立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2024Policies 2024

子ども・子育て

チルドレン・ファースト

  • 子どもの権利条約に則り、子どもの権利と最善の利益を最優先とする子ども中心のチルドレン・ファーストの政策を実現します。
  • OECD加盟国の中でも最低水準とされている日本の子ども・子育て関連予算について、積極的な積み上げを行い、結果として対GDP比3%台(現状の倍増)を達成し、社会全体で子どもの育ちを支えていきます。
  • いじめや虐待など子どもを巡る問題が起きた場合に、子どもの権利を最優先に擁護し、客観的な第三者として調査権限と提言機能を備えた「子どもコミッショナー」を設置します。

ヤングケアラーの実態に即した支援

  • ヤングケアラーについての公的な調査が実施されたことを踏まえ、問題の社会的周知の徹底を図ります。(再掲)
  • ヤングケアラーを早期発見し、関係者と情報共有する体制構築の推進、ヤングケアラー家庭への支援、教育や医療、就労など横断的な支援を実現する法律を整備します。カウンセリングなどの支援、家事支援やレスパイトケアなど、子どもと家庭への必要な支援策を拡充し、子どもの心身の発達と学びを支えます。(再掲)
  • 自治体がヤングケアラーのアセスメントおよびケアマネジメントを行う部署を設置したり人材を確保したりできるよう、国が支援を行います。(再掲)

わいせつ教員等に対する対応について

  • 日本版DBS制度(子どもと接する仕事に就く人に特定の性犯罪の前科がないか確認する制度)について、対象犯罪の範囲が狭い、ガイドラインに多くが委ねられ実際の運用が不透明といった懸念・課題の解決を図ります。(再掲)
  • 子どもたちへの性犯罪被害を未然に防ぐため、空き教室をはじめ学校内等での死角をなくすための人的配置等を推進します。
  • わいせつ行為を認知できるようになるための、子どもへの教育を推進します。
  • 特別支援学校教員やベビーシッター等による知的障がい児等への性的虐待の増加を踏まえ、具体的な対策を検討します。

子どもの貧困対策強化

  • 剥奪指標(社会の中で生活に必要と判断される、衣食住といった物品やサービス、社会的活動などの項目を選定し、その充足度を指標化したもの)など子どもを取り巻く困窮度が分かる実態調査を行います。
  • 相対的貧困率等の毎年の数値目標を設定するとともに、生活困難度等について多面的に「見える化」を図ります。
  • わが国のひとり親家庭の貧困率はOECD加盟国の中で最悪の水準にあることから、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の支給月額を1人当たり1万円増額するとともに、支給期間を20歳未満に延長し(現行制度では18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)、ひとり親家庭の子どもの大学や専門学校等への進学を後押しします。また、支給は毎月に改めることで、月ごとの収入のばらつきをなくし、ひとり親家庭の家計の安定を図ります。さらに、ふたり親低所得世帯にも月額1万円を支給します。
  • ひとり親が資格取得のために講座を受講する際の負担の大幅な軽減や、講座受講時の子育て支援サービスの提供などの拡充を進めます。
  • 障がいのあるひとり親家庭や生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金、児童扶養手当の制度拡充を行います。
  • 病児・病後児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、ひとり親家庭に対する子育て・家事のヘルパー派遣を拡充します。
  • 生活保護世帯の子どもの大学や専門学校への進学の妨げとなっている世帯分離の運用を改善し、生活保護を受けながら大学・専門学校等へ通うことができるようにすることで、貧困の連鎖を断ち切ります。
  • 就学援助制度の利用促進を図るとともに、入学前は前倒し支給を行います。
  • 生活困窮者自立支援法による子どもの学習支援事業は任意事業にとどまり、自治体の実施率が低いことに鑑み、自治体に対する支援策を講じることを前提に、学習支援事業を必須事業とします。その際に全ての子どもの学びの場を確保するという観点を明確にします。
  • 社会全体で子育てを支援し、子どもの貧困を防止する観点からも、行政機関が一時立替を行う諸外国の例を踏まえ、養育費立替払制度の創設など公的関与の拡大を進めます。「不払養育費立替・取立制度導入法」の制定により、政府が「不払養育費立替・取立機構」を設立し、不払いの養育費の取立てを行う仕組みをつくります。(再掲)
  • 親から子に引き継がれる貧困の連鎖を断ち切ります。就学前教育や高等教育に対する負担軽減策を実行します。
  • 「学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策」をさらに推進し、教育と福祉の連携を進めるため、小中学校へのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置などを加速します。
  • 貧困が子どもの栄養状態・健康に悪影響を及ぼし、その結果として学習・就労等の活動を阻害するという悪循環を断つため、公立小中学校給食を無償化します。フードバンク・子ども食堂の促進等の施策を官民連携して展開します。

社会全体で切れ目ない子育て支援

  • 誰もが安心して出産・子育てができるよう支援を拡大します。妊婦健診費用、出産費用、幼児教育・保育費用、就学関係費用、高等教育費用や育児休業給付など子どもの成長に合わせて必要となる各費用について、一層の助成や給付拡大を行います。
  • 出産費用を無償化します。
  • 児童手当は、世帯内の子どもの数にかかわらず、月額1万5千円に増額します。
  • 住まいの安心を確保するために、新たな家賃補助制度を創設します。(再掲)

妊娠から出産までの支援の強化

  • 妊娠から出産・子育てまで一貫して子どもの育ちを支援し、家族全体の心身の健康サポートを行う日本版「ネウボラ」(子育て世代包括支援センターを中核とする子どもの育ちや子育てを支える地域ネットワーク)を全国で推進します。
  • 相談と実際の支援を連動させるため、産婦人科・教育機関・企業・保健所・児童相談所・マザーズハローワーク、周産期母子医療センターなどの関係機関を、日本版「ネウボラ」を軸に再構築し、ワンストップの支援体制を整備して一層の支援を講じます。
  • 母子とその家族が健やかに生活できるよう産後ケア事業を義務化するとともに、「産後ケアセンター」の開設と利用の促進を図ります。
  • 母子手帳について、名称を親子手帳と併記することや、電子化に対応することなどを含め、検討を進めます。
  • 成育過程にある子ども、その保護者、妊産婦に対し、妊娠期から成人期までの必要な成育医療・教育・福祉の提供を推進します。
  • 多胎児・多子の保護者が直面する困難や不安に寄り添った支援を強化します。
  • 妊娠・出産・子育てに関する悩みについて、いつでも対応できるよう、24時間対応の全国統一番号の電話ホットラインやSNS上の窓口を開設します。
  • アフターピル(緊急避妊薬)を処方箋なしで薬局で購入できるようにします。(再掲)
  • 児童相談所の相談業務の対象に妊産婦も含め、若年妊娠など出産前からの相談体制を整備し、迅速に必要なサービスにつながるよう、他の行政機関や民間団体との連携を強化し、包括的な支援を提供します。
  • 男女ともに年齢に応じた早期からの包括的性教育等により、予期せぬ妊娠を防ぐ一方、若年であっても家庭を持てる支援など、若者への教育、相談支援を強化します。

待機児童の解消

  • 保育所や放課後児童クラブの待機児童を解消し、利用希望者を「全入化」します。
  • いわゆる「隠れ待機児童」も含め、待機児童の実態を明らかにして保育所や放課後児童クラブの必要な整備量を設定します。
  • 待機児童の解消のために、保育所と放課後児童クラブを積極的に増やします。小規模保育所や一時預かりについては、保育士配置、子ども1人当たりの面積の基準の緩和を行うことなく、保護者や地域の実情に応じて計画を立て、子どもの安全と良質な保育環境を守ります。

全ての子どもに質の高い保育・幼児教育を提供

  • 保育所・認定こども園・小規模保育・放課後児童クラブなどを通じた保育等のサービスで、育児と仕事の両立ができる支援を充実させます。安全確保と万が一事故が起きた場合の十分な補償のための体制を整備します。
  • 保護者の就業形態にかかわらず、また都市でも地方でも安心して子どもを通わせることができるよう、幼保連携型認定こども園や小規模保育などへの給付制度を着実に実施します。
  • 認可外保育所に対する指導を徹底します。
  • 配置基準の見直しやICT等の活用を進め、保育所での子どもの見守りを強化したり、保育士の事務負担を軽減して保育士が保育に専念できるようにします。
  • 休日保育等を拡充し、働きながら子育てしている人を支援します。
  • 病児・病後児保育と「子の看護休暇制度」を拡充します。
  • 延長保育、夜間保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。
  • 希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに育ちともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。(再掲)
  • 一時保育、ベビーシッターについて、質の担保をした上で、保育時間の柔軟化、使い勝手の向上、複数の類似制度の整理に取り組み、安心して利用できる体制を整えます。
  • 一時保育をインターネットで見ず知らずの人に依頼しなければならない実態を解消し、責任を明確にした上で、料金の低廉化、子どもが安全に過ごせる保育施設の増設を進めます。
  • 全ての就学前教育・保育の無償化を推進します。政府の幼児教育・保育の無償化では、0~2歳の子どものいる家庭については、住民税非課税世帯だけが無償化の対象であるため、所得制限をなくし、0~2歳の全ての子どもが幼児教育・保育の無償化の対象となることを目指します。
  • 現在、無償化の対象となっていない「幼児教育類似施設」を対象とすることを検討します。
  • 企業主導型保育事業と事業所内保育事業については、質の担保のために地元自治体の関与を強め、両者の統合を図ります。事業所内保育所については、従業員のニーズを把握し、過不足なく保育士の配置等、質の担保されたものとして設置・運営されるよう改善に努めます。企業主導型保育事業は、適切な設置基準等で質の担保を徹底します。
  • 保育所や幼稚園、放課後児童クラブや児童養護施設等で働く全ての職員の賃金を1人当たり月額5万円引き上げます。まず、緊急的な措置として、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善法」の制定により、政府の処遇改善策からさらに支給対象を拡大するとともに、支給額を増額(プラス月額1万円)します。併せて、保育士のキャリア・スキルを「見える化」するキャリアカード制度を作り、就職・復職などを促します。また、保育所等の人件費比率を評価基準として公表するとともに、委託費の流用を厳格化することで保育士等の処遇改善を確認します。
  • 保育士の確保を進めるため、自治体間の連携を促し、保育園ポイント(保育所入所基準指数)制度の適用について保育士自身の居住自治体に限るという条件を外すなど、運用を改善します。
  • 地方自治体による保育所等への事前通告なしの立入調査、通報窓口の充実や民間監査の活用により、保育の質を確保させます。
  • 保育と教育に関わる事故のデータベース化と情報公開、自治体の第三者検証委員会の設置を促進し、保護者が保育所等を選べる体制を作ります。
  • 保育士と幼稚園教諭の教育段階の統合を検討します。認定こども園への円滑な移行促進のために保育士と幼稚園教諭の資格の統合を検討します。給与や勤務時間等の待遇格差を改善します。
  • 大規模集合住宅の建設に当たっては、事業者等と連携しつつ、人口増等による保育需要を想定した保育所の整備、子育てのしやすい都市計画・まちづくりを進めます。

産休・育休制度の充実、仕事との両立支援

  • 子どもにとっての生活時間と生活習慣の獲得、情緒の安定、安心できる居場所の保障のために、保護者が子育てと仕事を両立できる社会をつくります。
  • 家族(とりわけ子ども)のための休暇や休業制度の整備と、その取得が男女や雇用形態等の差別なく可能となる就労環境を確立します。
  • 男性も女性も出産・育児休業が取得可能となる就労環境を整備します。
  • 産休・育休取得による既入園児の退園措置を撤廃します。
  • 育児休業取得後速やかに育児休業給付金の支払いが行われるよう改善します。
  • 育児休業給付金の支給対象期間延長のための不承諾通知書(入所保留通知書)をハローワークに提出する義務を撤廃します。
  • テレワークの推進、やむを得ず退職した社員の再雇用制度、育休の延長や時短勤務など、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業者を支援します。
  • 代替要員の確保の支援等により男性も女性も雇用形態にかかわらず育児休業を取得できる環境を整備するため、「中小企業両立支援助成金」を拡充します。
  • 育児休業取得後の復職支援策を進めます。
  • 短時間勤務の取得を性別や雇用形態等にかかわらず促進します。
  • 女性の社会参加に不可欠な男性の育児参加の抜本的拡充に取り組みます。
  • 夫婦協同育児や子育てシェア等の推進により、「3歳児神話」(3歳までは母親が子育てに専念すべきだという考え方)からの脱却を目指します。
  • 育児休業給付を雇用保険制度から独立させ、国の負担による新たな制度を創設します。これにより、これまで雇用保険に加入できなかった非正規雇用者やフリーランスも育児休業給付を受けられるようにします。
  • 男女ともに育休中の賃金補償を実質100%とする雇用保険法改正を実現します。また、育休の取得によってボーナスの支給額が減少する企業が多いことを踏まえ、減少するボーナスについても一定程度手当てできるようにします。併せて、育児休業給付の上限も見直します。
  • 男性の育休取得促進に関して具体的な数値目標を設定するとともに、きめ細かな実態調査と分析に基づく実効性の高い方策を展開します。また、育休の一定期間を父親に割り当てる「パパクオータ制」、男性を含め一定期間の育児休業付与の義務化の導入も含め、男性の育児休業取得率向上などの支援を行います。
  • 中小企業が育児休業取得者等の代替要員を確保した場合に支給額を加算する「両立支援等助成金」について、加算額の引き上げを含めた見直しを行うことを目指します。
  • 自治体により支給の有無が異なる国民健康保険の出産手当金や傷病手当金については、支給推進のため、支給自治体への財政的な支援を目指します。(再掲)
  • 産休・育休中に住宅ローンが組めないなど、取得に伴う不利益を禁止するとともに、ハラスメント対策に必要な措置を講じます。
  • 育休を取得する場合の社会保険料免除制度を改善します。
  • 介護休暇(原則1年に5日)と同様、育児についても育児休業制度や子の看護休暇(原則1年に5日)とは別に休暇制度を創設します。
  • 男性の育児休業の取得の促進、各種ハラスメント対策、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、思い込み)」への対応等については、自主的な取り組みに委ねるだけでなく、国の方針としての政策誘導等、必要な措置を講じます。

子どもの居場所づくり

  • 子どもが遊びと体験を通じて、生きる力を蓄える居場所、体験の機会を整備します。
  • いじめや不登校、部活動、進路など、子どもたちの悩みや苦しみに寄り添うため、さらなる少人数学級の推進、学校現場への専門家配置、フリースクールへの支援を積極的に行います。
  • 放課後児童クラブの整備を積極的に行うほか、学童保育の待機児童対策として、国からの整備費・運営費予算の増額、学校の余裕教室等の活用、職員の待遇改善、事務処理の簡略化など学童保育の行政的支援、法整備にさらに取り組み、学童保育の量と質を確保します。
  • 学童保育の質や安全配慮に関わる基準の向上を目指します。
  • 子ども食堂・学習サポート事業などの設置を促進し、助成を拡大します。
  • 放課後デイサービスの現場の実態に即した報酬改定や質の確保、児童発達支援管理責任者の研修制度の課題に取り組みます。

若者の居場所づくりと活躍支援

  • 気軽に立ち寄れる安全な居場所を確保するため、若者の交流場所、勉強場所、食事などを提供する拠点をつくります。
  • 急増する若者の自死防止のため、相談・支援・見守りを強化し、直面する困難や孤独の解消を目指します。
  • サブカルチャー・ダンス・ミュージック・ゲーム・スポーツ・文化芸術等の活動の拠点づくりや育成を支援するなど、一人ひとりの個性を生かし、チャレンジを支えます。職場体験・自然体験・地域や異世代交流の機会を増やし、自己肯定感と生きる力を高めます。ワークルール・消費者教育等の強化により、不当な行為に加担しない、被害に遭わない力を醸成します。
  • 元保育士、子育て経験者、元教師など地域の人材を活用し、思春期の子どもを持つ親が悩みを相談できる拠点と体制を作り、支援します。
  • 子どもが不安や悩みを相談するための、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」などについて人員体制を強化します。
  • 高校の未卒業者等の実態把握と相談・支援ができる機能を強化します。

社会的養育環境の整備

  • 子どもの成長を保障するため、家庭的養育優先の理念を尊重し、子育て支援のほか子どもと過ごす時間の確保や子どもの生活時間を尊重した保護者の働き方の改善等、保護者を取り巻く環境の整備に努めます。
  • 実親による養育が困難な場合、裁判所が早期に介入できるよう期間を設定することなども含め、親子分離、代替養育として特別養子縁組による永続的解決(パーマネンシー保障)、里親による養育等を推進するなど、社会的養育環境を整えます。
  • 家庭的な養育環境を確保するため、乳児院併設型の小規模児童養護施設を整備します。
  • 児童養護施設等を退所した後の自立支援のため、安心できる居場所の確保や相談機能の充実などを強化し、成人後の経済的支援についても検討します。
  • 特別養子縁組促進法の下、実親が育てることが困難な子どもも家庭的な環境で育つことができるよう、実親の支援、特別養子縁組制度の周知などを進めていきます。
  • 乳児院・児童養護施設などの児童福祉施設の居住環境の向上、職員の増員、待遇改善など社会的養護環境の抜本的見直し、児童養護施設退所後の自立援助ホームの充実及び財政支援などを進めます。
  • 里親制度に対する広報の強化と里親の育成や支援強化に向け、児童相談所及び児童家庭支援センター等の体制強化を進めます。

子どもを性犯罪被害から守る

  • 「地位利用第三者児童虐待防止法」を制定し、経済的または社会関係上の地位に基づく影響力を有する第三者が行う児童に対するわいせつ行為等を「第三者による地位利用児童虐待」として定義するとともに、性被害の発見者に対して警察への通報義務を課します。
  • 暴力を防止する教育を義務化し、暴力被害に遭った子どもへの個別対応を適切に行える体制を整備します。
  • アダルトビデオ(AV)やいわゆるJKビジネスによる女性・子どもの被害防止、被害者救済・支援、加害者取締り等のために、実態把握を進めます。既存の法制度を適切に運用・周知するとともに、包括的な法整備を含む必要な改善策を検討します。
  • 若年世代の予期せぬ妊娠を減らし、また性暴力被害や加害を防ぐため、男女ともに年齢に応じた早期からの包括的性教育を行うとともに、相談、情報提供を行う拠点の整備を検討します。
  • 性的虐待・暴力は、被害者の人権を著しく侵害し、心身を害する重大、深刻な被害が生ずる犯罪であり、断じて許されるものではありません。子どもへの性暴力については「性暴力被害者支援法」を制定し、医療機関でのクライシス対応が可能な支援センターの設置や専門職員の配置など性暴力の被害者となる子どもに対する支援を強化します。
  • 被害者が子どもである場合、性犯罪捜査・公判などの過程で、さらなる負担を負わせることがないよう、司法面接制度を改善・普及させ、人材育成とともに、民間団体を含む関係機関との連携を強化します。(再掲)
  • 児童・生徒への性犯罪の厳罰化を検討します。
  • 未成年者に対する性暴力に係る公訴時効について、被害者の視点から検討を行います。

児童虐待及び不幸な死を防ぐ

  • 家庭環境を失った子どもを、里親や児童養護施設職員など経験豊かな養育者がその家庭に迎え入れて養育するファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)を推進します。
  • 中核市及び特別区については、児童相談所を必置とします。
  • 児童虐待を受けた子どもたちの保護と虐待防止対策を進めます。保護を必要としている子どもたちへの支援体制や保護者の相談体制を充実させ、児童相談所など関係機関の機能強化を図り、関係する民間団体との連携と支援を強化します。
  • 児童相談所の体制を強化するとともに、子どもの利益を優先する環境を整えます。児童心理司など専門職員の配置を強化することや、児童福祉司を増員し、配置基準を人口2万人当たり1人にすることを目指します。相談対応職員の常勤化と処遇改善も図ります。
  • 児童相談所、家庭裁判所、警察、自治体、医療機関、教育機関、性暴力相談支援センター等関係機関や地域の連携を強化するとともに、情報共有を促進します。とりわけ転出等に伴う情報引き継ぎの通知を徹底します。
  • 児童相談所と警察の間の情報の共有に関する協定の締結を促します。
  • 学校や保育所等、幼稚園、養護教員、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、学校医(医科、歯科)や地域の医療機関、地域の福祉機関やNPO、児童相談所、居場所(児童館・学童保育・プレイパークなど)が連携し、子どもたちがどこに相談しても、誰が発見しても子どもたちを見守りサポートできる体制を整えます。
  • 第三者的立場で相談・調整・支援する子どもの権利擁護センター等、子どもの最善の利益を考えた仕組みをつくります。
  • 児童虐待・死亡事件の半数以上が0歳児である実態を踏まえ、市町村の子育て世代包括支援センターの体制・機能強化を図ります。また、特別な事情により希望する人が匿名で出産できる制度を検討します。
  • 通告に応答できるコールセンター(児童相談所虐待対応ダイヤル、189)機能を強化し、緊急度・重症度を判別した上で、適切な保護・調査機関に振り分けることができるようにします。
  • 小児歯科健診が虐待の早期発見にもつながることから、子どもの定期歯科健診を普及・促進します。
  • 幼児教育・保育は、集団で過ごすことで得られるものがあり、子どもにとって有益であると指摘されています。そのため、全ての子どもが幼児教育・保育を受けられるようにすべきであり、さまざまな理由で保育所や幼稚園に通えていない「無園児」の解消を目指していきます。
  • 親権者が児童に体罰を加えた場合の親権停止等の在り方について検討します。
  • 児童虐待防止対策とDV防止対策との連携を強化します。配偶者からの暴力を受けている者を発見した者について、努力義務とされている通報を義務化します。
  • 事故や虐待で死亡した子どもの事例を記録・検証するチャイルド・デス・レビュー(CDR)を徹底し、再発防止につなげます。
  • 若年層の自死数は急増傾向にあり低年齢化しています。小中高校での相談体制の強化と意見表明権を保障する仕組み作りを進めます。身近な友人の間で安心して相談し合えるよう、学校の学びにも組み込む等環境をつくります。
  • 子どもの車内での熱中症死を防ぐため、子どもが取り残されるリスクが一定程度ある車両について、置き去り・見落とし防止装置の設置を義務付けるとともに、設置費用に対する国の補助等について盛り込んだ「車内置き去り防止法」を制定します。

ワーク・ライフ・バランスの実現

  • 男女がともに家族としての責任を担い、健康で仕事とともに自己啓発や地域活動もできるよう、ワーク・ライフ・バランスの実現が可能となる法律を作ります。
  • 前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を義務付ける「勤務間インターバル規制」を導入します。
  • セクハラ、パワハラ、マタハラ、パタハラなどあらゆるハラスメントを禁止するとともに、職場でのハラスメント防止環境を整備します。
  • 育児休業後の職場復帰支援の充実、キャリアの継続、給与などの待遇面の改善を企業の責務として法律に明記します。
  • ファミリー・サポート・センターの抜本的見直しを図り、子どもの安全の責任の所在を明らかにするとともに、SNSを活用し、保護者の利便性を高めます。
  • 母性保護、授乳権の確保の観点からも、妊娠・出産前後の女性が働きやすい環境を整備する企業への支援を拡充します。(再掲)
  • 結婚、出産、介護、看護などさまざまなライフステージで、子育てや介護など、家族的責任がある労働者も就労の継続や両立が実現できるテレワークやサテライトオフィスなど働き方の工夫を支援します。またやむを得ない休職・離職に対応し、就業の継続・復帰を支援します。その際、不当・差別的な取り扱いをされないよう、職場環境を整備します。(再掲)

民間団体の支援

  • 子育て支援、暴力被害者支援などを行うNPO等の民間団体が行政と対等な立場で連携し、活動しやすくするための環境を整えます。
  • DV被害を受けた母子の支援プログラムを作る民間団体が安定的に活動を継続できるよう、人件費を含め、国や地方自治体が予算を助成し、効果的なプログラムの全国展開を可能にします。また、NPOなどの民間団体の事務処理の負担を軽減する体制を作ります。

旧優生保護法被害者への対応

  • 旧優生保護法下での強制不妊手術被害者等に対する一時金・補償金について、地方自治体と連携し、対象者への周知に取り組みます。また、強制不妊手術等が進められた背景・原因を検証するとともに、優生思想の問題点や社会の多様性の重要性について、啓発を進めます。