立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

外交・安全保障

世界の平和と繁栄への貢献

  • 世界の平和、安定と繁栄を推進するために、自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を推進し、国際法の諸原則を基礎とした国際的なルール作りを主導するなど、積極的な平和創造外交を展開します。専守防衛に徹しつつ、時代の変化に対応した質の高い防衛力の整備を通じて現実的な安全保障政策を推進し、責任をもって国民及び領土・領海・領空を守り抜きます。
  • 米中対立、グローバルサウス諸国の台頭など世界的なパワーバランスに変化が生じている中、ウクライナ侵略、中東情勢など国際社会は緊迫した状況にあります。こうした環境で日本は、健全な日米同盟を基軸とし、共に米国の同盟国である韓国との協力を進め、アジア太平洋地域をはじめとした世界との共生を実現します。近隣諸国との人的交流を大幅に拡充し、国民各層の相互理解を深め、日本の未来を見据えた外交戦略を進めます。
  • 中国との向き合い方は現下の最大の外交課題です。中国との間には尖閣諸島をはじめさまざまな懸案はあるものの、中国との安定した友好的な関係の構築は安全保障環境の改善に最も大きな影響があります。中国のTPPへの参加など安定した「協商関係」を築く必要があります。首脳会談をはじめ緊密な意思疎通を行い、幅広い共通利益や協力の具体策を探ります。また、軍事レベルの信頼醸成の取り組み(安全保障対話)を活性化させ、不測の衝突を回避するためのホットラインを機能させます。
  • アジア太平洋地域において、大国間の緊張緩和と信頼醸成のため、日米のみならず、日中韓を含めた ASEAN+3、米露豪印等も含めたEAS(東アジア首脳会議)、APEC、さらにはQUAD(日米豪印)の参加国を増やし、英仏独、ASEAN、時に韓国などを加えたQUAD+(プラス)に進化させていきます。国際協調主義に基づく、地域の航行と上空航空の自由と安全のためのルール作りなどをリードし、中国が「ルールを守る責任ある大国」として役割を果たすよう求めます。
  • 台湾海峡の平和と安定は、わが国の平和と安定に密接に関係しており、緊張が高まると、わが国に対しても大きな影響が及ぶことが想定されることから、両岸問題が平和的に解決されることが何よりも重要です。そのための外交努力、平時からの安全保障協力、わが国周辺地域の常時警戒監視、情報収集、台湾海峡情勢に関するハイレベルな情報交換を進めます。
  • ロシアの侵略を受けたウクライナ、また、北朝鮮、ミャンマー、ウイグル、香港及びパレスチナ・ガザ地区などでの深刻な人権侵害に対して、国際社会とともに人権の蹂躙を即刻停止するよう働きかけていきます。人権侵害国や軍との宥和主義から決別し、人権侵害政府に対するODAを原則停止(ただし人道援助は継続)します。
  • 国際的な基本的価値である人権規範を強化すべく、「特定人権侵害行為への対処に関する法律」(日本版マグニツキー法)を制定します。国内外の人権保護の活動をするNGOへの支援を強化します。
  • 「人権外交」を主流化するため、人権担当大臣を任命します。人権の保護・促進を外交・開発援助の主要な目的として明確に位置付けます。人権尊重の原則に沿った、国際場裡での行動(投票、発言等)を徹底します。「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」(ジェノサイド条約)を批准します。
  • 国際連合など多国間協調の枠組みに基づき、国際社会の平和と繁栄に貢献します。国際連合をはじめ、WTO等の国際機関の改革にリーダーシップを発揮します。宇宙・サイバー・AI・データなどの分野でのルール形成において主導的役割を果たします。国連安全保障理事会(安保理)が機能していない現状に鑑み、安保理の構成や常任理事国の拒否権の在り方、準常任理事国ポストの創設、総会決議の拘束力の在り方など加盟国と協力して改革していきます。
  • ODA、JICA、NGOなどを通じて得た世界からの信頼を生かし、「人間の安全保障」を柱にしながら平和構築のための「ファシリテーター」(対話の促進者)を目指します。核兵器廃絶、人道支援、災害救援、経済連携、文化交流などを推進して「人間の安全保障」を実現するとともに、自国のみならず他の国々とともに利益を享受する「開かれた国益」を追求します。
  • 日本の国土や文化、日本国民の魅力等を積極的に発信していきます。わが国のソフトパワーに資するよう、歴史問題や領土保全に関する日本の正確な認識を含む、国際世論への戦略的な働きかけを中心とするパブリック・ディプロマシー(広報や文化交流を通じて世論に働きかける外交)を強化します。
  • わが国への理解や交流の担い手を育てるため、海外での日本文化や日本語教育の普及、留学生の招へいに努めます。特にアジア太平洋・アフリカ諸国から積極的に留学生と高度人材を受け入れ、人事交流を盛んにします。またODAを活用しながら高度人材の育成に貢献します。海外留学支援、人材交流などを通してグローバル人材を育成していきます。海外在留邦人子女に対する日本語教育支援や、在外邦人コミュニティとの連携強化を推進します。
  • 国際社会での日本のイメージや影響力をさらに向上させるために、外交官・外務省職員及び国際機関や国際NGOで活躍する日本人を増やし、母子保健分野など日本の強みを生かした国際貢献を積極的に行います。外務省職員や在外公館等で活動する防衛駐在官を拡充し、情報収集・分析能力体制を抜本的に強化します。さらに、わが国のインテリジェンス(情報収集・分析能力)の強化のために、縦割りの弊害を排除し体制を抜本的に見直します。

経済外交・経済安全保障

  • 自由貿易体制の発展にリーダーシップを発揮します。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの経済連携については、食料安全保障なども勘案し、日本の国益を守りつつ、より高度な自由化と質の高いルール形成に戦略的に取り組み、「開かれた国益」を追求し、全体利益の最大化に努めます。
  • 経済安全保障の観点から、「自由で開かれた経済」「民間主体による自由な経済活動」を最大限尊重しつつ、サプライチェーンの強靭化、先端技術の優位性確保、インフラセキュリティ強化などについて、実効性のある安全保障政策を推進します。
  • 幅広い分野で、知的財産の保護、情報セキュリティ、企業統治などを強化するとともに、通信・デジタル・クリーンエネルギー技術・宇宙などの経済分野に係る国際的なルールの形成を主導し、日本の優位性を確立するための「経済安全保障戦略」を策定し、総合的な国力の増進を図ります。

持続可能な開発目標(SDGs)2030アジェンダの達成、開発協力、地球規模課題、難民

  • 気候変動、食料問題など地球規模課題の解決に、国際社会全体の目標として国連サミットで合意された、持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえつつ、主導的な役割を果たしていきます。
  • 「SDGs基本法」を制定し、SDGsの目標とターゲットを活用し、国全体で取り組み、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現に貢献します。同法に基づいて内閣にSDGs担当大臣及びSDGs推進本部を置き、政策立案や政策評価にSDGsの17の目標と169のターゲットを活用し、あらゆる政策にSDGsの視点を反映させて、SDGsの国内外での達成を目指します。
  • ODAの実施に当たっては「人間の安全保障」とSDGsを指針とし、自国の利益だけではなく、人類全体の共通利益を増進する「開かれた国益」を実現します。
  • UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)等の国際機関やNGO、市民社会等との連携のもと、人権保護や平和構築など、世界各地の難民問題に関する国際的な取り組みを支援します。わが国の周辺事態での難民の発生について対応策を検討します。

核兵器のない世界の実現

  • 非核三原則を堅持し、不拡散・軍縮のための取り組みに積極的・能動的な役割を果たしていきます。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加などを通じて、核廃絶に向けた働きかけを行っていきます。NATO型核シェアリングについては、能力的にも NPT条約に鑑みても現実的ではなく、認められません。
  • イランの核合意、中東和平といった国際的な平和への取り組みが危機に瀕し、北朝鮮の核兵器開発、核保有国であるロシアによるウクライナ侵略で、NPT体制が揺らいでいます。NPTをはじめ核軍縮・軍備管理体制の維持・強化を追求し、国際的努力を積極的にリードします。

安全保障

  • 世界的なパワーバランスの変化やロシアのウクライナ侵略のような国際秩序への挑戦も起きており、特にわが国周辺の安全保障環境は急激に変化しています。立憲民主党は専守防衛に徹しつつ、時代の変化に対応した質の高い防衛力の整備を通じて現実的な安全保障政策を推進し、責任をもって国民及び領土・領海・領空を守り抜きます。
  • 日米安保条約に基づく日米安保体制は、わが国自身の防衛体制とあいまってわが国の安全保障の基軸です。日米同盟のゆるぎない信頼性がわが国の安全保障にとって大前提であり、抑止力を高めることにつながることから、わが国自身の防衛体制を強化するとともに、健全な日米同盟の一層の強化を進めていきます。
  • わが国の領域内にある「合衆国軍隊の装備及び配置における重要な変更」を行う場合は、日米安保条約の付属文書の取り決めに従った日本政府との事前協議の徹底を求めます。
  • わが国周辺の弾道ミサイルをはじめとした脅威に対し、抑止力と対処能力を総合的に備えることは、現実的な安全保障戦略における重要な課題です。現在のBMD(弾道ミサイル防衛)の能力向上を確実に進め、極超音速滑空弾や巡航ミサイル、変則軌道の弾道ミサイルなど多様化・複雑化する脅威に対する対処能力の開発を進めるととともに、陸海空自衛隊の保持する防空能力を一体的に運用する体制の確立を進めます。
  • わが国島しょ部などへの軍事的侵攻を抑止し、排除するためのミサイルの長射程化など、自衛のためのミサイル能力の向上を進めます。他国領域へのミサイル打撃力の保有・行使については、政策的な必要性と合理性を満たし、憲法に基づく専守防衛と適合するものでなければなりません。
  • 自衛隊の継戦能力を強化します。弾薬等の備蓄を増やし、弾薬の保管場所の偏り、部品等の不足を改善し、自衛隊の施設の耐震化、空港・港湾施設の改修などによる抗たん性の向上など、基礎的部分を底上げします。
  • 防衛力の強化や真に必要な防衛予算の一定の増額は理解しますが、令和5年から5年間で2倍、GDP比2%という総額ありきの急激な予算増は無駄や不正の温床になりかねません。防衛省・自衛隊では裏金接待問題や手当の不正受給など、不正が長期にわたって行われてきたことが明らかになりました。防衛監察の対象を拡大し、不適切な契約や不正が行われていないかなどについて徹底調査し、予算についても無駄や過剰になっていないか再度点検すべきです。また増額に伴う防衛増税が先送りされており財源確保のめども示されていませんが、増額と財源はセットで国民に提示すべきです。防衛増税は行いません。
  • 中国の一方的な主張に基づく、中国公船の尖閣諸島周辺における活動は活発化・常態化しています。平時の領域警備、警戒監視活動の強化及びいわゆるグレーゾーン事態への万全の態勢に備えて「領域警備・海上保安体制強化法」を制定するなど、中国による南シナ海での力による現状変更や尖閣諸島周辺でのわが国に対する挑発行為には毅然として対処します。
  • 北朝鮮は、かつてない頻度で弾道ミサイルを発射し、新型ミサイルの開発や運用能力の向上を図り、さらに核弾頭の小型化などの核武装の決意を明確にし、新たな脅威の段階に入りました。宇宙・サイバー・電磁波などの領域での新たな先端防衛技術の開発も含め、わが国のミサイル防衛能力・迎撃能力の向上を図り、極超音速兵器をはじめとする新たな脅威への対処能力の研究開発を加速させます。
  • 北朝鮮の完全な核・ミサイル廃棄に向けた検証可能で具体的な行動を促すために、国際社会が一致して行動するよう関係各国と連携するとともに、北朝鮮との直接対話など、拉致・核・ミサイル問題の解決に向けてあらゆる外交的な働きかけを行っていきます。
  • 現行の安保法制については、立憲主義および憲法の平和主義に基づき、違憲部分を廃止する等、必要な措置を講じ、専守防衛に基づく平和的かつ現実的な外交・安全保障政策を築きます。
  • ロシアは、不法占拠している北方領土の実効支配、軍事拠点化を進めており、周辺での軍事活動を活発化させる傾向にあります。また、核兵器使用の可能性を示唆して脅し、ウクライナ侵略を強行したロシアの脅威は高まっていると言わざるを得ません。北方領土を含む、ロシア軍の動向の監視や対応を図る体制を一層充実させます。国際秩序の維持のためウクライナの支援を継続します。
  • 基本的価値観を共有する世界の国々との二国間及びQUAD(日米豪印)、EU諸国など多国間の安全保障協力・交流を促進しつつ、国際協調主義に基づいた連帯を進めます。東南アジア諸国の海洋警察力などのキャパシティビルディングを支援しつつ、ASEANとの安全保障協力・交流を促進します。
  • 気候変動に伴う大規模自然災害が現代の新たな安全保障課題であるとの認識に基づき、災害派遣での連携・協力を積極的に国際社会に呼びかけます。東日本大震災を含む多くの自然災害による被害を経験したわが国が、人道支援・災害救援の分野で積極的に国際貢献することで、国際的な信頼を築きます。
  • 宇宙・サイバー・電磁波・認知戦等の全領域を統合した作戦能力を強化します。従来の陸海空に加え、これらの各領域の能力を組み合わせなければわが国を守ることは困難になっていることを踏まえ、領域の安全、抗たん性の確保、領域を横断した作戦遂行能力の強化を進めていきます。
  • SNSなどを活用した情報戦など非軍事と軍事行動が同時展開するハイブリッド戦に備え、フェイクニュースへの対応能力等を早急に高めます。また、宇宙・サイバー・AI・データなどの分野でのルール形成において主導的役割を果たしていきます。
  • サイバー攻撃は平時から発生しており、常時パトロールを行う「積極的(能動的)サイバー防御」(アクティブサイバーディフェンス、ACD)が必要とされます。権限などを法的に明確化する必要があれば、国民の権利を最大限に保障しながら、電気通信事業法や不正アクセス禁止法等の改正を視野に入れつつ、サイバー安全保障基本法のような包括的な立法を早急に検討します。また、より強い権限をもった司令塔組織、例えばデジタル庁と統合したサイバー省(仮称)の創設も検討します。同様にインテリジェンスにおいても省庁の垣根を越えた連携を強化します。在外大使館で活動する防衛駐在官を拡充し、情報収集・分析能力を強化するとともに、体制の抜本的強化を行います。
  • 自衛隊の人的基盤の強化、AI等による無人化・省人化を推進します。自衛隊員の確保は最重要課題であるとの認識のもと、自衛官の給与体系、処遇・職務環境の在り方などの検討を加え、早急に必要な措置を講じます。また、度重なる不正事案や防衛省・自衛隊組織内のセクハラ・パワハラ被害などに鑑み、独立した防衛監察委員制度(オンブズマン)の導入も検討します。
  • 南西諸島の防衛力整備については、住民との十分な対話と丁寧な手続きを前提として、国民保護の徹底を図ります。国民保護法とその運用が、国民の生命及び財産を守るものとして真に機能するかどうか、今一度総点検するとともに、緊急一時避難施設の強化及び指定の拡大を図りつつ、住民の理解を得ながら既存の地下施設の少ない南西諸島を中心に、地下施設を整備します。
  • 台湾や朝鮮半島で有事が発生した場合の、在留邦人の退避や外国人及び避難民の保護に関する課題について検討し、事前の計画・訓練等を充実させます。
  • 原子力発電所をはじめとした、重要防護施設の防御の強化を進めます。わが国にある54基の原発等に対するサイバー攻撃やミサイル攻撃を含む重要防護施設の防御の在り方の検討を早急に行い、PAC3の配置の見直し、プール内の使用済核燃料の乾式キャスク化、稼働の最小化等、必要な措置を講じます。また、発電所、浄水場、通信施設などの重要インフラの防衛についても十分な備えがあるか点検します。
  • 国内防衛産業の維持のため国内調達の比率を増加させ、長期に安定した契約にするなど、調達の在り方や適正価格の在り方の検討、研究開発費の支援等を行います。研究開発についても、デュアルユース技術開発、ゲームチェンジャーにもなりえる最先端技術を推進し、防衛技術開発も省庁の垣根を越えて協力できる体制を構築します。
  • 防衛装備庁の調達業務等を厳しく監視し、FMS(米国対外有償軍事援助)調達の見直しを含め、国内の防衛装備品の技術基盤・産業基盤の強化を進め、バランスの取れた調達を戦略的に行っていきます。同時に、防衛産業の国際的な動向や現実を踏まえ、最新の防衛技術を獲得し、コストを抑えるため、防衛装備品の国際共同開発・生産を進めていきます。
  • 沖縄の民意を尊重して、軟弱地盤などの課題が明らかになった辺野古移設工事は中止し、沖縄の基地の在り方を見直して米国に再交渉を求めます。
  • 日米地位協定については、改定を目指しつつ、現状の基地問題の早期解決に向けて、米国側と交渉できる現実的な提案を行っていきます。基地周辺住民の健康と安全に直結する、①新型コロナウイルスのような感染症問題、②環境汚染問題、③騒音問題への対処に関する事項については、政治レベル案件に格上げし、「2+2」閣僚会合などの場で審議・決定します。
  • 沖縄でまたしても未成年者に対する性的暴行事件が起きました。「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続」など日米合意が確実に実行されるよう見直しを行います。現行の刑事裁判手続に係る日米合同委員会合意の「凶悪な犯罪」を全て列挙し、起訴前拘禁の移転の要請に対して「好意的な考慮を払う」から「原則応じるものとする」に改定するための交渉を行います。
  • 米軍基地周辺ではPFAS/PFOS汚染が確認されているにも関わらず、多くの自治体の立入調査要請が管理権を持つ米軍に拒否されています。日本側による米軍基地の管理権、立入権限、横田空域(RAPCONを含む)の縮小、基地の米軍・自衛隊との共有化の交渉のための検討委員会を設置します。駐留軍等労働者の法的位置付けを明確にする法律を検討します。
  • 日米合同委員会を改組し、外務副大臣を日本側代表とし、30年経過した議事録は、日米合意の上、両国の公文書開示原則に則り、原則公開します。今後の日米合同委員会のより詳細な議事要旨について、開催後速やかに公開します。
  • 日米地位協定の改革に当たっては、独・伊の地位協定を参考にして、平時と有事に分けた協定適用の研究を進めると同時に、有事において日本の安全保障を確保する米軍活動に対して、日本側として可能な限り支援していくものとします。平時に、人口密集地や米軍基地周辺住民に対する、深刻な騒音被害や精神的苦痛、さらには物理的危険をもたらすような、深夜・早朝の離発着訓練、低空飛行、パラシュート降下訓練等の「有事を想定した訓練」を行う際には、航空法等の基準を踏まえ、日本政府との協議対象とします。

主権・領土

  • 尖閣諸島がわが国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現にわが国はこれを有効に支配しています。同諸島を巡って解決すべき領有権の問題は存在せず、今後とも平穏かつ安定的に維持・管理していきます。力による現状変更の試みには毅然として対処します。
  • 尖閣諸島周辺では中国公船の活動が常態化し、海警局の領海侵入も繰り返されるだけでなく、船舶の大型化、武装増強も進んでいます。グレーゾーン事態に対しては、事態をエスカレートさせることなく、国際法、国内法に則り、冷静に、かつ、毅然として対応します。「領域警備・海上保安体制強化法」を制定し、海上保安庁が警察機関であることを踏まえ、海上保安庁、自衛隊がさまざまなグレーゾーン事態で担う役割分担や、有事を想定した場合の連携を充分に検討し、基本方針・対処要領を策定し、領海の警備や治安の維持に万全を期します。
  • ロシアのウクライナ侵略に対しては毅然と対応する一方、わが国固有の領土である北方領土については、四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結すべく、これまでの日ロ間の諸合意、法と正義の原則を基礎として、ロシアとの交渉を続けます。
  • わが国固有の領土である竹島の問題は、国際法に従って平和的な解決を粘り強く求めていきます。
  • 「海洋国家」として排他的経済水域等の根拠となる離島の命名等のほか、国境離島、重要防衛施設、インフラ施設などの安定的な維持・管理のために必要な法整備等を検討していきます。
  • 一刻も早く、拉致被害者を取り戻す!拉致被害者やご家族ともに、事件発生から年月が経過し、拉致被害者との再会を果たせずにご家族がなくなるなど、一刻も猶予がありません。主権と人権の重大な侵害である北朝鮮による拉致問題について、早期に全ての拉致被害者が帰国できるよう、全力で取り組みます。
  • 拉致問題については、政府拉致対策本部・警察・外務省も含めたオールジャパンで取り組み、国連人権理事会等にさらに働きかけるなど、関係機関・関係各国と連携しつつ、北朝鮮との直接交渉に向けて日本政府自ら打開策を見出すよう最大限の努力をしていきます。
  • 国際的な企業活動等に従事する在外邦人・企業の安全を確保するための態勢を構築します。
  • わが国周辺における偶発的な衝突などの不測の事態に備えて、在外邦人等の域外避難及び国内の国民保護のための計画を適切に策定します。また、他地域の危機的事態に対しても同様の計画策定を行います。
  • 日韓両国間では、1965年に締結した日韓請求権協定により、両締約国とその国民(法人を含む)の財産、権利および利益、両締約国とその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることが確認されています。韓国内で元朝鮮半島出身労働者(元徴用工)による訴訟が相次いでおり、わが国の企業へ賠償を求める等の動きがありますが、国際法を尊重した適切な対応を行うよう、日韓請求権協定に基づく協議を行い、わが国の企業の利益を守ります。
  • 慰安婦問題については、韓国に対し、最終合意を誠実に遵守することを厳しく求めます。