や情報公開のあり方について検討を進めます。
- 補助制度を拡充してコスト回収時間を短縮することにより、高効率機器への切り替え促進、建物の断熱化、ゼロエネルギー住宅の拡大、省エネ家電への買い替え促進を図ります。また、クールシェアなどライフスタイルの変革によりさらなる節電・省エネを推進します。
熱の利活用
- 日本では多くの熱が利用されていないことから、熱利用の拡大を目指します。地中熱や河川熱などの再生可能熱や廃熱利用の拡大、電熱併給のコジェネレーションの導入、熱エネルギーの面的利用(地域熱供給等)、コミュニティ単位での活用、断熱の徹底などにより、熱エネルギーの効率的な利用を進めます。
- バイオマス、太陽熱、河川熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱など再生可能熱エネルギーの普及目標等を定めるとともに、大規模な再生可能熱供給に対する買い取り制度や再生熱供給機器への助成制度の導入を検討します。
建築物の省エネ
- 遅れている建物の断熱化・ゼロエミッション化を推進します。建替のタイミングでの義務化、補助金・税制優遇、金融支援、省エネ努力の見える化により、2030年に全建物の10%のゼロエミッション化を実現します。地域の工務店・建設会社の参入を促進して地域経済の活性化につなげます。
- 住宅の断熱化・ゼロエミッション化により、快適で健康にも良い住環境の実現を目指します。建物エネルギー性能の最低規制を導入して光熱費のかからない高付加価値の住宅を普及し、省エネによる家計の可処分所得の増加と建築事業者の収益向上を両立させます。
- エネルギーの地産地消につながる屋根置き太陽光発電の普及を進めます。新築住宅・建物への太陽光発電(又は太陽熱利用)の設置原則義務化、小型蓄電池とのセット導入、屋根貸し方式による初期費用ゼロの太陽光発電を推進します。
- 住宅断熱の義務化・省エネ努力の見える化など、日本の持つ優れた技術の飛躍的な普及を図るとともに、熱供給などのエネルギーインフラ整備を推進します。世界最高水準の省エネルギー社会を実現し、日本の技術を海外にも広め、世界の脱炭素化に貢献します。
- 住宅の省エネ化を進めるため、新築住宅の断熱・省エネ義務化・省エネリフォームの推進、断熱性の高い木材住宅の普及などを図ります。
- BEMS(Building Energy Management System)導入等による省エネの見える化を推進します。加えて、建築物の賃貸や販売の際に断熱性能の説明を義務化し、工場やオフィスの省エネ進捗度の公表や金融機関の省エネ融資を点数化して実績を公表する等の制度設計を行い、必要な規制の法制化を進めます。
- わが国が得意とする技術を生かし、エネルギー管理システム、太陽光パネル、家庭用燃料電池などを組み合わせたZEB(Zero Energy Building)やZEH(Zero Energy House)などの導入を力強く後押しし、スマートコミュニティ形成の促進を図ります。
- 「公共施設省エネ・再エネ義務化法」を制定し、国の施設への導入を義務付け、省エネルギー・再生可能エネルギー機器の供給を拡大し普及・低価格化を進めます。また、地方自治体の施設に対しても省エネ、再生可能エネルギー機器の設置が進むように地方自治体を支援します。
水素・燃料アンモニア
- 水素の活用については、グリーン水素(再生可能エネルギーにより製造される水素)を前提に、EV化が難しい大型バスや大型トラック、船舶などの燃料としての活用、メタネーション技術により作られる燃料(e-fuel)の活用(航空機燃料など)を進めます。
- グリーン水素から製造されるアンモニアについて、課題となるNOxの回収、製造コストの低減と発電に必要な量の確保に関する取り組みを支援します。
エネルギー政策基本法・基本計画
- エネルギー政策基本法については、エネルギー利用に関する原則の追加、国・地方公共団体等の責務の拡充等を内容とする改正を行うとともに、エネルギーの地産地消と省エネ・再エネ中心の社会への変革をエネルギー基本計画などで明確化します。
- 科学的根拠に基づく客観的なデータによってコスト計算を行い、これに基づいてエネルギー基本計画を策定します。
電力システム改革
- 分散型エネルギーの普及と並行して、公正な競争を確保する観点から、電力・ガスシステム改革の課題検証を行い、消費者の立場に立ったエネルギーの安定供給の確保を実現します。
- IoT・5G・ブロックチェーン等の最新技術を活用し、分散協調型の電力網を構築するとともに、電力取引市場を高機能化し、総合的な経済性、地域社会間の連結性、持続可能性を向上させます。
- 消費者への電力小売における電源構成表示の義務化などにより、消費者が的確に電力会社を選択、購入できるよう市場の環境整備を進めます。
固定価格買取制度
- 固定価格買取制度(FIT)は再生可能エネルギーの導入促進に大きな役割を果たしています。小規模優先・地域優先、安定電源優先などの原則を整理し、よりきめ細かな買取価格区分設定(規模別条件別価格設定など)、設備認定の運用の見直し、合わせて送電網への優先接続を実現するなど、再生可能エネルギーの拡大の趣旨に沿った制度改正を行います。
- FIT後をにらみ、蓄電システムとの融合等による自家消費型、自立型の発電給電システムの導入を促進します。FITの買取期間が終了した電源について、新たな電力販売ルールを確立します。
スマートグリッド・デマンドレスポンス・デジタル化
- 電力システムのデジタル化を進め、電力市場を拡大活性化し市場メカニズムによる需給コントロールを実現します。
- BEMS・HEMS(Home Energy Management System)を利用した需要側と供給側のデジタルでの連携とデマンドレスポンスによる制御を行う熱伝導管、送電線、データ通信網等の適切な施設の配置や技術を構築するため、地域のインフラ更新時に合わせて、自治体と国が一体になって取り組みます。
電力系統
- 再生可能エネルギーの効率的な導入に向け、電力市場の活性化や制度・ルールの見直しを行います。
- 小規模分散型の再生可能エネルギーの最大導入を実現するため、系統の独立性の強化や国策としての電力送電網の整備・強化・更新を進めます。
- 再生可能エネルギーによる電力を最大限に活用できるよう、送電網の整備を、国の直接かつ独自の事業として推進します。
- 地域間連携線の運用ルールの見直しや託送料金の透明化などにより、公正な競争を確保します。
- 電力・ガス取引監視等委員会の独立性をさらに高め、機能を強化し、市場の監視を徹底し公正な競争を促進します。
- 再生可能エネルギーを含む広域的な供給力を有効に活用し、市場を活性化させるため、地域間・地域内の送電網の増強を進めます。
- 電気設備を点検する電気設備保安従事者の要員確保に取り組み、安全な設備維持に努めます。
- 送配電網の整備を加速化し再エネ発電に対する出力抑制を最大限回避します。地域のオフグリッドも視野に、地域分散ネットワークを支える送電網の整備を国の事業として行うとともに、蓄電設備の整備・運用を国主導で進めます。
特別会計
- エネルギー対策特別会計電源開発促進勘定、一般会計のエネルギー関連経費等に計上されていた原子力関連等エネルギー関連予算を、立地自治体が行う省エネルギーや再生可能エネルギー普及のための新規事業等の産業振興・雇用確保のための事業に重点的に割り当てます。
再生可能エネルギー規制のあり方・ゾーニング
- メガソーラーや風力発電など地域で建設反対の動きがある事例が増えています。環境への影響も懸念されることから、再生可能エネルギー開発事業についてゾーニングの徹底、地元合意、地元参画を要件にして乱開発を防ぎます。地域参加を確保するための地元企業や市民の出資を促進します。
- 土地利用のゾーニング、再エネに関する環境アセスメントの見直し、地方自治体の権限強化などを通して、再生可能エネルギーの乱開発による環境破壊を未然に防止します。
太陽光発電パネルのリサイクル
- 太陽光発電パネルについては、有害物質を含むパネルの適正処理を徹底するとともに、中古市場の活性化により再利用を推進します。
原子力発電
- 地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します。
- 原子力発電所の新設・増設は行わず、全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指します。
- 実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません。
- 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)を復活させ、事故原因の徹底究明、事故に対する責任の明確化に取り組みます。(再掲)
- 避難計画については、原子力防災会議の意見、内閣総理大臣・原子力規制委員会の同意を法定し、国の責任を明確化させます。
- 原子力発電所(事故炉をのぞく)の廃炉については、原子力発電所の速やかな運転停止、廃炉決定を実現するために、電力会社とともに国が責任を持ち廃炉を進める体制を構築します。原子力発電所廃炉にともない債務超過が発生するなど、電力会社の経営が立ちゆかなくなる事態のないように配慮します。
- 原子力発電所および原発関連施設の廃炉期間中の安全確保を徹底するとともに、立地自治体および周辺自治体を含めた地域を対象とする実効性ある避難計画を立案し、訓練を実施し、万が一の放射能漏れ事故に対し万全の体制を構築します。
- 防災対策の重点区域などの見直しに当たり、避難困難者対策を含め、周辺地域の原子力防災対策を強化します。
- 廃炉を決定した原子力発電所の安全かつ着実な廃炉、原子力発電関連施設の徹底的な安全管理などに向けて、原子力に関する技術の継承・開発、人材の確保・育成、廃炉技術の確立について、国の責任のもと進めます。廃炉技術・放射性廃棄物の管理および最終処分技術をパッケージ化して、海外への廃炉ビジネスの展開を目指します。
原子力発電所立地自治体支援・雇用の確保
- エネルギー転換を達成するための人材の確保と育成に努めるとともに、労働者の雇用の公正な移行と影響を受ける地域の振興に、最大限取り組みます。
- 原子力発電所立地地域の経済、雇用に関する政策については、地方自治体、地域住民との話し合いと合意形成を大前提として取り組みます。
- 廃炉を迎える原発関連施設立地地域が自立した地域経済を構築できるようにするために国の支援をパッケージで実施します。原発につながる送電線網を活用した再生可能エネルギー拠点の立ち上げなど新たな産業創出を目指します。
- 原発立地自治体の自立に向け、原発に頼らない地域経済の基盤の確立、経済活性化、雇用の公正な移行、地域主体のまちづくりを支援します。原子力発電に依存しない社会の実現を目指す中で、影響を受けることになる原子力発電所立地地域について、スマートコミュニティ推進のモデル地域として位置付け、立地地域の電気代を削減するための財政的支援、先進的技術産業の誘致、グリーンエネルギーの導入支援を含めた各種施策を優先的・重点的に行う等、経済、雇用が安定的に維持できるよう大胆な措置を実施します。
- 原子力発電所等立地地域振興特別措置法を改正し、立地地域において水素や再生可能エネルギーなど新エネルギー関連産業の育成・振興を計画的に進めることを明記します。
- 全ての原子力関係労働者への支援(転職支援、住宅確保、家族のサポートなど)を実施し、雇用の公正な移行を実現します。
核燃料サイクル・最終処分
- 核燃料サイクル事業の中止に向け、関係自治体との協議による新たな枠組みを構築し、使用済み核燃料は直接処分を行います。最終処分は、国の責任を明確にし、安全を最優先に科学的な知見に基づいて進めます。
- 政府が進める使用済み核燃料の地層処分については、地震大国日本にあってその安全性、長期保管時の安定性などについて多くの課題が残っています。当面は、乾式キャスクによる保管に切り替え、一定期間安全に保持することとします。その期間を使い、最終処分に関する技術開発、処分地の選定、最終処分に関わる合意形成などを国の責任で進めます。
- 青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にはしません。
- 青森県については県が計画する産業振興戦略の実行を国として全面的に支援します。県内には再生可能エネルギーにつながる資源が豊富に存在していることから、エネルギー産業の集積基地としての発展を実現させます。また、スマートコミュニティ推進のモデル地域として位置付け、立地地域の電気代を削減するための財政的支援、先進的技術産業の誘致、グリーンエネルギーの導入支援を含めた各種施策を優先的・重点的に行う等、経済、雇用が安定的に維持できるような大胆な措置を実施します。
化石燃料
- 化石燃料については、CO2の排出の比較的少ないLNG火力を中心に再生可能エネルギーへの移行期を支える主力のエネルギーとして、既存設備の有効活用を前提に活用します。国として必要な設備投資・運転資金を支援します。
- 石油火力、石炭火力については、CO2排出量がLNG火力に比べ多いことから、当面緊急時のバックアップ電源としての活用を基本とします。燃料アンモニアの混焼技術など新技術開発を支援し、将来的に燃料アンモニア専焼、CCS、CCUなどのカーボンニュートラルに必要な新技術の可能性を探ります。
- 当面の化石燃料の安定確保のための資源外交を進めます。
- 化石燃料の安定的な確保と流通基盤の整備のため、複数の調達手段を確保し、価格の競合を可能にする環境の醸成と中期的な安定供給の確保に取り組みます。
- 当面は、石油並びに保存性に優れるLPGについて、暖房・給湯部門における分散型エネルギーの一つとして位置付け、多様なエネルギー選択肢を保持していくとともに、製油所の強靱(きょうじん)化、災害時の避難所での燃料や病院などの非常用発電燃料等の確保、および供給体制の万全の確保を図ります。
- 2050年カーボンニュートラルに向け、化石燃料消費の減少が見込まれる中、ライフライン・地域のエネルギー供給拠点である地域のガソリンスタンドを維持するため支援を行います。多様化するエネルギーのインフラおよび地域コミュニティの中核施設となるよう支援します。
東北の復興
- 被災地・東北地区を、エネルギー価格の抑制と再生可能エネルギーの加速度的な拡大を追求する「新産業特区」とし、産業復興と雇用確保に向けて、製造業と観光業等の復興関連産業を通じた経済再生を実現します。