立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024
東日本大震災からの復興
原子力災害被災地域の復興
- 避難地域の復興については、避難指示が解除された地域の医療・介護・福祉、子育て、教育、交通、買い物等の生活環境整備や、産業・生業の再生、新産業の創出、心のケアや地域コミュニティの再生等をさらに進めていきます。
- 帰還促進や移住の促進を継続して支援するとともに、先例にとらわれない発想のもと、地域の再生・活性化に向けたあらゆる施策を講じ、人口減少や高齢化・過疎化など、地方が抱える社会課題を先進的に解決するモデル地域となるよう取り組みます。
- 区域外避難者も含めた被災者の希望と生活実態に即した総合的な支援など、被災者の生活再建支援を継続的に実施します。
帰還困難区域の復興・再生
- 帰還困難区域での特定復興再生拠点区域の整備については、除染や家屋解体等で発生した廃棄物の処理を国が責任を持って確実に対応する仕組みを構築します。さらに、生活環境の整備、産業・生業の再生に向けて十分な予算を確保し取り組みます。
- 特定復興再生拠点区域外については、各自治体の意見を尊重しながら、丁寧に協議を重ね、必要な除染・家屋解体等を行い、帰還に必要な生活環境の整備を進めます。その上で将来的に帰還困難区域全ての避難指示を解除します。
原子力発電所の廃炉
- 東京電力福島第一原子力発電所の事故による原子力緊急事態宣言は、いまだに解除されていません。廃炉は福島の復興の大前提であり、安全を最優先に慎重に廃炉作業を進めていかなければなりませんが、燃料プールからの核燃料や燃料デブリの取り出し等、廃炉工程の遅れが生じています。東京電力とともに、廃炉作業の現状や今後の見通しを可能な限り情報発信するとともに、「廃炉」とは何かを明確にした上で必要に応じて廃炉工程を見直します。
- 廃炉作業については、地元企業の人材や技術を積極的に活用するとともに、作業員が安心して働くことができるよう、個々人の被曝線量を一元的に管理できるシステムの構築を含め、労働環境の整備全般について東京電力に不断の改善努力を求め、国も一体となって取り組みます。
- 廃炉が決定されている東京電力福島第二原子力発電所については、安全かつ確実に廃炉作業を進めます。
- 原発事故の一刻も早い収束、被災者への責任ある対応を徹底するため、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の組織を改編します。これにより、廃炉措置、被災者支援を東京電力から切り離し、国主導で実施します。
- 福島県に、廃炉技術及び放射性廃棄物の保管管理、放射線影響モニタリング、放射線の健康影響等をテーマとする研究施設を誘致し、原子力技術者の育成拠点として環境整備を進めます。世界の原子力研究者の英知を結集し、原発事故の早期収束を実現します。
ALPS処理水の処分及び風評被害対策
- ALPS処理水は、地元や関係者の十分な理解を得ないまま原発敷地内からの海洋放出が開始されました。その後、処理水に関連する事故等が発生していることから、東京電力に再発防止の指導を行うよう、政府に求めます。今後、政府が行う風評被害対策が具体的かつ実効性ある取り組みであるかを徹底的に検証します。また、トリチウムの分離や放射能濃度の低減など技術開発による根本的な解決策をさらに検討します。
中間貯蔵施設事業
- 中間貯蔵施設については、引き続き地権者に寄り添った対応を行うとともに、大量の除去土壌等の輸送が継続することから、輸送の安全性を確保した上で実施します。
- 中間貯蔵施設で保管されている除去土壌等について、30年以内に福島県外での最終処分を完了するため、国民全体の理解を得ながら、最終処分の予定地選定を含め、目に見える形で責任を持って取り組みを確実に進めます。
福島県外避難者への支援継続
- 避難、居住、帰還といった選択を、被災者が自らの意思によって行うことができるよう、国が責任を持って支援しなければならないと定める「子ども・被災者支援法」の下、福島県外避難者に対して、その生活実態を踏まえ、支援を継続・拡充します。
原発事故等による避難者の実態把握
- 国や県、市町村による避難者数の集計手法については、国主導で、県や市町村と連携して適切な調査を行い、実態の把握を進めます。また、避難先の自治体に住民票を移した避難者についても支援をつなげていきます。
風評払拭対策
- 震災から10年以上を経てなお風評被害が続いていることを踏まえ、これまでの風評払拭のための取り組みを総点検し、リスクコミュニケーション対策を抜本強化します。特に、学校での放射線教育の重要性を踏まえた取り組みを図ります。
水産業の支援
- 福島県の漁業の試験操業は2021年3月末に終了しましたが、引き続き風評対策や漁獲量増加に向けた取り組みを進めます。また、水揚げ量の増加や流通の促進につながる水産業施設整備を支援します。
営農再開に向けた支援
- 原子力被災12市町村では営農再開面積が5割にとどまることから、引き続き農業者へきめ細かい支援を行い、担い手不足解消等のための取り組みを進めます。
森林・林業の再生
- 森林と林業・木材産業の再生に向けて、「ふくしま森林再生事業」を引き続き継続するとともに、対象地域を県内全域に拡大します。
- 里山再生モデル事業の検証を踏まえながら、除染や森林整備など里山の再生に国が責任を持って取り組みます。
- 野生きのこや山菜については、新たな検査技術の開発などに取り組み、さらなる出荷が可能となるよう、検討・研究を進めます。
ADR和解仲介案の尊重
- 東京電力は東日本大震災の被害者が早期に生活再建を実現するために「3つの誓い」(①最後の一人まで賠償貫徹、②迅速かつきめ細やかな賠償の徹底、③和解仲介案の尊重)を立て、原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)から提示された和解仲介案の尊重を掲げているにもかかわらず、中間指針との乖離を理由に和解仲介案を拒否する件数が多いことから、「3つの誓い」を厳守するよう東京電力を指導・監督します。
事故原因究明
- 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)を復活させ、事故原因の徹底究明、事故に対する責任の明確化に取り組みます。
健康管理・被害補償・安全確保
- 被災者の希望に応じた健康診断の実施と情報の適正管理、健康被害の早期認定と補償の実施など、被災者の健康被害に関するフォローを徹底します。
- 福島県民の健康管理については、国が責任を持って取り組むよう、強力に求めていきます。また、東京電力福島第一原子力発電所事故による汚染地域の住民・事故収束作業に従事する現場作業員等に対し、健康管理手帳を交付し、年1回の健康診断を生涯にわたり受けられること等を定める法律の制定を目指します。
- モニタリングポストについては、放射能汚染の状況を知る上で重要な施設であり、今後も地域住民の安心・安全の確保のために設置・管理を継続することとします。
原子力損害賠償法
- 原子力損害賠償法(原子力損害の賠償に関する法律)を抜本改正し、被害者の保護を唯一の目的とすることを検討します。
地震・津波被災地域の復興に向けた必要な予算措置の継続
- 地震・津波被災地域においては、心のケア等の被災者支援をはじめ、今後も一定の支援が必要な事業がなお残ることから、安易な予算の削減を行うべきでなく、きめ細かい取り組みを着実に進めるためにも、継続して必要な予算を確保します。
被災跡地と公共施設の有効活用
- 公有地と民有地がモザイク状に分布する被災跡地を復興事業に有効活用するため、行政機関が民有地を簡易・迅速に利用できるようにする「東日本大震災復興特別区域法改正案」の成立を、また、相続人が確定していない被災跡地を円滑に処分できるようにするため、不在者財産管理人に関する民法の特例等を定める「土地等処分円滑化法案」の成立を図ります。
- 改築・新装された文化施設やスポーツ施設について、維持・修繕を確実に実施できるようにするため、国は多様な収益機会を提供します。
復旧・復興に要する人的支援の継続
- 災害公営住宅入居者の孤立・孤独死防止のための見守り・心のケア・生活支援の実施や、交流の場の確保が求められていることから、人的支援、民間支援団体への支援を継続します。
- 災害公営住宅では家賃負担の上昇による退去者の増加や若い世代の収入超過による退去が発生しており、コミュニティの担い手不足につながるなど、復旧・復興の阻害要因にもなっていることから、一人暮らしの高齢者や障がい者、高齢世帯などの見守りを行う入居者や、自治会の担い手が収入超過により退去することのないよう、家賃の上昇を緩和するなど実情に合わせて柔軟に対応します。
被災した地域公共交通への支援
- 地域の生活交通を担うバス事業者と離島航路事業者については、今後も利用者の減少などに伴う欠損額の増加が見込まれることから、引き続き支援の継続と十分な予算措置を講じます。また、住民バスに対する補助が大幅に減少し、市町村の財政負担が増大していることから、「被災地特例」が終了した路線バスと合わせた一体的な路線の見直しを見据え、十分な財政支援を講じます。
中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ補助金)・事業復興型雇用確保事業の延長
- 復旧に必要な土地造成の遅れに伴い、引き続きグループ補助金の募集と財政措置を講じます。また、造成の遅延による事業所再建計画の変更などは柔軟に対応するとともに、事業復興型雇用確保事業の実施期間を延長します。
福島県以外の指定廃棄物の処理
- 福島県以外の指定廃棄物の処理については、地元の理解を得つつ、国が責任を持って適正に処理するよう取り組みを進めます。
復興庁の本来機能の発揮
- 復興大臣がリーダーシップを執ることにより、被災自治体からの要望をワンストップで受け、「復興の司令塔」として復興事業を統括するとした設立趣旨に適う本来の機能を復興庁が発揮できるようにします。
- 復興庁の司令塔機能を強化するために、各省から出向で人材を受け入れる場合は、出向元が関わる復興事業の制度を熟知し、被災地と被災者に寄り添った制度の運用と見直しへの意欲があるかを確認します。
- 年月の経過とともに多様化する被災地・被災者のニーズに応えるために、今まで以上に地域に寄り添い、きめ細やかな復興支援を行います。また、わが国を地方分散型社会に移行させる上で有為な人材を育成するため、テレワークも活用して出先機関に人員をシフトさせます。
農林水産物等の輸入規制への対応
- 東京電力福島第一原子力発電所事故により、いまだに中国・韓国など、諸外国による農林水産物等の輸入規制が行われています。わが国の農林水産物等の安全性の信頼回復を図るとともに、一刻も早く規制が撤廃されるよう積極的に働きかけます。また、輸入規制によって大きな被害を受けている農林水産物については、規制撤廃に向けた取り組みを推進するとともに、国内外での消費拡大を図るため積極的に支援します。
震災遺構の整備と長期的保存、語り部など伝承活動への支援
- 震災の記憶の風化を防ぎ、教訓を後世に伝えるため、震災遺構をそのまま残す際などには、維持・保存にも従来とは異なる手法・技術も求められることから、長期にわたる財政的支援を講じます。また、教訓を生かした内容とするため、語り部などの伝承活動や防災教育活動など、ソフト事業の継続に対する人件費等をはじめとした財政支援を強化します。特に、風評被害についての実態等について記録を残し、払拭に努めます。
- わが国が世界の震災・津波対策の向上に貢献できるよう、東日本大震災地震津波防災ミュージアム等を、最大の被災県である宮城県に整備します。
復興・被災者支援に取り組むNPO等への支援強化
- 被災地域の課題解決に取り組む企業やNPO等のマンパワーを強化するため、被災者以外の人材を雇用した場合でも「事業復興型雇用確保事業」により人件費等を補助します。
- NPO等は、きめ細かいニーズ把握や伴走型の支援に「絆力」(きずなりょく)を生かした復興・被災者支援の実績があることから、移住人口や関係人口の増加、地域内の人のつながりの強化に結びつく取り組みに対し財政的な支援を拡充するとともに、事業運用の柔軟化を図ります。また、被災後10年以上が経過する中で、寄付や助成等が減少していること等から、各種補助事業についても継続します。
自治体職員等への支援の継続
- 今もなお復興業務を進めるためのマンパワーが不足していることから、復興の担い手である自治体職員等への心のケア等の支援を継続し、自治体ごとのニーズに対応した全国からの応援職員の派遣をはじめ、人材確保のための取り組みを拡充します。
災害援護貸付の償還困難者への支援
- 債務者の生活実態に即して債務免除や償還期限の延期を行った市町村に対し、財政負担の軽減に資するよう、災害弔慰金法、地方自治法、債権管理法等の規定を検証します。
災害関連死の取り扱いの統一
- 災害関連死は、被災県ごとに申請件数に対する認定率が異なるため、統一的な取り扱いができるよう、その基準を作成・公表することを定める「災害弔慰金支給法改正案」の成立を図ります。
株式会社「東日本大震災事業者再生支援機構」の新たな活用
- 東日本大震災後に借り入れを重ねるなどして苦境に陥っている被災者に対しては、二重ローン対策を行ってきた株式会社「東日本大震災事業者再生支援機構」がこれまで培ってきたノウハウを生かしつつ、既存の支援先か否かを問わず、被災者の債権買い取りや出資ができるよう制度を改善します。
東日本大震災からの復興施策の検証と防災教育の徹底
- 震災から10年以上が経ったことに鑑み、これまでの復興施策を被災者の意見を踏まえて第三者委員会で検証し、支援のノウハウや災害関連死等の課題を取りまとめ、今後起こり得る大規模災害に生かせるよう、関係者に周知し、次世代へ継承します。
- 震災の教訓を踏まえ、教職員を含めた学校での防災教育を徹底します。また、全国的に毎年のように台風や豪雨などに見舞われていることから、被災地においてもハード及びソフトの両面で、防災についてあらためて再点検を実施します。
- 予算の使途の点検、事業の効果検証等を行うなど、これまでの復興事業の総括を実施し、その総括結果に基づき、災害対応法制・組織体制などを見直し、改善につなげます。
被災県に対する教職員定数の中長期的な加配措置、就学・教育支援
- 時間の経過とともに、児童生徒を取り巻く家庭環境や生活環境の問題が多様化・複雑化しています。学校現場の実情に応じた教育復興加配教職員の定数措置を継続し、政令加配定数を基礎定数化します。
- 避難生活の長期化等により保護者の生活基盤が回復せず、就学が困難になった児童生徒の教育を受ける機会を十分に確保するため、「被災児童生徒就学支援等事業」の就学援助事業、奨学金事業及び私立学校の授業料等減免事業について、中長期的に必要な予算を確保します。
- 被災地の子どもに対する風評に基づくいじめをなくします。また、東日本大震災・原発事故に起因する不登校やいじめ等により学校生活に困難を抱える子どもへの支援体制の強化及び学校・教育委員会への指導の徹底に取り組みます。
- 震災孤児・遺児に対する公的支援は、財政措置は当然ながら、地方公共団体、里親、支援施設に任せきりにせず、家庭内、学校での状況の把握、サポートについて国が責任を持って支援します。
医師の地域偏在の解消
- 復興の障害となっている医師の地域偏在の解消など、東北地方の地域医療の課題解決に向けて取り組みます。
コミュニティFMの活用
- 過疎地で1人暮らしを続ける被災者などにとって、コミュニティFMは孤独感を緩和し地域情報を入手する上で重要であるため、採算の厳しい被災地のコミュニティFMに財政支援を行います。
地域の活力と持続可能性の向上に向けた移住・定住等の促進
- 被災地の復興を支える移住者を増やすため、被災自治体への移住者(帰還者を含む)の推移を把握して、事業の継続的改善に活用します。さらに移住したいと思われるような魅力ある地域となるよう、関係自治体の取り組みに対して財政支援を含めたバックアップを行います。
- 特に若い世代の東北6県へのUターン、Iターン促進施策を強力に推進するなど、東北地方の人口減少対策に取り組みます。
- 復興の推進に当たっては、ジェンダー平等の観点や障がい者の視点を尊重しながら取り組みます。
- 地域内での住宅再建を後押しするため、住宅の再建等の際の支援金の上限と国庫補助率の引き上げを行う「被災者生活再建支援法改正案」の成立を図ります。
- 漁獲高の激減と魚種の変化により、漁業の継承や新規参入が困難になっているため、継承者や新規参入者の初期投資を補助します。
福島県を「グリーンリカバリー」の牽引役へ
- 一日も早い原発ゼロ社会の実現を目指し、福島県を再生可能エネルギーや新エネルギー社会を切り拓く先駆けの地とするため、福島県発の技術開発や社会モデルの構築に向け、強力に支援します。
- 水素社会の実現に向け、福島県で関連技術の開発や普及に向けた環境整備の実証に取り組み、世界をリードする「ふくしま水素モデル」を構築します。
- エネルギーの地産地消によって地域社会の再生と防災化を図る新たな「ふくしま地産地消モデル」を目指し、先例にとらわれない大胆な取り組みを展開します。そのために必要な送電網整備については、財政措置を含め強力に支援します。
- 福島県が掲げる、2040年頃を目途に県内の一次エネルギー供給の100%相当以上を再生可能エネルギーで生み出すとした目標について、大幅な「前倒し」が可能となるよう県と協議して強力に後押しします。
福島国際研究教育機構の整備
- 基本構想については、具体的な機能や関係者の役割分担等を明らかにし、検討に当たっては、地元の意見を十分に踏まえるようにします。また、本機構の中長期的な運営のため、国が責任を持って持続可能な予算を十分に確保します。
- 本機構の設置に当たっては、トップの人選が重要なポイントとなることから、その招へいにあっては政府を挙げて取り組み、併せて、世界レベルの研究拠点を目指しつつ、その得られた研究成果を、雇用を含めた地域経済へ波及させます。
- 本機構の立地地域の選定については、既存組織との連携、生活環境、交通アクセス等の整備状況を重視し、参加する大学・企業等の意向も踏まえながら、地元自治体の意見を尊重します。
国際リニアコライダー計画等の誘致
- 「新しい東北」に資する国際リニアコライダー計画(世界最大級の電子・陽電子衝突型線形加速器の開発計画)等の国際研究開発プロジェクトが被災地に誘致されるよう、関係機関と連携・協力します。
東北への観光支援
- 被災地域に対する海外からの誘客、修学旅行等の団体旅行誘致などの地方の取り組みを支援し、「東北観光」を重点的に位置付けるとともに、国際会議やスポーツ大会等の大規模イベントの東北開催について特段の配慮を行い、被災地域全体への来訪を促進します。