立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

消費者

消費者の権利

  • 事業者と消費者との間に情報の質・量、交渉力に構造的な格差があることから、「消費者の権利の保障」を第一として、消費者行政強化と消費者保護を推進します。また、現在消費者庁では、消費者と事業者の間の情報や交渉力の格差だけでは発生している消費者被害を捉えることが困難との考えから、消費者法制の抜本的見直しが進められていることを評価しつつ、消費者の権利の実現に向けて後退することがないようフォローします。
  • 消費者庁・消費者委員会が消費者基本法の基本理念を踏まえ、供給サイドではなく消費者の立場から消費者行政に当たるよう、しっかりとチェックしていきます。特に、消費者委員会が設置された本来の目的に立ち返り、消費者の権利を保護するとの観点から、独立して各中央省庁を監視する役割を果たせるよう、後押しします。

消費者被害への対策強化

消費者法制全般

  • 消費者被害が疑われる際に、さらなる消費者被害の発生を食い止めるため、立入検査の徹底、業務停止命令などについて、運用状況の見直しを含めて抜本的に見直します。2023年、消費者委員会の専門部会から、ジャパンライフ等の破綻必至商法による被害の回復が現行制度では困難であることから、今後の政策提案を含めた報告書が出されたことを立法府として受け止め、現行法制にとらわれず、総合的に消費者被害対策を検討します。

特定適格消費者団体等の活動支援

  • 特定適格消費者団体が被害を受けた消費者を確実に救済できるよう、被告である加害者側企業・団体の財産に関する情報などを開示するため、関連する仕組みを見直します。
  • 被害者への連絡や広報に係る事務・費用負担を被告である企業・団体に確実に転換させるための制度を検討します。
  • 商品やサービス等に関する広告等に問題がある場合、消費者の適切な商品選択が困難な状況を是正するために特定適格消費者団体等が裁判を行う際、商品等の効能等について疑義があるとの立証を行うことが団体にとって大きな負担となっています。このため、事業者側に効能等を証明する情報を開示させるなど、消費者団体の立証負担軽減策を検討します。

被害者救済制度の創設

  • 加害者側企業の倒産手続によって、消費者被害に係る損害賠償請求権が優先されない課題について、法改正を含め対策を検討します。
  • 消費生活相談の過半を占める財産被害の救済のため、行政機関による財産の保全措置や、悪徳業者が違法に収集した財産をはく奪するなど、被害者救済のための新たな仕組みの創設について検討を行います。

消費者契約法

  • 消費者契約法において長年課題となっている包括的な「受け皿規定」(バスケットクローズ)の導入や契約条項の事前開示、立証責任の転換について、改正を目指します。
  • 過剰与信(支払い能力を超える与信)による多重債務や支払い能力を超えたクレジット契約、消費者金融等からの借り入れなどによる被害からの予防や救済のため、ヤミ金融業者等の悪質な業者に対する取締りの徹底やセーフティネット貸付の拡充とともに、消費者の側に立った消費者契約法等の運用を推進します。
  • サブリース問題等で、被害者が個人事業主と定義され、救済対象にならなかったことから、消費者契約法における消費者要件の見直しを検討します。

特定商取引法

  • 定期購入トラブルについて、特商法改正後も多くの被害が報告されていることから、より効果的な対策について法改正を含めて検討します。
  • 2021年特商法改正で追加された契約書面等の電子化について、消費者庁検討会等で全く議論されていなかったことや、消費者被害の拡大につながるとして消費者団体等から強い懸念が示されていることなどから、契約書面電子化の廃止を実現します。
  • 積み残された課題である不招請勧誘対策の強化は当然として、増加傾向にあるSNS勧誘による投資被害や脱毛エステ契約トラブルなど実際の消費者被害救済のため、特商法の運用強化及び改正に向け、政府に働きかけを行います。

景品表示法

  • 昨今の情報発信の多様化に伴い、誇大広告だけでなく、ステルスマーケティングやダークパターンなど、消費者が意図しないうちに特定の選択をするように誘導され、消費者自身の選択の権利が狭められることがないよう、法整備を含めて検討します。

企業・組織のコンプライアンスの向上

  • 企業・組織が持つ自浄作用を強化するため、通報対象事実の緩和や通報者の範囲の拡大など、公益通報が抑制されず違法行為の是正・抑止に実効性あるものとなるよう、法改正をはじめ、制度の見直しを進めます。

成年年齢引き下げに伴う消費者被害の防止

  • 2022年4月から成年年齢が引き下げられましたが、同年にアダルトビデオ新法が超党派で成立したことから明らかなように、未成年者取消権の喪失に対する法整備は十分に取られておらず、国民の理解醸成も十分ではありません。このため、包括的つけ込み型勧誘取消権の創設や、いわゆるクーリング・オフ制度の期間拡大などを含む「消費者の権利実現法」の制定を目指します。
  • 携帯電話やネット通販などの若年者が締結することの多い契約について、クレジットカード、貸金関係などの業界の自主的取り組みに任せるだけでなく、若年者保護対策を積極的に推進します。
  • 若年者の被害が拡大しやすい連鎖販売取引(マルチ商法)に対する消費者教育を重点的に行うとともに、法執行を強化し、消費者被害の拡大防止のために22歳以下の者との取引を禁止することなどについて検討します。
  • 若年者への消費者教育に関しては、地方消費者行政強化交付金の補助率1/2を撤廃して全額国費負担とし、全国での若年者への消費者教育を徹底します。
  • コミュニケーション手段が多様化するなか、若年層は電話を苦手とする傾向があることから、相談や支援の機会を失うことのないよう、LINE等のSNSを含め、多様な相談機会の創出に向けて政府に働きかけます。

消費者行政の強化

  • 消費者庁は、地方公共団体に地方消費者行政強化交付金等による支援を行っていますが、使途が限定的で活用しにくく、地方公共団体の消費者行政に関する財政基盤や推進体制は、いまだぜい弱であることから、地方公共団体への恒久的な財政支援や、消費生活相談の内容の登録など国の消費者行政に効果が及ぶ事務に対する財政支援を拡充します。
  • どこに住んでいても消費生活相談ができるよう、消費生活センターの全自治体への設置を推進します。地方消費者行政を継続的に下支えする財源を確保し、消費者行政担当者や消費生活相談員に対する研修体制の構築、消費生活相談員の雇用形態や処遇の改善による人材確保等に取り組み、地方消費者行政及び消費生活相談機能の充実・強化を図ります。
  • 消費者裁判手続特例法の円滑な施行と運用、同制度の担い手である適格消費者団体及び特定適格消費者団体等の財政等の支援のため、消費者団体訴訟等支援法人に対し、充実した業務を実施するための支援を行うとともに、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する支援の充実及びPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に係る情報の開示範囲のさらなる拡大の検討を行います。
  • 消費者の生命・身体に被害をもたらす事故の原因を究明し、被害の発生・拡大を防止するため、消費者安全調査委員会の体制を人員・財政面で強化します。
  • 消費者被害の支援者であり、さまざまな被害情報の窓口でもある消費者団体やNPO・NGOとの連携を強化し、より消費者目線に立った消費者行政を推進します。
  • 悪徳商法・特殊詐欺等による、特に高齢者や障がい者等に対する消費者被害を防止するため、地域における見守り活動の推進、消費者ホットラインの周知と利便性の向上、多様な媒体を通じた広報活動の充実などに取り組みます。また、その担い手である消費者団体の専門人材の育成や財政面・情報面等の支援を進めます。
  • 消費生活センターなど消費生活相談を受ける現場で、大規模感染症拡大時等においても十分な相談体制が維持できるよう、テレワーク下での相談体制を強化します。

食品の安全・安心の確保

  • 安全・安心な農産物・食品の提供体制を確立するため、加工食品の分かりやすい原料原産地表示の在り方を検討するとともに、食品トレーサビリティの促進、食品添加物、遺伝子組み換えやゲノム編集食品、アレルギー表示など、消費者が自ら安心・安全を選択できる食品表示制度となるよう見直しを進めます。
  • 輸入食品が量・件数ともに増加している一方で検査率は低下している現状を踏まえ、輸入食品の監視体制を強化し、違反・違法食品の流通を防止するため、税関職員や食品衛生監視員等の人員確保など検疫体制を整備するとともに、トレーサビリティ制度の確立に向けて、米国の食品安全強化法など国際的動向を参考に必要な法整備に取り組みます。
  • 内閣府・農林水産省・厚生労働省・経済産業省・環境省に分断されている食品安全の管理機能を一元化します。
  • 廃棄食品の横流し・再販売事件の再発防止に向けて、消費者庁と厚生労働省、農林水産省、環境省等の関係省庁の連携と廃棄物処理法並びに食品リサイクル法に基づく監視・チェック機能の強化により、実効性のある製造・流通・廃棄まで一貫したトレーサビリティと監視体制の整備に取り組みます。

機能性表示食品による健康被害を防ぐ

  • 小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントの摂取による死亡事例や入院事例等の深刻な健康被害の発生を受け、健康被害への早急な対応と、原因が特定できていなくても速やかに報告することを義務付ける法改正や、原材料の受入れを含めた製造管理基準(GMP)の認証取得の義務化などを実現します。
  • サプリメントのように濃縮した成分を定期的に摂取する医薬品に限りなく近い食品については、十分な安全対策や、被害者の救済機関の設置等の具体策を検討します。
  • 特定保健用食品や機能性表示食品をはじめとする、いわゆる「健康食品」については、消費者による商品の有効性や安全性についての誤認や過信が起こらないよう、科学的根拠に基づく情報公開、表示・広告の適正化等について、消費者委員会専門調査会の議論を踏まえ、制度全体の一体的な見直しを進めます。併せて、不適切な表示の取締りを一層強化します。

食品ロス削減

  • 政府目標「2000年度比で2030年度までに食品ロス半減」に向け、「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、国民運動として食品ロスの削減を推進します。
  • サプライチェーンを通じた連携やフードバンク等の取り組みを推進するため、生ごみの資源化や個人・企業によるフードバンク等への食品の現物寄付に関する税制優遇措置、意図しない不慮の食品事故についての寄付者への免責制度の導入、商慣習の見直し等による食品ロス削減に資する供給システムの確立を進めます。

デジタル化に関連する対策強化

  • オンラインでの商取引について、消費者の利益保護の観点から、取引の場を提供するプラットフォーム企業や販売事業者への保護措置の義務付け、表示誤認の回避対策等、法整備を含めて検討します。
  • いわゆる情報商材等を取り扱う販売業者等が参加する取引デジタルプラットフォームや、SNSを利用して行われる取引における消費者被害の実態把握を行い、対策について検討します。
  • 売主が消費者(非事業者である個人)であるCtoC取引の「場」となるデジタルプラットフォームの提供者の役割について検討を行い、消費者の利益保護の観点から、法改正を含め検討します。
  • デジタル広告、不正または悪質なレビュー、パーソナルデータのプロファイリングに基づく表示等の課題について、消費者の利益保護の観点から必要な対策を検討します。
  • CtoC取引を含めたデジタルプラットフォームにおける取引に関する紛争を効率的・実効的に解決するため、オンラインによる手続きが可能な裁判外紛争解決手続(ADR)の提供について検討を行います。
  • デジタルプラットフォームに利用される情報通信技術の急速な進展に伴う消費者被害の複雑化・多様化や、海外の行政機関との連携の必要性に鑑み、消費者庁その他の関係省庁の予算、機構・定員を十分確保します。

消費者教育の充実

  • 消費者に対し、必要な情報と教育の機会が提供されることは消費者の権利の一つであると位置付け、消費者教育推進法に基づく、消費者の権利である消費者教育を、学校・職場・地域などでの関係省庁の連携や多様な主体の参加により幅広く推進します。
  • 消費者契約やカード・キャッシュレス利用等に関する知識も含む学習機会の提供を、学童期から高齢者まで多様な形で推進していきます。
  • 消費者が取引デジタルプラットフォームを適切に利用できるよう、デジタル社会で身に付けるべき知識を習得するための消費者教育を充実させます。

カスタマーハラスメント対策

  • カスタマーハラスメント対策について、対策の必要性を共有しつつ、消費者の重要な権利である正当なクレームが阻害されないようにすべきとの消費者団体の意見も含めて、政府に働きかけを行います。

エシカル消費等の推進

  • 環境・社会や安全に配慮された製品や商品を優先的に購入・使用する「エシカル消費」を推進するため、企業の取り組みを後押しする仕組みを検討し、環境保護・人権保護・動物福祉など表面化しにくいさまざまな課題の解決につなげます。
  • 「消費は一番身近な投票行動である」との観点から、認証制度などが消費者にとって真にエシカルな消費を選択できるツールとなるよう、検討します。
  • 消費者の知る権利・選択の権利が阻害されることがないよう、全ての電気について、電源構成等の情報開示の義務化を進めます。

旧統一教会被害対策

  • 2022年7月に起きた安倍元首相に対する銃撃事件から明らかとなった旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による悪質な高額献金等による被害対策関連法について、実効的な被害者救済策とするべく、弾力的な改正を検討します。
  • 旧統一教会の財産保全関連法は、確実に財産を保全するにはまだ課題があることから、被害者救済の原資が失われない方策の実現を目指します。