第3章各分野の対応
26 厚生労働
地域医療を守るための支援策を提案
物価高騰の影響や人件費の増大などによって、医療機関の経営は厳しい状況に置かれている。立憲民主党の厚生労働部門と社会保障改革総合調査会の役員は2025年10月、東京都内にある大学附属病院を視察し、多くの患者が来ているにもかかわらず赤字になっているとして、支援を求める要望を受けた。また、野田代表と部門等の役員はJCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)の病院を視察し、医療現場の老朽化と厳しい経営実態を確認した。その後、視察を踏まえて医療機関に対する支援策を取りまとめ、11月に公表した党の緊急経済対策に盛り込んだ。

医師偏在対策の修正を求める
政府は217回通常国会に「医療法等の一部を改正する法律案」を提出した。本法案は継続審議となり、219回臨時国会で審議が行われた。立憲民主党は本法案の医師偏在対策の中で、本来の保険給付とは関連性が乏しい医師手当事業に医療保険の保険料を充てる規定を削除し、全額国費負担とする修正等を求め、国民民主党と共同で修正案を提出した。その後、各党との修正協議が調ったため、立憲・国民案を取り下げ、立憲民主党をはじめとする5党が共同で修正案を衆議院厚生労働委員会に提出した。医師手当に関する規定の削除は受け入れられなかったが、本法案の方向性には賛同できるため、立憲民主党は本法案に附帯決議を付して賛成した。本法案は衆議院で5党案によって修正の上、可決・成立した。(詳細「11 医療法等改正案」)
OTC類似薬の保険給付の見直しについて慎重な検討を要請
自由民主党と日本維新の会は、2025年10月の連立政権合意書に基づき、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて検討を進めた。立憲民主党は、現役世代の社会保険料負担の軽減のため、医薬品の保険給付については不断の見直しが必要であるものの、見直す場合は、患者に対する影響をエビデンスに基づいて丁寧に検証すべきであると考える。そうした認識の下、社会保障改革総合調査会と厚生労働部門は、患者個人や患者団体等から見直しについての見解をヒアリングするなどして検討を深めた。
その結果を踏まえ、立憲民主党は2025年12月、厚生労働大臣に対して申し入れを行い、①患者団体など関係団体の意見を聴取して、それを尊重すること、②実態調査を実施すること等により詳細なデータを収集して分析するといったプロセスを経て慎重かつ丁寧に検討した上で結論を出すことを強く要請した。

未払賃金の救済に取り組む
スマホ等を利用して仲介事業者が提供するいわゆる「スポットワーク」「スキマバイト」を巡って、これまでに企業側の都合で仕事をキャンセルされ、賃金が未払いとなるトラブルが起きてきた。そのため、立憲民主党は219回臨時国会で「特定スポットワーク労働者等に生じた経済上の不利益の回復等のための臨時措置等に関する法律案」(スポットワーク・スキマバイト未払賃金救済法案)を取りまとめた。本法案は、厚生労働省の通知を踏まえ、スポットワーク協会が労働契約の成立時期についての取扱いを改め、その周知を図った日(2025年9月1日)の前に起きた未払賃金問題に対応するため、臨時の措置を定めるものである。
高次脳機能障がい者への支援を推進
高次脳機能障がい者が適切な支援を受けることができず、日常生活や社会生活を円滑に営む上で困難を有する状況にあることに鑑み、超党派の議員連盟で「高次脳機能障害者支援法案」を検討し、立憲民主党も積極的に取り組んだ。本法案は、高次脳機能障がい者に対する支援に関する基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、地域での生活支援、教育的支援、相談体制の整備等について定めることにより、高次脳機能障がい者の自立および社会参加のため、その生活全般にわたる支援を図ることを目的とするものである。本法案は219回臨時国会で衆議院厚生労働委員長提案によって可決・成立した。
高額療養費制度の抜本改革等を提案
政府は221回特別国会に「健康保険法等の一部を改正する法律案」を提出した。政府案には、高額療養費について長期療養者への一定の配慮が規定されているものの、政府は高額療養費の自己負担限度額の引き上げを予定しており、患者負担が現行より増加すること等が想定されていた。そのため、立憲民主党・中道改革連合・公明党の3党合同会議で了承した「国民が安心して利用できる高額療養費制度の見直し法案」を衆議院に提出した。野党案は採決されず、政府案が可決されたため、参議院では立憲民主党は政府案に対する修正案を公明党と共同で提出した。修正案が否決されたため、立憲民主党は政府案に反対した。政府案は可決・成立し、衆議院に提出した野党案は継続審議となった。(詳細「13 健康保険法等改正案」)
介護保険制度改正の懸念点に歯止めを求める
政府は221回特別国会に「社会福祉法等の一部を改正する法律案」を提出した。本法案には①住宅型の有料老人ホームの入居者へのケアマネジメント費用に原則1割の利用者負担を求めることについては利用者への影響が大きい、②介護福祉士養成施設卒業者の国家試験義務付けの経過措置をさらに延長することについては国家資格の信頼性を損なうおそれがある、といった問題があり、これらの懸念点への対応を附帯決議等で担保することとした。
与党が立憲民主党の提案を受け入れなかったため、附帯決議は必ずしも十分な内容とはならなかった。しかし、本法案は小規模市町村における包括的な支援体制の整備を促進する事業など、現下の状況を踏まえた必要な措置を盛り込んでいて評価できるものであり、立憲民主党は本法案に附帯決議を付して賛成した。本法案は可決・成立した。
空襲被害者に対して国として慰謝する法案を提出
立憲民主党をはじめとする野党7党1会派は221回特別国会で、空襲被害者に対して50万円の一時金を支給する「特定空襲等被害者に対する一時金の支給等に関する法律案」を共同で参議院に提出した。本法案は超党派の議員連盟で検討してきたものであり、立憲民主党は法案提出に向けて積極的に取り組んできた。本法案は廃案となった。