毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2026
(218回臨時国会~221回特別国会総括)

第3章各分野の対応

28 経済産業

万博工事費未払い問題への対応

 2025年4月に開幕した大阪・関西万博では、一部の海外パビリオンの建設工事を巡り、工事を受注した中小の建設事業者などへの工事費未払い問題が発生した。その主な背景としては、準備段階から着工の遅れが指摘されていたこれらのパビリオンの完成を開催日に間に合わせるため、大阪府および大阪市や万博協会が中小建設事業者に広く受注を呼びかける中で、多重取引構造が形成されたこと、工期が極端に短い中で追加・変更工事が相次いだものの、必要な図面や契約書等の書類が不備のある状態で進められたこと等があった。

 立憲民主党は経済産業部門のほか、内閣部門および国土交通部門との合同会議で、未払いの影響を受けた関係事業者および関係省庁からヒアリングを行った。

 また、工事費未払いの影響を受けた中小建設事業者において資金繰りや事業維持に困難が生じていたことを踏まえ、立憲民主党は「令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律」(万博特措法)の改正案を取りまとめた。本改正案は、博覧会協会の業務に未払い工事費用債権の買取り等を追加し、被害者の救済を図るものであり、れいわ新選組、日本共産党、減税保守こどもと共同で衆議院に提出したが、220回通常国会での衆議院解散により審議未了、廃案となった。

イラン情勢による国内産業への影響を注視

 2026年2月、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃を契機に中東情勢が緊迫化した。これにより、ホルムズ海峡を経由する原油輸送への支障が懸念され、原油価格が急騰したことから、国内へのエネルギー供給や、石油のみならずナフサをはじめとする石油関連製品の製造・流通・価格に大きな影響を及ぼした。

 3党合同経済産業部会では、ホルムズ海峡以外を経由した原油の代替調達の状況や、緊急的な燃料油価格激変緩和対策、石油備蓄の放出、首相や経済産業大臣によるエネルギー市場安定化に向けた国際的な働きかけなど、政府の方針や対応について、随時ヒアリングを行った。さらに現場の声を踏まえて、ナフサ不足による石油化学製品の深刻な品不足と価格高騰や、建設・ものづくり・医療・サービス等への影響について、委員会審議を通じて政府にただすとともに改善を求めた。

自動車産業脱炭素化推進法案を再提出

 議員立法「自動車産業における脱炭素化の推進に関する法律案」(自動車産業脱炭素化推進法案)は、2050年までの脱炭素社会の実現に向け、自動車産業の脱炭素化の推進に関する基本理念や国の責務、施策の基本的な方向性を定めることを内容としている。自動車産業の総合的かつ計画的な脱炭素化を推進することで、自動車産業の国際競争力の維持・強化を図るとともに、日本の経済発展に寄与することを目的としている。本法案については、これまでも他会派と共同で衆議院に提出し、審議と早期成立を求めてきたが、220回通常国会での衆議院解散により審議未了、廃案となっていた。

 221回特別国会においては、本法案の再提出に向けた検討を進め、人工知能の活用を含めた技術の高度化、知的財産の創造や保護・活用を推進した上で、自動車産業の競争力の維持強化に資するよう、国際協力の推進等、一部内容を拡充し、取りまとめた。本法案は3党合同経済産業部会で了承され、衆議院に提出し、継続審議となった。

政府提出法案を真摯に協議

 221回特別国会に3件の政府提出法案が提出され、3党合同経済産業部会では、政府から法案の内容についてヒアリングをするとともに、法案への対応について真摯に協議を進めた。

 「経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」は、わが国の産業競争力強化による持続的発展のため、①大胆な投資促進税制など国内投資促進措置による事業の高付加価値化、②日米政府の戦略的投資イニシアティブの着実な履行に向けた貿易保険法の改正等による、海外需要開拓や安定的な原材料確保を通じた供給網の強靱化、③事業活動の基盤となる産業用地の整備や担い手の確保に資する生活基盤の維持に対する支援措置を一体的に講ずるものである。

 3党合同部会では、税制措置による財政への影響や大企業優遇による格差拡大、投資効果の不確実性について懸念する指摘があり、委員会質疑を通じて政府の見解をただすとともに、附帯決議を付した上で賛成し、本法案は可決・成立した。

 「産業技術力強化法の一部を改正する法律案」は、産業技術に関する研究開発を推進するため、AI・先端ロボット、量子、半導体・通信等を重点産業技術として指定することや、事業者による重点産業技術に関する研究開発計画の認定制度、重点産業技術について共同研究開発体制がある研究開発機関の認定制度の創設、認定を受けた事業者・研究開発機関に対する研究開発税制等による支援措置などを講ずるものである。

 3党合同部会では、国際競争が激化する中で、戦略的に重要な技術分野に対する研究開発を促進する観点で本法案は重要な意義を有すると評価する一方、研究開発税制による税制優遇の効果をどのように検証していくのか、また、大学等の研究拠点と連携する際の手続の煩雑さなどについて、指摘や意見があった。これらの論点については、委員会質疑を通じて政府の見解をただすとともに、附帯決議を付した上で賛成し、本法案は可決・成立した。

 「電気事業法の一部を改正する法律案」は、電力の安定供給を確保しエネルギー安全保障を推進するため、大規模な地域内・地域間送電線の整備促進や大規模電源の整備促進などによる供給力の確保、電気事業の安定的・持続的発展のための環境整備、太陽電池発電設備等の安全性向上に関し、所要の措置を講ずるものである。

 3党合同部会では、広域的な系統整備や大規模送電線の整備の重要性を踏まえ、本法案の趣旨については、概ね理解を示した。一方、大規模電源の整備の促進等に係る資金貸付制度については、特定の電源に限定していないことから原子力発電も対象となり得る点について、様々な意見交換が行われた。また、法案化に至るまでのエネルギー政策の検討過程について、政府に対し、より透明性を高めて丁寧に説明するよう強く求める意見も示された。これらの論点については、委員会質疑を通じて政府の見解をただすとともに、附帯決議を付した上で賛成し、本法案は可決・成立した。