立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

環境

総論

  • 強力な台風や線状降水帯などの発生による自然災害が激化していることから明らかなように、地球温暖化による気候変動は、人が豊かに生きる地球環境を破壊する最も重要な要因の一つです。また、環境省の前身である環境庁の原点、水俣病問題は解決しておらず、それどころかPFAS汚染問題など新たな公害が発生しています。これまで続く経済優先一辺倒ではなく人命や環境を重視し、環境と経済の好循環を目指します。
  • 持続可能で、環境に調和した社会への移行に対応するため、国家の責任で専門的かつ省庁横断的な課題解決の仕組みを構築します。また、環境政策の根幹である環境基本法等について、予防原則や汚染者負担原則などを含め、抜本的な見直しに向けて検討します。専門家だけでなく、NGO・NPO、将来世代である若者や関係者の意見を丁寧に聞き、環境分野での政策立案を共に進めるとともに、国会の委員会等への参考人として積極的に招致します。

環境健康被害救済・公害政策

  • 縦割り行政を排し、人の生命・健康と環境を守る観点に立った総合的な化学物質対策を進めます。昨今、被害が増加してきた香害などへの対応を含め、成分表示や表記の統一等、化学物質の製造から廃棄までの全体を、予防的取り組み方法に基づいて包括的に管理するための総合的な法制度の検討を進めます。
  • 環境健康被害の回復・軽減策及び被害防止対策の迅速な実施を図るため、「環境健康被害者等救済基本法」の制定に向けて検討を進めます。
  • 公害健康被害補償不服審査会の審査を迅速化すべく、委員の増員やオンライン審査の在り方などを検討します。
  • 差別や偏見のない社会を目指し、公害問題について学ぶ機会を充実させるとともに、公害を風化させないため、公害問題のアーカイブ化などを推進し、公害に関する資料の保管又は展示を行う研究機関及び民間団体等に対する継続的支援について検討します。

水俣病

  • 2024年5月1日、環境大臣と水俣病被害者団体との懇談の場で起きた発言遮断はあってはならないことです。現地の皆さんと環境省との信頼関係の改善を図るとともに、水俣病特措法の再開(未申請者)と、疫学を含む健康調査の2年以内の実施、健康調査の結果などを受けての水俣病特措法の抜本的な見直しを目指します。
  • 水俣病問題の解決には現行法の運用で対応できることもあることから、療養費などの充実、離島加算の増額、柔軟な認定ランクの変更などを進めるとともに、汚染者負担の原則に委ねていては被害者が不利益を被ることになる場合の救済の在り方について検討します。

PFAS汚染

  • PFAS汚染問題は、生きる上で基本となる安全な水の確保の問題です。国民の健康と安全を守る立場として、汚染源特定のために土壌調査を実施するとともに、広く血液検査を行い、PFASの血中濃度が高い場合に相談や支援につながる仕組みを設け、これ以上のPFAS汚染の拡大防止と市民の不安の解消を目指します。
  • PFASは多くの製品等に使用されてきたことから、関係する省庁が多く、主導的に取り組む省庁がないことから、省庁間の連絡会議などを設けるとともに、PFAS問題に政府が責任をもって取り組む体制をつくります。
  • PFAS等、特定の化学物質等による水の汚染が疑われる場合に、地方自治体のみに任せるのではなく、国が汚染源を特定し、環境・健康調査をすることを義務付け、飲み水の安全を確保する等の法整備を目指します。

アスベスト健康被害

  • アスベスト被害者の属性により救済内容に格差が生じない隙間のない救済を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開・情報開示の促進や、患者・家族をはじめとする関係者の参加を確保しながら基金を創設するなどのアスベスト対策を総合的に推進します。
  • 2021年に成立した建設アスベスト給付金法によって、裁判によらずに被害者に給付金が支給されることになりましたが、石綿建材メーカーは基金への拠出に応じていません。石綿建材メーカーも参加した救済基金の創設を目指します。
  • 解体作業でのアスベスト飛散防止を徹底するため、特定粉じん排出等作業での大気濃度測定の義務化や、専門的知見を持つ第三者による事前調査・作業完了段階での調査の義務化、特定粉じん排出等作業を行う事業に関する許可制度の導入を検討します。

シックハウス症候群や化学物質過敏症対策

  • 建築物に由来する化学物質被害を防止し、シックハウス症候群の被害者の増加を防ぐため、建築物完成後の居室内の有害化学物質濃度測定を義務化し、基準を超えた場合には改善を求めることや、大規模な公共建築物における有害化学物質の定期的な測定の義務付けなど、シックハウス対策のための法制度の検討を進めます。
  • シックハウス症候群や化学物質過敏症など、化学物質による健康リスクを低減させるため、実態調査や発症メカニズムの解明など科学的知見を充実させます。被害者には、有効な治療体制の確立、都道府県ごとに長期滞在型療養施設を建設するなどの対策を進めます。
  • 呼吸器系・循環器系への影響が心配されているPM2.5や黄砂について、モニタリングポストを増やし監視体制を充実させるとともに、有効な発生源対策を講じていきます。また、PM2.5や黄砂の濃度が増加した場合の措置(注意報)を大気汚染防止法に位置付けるなど、全国で統一的な対応ができるよう検討を進めます。また、海外のPM2.5の発生源に対しては、環境技術供与などを通じて、日本に飛来するPM2.5を減らしていきます。
  • 国民の約4割が罹患しているといわれるスギ花粉症の対策を強化するため、スギ人工林の伐採・利用・植え替えの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発をさらに進めます。

気候危機・気候変動対策

温室効果ガス削減目標・目指す方向性

  • 気候変動は人類存亡につながる人類共通かつ最大の脅威であり、その影響はこれまでにない厳しい気象現象や自然環境へのダメージなどの形で顕在化し、気候危機といわれる時代を迎えています。将来世代への責任を果たすため、あらゆる施策を総動員し、気候危機からの脱却を実現します。(再掲)
  • パリ協定の目標を達成するため、2030年に2013年比55%以上の温室効果ガス削減を目指します(60%削減も実現可能と検証済)。(再掲)
  • 地球温暖化対策に関する、国際社会に通用する新たな中長期数値目標の設定、再生可能エネルギー導入目標の設定、省エネルギーの徹底、技術開発の促進、環境外交の推進、適応等を盛り込んだ基本法の制定を図ります。これにより、地球環境・生物多様性の保全、新たな産業の創出、就業機会の拡大など、環境と経済発展の両立を図ります。(再掲)

情報開示・多様な意見をすくいあげる仕組み

  • 気候危機リスク及び気候危機への取り組みの開示を進めることなどにより、環境金融(環境に配慮した金融)やESG投資(環境、社会貢献、企業統治に配慮する企業への投資)を促進します。(再掲)
  • 気候変動対策推進のため、国民の意見を気候変動対策・エネルギー政策に反映させる仕組み(抽選による国民会議の設置=くじ引き民主主義)の創出や法律名の変更など、現行法の抜本的な見直しを行います。(再掲)
  • 将来世代への影響を長期的観点から検討する「未来世代委員会」を創設し、公平・公正で開かれた科学的な政策議論を行い、国会や政府に対して提言・勧告を行うことができるようにする「未来世代法」の制定を目指します。(再掲)

カーボンプライシングなど構造変革促進

  • 全体としての税負担の軽減を図りつつ、気候危機対策を推進するためのカーボンプライシング・炭素税の在り方について、税制全体の見直しの中で検討を進めます。(再掲)
  • 強力な温室効果ガスであるフロンについては、その回収を徹底するとともに、助成制度の充実等により、自然冷媒など代替物質への速やかな転換を推進します。(再掲)
  • 技術革新に過度に依存せず、既存の省エネ・再エネ技術で最大限の温室効果ガス削減を行います。(再掲)

生物多様性の保全

生物多様性の国際目標

  • 豊かな生物多様性を守るため、2030年「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に定められたネイチャー・ポジティブの実現を目指します。
  • 生物多様性条約の2020年愛知ターゲットの目標が達成できなかったことについての検証と、これからの目標設定に積極的な提案を行っていきます。
  • 新枠組の目標に掲げられた陸と海の少なくとも30%以上を保全しようとする目標「30by30」を推進します。例えば沖縄県・西表島で世界自然遺産登録の際に指摘された現地の脆弱な生物多様性の劣化・損失を防ぐためのオーバーツーリズム対策等について検討します。
  • 「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」(ABS)について、薬品や健康食品等では、産業界から学術分野など多様な分野にわたっており、指針だけでの対応では限界があるため、ABS国内指針の法制化を検討します。

地域の生物多様性

  • 地域ごとの生物多様性の取り組みが重要であることから、「生物多様性地域戦略」の策定を促進します。
  • 里山、里地で育まれていた生物多様性の復活を目指して、自然再生とバランスの取れた活用を進め、都市部での緑地の保全、緑のネットワークの整備を進めます。
  • 生物多様性の宝庫でもある海を豊かな状態で保つため、海と海岸域、河川と森林など、陸域とのつながりを重視した一体的な保全と管理を実施していきます。
  • 生物多様性の宝庫である森林は、水源涵養機能を持ち、二酸化炭素の吸収源でもあります。日本の森林の4割を占める人工林は間伐・主伐を計画的に実施し、持続可能な森林経営、さらには潜在植生による自然林の復活を進め、健全な森林再生を推進します。
  • 生態系保全、国立公園管理、外来種対策、野生鳥獣保護、エコツーリズム等を推進する環境省自然系職員(レンジャー)の増員を行います。併せて、分野を限定せずに地域でサポートをする人や団体が増加する仕組みを検討します。

外来生物対策

  • 侵略的外来生物の駆除、野生生物の適正管理を機動的に行うための基金を創設します。
  • 外来種対策の強化として、問題を引き起こしている外来種の中から特定外来種をリストアップし、その移入や移動を禁止する「ブラックリスト」方式ではなく、海外からの生物の持ち込みを原則禁止し、徹底した予防原則に基づき、安全等が確認されたもののみ輸入を許可する「ホワイトリスト」方式への変更を検討します。
  • ヒアリなどの特定外来生物による日本の生態系への影響を水際で阻止するため、港湾・空港、運輸、自治体、関係府省などとの連携を強化し、水際対策を進めます。
  • 外来生物法改正では、アメリカザリガニやアカミミガメについて、輸入・放出・販売等を禁止する一方、飼養することのみを可能としましたが、一般家庭等で多く飼われている現状の中で、今後どのような解決を目指しているか不透明であることから、動向を注視し必要な対策を検討します。
  • 湖沼等の水を抜いて水質を浄化し、外来生物を駆除する「かいぼり」を積極的に活用し、在来種保護と生態系保全を推進します。

生態系汚染対策

  • これまでの拙速な議論を見直し、予防原則に立った遺伝子組み換え生物の施策の在り方について検討します。
  • ゲノム編集技術の一部は生物多様性を確保するカルタヘナ法の規制対象とはなりませんでしたが、科学技術の進展によっては今後、環境や安全へのリスクが増大する可能性に鑑み、法が規制をしていない対象物についても、政府が情報収集を行うよう求めます。

ナショナルトラスト、サプライチェーン上の課題

  • 日本の美しい自然、豊かな生態系を後世に引き継ぐため、民間が行うナショナルトラスト活動に対し支援を行う法制度(ナショナルトラスト法)の検討を進めます。
  • 世界で象牙の市場が閉鎖される中、日本が活発に市場を開いていることで違法な取引の温床となっていることから、象牙の違法な国際取引を阻止するための規制強化等を検討します。
  • 伐採木材の有効活用(国産材の利用促進、C・D材のバイオマス資源としての活用など)を充実させ、併せて海外から流入して日本の木材市場に悪影響を及ぼす違法伐採木材を日本の市場から排除するため、合法性の確認を徹底する仕組みや、違法伐採木材である可能性を否定できない木材流通の在り方について検討します。

ワンヘルスの実施施策強化

  • 近年の新興・再興感染症の多くは動物由来の人獣共通感染症となっており、有効な人獣共通感染症対策、薬剤耐性(AMR)対策等を推進するため、人や動物の感染症研究を担う国や大学等の機関、全国的に構築された医師と獣医師との連携体制の下、人及び動物の健康並びに野生動物を含む環境の保全を一体的にとらえて対処する「ワンヘルス」の実施施策を強化します。(再掲)

動物愛護・福祉の強化

  • 人と動物が幸せに暮らす社会に向け、動物を飼養・管理する者の責務と動物取扱業者の責任の強化、動物に不必要な苦痛を与える虐待行為に対する罰則の強化などに取り組みます。
  • すでに禁止されている出生後56日以下の生体販売について、いまだに販売されている現状があることから、徹底した運用を推進するとともに、ペットショップにおける生体販売の規制の在り方について検討します。
  • 産業動物や動物実験への対応を含め、動物福祉に関する法整備や「動物園法」の制定を目指します。
  • 畜産動物の福祉を向上させるための支援ができる法規制等を整備し、アニマルウェルフェアの世界標準達成を目指すとともに、畜産物を調達する企業の国際競争力の低下を防止します。具体的には、ケージフリーやバタリーケージの導入など、消費者・生産者目線に立ちながら検討します。
  • 動物の高額取引や密輸入などを規制するため、罰則の強化について検討します。
  • 動物虐待事犯を取り締まるためのアニマルポリスの設置、虐待所有者からの「所有権はく奪」と「緊急一時保護」制度の創設について検討します。
  • 学校飼育動物などが虐待下にある場合の救済について検討します。
  • ペットの同行避難の推進や、難病のFIPに対する治療薬など動物用医薬品の拡充を検討します。

鳥獣保護

  • 人とクマとの遭遇が多く報告されていますが、クマが突如として狂暴化したのではなく、地方の過疎化などによって人の領域とクマの領域の接近など多面的な要因があります。そのため、駆除一辺倒ではなく、下草刈りやにおいが漏れないゴミ箱の設置などを徹底することで人とクマとのあつれきを軽減し、人身被害等を防止する体制整備も含めた効果的かつ効率的な保護管理について検討します。
  • 狩猟を行う後継者の育成のため、狩猟を学び訓練する施設の増設を進めます。
  • 近年、イノシシ、シカ、クマ、サル、キョンなどの野生鳥獣による農作物被害や人身被害が増えています。生態の調査及び適切な管理体制を強化します。

資源循環・脱使い捨てプラスチック

プラスチック汚染対策

  • 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の基本として、使い捨てプラスチックの使用量を減らすことが最も必要かつ効果的な対策であることから、脱使い捨てプラスチック社会を目指し、「廃プラゼロ法」の制定を検討します。
  • プラスチック汚染に関する法的拘束力ある国際条約の策定に向け、実効的な国際条約となるよう後押しします。
  • 事業者の使い捨てプラスチック削減の取り組みは限定的であるため、ライフスタイル変革に不十分な現行の政策を見直します。
  • 3Rで最も優先すべきプラスチック廃棄物の発生抑制対策が圧倒的に不足しているため、再資源化のための回収を担う自治体の負担の在り方も含めて実効性ある対策を検討します。
  • 現在政府が「有効利用」している廃プラスチックの熱回収については、実態としては石油から生産されたプラスチックを使用後に燃やしてエネルギーを得ているものであるため、気候変動対策の視点から、熱回収ではなくリサイクルする仕組みを検討します。
  • マイクロプラスチックは風や海流に流され、すでに南極まで到達していることが確認されるなど、地球全体での生態系への影響が深刻化していることから、すでに一部の業界団体が実施している自主規制を法制化するなど、マイクロプラスチック対策について検討します。
  • 海洋プラスチックごみの回収について、労務費の助成などのコスト面も含めた具体的な対策を検討します。
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資源循環・不法投棄の課題

  • 省資源型の循環型社会への転換を実現し、廃棄物の不適正処理や不法投棄を防ぐため、廃棄物に関連する法制度を抜本的に見直します。
  • 廃棄物を有価物であると称するなどの不適正事例によって、環境や地域住民の健康への悪影響の懸念が生じるとともに、対応する自治体の負担も増加していることから、廃棄物の定義を明確化し、排出者責任を徹底させるとともに、国として責任ある対応を行います。
  • 大量生産・大量消費型社会による環境負荷を低減するため、動静脈産業の連携を促しつつ、拡大生産者責任の趣旨に則って動脈産業における資源循環と廃棄物の発生抑制に関する施策の充実・強化を促進します。
  • 全国の約2800件、総残存量1010万トン以上の過去の産業廃棄物の不法投棄に関して、循環型社会への転換の過程で、2050年に向けて国が先頭に立ち、全件を適正処理することを目指します。
  • 「負の遺産」として遠ざけられがちな廃棄物の最終処分場について、適正かつきめ細かな管理・監視体制を構築し、人の健康が脅かされることのない安全・安心な社会づくりを目指します。
  • 循環型社会への移行は最優先であるものの、廃棄物の最終処分場の新たな建設は必要であることから、地下水脈など飲料水の水源地となっている地域には処分場を建設しないように規制を制定し、水環境を守ります。

フードバンク食品ロスの削減

  • 政府目標「2000年度比で2030年度までに食品ロス半減」に向け、「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、国民運動として食品ロスの削減を推進します。(再掲)
  • サプライチェーンを通じた連携やフードバンク等の取り組みを推進するため、生ごみの資源化や個人・企業によるフードバンク等への食品の現物寄付に関する税制優遇措置や、意図しない不慮の食品事故についての寄付者への免責制度の導入、商慣習の見直し等による食品ロス削減に資する供給システムの確立を進めます。(再掲)

環境教育・環境情報の公開

  • 環境問題の解決のため、自分たちの生活と自然環境との関係について学ぶ機会が重要であるという観点から、地域やNGOと協力し、環境教育プログラムの開発を促進して学校などでの環境教育を充実させ、環境と経済が両立する持続可能な社会を構築します。
  • 幼少期の自然との触れ合いは自然環境への意識、感性、命に対する意識に大きな影響を与えるものであることに鑑み、学校教育でのプログラムに加え、地域での環境教育プログラムの充実を図ります。
  • エコツーリズム・グリーンツーリズム(自然や農業に親しむ観光)・里山体験・ホエールウォッチングなどを推進し、自然環境保全態勢を整備するとともに、自然環境や生物多様性の重要性・希少性・経済性を学び、自然環境が損なわれる事態が生じないよう、意識向上のための取り組みを進めます。
  • 大気、水質等のモニタリング、自然環境保全基礎調査、各法律の施行状況調査、気候変動枠組み条約等国際条約に基づく報告等、環境省をはじめ各省庁で環境に関する情報の集約は行われています。しかし環境問題ごとの項目の整理がされておらず、データベース化されていないことから、それらの情報が政策決定を行う際に十分に提供され、調査の結果が反映できるよう、抜本的な見直しを検討します。
  • 政策形成過程における市民参画の在り方、環境団体訴訟(環境団体が、環境利益を守るために、行政や企業などに違法行為の差し止め等を求める公益訴訟)の導入について検討します。

環境を巡るさまざまな課題の解決

  • 重大な環境影響を未然に防ぐことを目的とした環境アセスメント法ですが、事業の実施決定後に配慮書が作成されるなど、未然防止の仕組みが不十分であるだけでなく、一度事業が始まると環境への負の影響があったとしてもその事業を止める手立てがありません。また、住民の参加や情報公開がまだ不十分であることから、住民参加の機会を確保することは当然として、地域を主体とし、保護すべきエリア等を設定するゾーニング制度の導入や、国と自治体の役割分担を見直し自治体の負担を軽減する観点からの欧州のセントラル方式の導入、環境影響が重大である場合の事業の一時停止措置や事業を行わない選択肢の追加など、法改正を含めて検討します。
  • 環境問題における情報へのアクセス、意思決定への市民参加及び司法へのアクセスに関する国際条約であるオーフス条約の批准を目指します。
  • 公共施設の建設などへの違法伐採木材の使用や、イベント開催時に多くの使い捨てごみが排出される現状を変革するため、責任ある調達や積極的な3R体制の構築を推進し、大型イベントのグリーン化を積極的に進めます。
  • 下水道、農業集落排水、合併浄化槽の適切な配置について見直しを行い、良好な水循環の確保と効率的な生活排水対策を進めます。特に、新たに公共下水道の排水区域となる地域については、硬直的な接続義務を見直すことにより、より効率的に事業を進めます。
  • 生物が厳しい生存競争の中で獲得してきた巧妙な仕組みや形態は、極めてエネルギー効率が高く、環境への負荷が非常に少ないという特色があることから、このような生物の機能や形態をまねた技術、バイオミメティクスの研究開発を推進します。