立憲の政策がまるごとわかる政策集Policies 2022

行政改革・行政刷新

行政改革

総論

  • コロナ禍のもとでの給付金等の遅れや使い勝手の悪いアプリ、「アベノマスク」の無駄遣いなど、国民のニーズから乖離した施策の数々は民意を顧みない無責任な政治の帰結です。納税者の視点で行政の施策を見直すとともに、必要な施策には人員と財源を移し、適材適所の資源配分を行います。
  • デジタル化は必要不可欠であり体制整備は急ぐべきですが、安易な人員削減に結びつけることなく、適切に人員を配置し、住民サービスの充実・向上を図ります。
  • 未来を考え、①国民の納得感を高め、不公平感をなくす「歳入庁」の設置、②国民に開かれた行政組織の再編、③「ブラック霞が関」を脱却して職員のやる気を引き出す適材適所の人事行政を提案するとともに、国会活動が公務員の過度の長時間労働などを助長しないように国会改革に努めます。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大の下での保健所の削減による医療崩壊や、度重なる豪雨災害等への対応の不備など、「小さな政府」「身を切る改革」が必要以上に進んだため国民の生活に負の影響が出ています。安易な人員・経費の合理化による住民サービスの切り捨てではなく、国民の命と暮らしを守り抜き、ベーシック・サービスを充実させます。
  • 政府による民間への業務委託について、全府省統一の適切なルールを設けます。
  • 経済財政諮問会議をはじめとする重要な会議の委員・議員に、働く者の代表者を加えます。

市民参加の行政改革

  • 法律の制定・改廃を国民が発議できる国民発案権(イニシアティブ)制度を導入します。
  • 問題があると思われる国の財務行為について、国民が、会計検査院に対して監査を請求し、会計検査院の対応が不十分なときは、国などを被告として必要な措置を取るよう請求する訴訟を提起することができるよう、公金検査請求訴訟制度を創設します。

歳入庁設置

  • 「歳入庁設置法」を制定し、税金と年金の保険料、雇用保険の保険料等をまとめて扱う歳入庁を設置します。

中央官庁改革・国の機能の分散化

  • コロナ禍で機能不全が明らかになった中央官庁の再編を含む大改革を進めます。
  • 中央官庁については、橋本政権による省庁再編により、厚労省の肥大化や内閣府・内閣官房への業務集中が進んだ弊害が指摘されています。場当たり的な官庁の新設などはせず、①肥大化しすぎて行政事務や国会対応に支障が生じていることが明白となっている中央官庁の分割、②消費者保護や子ども・子育てなどの分野での縦割り行政の弊害の除去、③総務省の放送・通信の免許・許認可行政の独立行政委員会への移行、などの観点で改革に取り組みます。
  • ベーシック・サービスを充実させる観点から、機構・定員の過度な削減や独立行政法人の効率化係数の杓子定規的な遵守を見直します。
  • 中央官庁などの国家機能については、今後の自然災害の可能性や国土の人口バランス、テレワークの普及などの視点も踏まえて、分散配置を進めます。

公務員の働き方改革

  • 総合職への志願者の減少、中途退職者の増加など、公務員を取り巻く危機的な状況が表れています。内閣人事局による幹部人事のあり方を見直し、庁内公募制度の活用なども含めて適材適所でやりがいのある人事運用を通じて有能な人材が国家公務員を志願するよう、開かれた透明性の高い人事行政を目指します。(再掲)

公会計制度改革

  • 国の会計制度を新たな公会計制度によって「見える化」し、財政民主主義を徹底します。具体的には、①異なる会計基準を統一し、勘定科目の統一と開示項目の標準化を進め、②政策ごとのコストやセグメント情報、公的団体・法人を含む連結財務情報の作成・開示を義務付け、③新しい公会計による財務指標をベースに目標が設定され、国民の目にモニタリングされる仕組みを導入し、④諸外国並みの超長期収支見込みを公共財政長期持続可能性報告として開示することを法律で義務付けること、等を検討します。
  • 特別会計改革・独立行政法人改革については、増加する独立行政法人等政府機関・基金・官民ファンド・特別会計等を徹底的に見直し、スリム化を進めるとともに、財務状況等に関して国会への報告を義務付けます。
  • 深刻さを増す放漫財政を健全化し、行財政運営の適正化・効率化を図るため、「アベノマスク」や「接触確認アプリCOCOA」の度重なる不具合等に象徴される膨大な予算の無駄遣いの排除や、EBPM(証拠に基づく政策立案)の徹底に努めます。

行政DX

  • 行政のデジタルトランスフォーメーションについては、①あらゆる住民の利便性を高めるとともに、苦手な人も含め誰も取り残さないこと、②個人情報保護の対策を徹底すること、③セキュリティを確保すること、④政府による国民の監視に使用しないこと、を大原則とし、行政情報の徹底的な公開と自己情報コントロール権の制度化に取り組みます。

社会保障と税の一体改革関連

  • 社会保障の充実・安定化を図り、将来世代に過度な借金を押しつけないことが基本です。その改革を進めるに当たって、行政組織及び業務については、社会経済情勢の変化に対応した見直しに努め、消費税の使途の社会保障・子育て支援への限定、家計支援対策を行います。(再掲)

財政透明化関連

  • 誰もが、税金を何に使ったかを確認・チェックできる仕組みを強化します。旧民主党政権では「行政事業レビュー」を導入し、国が行う5千を超える全事業を統一シートで公表してきましたが、その後の政権交代による制度の形骸化は甚だしいものがあります。このため、既存の「行政改革推進本部」や「行政改革推進会議」の抜本強化を図るとともに、法定化により着実な実効性を確保し、外部性と公開性、使いやすさ、使途の総覧性をさらに高め、予算編成過程、基金事業など使途の透明性を強化します。
  • 財政規律が緩む中で、中立的・長期的な観点から財政政策を調査・評価するために、独立財政機関「経済財政等将来推計委員会」を国会の下に設置します。(再掲)

行革実行体制

  • 既得権や癒着の構造を断ち切るために、常に行政構造の見直しを続けます。行政改革の大方針を定める基本法としての「行政改革実行法」を早期に制定し、国の取り組む行政改革の理念、行革実行体制を確立し、実際に取り組む施策を明確にすることで、国民本位の行政を実現します。また、国から地方への財源と権限の移譲を抜本的に進めます。

行政監視

国会による行政監視

  • 強力な行政監視機能を持つ「行政監視院」を国会に設置します。
  • 会計検査院長への各府省幹部経験者の就任を禁止します。あわせて「会計検査院法及び予算執行職員等の責任に関する法律の一部を改正する法律案」(会計検査院権限強化法案)を成立させ、資料の提出拒否・虚偽資料提出等のほか、検査上の要求に応じない等の事案が生じた場合、懲戒処分を要求することを可能とするなど、会計検査院の権限を強化します。
  • 衆議院決算行政監視委員会、参議院決算委員会、参議院行政監視委員会の審議の活性化と政府の施策及び予算への反映に取り組みます。

内閣・公文書管理

  • 「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)を改正し、行政文書の定義を見直すことにより、対象を拡大するとともに、保存期間の上限を最長30年に設定し、保存期間満了後は原則公開とします。また、メールやパソコン等で作成した電磁的記録である行政文書や、外部と接触した場合の当該接触に係る情報が記録されている行政文書の保存期間は、1年未満とすることができないようにします。これにより、行政文書の作成・保存・移管・廃棄を官僚が恣意的に行わないようにします。
  • 公文書等の改ざん・隠ぺい等の不適切な取り扱いの防止を実効的に講じられるようにするため、行政機関の公文書等の管理について評価・監視を行う「公文書記録管理院」を内閣の所管下に置きます。
  • 「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)を改正し、国民の知る権利の保障を強化します。具体的には、行政機関の長に、自発的に分かりやすい情報提供を義務付けるとともに、不開示情報規定および部分開示規定を見直し、開示情報を拡大します。不開示決定の通知に、その根拠条項および理由をできる限り具体的に記載することにより、運用の明確化を図ります。また、開示請求手数料を安くするなどし、手続きの簡素化を図ることで、税金の使途や行政情報を透明化します。
  • 特定秘密保護法については、民意を顧みずに強行採決された経緯にも鑑み、国による情報の恣意的・不適切な秘匿を防止するため、廃止します。廃止されるまでの間は、具体的には、当該行政機関の恣意性を排除するため、内閣府に設置する第三者機関(情報適正管理委員会)が指定基準を定め、基準非該当の秘密指定を知った秘密取扱者は、委員会への通知義務を負うこととします。