立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

ジェンダー平等

ジェンダー平等の推進

  • 女性の人生のさまざまな場面(進学・就職・結婚・出産・育児・介護など)での選択を広げ、男女ともに生涯を通じたジェンダー平等教育を進め、性別を問わずその個性と能力を十分に発揮することのできるジェンダー平等の共生社会の実現を図ります。
  • 女性に対するあらゆる形態の差別や経済的・社会的不利益、不合理を解消し、社会における女性の地位の向上を図るとともに女性の参画を促進し、その意見を反映させ活力ある社会の実現につなげます。

男女共同参画基本計画の着実な推進

  • 男女共同参画社会基本法のもと各次の男女共同参画基本計画が実効あるものとなるよう、内閣府や男女共同参画会議等による監視体制を強化し、重点方針を中心に各省での予算の金額や執行状況などをフォロー、分析します。
  • 「ジェンダー・ギャップ指数2024」では146カ国中118位と世界最低のレベルが続いています。あらゆる分野にジェンダー平等の視点を取り込むジェンダー主流化を推進し、第5次計画の不備を補うべく、立法化、政策立案を進めていきます。

ジェンダー統計の整備推進

  • 女性の貧困、労働、健康等の現状と施策の影響を正確に把握・分析する観点から、ジェンダー統計の整備を推進します。政府の各種計画における数値目標等についても、その達成状況を可能な限り男女別に示すようにします。

自治体の実態把握

  • 政府が、全国の自治体における男女共同参画の推進に関する条例の制定状況を把握するとともに、条例制定や制定後の運用状況の監視について、積極的に情報提供・助言等を行うようにします。

ジェンダー平等に関わる条約の批准

  • 個人通報制度や調査制度を定める女性差別撤廃条約の選択議定書を批准し、ジェンダー不平等な法制度を見直し、ジェンダー平等を実現するための法整備を進めます。
  • 「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」(ILO第111号条約)、「パートタイム労働に関する条約」(同第175号条約)、1952年の「母性保護条約(改正)に関する改正条約」(同第183号条約)、「家事労働者のためのディーセント・ワークに関する条約」(同第189号条約)、「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」(同第190号条約)を早期に批准し国内法の整備に取り組みます。

選択的夫婦別姓制度の実現と個人の尊重

  • 女性が結婚・出産後も働き続けるだけではなく、社会のリーダーとして活躍することも増えてきました。しかし、結婚のときに女性の多くが改姓することによって、それまで「旧姓で」積み上げてきた経歴が本人とつながらなくなる問題や愛着ある姓を変更せざるを得ないといった自己同一性喪失の問題が生じてきました。個人の尊厳と両性の本質的平等を実現するため、民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を早期に導入します。(再掲)
  • 2022年の民法改正で、女性の再婚禁止期間が廃止され、離婚後300日以内の子でも再婚した際は再婚後の夫の子と推定する嫡出推定制度に見直されました。いまだ不十分な無国籍児の救済をさらに進めるとともに、国籍取得に関する国籍法3条3項を改正して、子どもの身分の早期安定を図ります。(再掲)
  • 事実婚カップルに対しても法律婚と同等の支援が受けられる制度を検討します。

政治分野 ―パリテ(男女半々の議会)の実現

  • 政治分野でのジェンダー平等実現に向けて国政選挙においてクオータ制を導入し、男女半々の議会「パリテ」の実現を目指します。人口の半分を占める女性が政策を立案・決定する政治の場に参画し、より多様な声が公平に反映され、だれもが生きやすい社会を実現します。
  • 政治分野のジェンダー・ギャップを解消するために、IPU(列国議会同盟)「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」に基づく監査の導入を検討します。
  • 「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」に基づき、男女が政治や社会の政策・方針決定過程に参画し、ともに責任を担うとともに、多様な意思が公平・公正に反映されるようにします。
  • 地方議会における女性議員ゼロ解消を目指します。
  • 2030年までに立憲民主党の候補者、地方を含めた所属議員、党職員の女性比率を3割にすることを目指します。党の取り組み状況・実績の「見える化」を一層進め、政治分野の男女不均衡の是正を先導します。
  • 女性が議員になることの障壁となっている経済的・社会的・心理的な阻害要因(根強い性別役割分業意識やハラスメントなど)を取り除き、女性の立候補を促すために必要な法制度(立候補休暇制度など)や議員の出産育児のための環境を整えます。ジェンダー視点を持った政治への変革を求めて結成された立憲民主党の「女性議員ネットワーク」のさまざまな活動の展開で、議員活動を支えます。

雇用におけるジェンダー平等の促進

  • 男女ともワーク・ライフ・バランスの実現が可能な職場・地域・社会の環境整備を目指します。
  • 女性活躍推進法(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)の実効性を高めるため、男女の賃金格差と女性労働者の非正規比率、女性管理職比率等について、101人以上の企業等が目標値を設定し、公表することを義務付ける法改正を行います。(再掲)
  • 妊娠出産の権利と「家族と過ごす時間」を保障するためにも、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を義務付ける「勤務間インターバル規制」を導入します。
  • 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に際しては、「継続就業のための環境整備」にとどまらず、物理的な「職場環境の整備」も進めます。(再掲)
  • 男女雇用機会均等法を「男女雇用平等法」とするとともに、「男女労働者の仕事と生活の調和を図る」ことを目指します。(再掲)
  • 日本が未批准のILO第183号条約(改正母性保護条約)の批准を求め、雇用形態に関係なく、全ての女性労働者に対する母性保護と母性を理由とした差別の禁止が法令で担保されるよう改革していきます。(再掲)
  • 母性保護、授乳権の確保の観点からも、妊娠・出産前後の女性が働きやすい環境を整備する企業への支援を拡充します。(再掲)
  • 結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。(再掲)

同一価値労働同一賃金の実現

  • 女性の賃金水準は男性の水準の7割台にとどまり、賃金格差が大きく開いたままです。また、同じ価値の仕事でも、非正規雇用などを理由に賃金が低くなることが多く、不公平です。こうした処遇の改善を目指し、まずは立憲民主党が提出した「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律」(非正規雇用処遇改善法案)を制定します。法律には、合理的と認められない待遇の相違を禁止すること、待遇に関する事業主の説明責任を強化するために、待遇の相違の内容や理由の他、賃金体系等の基準、待遇の決定方法等を説明事項として追加すること、待遇格差の是正は正規雇用の待遇を低下させるのではなく、非正規雇用の待遇の改善によって行われるようにすること等を盛り込み、現行の同一労働同一賃金の法制度の不備を改めます。(再掲)
  • その上で、ILO第100号条約の遵守徹底を図るため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価方法の調査研究等を進め、同一事業主の下だけでなく、産業間・地域間・企業規模間においても同じ価値の仕事をすれば同等の賃金が支払われることを確保し、処遇格差の是正が図られるよう、「同一価値労働同一賃金(均等待遇)」の法定化を目指します。(再掲)
  • 公務員についても民間企業同様、ジェンダー平等の推進、常勤・非常勤を問わない同一価値労働同一賃金、長時間労働の是正を促進します。
  • 国・自治体が率先して非正規雇用問題に対応するため、公務部門での非常勤雇用問題や官製ワーキングプア問題の解決を目指します。

職場におけるハラスメントの禁止

  • セクハラ、マタハラ、パワハラ、パタハラ(パタニティ・ハラスメント:育児のために休暇や時短勤務を希望する男性に対する嫌がらせ)などあらゆるハラスメントを禁止するとともに、防止のための職場環境を整備します。
  • セクハラ、マタハラ、パワハラ、いじめなど職場でのあらゆる形態のハラスメントを禁止する法制の整備を目指し、防止対策の強化を図ります。全ての働く人を保護し、被害者を救済する制度を整えます。(再掲)
  • フリーランス、就活中の学生などへのセクハラも含めた「セクハラ禁止法」を制定します。同法でセクハラを行った社員などに対して処分を課す、被害者に対して支援情報を提供するなど、会社が社員などのセクハラに厳正対処することを義務付けます。また、国・自治体は、セクハラ禁止の対象となる言動の具体的内容等を定めた指針を作成し、相談体制を整備するとともに、人材を育成します。(再掲)
  • 取引先などの他の会社の労働者からのパワハラ、下請け会社などの他の会社の労働者へのパワハラに対して、労働者の安全・健康を守る観点から必要な予防・保護のための措置を講じることを事業者に義務付ける法律を制定します。
  • 研究現場でのアカデミックハラスメントやセクハラ対策を推進し、意識・慣行の見直しを促進します。
  • 女性の身だしなみやマナーを理由に就職活動や職場でヒール靴の着用等を強制する社会慣行を改めるよう、呼びかけていきます。

個人の自立に向けた経済支援

  • 社会的起業・小規模企業等へのマイクロクレジットなどにより、中小・小規模企業の若者・女性経営者を支援します。

女性医師・研究者支援

  • 医学部入試での女性差別は認められません。女性医師が圧倒的に少ない現状に鑑みて、再発防止策を徹底します。女性医療従事者の就業継続・再就業支援、就労環境整備等を強化します。
  • 女性研究者が能力を最大限発揮できるようにするため、研究環境の整備を行います。女性研究者の育成・支援に取り組み、欧米諸国などと比較して低い女性研究者の割合を引き上げます。(再掲)
  • 雇用形態・給与等の処遇や研究資金等、女性研究者の研究環境についてジェンダー平等の観点から点検し、見直しを促します。研究活動と子育ての両立を実現する体制整備を進めます。

尊厳ある暮らしの実現

  • 男性が女性の補助としてではなく、ともに家庭的責任を担う立場で家事や育児に参加する権利を持つことを明確にします。
  • 家事・育児・介護など、無償労働の負担の男女間の偏りを是正します。
  • 無償労働の把握・分析および経済的・社会的評価のための調査・研究を推進し、無償労働が公正に認識・評価されるよう取り組みます。

中立的な税制・社会保障制度の実現

  • 固定的な性別役割分担を前提とした税制や社会保障制度の見直しを積極的に進めます。
  • 税制や社会保障制度を世帯単位から個人単位へ転換します。
  • 共働き世帯やひとり親家庭の増加など社会の構造変化に対応し、ジェンダー平等社会に資する、性やライフスタイルに中立的な税制の実現に取り組みます。世帯の態様の変化や家計の実質的な負担に配慮しつつ、配偶者控除も含め、人的控除全体の見直しを行います。(再掲)
  • 配偶者控除などにより就労調整が起こることのないように、関連する制度全体での整合性を確保しつつ、当面は最低賃金の上昇等に対応した控除額の引き上げ、中長期的には所得税の人的控除等の抜本的な見直しを図ります。(再掲)
  • 所得税法第56条については、恣意的な所得分散を防止するため、対価の授受を行う親族の双方が正規の簿記の原則に従った帳簿を備え付け、契約によって支払いの事実や適正な対価であることを明確にすること等の要件を付した上で、廃止を含め、見直しを行います。(再掲)

性暴力の禁止

  • ポルノや売買春、痴漢等の被害からインターネット上の性犯罪、子ども・高齢者・女性を対象とする性的虐待・暴力、あるいは性的指向や性自認に関する暴力に至るまで、性暴力は被害者の人権を著しく侵害し、心身を害する重大で深刻な被害が生ずる犯罪であり、断じて許されるものではありません。被害者の権利擁護、犯罪防止等、総合的な性犯罪・性暴力対策を推進します。
  • メディアにおける性・暴力表現について、子ども、女性、高齢者、障がい者をはじめとする人の命と尊厳を守る見地から、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、情報通信等の技術の進展および普及のスピードに対応した対策を推進します。
  • 売買春等における買い手を生まないための教育・啓発など、「女性の性を商品化する風潮」を変える取り組みを具体的に進めます。

性犯罪刑法改正

  • 性犯罪の被害の実態を踏まえた刑法の見直しを引き続き進めます。強姦罪を強制性交等罪とするなど性犯罪を厳罰化する110年ぶりとなる刑法改正が2017年に行われましたが、2019年には性暴力事件の無罪判決が相次いだため、2023年に不同意性交等罪と罪名を変更して要件を例示、明記しました。改正刑法の附則には5年後見直し規定も与野党修正で追加されました。今後とも、公訴時効の延長・撤廃や地位利用の性犯罪規定など、さらなる見直しに取り組みます。(再掲)

性暴力被害者への支援

  • 性暴力被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であるという性暴力による被害の特性に鑑み、「性暴力被害者支援法」(「性暴力被害者の支援に関する法律」)を制定します。
  • 各都道府県の性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害発生直後の緊急対応(72時間以内の緊急避妊、証拠保全、医療ケア、心理的ケア、被害届等)が可能となる医療拠点型を目指します。
  • ワンストップ支援センターの安定的な運営、支援員の確保、育成等が行えるよう、財政支援を行います。
  • 警察への届け出の有無に関係なく、急性期・中長期それぞれに適した十分な被害者支援を行うことができるようにします。
  • 性犯罪捜査での関係機関の連携等により被害者支援を制度化し、子どもと女性の人権と一生涯にわたる健康を守ります。
  • 被害者が子どもである場合、性犯罪捜査・公判などの過程で、さらなる負担を負わせることがないよう、司法面接制度を改善・普及させ、人材育成とともに、民間団体を含む関係機関との連携を強化します。
  • 被害の未然防止、被害者救済には加害者対策が必須です。加害者のカウンセリング・治療、調査・分析、加害者更生に取り組む団体への支援、人材育成などについて法整備を検討します。
  • SNSの活用をはじめ、誰もが相談しやすい窓口の整備を早急に進めます。
  • いわゆる「デートレイプドラッグ」を悪用した性犯罪被害を防止するとともに、被害者支援に取り組みます。
  • アフターピル(緊急避妊薬)を処方箋なしで薬局で購入できるようにします。
  • セーフアボーション(安全な人工妊娠中絶)のため、当事者に対する経口中絶薬の適切な情報提供等を行います。
  • 性暴力や児童虐待などによる被害者を支援するため、公認心理師・臨床心理士等からカウンセリングを受ける場合も、その費用を医療費控除の対象にします。(再掲)

性犯罪防犯教育プログラム

  • 学校教育や社会教育で、男女ともに性暴力の加害者や被害者にならないように、性についての正しい知識を身に付けられる人権としての性教育(包括的性教育)を推進し、子どもたちへの犯罪を根絶します。性に関する包括的な知識を得る機会や環境の不足等、性教育の停滞を招く要因の一つとなっている「はどめ規定」は撤廃します。(再掲)

子どもに対する性犯罪の根絶

  • 日本版DBS制度(子どもと接する仕事に就く人に特定の性犯罪の前科がないか確認する制度)について、対象犯罪の範囲が狭い、ガイドラインに多くが委ねられ実際の運用が不透明といった懸念・課題の解決を図ります。(再掲)
  • 子どもたちへの性犯罪被害を未然に防ぐため、空き教室をはじめ学校内等での死角をなくすための人的配置等を推進します。(再掲)
  • わいせつ行為を認知できるようになるための、子どもへの教育を推進します。(再掲)
  • 特別支援学校教員やベビーシッター等による知的障がい児等への性的虐待の増加を踏まえ、具体的な対策を検討します。(再掲)

性ビジネスへの対策強化

  • アダルトビデオ(AV)やいわゆるJKビジネスによる女性・子どもの被害防止、被害者救済・支援、加害者取締り等のために、実態把握を進めます。既存の法制度を適切に運用・周知するとともに、包括的な法整備を含む必要な改善策を検討します。(再掲)

痴漢対策

  • 痴漢は犯罪であり、国として痴漢対策に取り組むよう、関係省庁、鉄道会社等の連絡協議会を設置し、具体的な施策を検討します。
  • 痴漢抑止バッジ、ポスター、女性専用車両の増設など痴漢を防止する効果のある方策について、民間団体、鉄道会社等と連携し、開発します。
  • 政府は鉄道会社等と連携し、痴漢の実態調査を行い、防犯アプリの活用・普及など効果的な施策の検討につなげます。
  • 痴漢被害にあった場合の学校、家庭、警察、鉄道会社等の対応をマニュアル化・周知し、二次被害を防ぎ、被害者が相談と支援を受けることができるようにします。

DV・ストーカー対策の強化

ストーカー事案への対応のさらなる充実

  • 改正「ストーカー規制法」(「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)について、さらに実効性を高めるために不断の見直しを行い、ストーカー被害者等の安全が確保されるよう、的確な運用を進める等、総合的に推進します。
  • 恋愛感情以外によるストーカーにもストーカー規制法が適用されるよう法改正します。
  • ストーカー事案の特性を踏まえ関係機関等が適切に対応・支援できるよう、専門的能力や経験を有する人材を育成します。
  • 実効的な加害者更生プログラムの提供体制を整備します。

DV防止法の改正

  • DV被害者が適切に保護されるよう、DV防止法(「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」)のさらなる改正を検討します。
  • 専門職であるにもかかわらず、ほとんどが非正規で低賃金という実態にある女性相談支援員の待遇改善、雇用の安定、専門性の確保等を進めます。
  • 家庭裁判所等でのDV被害者、支援者の安全を確保するための工夫を進めます。
  • DV、ストーカー対策等について、精神医学的・心理学的観点も含め加害者更生プログラムや啓発・教育を具体的に進め、加害者対策・研究を充実させます。
  • 児童虐待とDVの密接性を踏まえ、配偶者暴力相談支援センターと児童相談所との連携強化を図ります。

DV被害ワンストップ支援センター

  • 女性センター等の担当者の専門性を高め、定着を図ります。
  • DV被害者支援をワンストップ支援センターで行い、人材を確保し、継続的に支援を行える体制を整えます。DV被害者支援者養成講座を充実させ、DV裁判専門スタッフの育成、加害者の加害行動更生プログラムを提供します。
  • DV被害にあった母と子どもの安心・安全を保障する「レスパイトハウス」(仮称)作りを支援します。
  • DVやストーカー、性暴力等の被害者が就業を継続できるよう、加害者の接近や個人情報漏洩を防ぐ等の支援策を検討します。
  • DV被害者支援団体が安定的に活動を継続できるよう、人件費を含め、国や自治体が予算を助成し、効果的な支援プログラムの全国展開を可能にします。

DV等被害者情報の保護

  • 現行制度において、DV等被害者は、住所を加害者等に知られないようにするために、住民基本台帳の閲覧を制限したり、住民票の写しの交付を制限したりすることができる支援措置を受けられますが、この支援措置は1年ごとの更新が必要となっています。毎年の更新は被害者にとって精神的・物理的に大きな負担であることに加え、そもそもDVは短期間で解決するような単発の出来事ではなく当事者間の関係性の問題であり、1年ごとの更新には合理性がないことから、更新が不要となるようにします。
  • 自治体で誤って加害者に被害者の住所等の情報を漏洩してしまうことを防ぐよう①研修・マニュアル整備への支援、②税務、社会保障、子ども・子育て支援などのさまざまな分野との連携強化への支援、③人為的ミスが起こりにくい情報システムの整備を支援するようにします。

ひとり親等支援

  • 全ての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されることなく、夢と希望をもって成長していくことができる社会の実現を目指します。
  • 剥奪指標(社会の中で生活に必要と判断される、衣食住といった物品やサービス、社会的活動などの項目を選定し、その充足度を指標化したもの)など子どもを取り巻く困窮度が分かる実態調査を行います。(再掲)
  • 相対的貧困率等の毎年の数値目標を設定するとともに、生活困難度等について多面的に「見える化」を図ります。(再掲)
  • わが国のひとり親家庭の貧困率はOECD加盟国の中で最悪の水準にあることから、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の支給月額を1人当たり1万円増額するとともに、支給期間を20歳未満に延長し(現行制度では18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)、ひとり親家庭の子どもの大学や専門学校等への進学を後押しします。また、支給は毎月に改めることで、月ごとの収入のばらつきをなくし、ひとり親家庭の家計の安定を図ります。さらに、ふたり親低所得世帯にも月額1万円を支給します。(再掲)
  • ひとり親家庭や生活困窮世帯の育児・生活・就業支援の充実、雇用の確保を進めるとともに、居場所づくりにより孤立を防ぐなど、個々の家庭の実情に応じた支援を行います。
  • ひとり親が資格取得のために講座を受講する際の負担の大幅な軽減や、講座受講時の子育て支援サービスの提供などの拡充を進めます。(再掲)
  • ひとり親家庭に対する病児・病後児保育事業、子育て・家事のヘルパー派遣を拡充します。
  • 障がいのあるひとり親家庭や生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金、児童扶養手当の制度拡充を行います。(再掲)

養育費の確保

  • 養育費は子どもの成長・発達のために必要であることから、子どもの権利として位置付けます。(再掲)
  • 日本は離婚の9割近くが協議離婚であり、その半数以上で養育費の話し合いができていません。養育費の取り決めが必ずしもなされていない現状に鑑み、当事者にとって精神的・経済的・物理的に簡便な方法を促進し、親の義務の履行を促します。(再掲)
  • 社会全体で子育てを支援し、子どもの貧困を防止する観点からも、行政機関が一時立替を行う諸外国の例を踏まえ、養育費立替払制度の創設など公的関与の拡大を進めます。「不払養育費立替・取立制度導入法」の制定により、政府が「不払養育費立替・取立機構」を設立し、不払いの養育費の取立てを行う仕組みをつくります。(再掲)

困難を抱える女性への支援

  • DVや性犯罪被害、家族破綻、貧困、障がい、社会的孤立など、さまざまな困難を抱えた女性が増えているにもかかわらず、法律の狭間にあって適切な支援を受けにくい状況が指摘されています。切れ目なく人生のそれぞれの段階で適切な支援が受けられるよう制定された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく支援が実効性あるものとなるように、法の運用状況を検証し、関係団体の意見も聴きながら、必要な制度改善を進めます。
  • 困難な女性支援新法では、市区町村に女性支援の責務が明記され、支援の実施主体としての役割が大きくなりました。身近な市町村が、アウトリーチや居場所づくりなど、相談の端緒から生活再建支援までをしっかり担えるようにします。
  • 女性相談支援員や女性保護施設職員など支える側の人員の増員及び配置の拡大、専門性の向上、待遇改善を行い、女性の人権を擁護し、アドボケーター(代弁者)としての活動が行えるよう体制を強化します。
  • 官民、民間団体間での緊密な連携を推進し、困難を抱える女性への積極的な支援活動を可能にします。

さまざまなニーズへの対応

  • ひとり暮らしの高齢女性に正しい情報と支援が行き渡るよう、施策を講じます。
  • 障がいのある女性に対する複合的な差別の防止のための必要な措置を講じます。
  • 外国人女性に対し、多言語での情報提供を行い、相談窓口へ接続できるよう環境を整備します。

障がい者への支援

  • 「女性障がい者」の枠組みでの実態調査を行い、直面する課題への対応を強化します。
  • 女性障がい者の意思決定の場への参画を進めていきます。
  • 障がい児・者に対する性暴力、DV被害の実態調査・研究を行い、対策を推進します。

高齢女性に対する支援策

  • 今後、単身高齢者世帯が増加していくことに鑑み、空き家等の活用を含め、要介護度にかかわらず、低所得の高齢者であれば入居できる支援付き住宅の整備を進めます。(再掲)
  • 生活保護が適正に運用され実施されるよう、福祉事務所の実施体制について抜本的な見直しを行うとともに、総合相談体制、行政処分のチェック機能、人材育成、権利擁護を強化します。生活保護受給資格の要件を分かりやすく提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与するとともに、受給資格があるにもかかわらず給付を受けない事態が放置されないように対応します。(再掲)
  • 住まいの安心を確保するために、新たな家賃補助制度を創設します。(再掲)

ジェンダー平等を推進する教育

ジェンダー平等教育

  • 男女が真に平等な社会こそ全ての人に幸福が訪れる最低条件であることを、小さい時から実体験に基づき学べるようにし、就学以前の「性別役割分担意識を固定させないための教育」を行い、学校教育でのジェンダー平等を進めます。

包括的性教育の推進

  • 「性の権利」を知り、性を自分のものとして行動するための包括的性教育を推進します。生涯を通じた女性の健康を保持するためには幼児期からの教育が重要であることから、学校等での性に関する指導の実施や科学的な知識の普及などを推進します。
  • 国連人権理事会における勧告を重く受け止め、全ての人のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の早期実現を目指します。
  • 女性が、子どもを産む・産まない、性的指向・性自認(SOGI)等にかかわらず、また人生の段階に応じて、健康保持・向上のために必要な支援を受けられるよう施策を拡充します。
  • 望まない妊娠や中絶を減らし、また性犯罪の被害や加害を防ぐため、自己決定権を尊重する包括的性教育を行います。
  • 性暴力・性虐待被害者や若年妊婦等について、迅速に必要なサポートにつながるよう、他の行政機関や民間団体との連携を強化し、包括的な支援を提供します。

リカレント教育

  • 妊娠・出産などで高校への進学や卒業を諦めざるを得なかった女性の高等学校卒業程度認定の取得支援、リカレント教育(学びなおし)の支援など、家庭のさまざまな事情に寄り添った施策を行います。妊娠・出産などで高校等を中退することのない支援も行います。
  • 教育機関が非正規雇用労働者、女性などに学びなおしの機会を提供し、複線型のキャリアパスの形成を支えていくことを可能にします。

生涯を通した女性の健康の保障

  • 性と生殖に関する女性の健康と権利を守るための施策の拡充を図り、女性が自己決定権に基づき心身ともに健康で生き生きと自立して過ごせるよう、総合的に支援します。

性差に着目した医療の充実

  • 女性と男性の生物学的性差や社会的性差に着目しつつ、女性の心身の症状を診る「性差医療」を拡充します。女性の健康、性差医療等に係る調査・研究を行うとともに、その成果等について教育・研修および普及・啓発を推進します。
  • 適正な性・生殖に関する情報の提供を進めるため、妊娠前の健康管理(プレコンセプションケア)や若い世代の男性(泌尿器科)、女性(婦人科)の検診の普及・促進を図ります。(再掲)
  • 女性特有のがんである「乳がん」「子宮がん」は若年化が進んでいることから、若い女性への普及・啓発を一層進めるとともに、患者が治療と仕事や子育てを両立できるよう支援します。
  • 男性に固有の病気、生活習慣などに着目し、生涯を通じた健康保持策を推進します。
  • 更年期障害の軽減、成年期・高齢期の健康づくりを支援します。

民間団体への支援

  • 地域の中で人材を育成し、子どもの育ちや助けを必要としている人を支える体制を作ります。
  • 子育て支援、暴力被害者支援などを行うNPOなどの民間団体が行政と対等な立場で連携し、活動しやすい環境を整えます。
  • NPOなどの民間団体の事務処理の負担を軽減する体制を作ります。

災害対応におけるジェンダー平等

  • 防災計画・災害対応を女性の視点で見直すため、各レベルの防災会議への女性の参画を進めます。
  • 避難所運営への女性の参加、女性や性的指向・性自認(SOGI)で困難を抱えている人のニーズ把握や相談に応じる体制の整備、知識・経験を有するNPO等との連携など災害対応におけるジェンダー平等を推進します。

ジェンダー平等に基づいた国際協力

  • 持続可能な開発目標(SDGs)の5番目の目標であるジェンダーの平等を達成し、全ての女性と女児のエンパワーメントを図ることを、国内外を問わず推進します。
  • 紛争国や開発途上国で女性の教育水準向上と仕事の充実を図り、貧困を是正し、男女格差・国際間格差の解消に資するよう、政府開発援助(ODA)の予算配分と実施に際して調査・計画・立案・実施・評価の各段階にジェンダー平等の視点を取り入れます。

DV、児童虐待、性被害への対応拡充

  • 24時間体制にするなど相談窓口の拡充を行うとともに、DVシェルターや子ども、若年女性を保護する施設の増加を図ります。
  • SNSなどを利用した相談体制を拡充します。
  • 緊急事態宣言下でも支援につながる体制を整備し、自治体や民間支援団体等の相談窓口を閉鎖しないよう整えます。
  • 一時保護期間について、状況を踏まえて柔軟に延長できる対応を促します。