第2章焦点となった法案・課題への対応
8 刑事訴訟法 冤罪被害者の思いに寄り添った再審法改正を
改正の背景
政府は、近年の刑事事件の再審手続を巡る諸事情を踏まえ、①再審請求審における証拠の提出命令の創設、②再審開始の決定に対する検察官の不服申立ての原則禁止、③再審の手続における裁判官の除斥、④再審請求審において審理を要するものを選別するための調査手続、その他の再審の手続等に関する規定の整備を行う必要があるとして、「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」(再審法改正案)を221回特別国会に提出した。
衆議院に対案を提出
3党合同政調審議会で確認した議員立法「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」が221回特別国会に衆議院へ提出された。
同法案は、請求人への証拠開示の創設と検察抗告の全面禁止を柱としている。また、①証拠は請求人に直接開示され、証拠の目録も提示される、②開示証拠の目的外使用の禁止規定は含まれないなど、政府案とは大きく異なる仕組みを提案した。
同法案は政府案と並行審議されたが、与党などの反対により衆議院で否決された。
袴田事件弁護団からヒアリング
5月26日、国会内で3党合同法務部会を開催し、袴田事件当事者の親族らを招き、同日衆議院で審議入りした再審法改正案の課題などについてヒアリングを行った。
親族は、当事者が獄中・拘置所生活で受けた精神的・肉体的苦痛について説明し、「(当事者の)身に起きたことが、この世界から冤罪をなくすことにつながるように切に願っている」と被害者に寄り添った再審法改正の必要性を強調した。

参議院に修正案を提出
立憲民主党は、政府案への修正案を野党共同で参議院法務委員会へ提出した。修正案では、関連性を要件としない裁判所の職権による証拠提出・開示命令や請求人・弁護人への直接開示を規定し、「勧告」ではなく「命令」によって検察官に対応を義務付けた。また、より幅広い証拠開示を可能とするため、証拠一覧表の交付や目的外使用への個別対応を盛り込むほか、検察抗告の全面禁止を明記し、証拠保管の在り方も検討事項としている。同修正案は参議院において反対多数で否決された。
政府案に立憲民主党は反対したが、衆議院で自民党・日本維新の会・参政党によって一部修正され可決・成立した。
立憲民主党は引き続き、当事者の声に耳を傾けながら適正な改正の実現に向けて取り組みを続けていく。