立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

行政改革・行政監視

行政改革

総論

  • コロナ禍の下での給付金の支給の遅れや使い勝手の悪いアプリ、「アベノマスク」の無駄遣いなど、国民のニーズから乖離した施策の数々は民意を顧みない無責任な政治の帰結です。納税者の視点で行政の施策を見直すとともに、必要な施策には人員と財源を移し、適材適所の資源配分を行います。
  • 未来を考え、①国民に開かれた行政組織の再編、②「ブラック霞が関」を脱却して職員のやる気を引き出す適材適所の人事行政を提案するとともに、国会活動が公務員の過度な長時間労働などを助長しないよう国会改革に努めます。
  • 保健所の削減によるコロナ禍の下での医療崩壊や、度重なる豪雨災害等への対応の不備など、「小さな政府」「身を切る改革」が必要以上に進んだため国民の生活に負の影響が出ています。安易な人員・経費の合理化による住民サービスの切り捨てではなく、国民の命と暮らしを守り抜き、ベーシックサービスを充実させます。
  • デジタル化は必要不可欠であり体制整備は急ぐべきですが、安易な人員削減に結び付けることなく、適切に人員を配置し、住民サービスの充実・向上を図ります。①政府による国民の監視手段にしない、②個人情報の保護の徹底、③セキュリティの確保、④利便性の向上、⑤苦手な人も含め誰も取り残さず、使わない人が不利にならない――の5原則をもとに、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。(再掲)
  • 政府による民間への業務委託について、全府省統一の適切なルールを設けます。
  • 経済財政諮問会議をはじめとする重要な会議の委員・議員に、働く者の代表者を加えます。

行革実行体制

  • 既得権や癒着の構造を断ち切り、国民本位で時代に即した質の高い行政の実現のために、常に行政構造の見直しを続けます。国の取り組む行政改革の理念、行革実行体制を確立し、実際に取り組む施策を明確にすることで、国民本位の行政を実現します。また、国から地方への財源と権限の移譲を抜本的に進めます。

市民参加の行政改革

  • 法律の制定・改廃を国民が発議できる国民発案(イニシアティブ)制度を導入します。
  • 問題があると思われる国の財務行為について、国民が、会計検査院に対して監査を請求し、会計検査院の対応が不十分なときは、国などを被告として必要な措置を取るよう請求する訴訟を提起できるよう、公金検査請求訴訟制度を創設します。
  • 請願のデジタル化や、オンラインで多様な市民の意見を集め、議論を集約し、政策に結び付けていく市民参加型合意形成プラットフォームの活用など、国民が行政や立法の意思決定プロセスに直接参加できる「シビックテック(市民によるデジタルを活用した課題解決)」を推進し、民主主義をアップデートします。(再掲)
  • デジタルを活用して民主主義の進化や社会問題の解決に役立てます。
  • デジタル技術を活用したプッシュ型支援の促進など、行政サービスの利便性向上を図ります。(再掲)

中央官庁改革・国の機能の分散化

  • コロナ禍で機能不全が明らかになった中央官庁の再編を含む抜本的な改革を進めます。
  • 中央官庁については、厚労省の肥大化や内閣府・内閣官房への業務集中が進んだ弊害が指摘されています。場当たり的な官庁の新設などはせず、①肥大化しすぎて行政事務や国会対応に支障が生じていることが明白となっている中央官庁の分割、②消費者保護や子ども・子育てなどの分野での縦割り行政の弊害の除去、③総務省の放送・通信の免許・許認可行政の独立行政委員会への移行などの観点で改革に取り組みます。
  • 頻発する自然災害や感染症への対応等で、公務の職場での超過勤務の常態化や、職員の健康維持の問題等が課題となっています。ベーシックサービスを充実させる観点から、機構・定員の過度な削減や独立行政法人の効率化係数の杓子定規的な遵守を見直します。「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」(2014年7月25日閣議決定)に基づく定員合理化目標を見直し、適正な労働条件の下でゆとりをもって質の高い行政サービスを提供できるよう、業務に必要な定員確保を図るようにします。
  • 中央官庁などの国家機能については、今後の自然災害の可能性や国土の人口バランス、テレワークの普及などの視点も踏まえて、分散配置を進めます。

公務員の働き方改革

  • 総合職への志願者の減少、中途退職者の増加など、公務員を取り巻く危機的な状況が表れています。内閣人事局による幹部人事の在り方を見直し、庁内公募制度の活用なども含めて適材適所でやりがいのある人事運用を通じて有能な人材が国家公務員を志願するよう、開かれた透明性の高い人事行政を目指します。
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大といった社会的危機や、頻発する激甚災害などに対応するためには、質・量ともに高い公務公共サービスを実現する必要があり、そこで働く全ての者に保障されるべき権利としての労働基本権回復と、自律的労使関係制度の確立は急務です。(再掲)
  • 公務員のなり手不足への対応と、仕事のやりがいや働きがいの実現、さらにはワーク・ライフ・バランスと、少子化に対する「共働き・共育て環境」の実現などさまざまな観点から、公務員の残業時間の削減を含めた「働き方改革」を徹底的に進めます。(再掲)
  • 公務員の若年退職者の増加と志望者の減少に鑑み、多様で優秀な人材の確保のための対策を強化します。適材適所でやりがいのある人事運用を通じて多種多様な意欲ある有能な人材を招き入れるため、採用総数に対する合格者数比率の引き上げ、応募者増加のためのインターンシップの機会の提供拡大、社会人の中途採用や退職者の出戻り採用の拡大など、年代や経歴を問わず素養のある人材を積極的に採用します。
  • メンター制度の積極的な活用による個別支援、無駄な業務の廃止やDXの推進などによる単純な事務作業の削減、やりがいのある仕事に就く機会を提供する「公募異動」の仕組み、育児や介護など一定の要件に配慮した府省間異動のシステム化などによって、若手の離職を防止します。
  • 国会対応業務等、一定期間業務上の負荷が大きくなる事態に対し、機動的かつ大胆に必要な職員の従事を可能とするほか、適正な超過勤務を前提とした人員の配置と増員を行うことなどによって、超過勤務の縮減を図ります。
  • 本府省の職員が国民・住民と直接向き合う業務に従事する機会を拡大するとともに、霞が関の優秀な人材が地方再生に資するよう、本府省勤務フルリモート化等を措置し、地方を副業先とする2地域勤務を検討します。
  • 公務員の倫理の徹底と不祥事の根絶、公文書管理や情報公開の法制度違反への厳正な対応と、国家賠償責任が発生した場合の幹部職員への求償の在り方の見直しなどによって、公務員に対する国民からの信頼の回復を図ります。

公会計制度改革

  • 国の会計制度を新たな公会計制度によって「見える化」し、財政民主主義を徹底します。
  • 独立行政法人、政府機関、基金、官民ファンド、特別会計等を徹底的に見直し、スリム化を進めるとともに、財務状況等に関して国会への報告を義務付けます。
  • 深刻さを増す放漫財政を健全化し、行財政運営の適正化・効率化を図るため、膨大な予算の無駄遣いの排除や、EBPM(証拠に基づく政策立案)の徹底に努めます。

財政透明化関連

  • 誰もが、税金を何に使ったかを確認・チェックできる仕組みを強化します。「行政事業レビュー」の実効性を確保し、外部性と公開性、使いやすさ、使途の総覧性をさらに高め、予算編成過程や基金事業などの透明性を強化します。
  • 国会の下に独立財政機関を設置して、主要政策の費用対効果や財政の見通しを客観的・中立的に試算・公表するとともに、その試算に基づき「中期財政フレーム」(3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針)を策定することを政府に義務付けることで、放漫財政を改めます。(再掲)

統計

  • 行政利用だけではなく、社会全体で利用される情報基盤である公的統計の不正はあってはなりません。統計業務におけるルールの強化・徹底や予算の充実、専門人材の育成・確保をはじめ、統計を担う体制の抜本改革を進めます。(再掲)

行政監視

国会による行政監視機能の強化

  • 決裁文書改ざんや統計不正など、政府の不祥事が相次いでおり、国会による行政の監視及び立法に関する機能の充実・強化を図り、民意を反映した国政の健全な発展に寄与するため、「行政監視院」を国会に設置します。
  • 会計検査院長への各府省幹部経験者の就任を禁止します。併せて資料の提出拒否・虚偽資料提出等のほか、検査上の要求に応じない等の事案が生じた場合、懲戒処分を要求することを可能とするなど、会計検査院の権限を強化します。
  • 衆議院決算行政監視委員会、参議院決算委員会、参議院行政監視委員会の審議の活性化と政府の施策及び予算への反映に取り組みます。
  • 行政監視機能を強化するため、調査スタッフの拡充や外部専門家人材の登用にも積極的に取り組みます。
  • 国民から期待された行政監視を実現するため、証人喚問をはじめとする国政調査機能の強化等を検討します。(再掲)

公文書管理

  • 国会で文書を巡っての不毛な議論が繰り返されていますが、公文書は役所のものではなく国民のものであり、民主主義の根幹を確実に支える国民共有の知的資源です。公文書の作成・管理・記録を適正に行うことで、政治・行政に対するチェックをしやすくするとともに、公務員の仕事の質や生産性向上にもつなげます。
  • 「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)を改正します。行政文書の定義を見直す(行政文書の要件から「組織共用性」を削除する)ことにより、対象を拡大するとともに、保存期間の上限を最長30年に設定し、保存期間満了後は原則公開とします。
  • 官邸の訪問記録や大臣の動静など「保存期間1年未満の公文書」が行政側に都合良く多用され国民の目に触れず後の検証を難しくしていることから、保存期間1年未満の公文書の在り方について見直します。
  • メールやパソコン等で作成した電磁的記録である行政文書や、外部と接触した場合の当該接触に係る情報が記録されている行政文書の保存期間は、1年未満とすることができないようにします。
  • 閣議及び審議会等の議事録や官房機密費の使途記録の作成を義務付けるとともに、一定期間経過後に原則公表する仕組みを設けます。
  • 行政機関等の事務・事業の公正さに対する国民の信頼を得られるよう、行政機関の職員等が国会議員等と接触した場合における当該接触に係る記録の作成等に関する事項を定める「政官接触記録の作成等に関する法律」を制定します。(再掲)
  • 行政文書の作成・保存・移管・廃棄を官僚が恣意的に行わないようにします。公文書の改ざんや違法な廃棄を防止するため、公文書管理法自体にも重大な犯罪として罰則規定を設けます。
  • 国立公文書館の予算・人員を増やし、独立性を強化して権限を強めます。
  • 独立し公正な立場で行政文書の管理の状況を常時監視する「独立公文書管理監」を法律で位置づけるとともに、実地調査権及び勧告権を付与します。「独立公文書管理監」に無条件で行政文書の管理の適正に関する通報ができるようにします。
  • 特別防衛秘密の管理について、公文書管理法を適用するようにします。
  • 公文書等の管理の適正化を推進するため、独立性及び専門性をもった新たな機関として、内閣の所轄の下に「公文書院」を設置します。
  • 専門的知識に基づく適正な公文書等の管理を確保するため、専門的知識を有する人材(アーキビスト)や現用文書に関する専門家(レコードマネージャー)の養成と各府省への派遣を進めます。