立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

内閣

総論

過度でいびつな「官邸主導政治」の是正

  • 内閣官房の強化と内閣府の新設以降、両組織が肥大化した結果、出向元の人員不足のほか、政策の責任の所在の不明確化や指揮命令系統の複雑化、それに内閣委員会における審議の渋滞など弊害が目立ちます。
  • 縦割り行政によるムダの排除や、省庁にまたがる政策遂行を円滑に進めるための必要最低限の司令塔機能は維持すべきですが、過度の「官邸主導政治」の弊害は是正する必要があります。
  • こうしたことから、内閣が国政の重要課題に適宜適切、かつ戦略的、機動的に取り組めるよう、内閣官房・内閣府には必要最低限の政策司令塔機能を持たせつつ、それ以外の事務は関係省庁に移管するなどして事務分担を見直します。

政官関係の適正化

  • 安倍政権下で起きた森友問題、加計問題や黒川検事長問題など、官僚が政治家に忖度した結果、法の執行・運用が歪められたり、文書改ざんなど数々の不正事案が発生しました。また、政権の政策に異を唱えた官僚が左遷される事案も枚挙に暇がなく、これは菅政権以降も基本的に変わっていません。
  • また官僚は、言うまでもなく国民全体の奉仕者であって、特定の政党や政治家に忖度して行政の公平・公正性を失わせるようなことがあってはなりません。
  • こうした現状を改善し、公務員が誇りを持って仕事が出来る環境を整えるため、また、総合職への志願者の減少や、中途退職者の増加など「負のスパイラル」を是正するためにも、内閣人事局による幹部人事の在り方の見直しなど、公務員の人事制度を客観的で透明なものに転換します。

真に国民に奉仕する公務員制度の実現

  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大といった社会的危機や、頻発する激甚災害などに対応するためには、質・量ともに高い公務公共サービスを実現する必要があり、そこで働く全ての者に保障されるべき権利としての労働基本権回復と、自律的労使関係制度の確立は急務です。
  • 公務員のなり手不足への対応と、仕事のやりがいや働きがいの実現、さらにはワーク・ライフ・バランスと、少子化に対する「共働き・共育て環境」の実現などさまざまな観点から、公務員の残業時間の削減を含めた「働き方改革」を徹底的に進めます。
  • 民間と同様に公務員においても正規・非正規雇用の格差や、官製ワーキングプアが大きな社会問題ともなっており、こうした雇用の在り方の見直しや同一価値労働同一賃金の原則の徹底を進めます。
  • 我々が目指す行政改革は、あくまでも無駄遣いの廃止にあり、いわゆる「小さな政府」や「身を切る改革」による住民サービスの切り捨ては論外です。国民の命と暮らしを守り抜き、ベーシックサービスを充実させます。

公務員制度改革

  • 公務員のワーク・ライフ・バランスを推進するため、民間企業同様、超過勤務縮減の徹底、業務の効率化や職場環境の改善など「働き方改革」の具体化に向けた取り組みの実施、テレワークの推進強化等を行います。特に子育て、介護等を行っている者については配慮するようにします。透明で民主的な公務員制度を目指し、公務員への労働基本権の回復・保障を図り、労働条件を交渉で決める仕組みを構築します。消防職員の団結権・協約締結権、刑事施設職員の団結権を保障します。
  • 国有林野職員について、自律的な労使関係の下で労働関係の調整が行われてきたことに鑑み、引き続き労使関係を円滑に調整するため、国家公務員制度改革による自律的労使関係制度が措置されるまでの間、暫定的に、労使関係に関する従前の法律関係を確保するための措置を講じるとともに、人材の確保を図ります。(再掲)
  • ハローワークの職員や消費生活相談員、図書館司書など国家公務員・地方公務員の正規雇用化を進め、期待される役割を担える体制を取り戻します。
  • 担当事務事業の予算を適正に削減した部署や公務員個人が評価される仕組みを導入します。
  • 行政機関等の事務・事業の公正さに対する国民の信頼を得られるよう、行政機関の職員等が国会議員等と接触した場合における当該接触に係る記録の作成等に関する事項を定める「政官接触記録の作成等に関する法律」を制定します。
  • 職員OBを介した再就職あっせん行為等の規制の新設など「天下り規制法」を制定し、「天下り」によって政策決定過程が歪められることを防止します。
  • デジタル化は必要不可欠であり体制整備は急ぐべきですが、安易な人員削減に結び付けることなく、適切に人員を配置し、住民サービスの充実・向上を図ります。(再掲)

国民の知る権利の保障

  • 森友学園・加計学園問題や桜を見る会問題など、政治家が行政による法の運用・執行を歪めた疑いのある事案について、情報公開を徹底し、総理直轄の真相究明チームを設置して真実を明らかにします。
  • 「公文書管理法改正案・公文書院設置推進法案」を制定し、行政文書の作成・保存・移管・廃棄が恣意的に行われないようにするとともに、公文書等の管理の適正化を推進するため、独立性及び専門性をもった新たな機関として「公文書院」を設置します。
  • 情報公開法を改正し、行政機関の長に、自発的に分かりやすい情報提供を行うことを義務付けるとともに、不開示情報規定および部分開示規定を見直し、開示情報を拡大します。不開示決定の通知に、その根拠条項および理由をできる限り具体的に記載することにより、運用の明確化を図ります。また、開示請求手数料を安くするなどし、手続きの簡素化を図ることで、税金の使途や行政情報を透明化します。
  • 特定秘密保護法については、民意を顧みずに強行採決された経緯にも鑑み、国による情報の恣意的・不適切な秘匿を防止するため、廃止します。廃止されるまでの間は、国民の知る権利を守るため特定秘密保護法を見直し、国会や第三者機関の権限強化も含め行政に対する監視と検証を強化します。具体的には、当該行政機関の恣意性を排除するため、内閣府に設置する第三者機関(情報適正管理委員会)が指定基準を定め、基準非該当の秘密指定を知った秘密取扱者は、委員会への通知義務を負うこととします。
  • 情報監視審査会に対し、秘匿の適否を判断する権限を与え、適切な情報提供や、「黒塗り」部分の開示を促進させます。

カジノ法廃止・ギャンブル依存症対策

  • 「IR(統合型リゾート施設)推進法・整備法」を廃止し、賭博性が高く、治安の悪化が懸念されるカジノ事業は中止します。当事者であるギャンブル依存症の患者団体や家族の会などと連携し、ギャンブル依存症対策を進めます。

学術会議のより良い役割発揮

  • 日本のナショナル・アカデミーである日本学術会議がより良い役割を発揮できるよう、十分な財政基盤を保障します。組織・制度については政府からの自立性・独立性を担保します。会員選考等については、透明性の向上を図りながらコ・オプテーション方式を維持し、日本学術会議が推薦した候補者をそのまま任命します。

警察行政の質の向上

  • 国民生活を守るため、特殊詐欺(オレオレ詐欺等)への対策など、身近な犯罪の取締りを強化します。
  • 国内外での犯罪行為により不慮の死を遂げたり、被害を受けたりした方への給付金・弔慰金等支給制度の拡充を図ります。
  • 検挙率を向上させるため、専門能力を持つ人員等、資源配分が適切にされるよう必要な支援を行います。警察本部・警察署等の耐震診断実施率を向上させるなど、拠点施設や交通安全施設の老朽化対策を進めます。
  • 警察組織の健全な運営のため、公安委員会制度・監察制度の機能強化、公益通報制度の適切な運用を図ります。

悪質ホストクラブ問題

  • 悪質ホストクラブによる被害の防止・救済のため、必要な法整備・法改正を行います。

宇宙の開発利用促進

  • 「宇宙資源法」の執行も含め、新型基幹ロケット「H3」の開発を促進し、世界トップクラスの宇宙開発能力を維持・強化するための先端的研究開発を推進します。「はやぶさ2」による小惑星探査を通じた生命起源の探求といった宇宙科学・探査を戦略的に推進します。
  • 政府系宇宙インフラ(気象、測位、リモートセンシング等)を拡充し、宇宙産業の基盤技術の発展を推進します。
  • 準天頂衛星システム等の衛星データを活用し、自動運転や農機・建機の自動走行等による生産性革命を推進します。
  • ベンチャー企業をはじめとした民間事業者の宇宙ビジネスへの参入を促進します。

安定的な皇位継承

  • 皇位の安定的継承と女性宮家の創設に向けて、立憲民主党「安定的な皇位継承に関する検討委員会」の「論点整理」に基づいて、拙速にではなく、丁寧に国民の総意を作っていくための議論を行います。

アイヌ政策

  • 先住民族であるアイヌの人々の尊厳を第一に、生活支援および教育支援に資する事業等、アイヌ文化の振興策等を実施します。
  • アイヌ民族の先祖の尊厳を蹂躙し、現在に至るまでアイヌ民族に苦難を与えてきた歴史的事実を厳粛に受け止め、「先住民族の権利に関する国連宣言」、国連人権条約監視機関による勧告等に基づくアイヌ政策を進めます。
  • アイヌ民族差別を解消し、アイヌ民族の誇りを尊重するために、サケ漁などの権利の回復を目指します。
  • 盗掘されたアイヌ遺骨の返還・再埋葬を国等の責任で行うとともに、アイヌ差別禁止のために実効性ある行政措置を行います。
  • 子どもたちがアイヌ語やアイヌの歴史・文化に触れる機会を増やします。
  • アイヌ政策を進める際には、決定機関にアイヌ民族が参画し、その声を尊重できるように、体制を整備します。

フリーランス支援

  • 従業員のような扱いをされているフリーランスが、労働者として保護されるように、労働関係法令を見直します。
  • キャンセル料や経費、著作権などでフリーランスが損をしないように、国の作った標準契約書による安全で対等な契約を推進します。
  • 労災保険・社会保険の適用対象を拡大するとともに、フリーランスの特別加入労災保険への加入を支援します。
  • フリーランスや芸術家・芸能従事者のために、ハラスメントとメンタルの相談窓口や第三者調査機関をつくります。
  • 芸術家の地位と権利を守り、生活基盤を支える「芸術家福祉法」を制定します。