立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

経済政策

「人から始まる経済再生」

基本戦略

  • 他の先進国に比べて日本が手薄になっている「人への投資」を伸ばし、一人ひとりの持ち味が活きる社会を創造します。同時に、思い切った重点投資でGLLD分野(グリーン(Green:環境エネルギー分野)、ライフ(Life:医療・介護分野)、ローカル(Local:農林漁業・観光分野)、デジタル(Digital))を伸ばし、世界をリードする日本の「飯のタネ」を作り上げます。そして、セーフティネットの整備とフェアな分配・再分配により「安心」を確保し、幅広く消費を伸ばします。

目標

  • この間、実質賃金の低迷が日本経済停滞の大きな原因となっていることを踏まえ、日本を伸ばすための目標として「物価を上回る年収アップ」を掲げます。併せて、当面の目標として「3%の名目賃金上昇率の実現」を掲げます。

「人」を伸ばす

基本的な考え方

  • これまでの政治は、人を粗末にしすぎていました。生まれた環境によって受けられる教育が左右されてしまい、結果として能力が発揮できていません。賃金が上がらないことで、個人消費も伸びていません。また、女性の幹部登用が少ないなど、同質集団による同調圧力によって創意工夫が失われています。立憲民主党は、とにかく賃金を引き上げます。多種多様なライフスタイルや意見を反映させるための仕組みを整備します。徹底して「人」に寄り添うことで、誰もが自分の能力を十分に発揮することのできる、温もりのある環境をつくります。

徹底的な「人への投資」

  • 学びなおしのための休暇制度の整備や公的職業訓練の拡充、リスキリングの徹底支援、正規・非正規を問わない機会の提供、中小企業等を中心に助成すること等により、希望する全ての人の学びなおしを支援します。
  • 大学・給食の無償化など、教育の無償化を強力に推進します。
  • 時給1500円以上を目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。(再掲)
  • 性別、雇用形態にかかわらず同一価値労働同一賃金を実現します。
  • 望まぬ非正規雇用を正規化します。
  • 残業代の支払いを厳格化します。
  • フリーランス・労働者性のある個人事業主やギグワーカーなどの就労環境を向上させます。
  • 生涯を通じて社会人の職業訓練を支援するとともに、セーフティネットを強化した上で成長分野への人材移動と集積を進めます。(再掲)
  • 安定雇用により高度な技能を持つ人材を育成し、自社内の技術開発に努める企業を支援します。
  • 外国籍の人々が日本国内で安心して生活し、就労できる「多文化共生社会基本法」を制定します。
  • 日本の地域・産業を支える外国人労働者の受入れを進めるため、現行の特定技能および育成就労の在留資格を見直し、外国籍の人々を尊重する新たな雇用制度の確立を目指します。
  • 適正かつ公正な取引環境の整備を進め、価格転嫁と下請取引の適正化を実現することで、賃上げの環境を整えます。
  • 派遣業の在り方について見直します。
  • 就職氷河期時代に学校を卒業し、不本意ながら非正規雇用で社会人としてのスタートを切り、その後も正規雇用への道が閉ざされている世代に対して、各種の積極的労働市場施策を講じ、正規雇用化・無期転換の促進を図ります。(再掲)
  • 選択的夫婦別姓制度を早期に実現します。
  • 「LGBT差別解消法」を制定するとともに、同性婚を可能とする法制度を実現します。
  • 産休・育休、有給休暇の取得促進など働きやすい労働環境を整備します。
  • ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ、協同組合やNPOなど株式会社以外の組織への支援を強化します。

「産業」を伸ばす

基本的な考え方

  • いまや「経済か環境か」という二者択一の時代ではなく、環境を守れないと経済は成長しません。調和と共生を重視する方向へ、市場メカニズムを軌道修正します。グリーン(Green:環境エネルギー分野)、ライフ(Life:医療・介護分野)、ローカル(Local:農林漁業・観光分野)、デジタル(Digital)の「GLLD」で、地域のニーズに応じた新たな産業、10年後の日本の「飯のタネ」を創出し、国内市場を大きく成長させるとともに、その担い手たるスタートアップを徹底支援します。持続可能な都市計画やまちづくり、住宅政策へと転換し、分散型社会への転換を図ります。食料・エネルギーの自給率向上は、国富流出の防止、経済安全保障の観点からも強力に推し進めます。

グリーン(Green:環境エネルギー分野)

  • 2030年までに省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現します。(再掲)
  • 自然エネルギーの普及、エネルギーの地産地消で、地域に雇用と所得を創出します。
  • 気候危機対策を強力に推進し、2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%および2050年100%を目指し、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。(再掲)
  • 脱炭素分野のイノベーション支援(産学共同研究の推進等)を行います。
  • 省エネ技術や蓄電技術の開発を支援します。
  • 建物の断熱化を促進し、省エネや地場産業(建設業等)を振興します。
  • 公共施設や新築住宅等への太陽光パネル設置、コジェネシステムの普及促進を行います。
  • 高性能太陽光パネル、洋上風力の国産化を後押しします。
  • 電気自動車(EV)の充電ポイントや燃料電池車の水素スタンドの設置支援、EV・燃料電池車の開発・普及促進、次世代の蓄電技術の開発・製造支援、燃料の脱炭素化推進など、自動車産業の脱炭素化の基盤整備を強力に進めます。
  • 水素発電、水素還元方式による製鉄、水素運搬船等の実用化を支援します。
  • 送電網・地域間連系線の増強、スマートグリッド導入等への公的支援を行います。
  • 環境負荷軽減の新素材開発を支援します。
  • レアメタルのリサイクルを促進します。
  • 再エネファンド、グリーンボンドを促進します。
  • グリーンインフラの活用により、グリーン成長を社会の大変革につなげ、関連する分野をわが国の主要産業へと育成します。

ライフ(Life:医療・介護分野)

  • 創薬・バイオ、ゲノム医療などの分野を大規模かつ中長期的・計画的に推進します。
  • 予防医療促進の視点も踏まえ、ビッグデータ活用による健康増進、健康寿命長期化のためのまちづくり、高齢者向け住宅リフォーム、IoT機器の活用等を進めます。
  • 介護・医療従事者の身体的負担を軽減するため、ロボット技術の開発と運用を支援します。(再掲)
  • 介護・福祉・医療分野のDXを促進します。
  • ワクチン開発を支援し、日本企業の国際競争力を高めます。(再掲)
  • iPS細胞を利用した再生医療研究等の促進、創薬への支援や創薬の環境整備を進め、日本の先進医療、画期的な新薬などの医療技術を海外に輸出するための産業育成、発信力強化を図ります。(再掲)
  • 開発途上国が必要とする医薬品の開発を支援し、日本の医薬品が海外で使用される基盤づくりを進めます。(再掲)
  • 医療・介護分野で研究開発型の独立行政法人を最大限活用します。研究開発型の独立行政法人について、世界の第一線で競う研究開発の特性に応じ、研究開発成果を最大化するための制度構築・運用改善を行います。(再掲)
  • 医療・介護のIT化をさらに推進します。在宅患者も含めた情報集約による地域医療連携ネットワークの構築や、情報共有による日常生活圏を中心としたシームレスな医療・介護サービスの提供を目指します。また、医療・健康・福祉のスマート化(いつでもどこでも健康状態を確認できるオーダーメイドの健康管理システム等)を推進します。(再掲)
  • 抗生物質などの研究開発、難病治療を促進します。(再掲)
  • AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の研究室併設を含む抜本的改革による研究開発環境を整備します。(再掲)
  • 医学部では基礎医学に留まらず、臨床科目の教室におけるPh.D.のポスト増加、特に教授ポストの新設・確保により欧米並みの研究力を確保します。(再掲)
  • 臨床研究法に基づき、実効性のある取り組みを進め、研究の中での多様な利益相反を適切に管理し、研究対象者の健康と人権を守ります。(再掲)
  • 国産医薬品・医療機器の開発と既存の必須医薬品・医療機器の国産化のため、国主導で産官学一体支援の体制を構築します。また、ドラッグラグやデバイスラグの解消を念頭に置きつつ、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の機能強化をはじめ、高度管理医療機器の申請と更新の適正化、国産医薬品・医療機器推進政策を進め、医薬品・医療機器の審査が迅速に進むように制度を整備します。さらに、医薬品などに係る副作用など有害事象を正しく評価できるように疫学調査なども充実し、日本発の医薬品の信用向上と過度な規制緩和の抑制に努めます。(再掲)

ローカル(Local:農林漁業・観光分野)

  • 農林漁業、観光、自然エネルギーで豊かな地域経済の基盤を整備します。
  • 農業・農村、森林、水産業・漁村の多面的機能を発揮しつつ、有機農業、スマート農業、国産種子の開発・普及、ソーラーシェアリング、自然エネルギーの供給、国産材の安定供給・利用促進、木材利用の技術革新(CLT、CNF等)を推進します。また、地域の特産品のブランド化、ブランド価値の向上、日本の食文化の魅力発信等による農林水産物・食品の輸出を進めます。
  • かつて実施された農業者戸別所得補償制度を、食料安全保障の確保と多面的機能の発揮に貢献する農業者の所得向上等に資する農地に着目した直接支払に転換し、わが国農業の中心である家族経営や集落営農等を積極的に支えます。
  • 農林水産業のDXを促進します。
  • 住民にとって誇りと愛着を持てる観光地域づくりを目指し、年次有給休暇の取得促進及び休暇の分散取得などの休暇改革に取り組むとともに、観光人材の育成、観光資源の付加価値化・ブランド化の促進、旅館・ホテル業の振興、観光圏の開発など、観光環境を変革し、観光立国を強力に推進する施策を講じます。(再掲)
  • エコツーリズム、グリーンツーリズムを推進し、またバリアフリー化に取り組む公共交通事業者や小規模店舗等への支援などを通じ、持続可能な観光を目指します。
  • グリーンインフラを生かした災害に強いインフラの整備を着実に進めるとともに、豊かで多様な社会資本を再生させ、それらを有効に活用します。
  • 一括交付金の復活、地方交付税の法定率の引き上げ、権限と財源のより一層の移譲などで、自治体の自主性・自律性を高め、真の地域主権改革を実現し、活力ある地方をつくります。

デジタル(Digital)

  • デジタル教育を推進し、デジタル人材の育成を徹底的に進め、官民のデジタル化を強力に推進するとともに、スタートアップを効果的に支援します。
  • 次世代通信技術、光電融合、量子暗号、AI、メタバース、航空宇宙、超電導、次世代モビリティなどの分野を大規模かつ中長期的・計画的に推進します。
  • 先端半導体の国産化を推進します。
  • 国産クラウドサービスを確立します。
  • 国産ドローン開発・活用を推進します。
  • 量子技術の実用化を後押しします。
  • 完全自動運転に向けた環境整備を行います。
  • 次世代インターネットの開発を後押しします。
  • 次世代通信網のインフラ整備を推進します。
  • 政府のデジタル化による行政手続の迅速化を図ります。
  • 決済手段の多様化と低コスト化を図るため、世界に後れを取ることがないように、日銀が行っている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験や研究などの検討を促進します。(再掲)
  • フィンテック等、金融サービスの環境変化への対応を促進します。
  • 安心・安全な情報管理を実現するため、官民の連携を進めてサイバーセキュリティを強化します。
  • 巨大デジタルプラットフォーム企業に対し、個人情報保護やセキュリティ確保の観点から、適切な規制と起業の促進に取り組みます。
  • 先端技術や知的財産権の保護・強化を図ります。
  • データ流通などデジタル貿易の国際共通ルール作りに取り組みます。
  • 人工知能の倫理基準の国際標準化に取り組みます。

産業基盤の強化

  • 基礎研究費や研究開発費を今後10年間で大幅に引き上げます。
  • 標準、規格、特許の分野での人材育成を強化し、国際標準を主導します。
  • 中小企業憲章の理念に基づき、産業・雇用の中核的な役割を担う地域の中小企業を育て、地域資源を生かした事業への投資を促進し、事業継続、生産性向上、新事業の創出、事業承継などへの支援・拡充を総合的に行います。(再掲)
  • 持続可能な社会に向け、企業や投資家による公益目的の投資(「インパクト投資」)を促すための仕組みを導入します。
  • スタートアップを徹底支援します。
  • 「社会的起業」を後押しします。
  • ESG投資(環境、社会貢献、企業統治に配慮する企業への投資)を促進します。
  • ソーシャルボンド(社会的貢献債)の発行を後押しします。

「消費」を伸ばす

基本的な考え方

  • 一人ひとりの「安心」が消費の確かな基盤となり、社会や経済を発展させます。いまの日本社会は、自己責任を強調するあまりに、セーフティネットの整備が遅れ、将来不安が高まっています。子育ても、自己責任に重きを置く政府の発想が少子化の流れを加速させています。誰もが安心できる、ほころびのないセーフティネットを構築するとともに、フェアな分配・再分配を実施します。これにより将来不安を解消し、幅広く消費を喚起することで、力強くしなやかな社会・経済を築きます。

セーフティネットの整備

  • 少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会に向けて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシックサービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。(再掲)
  • ベーシックサービスを支える人材を確保するため、ベーシックサービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について正規化を図ります。(再掲)
  • 児童手当は、世帯内の子どもの数にかかわらず、月額1万5千円に増額します。(再掲)
  • 住まいの安心を確保するために、新たな家賃補助制度を創設します。(再掲)
  • 医療・介護・障がい福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について、所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。(再掲)

フェアな分配・再分配

  • 所得税については、「分厚い中間層」を復活させるため、勤労意欲の減退や人材の海外流出等の懸念に十分配慮した上で累進性を強化します。また、所得控除から税額控除へ、さらに税額控除から「給付付き税額控除」への転換、基礎控除の拡充をはじめとした諸控除の見直し等により、所得再分配機能を強化し、高所得者に有利な税体系を中低所得者の底上げにつながるものに改めます。(再掲)
  • NISA(少額投資非課税制度)の拡充が実現した一方で、貯蓄ゼロ世帯の増加などを踏まえると、所得格差の拡大・固定化を是正する取り組みは依然として不十分であるため、所得再分配機能を強化する観点から、金融所得課税について、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入し、中長期的には総合課税化します。(再掲)
  • 法人税については、「租特透明化法」に基づき精査を行い、租特の抜本的な見直しを実行した上で、法人の収益に応じて応分の負担を求める税制に改革します。(再掲)
  • 消費税の逆進性対策については、軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する消費税の半額相当分を所得税から税額控除し、控除しきれない分を給付する「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入により行います。併せて、迅速・簡素な給付の方法を検討します。(再掲)
  • 資産格差が拡大・固定化している現状に鑑み、税率構造や非課税措置の見直しなどにより、相続税・贈与税の累進性を高めます。(再掲)
  • 社会保険料負担の上限額を見直し、富裕層に応分の負担を求めます。また、負担と給付の関係性を重視しつつ、低所得者への保険料軽減措置などを拡充します。(再掲)
  • 巨大IT企業等のいわゆる国際プラットフォーム企業が、ビジネスを展開し利益を上げている国でほとんど納税していない実態に対し、法人税の最低税率に関する国際合意が実現したことも踏まえ、国際課税の枠組みをさらに強化します。(再掲)
  • 日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として、「実質賃金の上昇」を掲げます。(再掲)
  • 日銀が保有するETFは、簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を、少子化対策等の財源に充当します。(再掲)
  • 国会の下に独立財政機関を設置して、主要政策の費用対効果や財政の見通しを客観的・中立的に試算・公表するとともに、その試算に基づき「中期財政フレーム」(3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針)を策定することを政府に義務付けることで、放漫財政を改めます。(再掲)
  • 「公益資本主義」を導入し、株主・金融偏重のコーポレート・ガバナンス改革、ROE経営、短期主義経営などを見直し、従業員・消費者・取引先・地域社会など多様なステークホルダーへの利益の公正な分配の実現を目指します。