立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

財務金融・税制

財務金融

財政の健全化

  • 格差を是正する税制改革による財源確保や、行政需要の変化に応じた予算配分、適切な執行、成長力の強化による税収増など、歳出・歳入両面の改革を行い、中長期的に財政の健全化を目指します。
  • 国会の下に独立財政機関を設置して、主要政策の費用対効果や財政の見通しを客観的・中立的に試算・公表するとともに、その試算に基づき「中期財政フレーム」(3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針)を策定することを政府に義務付けることで、放漫財政を改めます。
  • 各種基金など、「霞が関の裏金」を厳しく精査し、不要な金額は国庫に返納して、必要な政策の財源に充当します。

「新しい金融政策」への転換

  • 日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として、「実質賃金の上昇」を掲げます。
  • 日銀が保有するETFは、簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を、少子化対策等の財源に充当します。

金融・資本機能の強化、技術革新

  • 成長資金が必要な主体に対して、円滑、効率的かつ効果的に資金が供給されるよう、民間・公的金融の役割を踏まえつつ、調達手段の多様化など、わが国の金融・資本市場の機能向上を図ります。
  • 地域経済の発展に欠くことのできない地方銀行・信用金庫等について、経営の安定化・収益源の多様化を図ります。
  • 金融機関のノウハウを生かし、リバースモーゲージ、人材の融通、仮想地域通貨の発行など、生活者・事業者・地域の将来不安を解消するためのビジネスモデル構築に向けた支援を行います。
  • 金融教育を充実させることで、個々人の経済力やライフプランに即した適切な資産運用を促し、投機的な取引等によって損失を被ることを防ぎます。
  • ESG投資などサステナブルファイナンスを推進するため、税制優遇策などを検討します。
  • ソーシャルボンド(社会的貢献債)の発行を後押しします。(再掲)
  • フィンテックと呼ばれる金融・IT融合の動きの進展に対し、利用者保護や不正の防止等の観点も踏まえつつ、決済サービスのイノベーション、規制の見直し等を進めます。フィンテックの発展に伴いデジタル格差、情報格差が生じないようにするための環境整備を行います。
  • 金融のデジタル化の推進や手口の巧妙化を踏まえ、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策の実効性を向上させます。
  • 暗号資産の健全な発展を目指したルールを整備します。
  • デジタル証券の流通市場の整備に向けた適切な法制度を検討します。(再掲)
  • 決済手段の多様化と低コスト化を図るため、世界に後れを取ることがないように、日銀が行っている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験や研究などの検討を促進します。

予算・財政の透明化

  • 特別会計を含む予算・決算の透明性を高め、税金の使い道を確認し、行政の無駄を排除します。
  • 行政のICT化を推進し、スリム化とコスト削減を図るとともに、予算の執行状況を随時把握できる環境に変え、税金の使い道の透明化と検索一覧性を向上させます。
  • 国の財務書類について、地方自治体等も含めて連結範囲を検討し、行政活動の実態に即した財務情報の提供を目指します。
  • 独立行政法人、政府機関、基金、官民ファンド、特別会計等を徹底的に見直し、スリム化を進めるとともに、財務状況等に関して国会への報告を義務付けます。(再掲)
  • 肥大化する政府基金や巨額の「コロナ予算」について、情報公開を進め、透明性を確保するとともに、使途や費用対効果、成果等の検証を実施します。

財政民主主義の強化

  • 国家財政におけるPDCAサイクルを確立するため、決算の国会提出と国会審議のさらなる早期化を図り、その審議の内容と結果を直近(当該決算の翌々年度)の予算編成に反映させます。
  • 財政民主主義を形骸化させる巨額の予備費計上を改めるとともに、「予見し難い予算の不足に充てる」という予備費本来の趣旨に基づき、予見可能な政府支出については、国会審議を経た上で実施することを徹底します。

税制

所得税

  • 所得税については、「分厚い中間層」を復活させるため、勤労意欲の減退や人材の海外流出等の懸念に十分配慮した上で、累進性を強化します。また、所得控除から税額控除へ、さらに税額控除から「給付付き税額控除」への転換、基礎控除の拡充をはじめとした諸控除の見直し等により、所得再分配機能を強化し、高所得者に有利な税体系を中低所得者の底上げにつながるものに改めます。
  • 名目賃金の上昇を踏まえ、課税最低限の引き上げなど、必要な措置を講じます。
  • 共働き世帯やひとり親家庭の増加など社会の構造変化に対応し、ジェンダー平等社会に資する、性やライフスタイルに中立的な税制の実現に取り組みます。世帯の態様の変化や家計の実質的な負担に配慮しつつ、配偶者控除も含め、人的控除全体の見直しを行います。
  • 配偶者控除などにより就労調整が起こることのないように、関連する制度全体での整合性を確保しつつ、当面は最低賃金の上昇等に対応した控除額の引き上げ、中長期的には所得税の人的控除等の抜本的な見直しを図ります。
  • 所得税法第56条については、恣意的な所得分散を防止するため、対価の授受を行う親族の双方が正規の簿記の原則に従った帳簿を備え付け、契約によって支払いの事実や適正な対価であることを明確にすること等の要件を付した上で、廃止を含め、見直しを行います。
  • 扶養控除・特定扶養控除は、12月31日時点の年齢に基づき適用されるため、いわゆる「早生まれ」の者は適用が遅れ、その分税務上不利益を被ることから、就学年での適用を認めるなど、必要な改正を講じます。
  • 給与所得者と比較して個人事業主・フリーランスの働き手が税制上実質的に不利な取り扱いを受けることが多いことに鑑み、青色申告特別控除の拡充などにより格差を是正します。
  • 法人の欠損金の繰越控除期間が10年間とされていることに鑑み、法人・個人間の制度格差・不公正を是正する観点から、青色申告を行うフリーランスや個人事業主については、純損失の繰越控除期間(現行3年間)を10年間に延長します。
  • 職業の違いによる税制の不公平を是正する観点から、給与所得控除を見直しつつ、特定支出控除の拡充等を検討します。
  • 退職所得控除については、働き方の多様化、雇用の流動化等が進む現状を踏まえ、「公平」かつ「中立」な税制を目指す観点から改革を行います。また、企業年金制度の普及の状況、退職一時金の原資が企業経営上の内部資金に流用される可能性にも留意しつつ、退職給与引当金損金算入制度の復活を検討します。
  • 労働者の福利厚生を向上させるとともに、食事手当等の非課税限度額の拡充を行います。
  • 前年の所得を基礎として課税する住民税について、前年より大幅に所得が減少した人々を支援する観点からは現年課税化が理想ですが、税務上困難であるため、前年の所得税を還付する、あるいは前年と当年の所得を平均した上で所得税を算出し直し、差額を還付する等の対応を検討します。
  • 失職者等に対して、税の減免措置を広く適用するため、所得基準の弾力的運用や特例措置を講じます。
  • NISA(少額投資非課税制度)の拡充が実現した一方で、貯蓄ゼロ世帯の増加などを踏まえると、所得格差の拡大・固定化を是正する取り組みは依然として不十分であるため、所得再分配機能を強化する観点から、金融所得課税について、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入し、中長期的には総合課税化します。
  • 多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、個人投資家を金融市場に呼び込む観点等から、損益通算の対象範囲の拡大を進めます。
  • クラウドファンディングや暗号資産への課税の在り方について、さらに検討を進めます。
  • 新しい公共の担い手を支える税制をさらに拡充します。NPO等に対する支援税制(市民公益税制)について改善を図り、大学等に対する寄付金税制を充実させるとともに、現行の寄付控除の拡充やNPOをはじめとする中間支援組織などへの新たな税制上の措置を創設します。また、不動産、有価証券等資産による寄付が促進されるよう新たな控除の創設等、税制上の措置を講じます。(再掲)
  • 認定NPO法人や公益法人等に対する寄付税制を維持・拡充します。認定NPO法人等への寄付とふるさと納税との競合状態を是正するとともに、遺贈・相続財産寄付やフードバンクへの食品寄付といった現物寄付の推進等、寄付文化の醸成につながる税制面での支援措置について改善を図ります。併せて、特定寄付信託(プランドギビング)において、現金だけでなく土地・建物も信託対象となるよう制度の在り方を検討します。(再掲)
  • 性暴力や児童虐待などによる被害者を支援するため、公認心理師・臨床心理士等からカウンセリングを受ける場合も、その費用を医療費控除の対象にします。
  • 現役世代の社会保障への不安解消、高齢者の生活の安定に寄与するため、所得税法上及び地方税法上の生命保険・介護医療保険・個人年金の各保険料控除の最高限度額を引き上げるとともに、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を引き上げます。
  • 低所得者世帯の多くが地震保険に加入できていない実態等を踏まえ、地震保険料控除制度について、所得控除方式と税額控除方式の選択制の導入、保険料の改定に合わせた控除額の拡充など、地震保険のさらなる普及を図るために必要な措置を講じます。
  • 貸与型奨学金の返還額を所得控除の対象にするとともに、返還免除制度を拡充します。(再掲)
  • 仕事を退職して大学等で学びなおしをする場合に、その際に要した資格取得費等を再就職後の給与所得から控除するなど、リカレント教育に対して税制上の優遇措置を講じます。

法人税

  • 法人税については、「租特透明化法」に基づき精査を行い、租特の抜本的な見直しを実行した上で、法人の収益に応じて応分の負担を求める税制に改革します。
  • 中小・小規模企業への法人税減税を検討します。
  • 中小企業者等の法人税率の軽減措置(15%)を本則化します。
  • 一部企業の過大な内部留保が賃上げに回るように税制等による措置を強化します。なお、現行の「賃上げ促進税制」については、雇用者の約7割を抱える中小企業の多くが赤字法人であることから、賃上げに有効な手段とは言えず、この間、実際に十分な効果も見られないことから、より効果的な手段に改めます。
  • 賃金や教育訓練費だけではなく、退職金の増減や余裕資金の多寡に応じたボーナスの増減等について法人税に差をつける「人への投資促進税制」の導入を検討します。
  • 働き方改革やジェンダー平等に配慮した上で、リモートワークの導入に必要となる設備等への投資や、リモートワークの活用を通じて介護や育児などに対し柔軟性の高い働き方を導入した企業などに対して、税制上の優遇措置を講じます。
  • 社員が大学院等で学びなおしをする際の費用等を企業が負担した場合に、その金額を法人税額から控除できるようにしたりするなど、リカレント教育を推進する企業に対して税制上の優遇措置を講じます。
  • 確定給付企業年金、確定拠出年金をはじめとする企業年金等の積立金に係る特別法人税については、公的年金制度を補完する企業年金制度の健全な維持・発展や、労働者の権利である受給権の保全に支障をきたす恐れがあることから、廃止します。
  • 自動運転や次世代自動車などの最先端技術での競争力を高めていくため、研究開発促進税制を拡充します。

消費税

  • 消費税の逆進性対策については、軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する消費税の一部を所得税から税額控除し、控除しきれない分は給付する「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入により行います。併せて、迅速・簡素な給付の方法を検討します。
  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)については、免税事業者が取引過程から排除されたり、廃業を迫られたりする等の問題がある上に、従前の「区分記載請求書等保存方式」でも適正課税は可能であることから、速やかに廃止します。また、既にインボイス発行事業者(課税事業者)に転換した免税事業者等に対しては、必要な支援措置を実施します。
  • 消費税の転嫁が適正に行われるよう対策に万全を期します。
  • 総額表示の義務化を見直し、外税表示の選択肢を恒久化します。
  • 医療機関の控除対象外消費税問題を解消するため、診療報酬への補填を維持した上で、新たな税制上の措置を早期に講じます。

相続税・贈与税

  • 資産格差が拡大・固定化している現状に鑑み、税率構造や非課税措置の見直しなどにより、相続税・贈与税の累進性を高めます。
  • 教育資金贈与特例措置等の効果も見極めつつ、格差是正と資産の世代間移転を促進する観点から、相続税・贈与税の在り方について見直しを進めます。
  • 雇用を支え地域経済の中核となっている中小企業や、地域の医療を支える医療機関等の事業承継の円滑化を推進するため、10年限定となっている事業承継税制の特例措置の恒久化及び免除措置の創設を行います。
  • 相続税の小規模宅地評価にかかる特例措置の拡充を検討します。

個別間接税

  • 電子たばこに対するたばこ税の課税については、健康被害の実験結果も見ながら、適正な税率を検討します。
  • 酒税については、類似する酒類間の税負担の公平性の観点から引き続き見直しを行います。
  • 自動車重量税の「当分の間税率」廃止、自動車重量税の国分の本則税率の地方税化により、ユーザー負担の軽減と地方財源の確保を両立させます。また、自動車関連諸税の簡素化を図ります。
  • 高齢者の交通事故対策として、ブレーキとアクセルの踏み間違い等を防ぐ安全装置を装着した車については、減税を深掘りします。
  • 自動車の任意保険についても所得税の控除の対象とし、ユーザーの負担軽減を図ることを検討します。
  • 揮発油税等のトリガー条項については、復興財源に配慮し、必要な期間にわたり一時的に凍結を解除して、原油価格高騰時には確実に発動できるようにします。発動により減収する地方税(地方揮発油税、軽油引取税)については国が補填します。

納税環境

  • 納税者の権利利益の保護、利便性の向上等を図る観点から、「納税者権利憲章」の制定を含め、納税環境の整備を進めます。
  • 確定申告制度の周知に努めるとともに、確定申告がしやすい環境を整えるため、e-Taxの改善を図ります。
  • e-Tax及びeLTAXの利便性を高めるとともに、その活用等を通じ、電子化対象手続を拡充するなどして、税務手続のデジタル化・簡素化を進めます。
  • 扶養親族の変更、保険料控除証明書の到達遅延などにより、翌年に年末調整のやり直しが必要になる場合があることに鑑み、年末調整の実施時期を1カ月後ろ倒しします。併せて、その影響が及ぶ所得税の確定申告についても、申告期間を1カ月後ろ倒しします。

国際課税

  • 巨大IT企業等のいわゆる国際プラットフォーム企業が、ビジネスを展開し利益を上げている国でほとんど納税していない実態に対し、法人税の最低税率に関する国際合意が実現したことも踏まえ、国際課税の枠組みをさらに強化します。
  • いわゆる国際連帯税について検討を行います。

租税特別措置

  • 租税特別措置等については、「租特透明化法」をさらに強化するとともに、効果が不明なもの、役割を終えたもの等は廃止します。

中小企業への支援

  • 地域雇用の基盤である中小企業や農林水産業等を支え、育てるため、取り巻く環境に配慮しつつ、支援・育成する税制について、幅広い角度から検討し、強化・改善します。
  • 中小企業を支援する税制の強化・改善に取り組みます。特に、外形標準課税の中小企業への適用拡大はしません。
  • 産業・企業の振興等の観点から、中小企業の機械等一部の償却資産にかかる特例措置の拡大を検討します。
  • 中小企業の交際費課税の特例について、拡充を検討します。

住宅対策

  • 住宅ローン減税をはじめとする負担軽減措置については、良質かつ環境に配慮した住宅の取得に重点化した制度に改めます。
  • 空き家の発生を抑制するための税制上の特例措置について、今後の空き家数の推移を見つつ、拡充を検討します。
  • 良質な中古住宅を提供し、家計を支援していく観点から、空き家のまま利用されていない住宅を市場に流通させるべきです。売り手が負のストックを清算することで新たな購買力を得ることを可能とするとともに、若者を中心とする買い手が良質な中古物件をより廉価で取得することを可能とするために、不動産の譲渡損失の損益通算復活に向け、適用回数や所得等の制限も念頭に置きつつ再検討を行います。
  • 良質な中古物件を供給するため、耐震基準適合証明書の取得について税財政面での支援を検討します。

災害復旧・復興支援税制

  • 近年、大きな災害が多発していることを踏まえ、雑損控除から災害による損失控除を独立させ、「災害損失控除」を創設します。
  • 被災地支援のボランティア活動を支援する観点から、交通費等の自己負担分について税額控除を行う「ボランティア活動支援税制」の創設を検討します。
  • 被災地では人の移動や物資の運搬に車両が不可欠ですが、被災により車両を再取得する必要に迫られた場合、中古車であっても、車齢13年超から自動車税・自動車重量税が重課される現状があるため、被災者の車両の再取得については税負担の減免を図ります。
  • 遺族の生活資金を確保するため、災害時の死亡保険金の非課税枠を拡充します。
  • 巨大自然災害への保険金支払いに耐え得る異常危険準備金残高の早期回復等のため、積立率・洗替保証率の引き上げ等の措置を講じます。

脱炭素社会の実現に向けて

  • 断熱をはじめとする省エネや再エネの普及を進めるとともに、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成できるよう、脱炭素の技術革新・技術開発を税制面からも強力に支援し、税制全体の見直しの中で炭素税の在り方を検討します。
  • 環境に配慮した農業生産・経営を支える多様な設備・機械装置等の導入及びソーラーシェアリング等を促進するための税制上の措置を創設します。(再掲)
  • わが国の基幹産業である自動車産業の脱炭素化を推進し、国際競争力の維持・強化を図るべく、電動自動車の普及や脱炭素化に資する自動車開発等を支援する税制上の措置を講じます。

印紙税

  • 同様の内容でも電子文書の場合は課税されない、金額が同じであっても契約の種類により税額が異なり、契約書作成時に大きな負担となるなど、さまざまな不合理・不公平な現象が生じており、生産性の向上を阻害していると考えられることから、印紙税制度は廃止します。