第2章焦点となった法案・課題への対応
4 国旗損壊処罰法案 政府批判を抑える法案に反対
2025年に自由民主党と日本維新の会が交わした連立政権合意書には「日本国国章損壊罪」制定が記載され、高市首相は2026年衆議院議員総選挙の第一声で法制定への意欲を語った。自民党と日本維新の会は国民民主党・参政党と共同で221回特別国会に「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」を衆議院へ提出した。
専門家が憲法違反と批判
法制審の議論を経ることなく提出されたこの法案には、研究者から次々と問題点が指摘された。法案は、人を「著しく不快」にさせる等の態様で、日本の国旗等を損壊・汚損する行為を処罰するものであるが、①立法事実の不存在(他人所有の国旗等を損壊等する行為は既存法令で処罰可能)、②表現の自由との抵触(自己所有の国旗を損壊等する行為は政府への批判など表現行為として行われることが想定され、処罰は表現の自由に抵触)、③罪刑法定主義違反(対象や行為態様の規定があいまい)等と批判され、衆参両院の内閣委員会での参考人質疑では、複数の参考人から違憲立法の疑いがあると指摘された。
政府が立憲主義のもと健全に機能するためには、政府を批判する自由が保障されなければならず、批判を抑え込む立法は民主主義の健全な発展を阻害する。立憲民主党は法案に反対したが、法案は可決・成立した。