毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2026
(218回臨時国会~221回特別国会総括)

第2章焦点となった法案・課題への対応

6 社会保障国民会議 「給付付き税額控除」の実現を求めて

 立憲民主党は元来、消費税の逆進性(所得が低い人ほど負担の割合が高くなる性質)への対策として、高所得者ほど負担軽減額が大きくなる軽減税率制度に代えて、「給付付き税額控除」を導入することを党の主要政策として掲げており、2025年の参議院議員選挙公約でも重点政策の1つとして掲げた。

 当時、野田代表と石破首相は、国会において度々議論を交わし、野田代表からは「給付付き税額控除」の導入に向けた議論・協議を重ねて提案していたところ、石破首相は、「給付付き税額控除」は「1つの解」であり、立憲民主党との協議に応じる旨の答弁を行った。

自民・公明との党首会談で協議体設置を合意

 こうした経過の中で、2025年9月19日には、立憲・自民・公明3党の党首会談が行われ、「給付付き税額控除」についての協議体を設置することが合意された。重ねて、9月25日には、3党の幹事長・政調会長会談が行われ、「給付付き税額控除」の導入を前提として、具体的な制度設計を行うための協議とすることを確認し、その後、政調会長間で協議が開始された。

社会保障国民会議の設置と参加

 石破総裁の辞任に伴う自民党総裁選が行われ、10月に高市新総裁・首相が誕生した。高市首相は総裁選公約で「給付付き税額控除」の制度設計に着手することを掲げており、首相就任後の所信表明演説では、制度導入に向けて「超党派かつ有識者も交えた国民会議」の設置を訴えた。これを受け、立憲・自民両党の政調会長間で断続的に意見交換を行い、立憲民主党からは、国民会議は政府内ではなく国会に設置して政府と政党の共同開催とすること、議題は「給付付き税額控除」の制度設計とすること、スケジュールを明確化することなどを要請した。こうしたやり取りの末、当時は、この内容を前提に、これまで政党間で行われていた協議を国民会議に一本化することを確認していた。

 その後、高市首相により突如として衆議院が解散され、選挙戦に突入することになったが、自民党は公約で、高市首相の「悲願」であり、日本維新の会との連立合意にも盛り込まれた「飲食料品の消費税率ゼロ」についても国民会議の議論の対象とすることを掲げた。

 選挙終了後、自民党は、各党に国民会議への参加を呼び掛けたが、立憲民主党は、当初議論の対象とされていなかった「飲食料品の消費税率ゼロ」が国民会議のテーマに盛り込まれたこと等に鑑み、冒頭からの参加は見送った。第1回社会保障国民会議は2026年2月26日に開催され、自民党、日本維新の会、チームみらいの3党のみが参加した。この国民会議の下に「給付付き税額控除等に関する実務者会議」が設置され、3月12日には、国民民主党も参加して、第1回の会合が開催された。

 その後、懸案が一定程度解消されたことを受け、立憲民主党は、3月25日の第3回実務者会議から参加した。なお、同回から中道改革連合と公明党、4月8日の第5回実務者会議からは日本保守党も参加し、国民会議は与野党8党により構成されることとなった。

実務者会議で問題提起と提案を重ねる

 実務者会議では、併せて国民会議の下に設置された有識者会議における議論を踏まえ、「給付付き税額控除」の制度設計について議論を行うとともに、同制度導入までの「つなぎ」措置として位置付けられた「飲食料品の消費税率ゼロ」について、関係団体や専門家からヒアリングした上で議論を重ねた。

 6月17日の第15回実務者会議では、2029年度から「所得に連動したきめ細かな給付」を導入することとし、それまでの「つなぎ」として、2027年4月から飲食料品にかかる消費税率を1%とするとともに、残りの1%相当分については「所得に連動したきめ細かな給付」の先行導入を実施するとした「議長案」が提示され、その後、同案をベースに「中間とりまとめ」が議論されることとなった。

 立憲民主党は、「所得に連動したきめ細かな給付」について、①中低所得の現役勤労者のみを対象とした制度であるために、基準となる収入ライン以下の低所得者・無所得者が対象から除外されており、昨今の物価高で最も生活が厳しい層に支援が届かないこと、②「税額控除」のない就労促進のための給付措置であり、これを「給付付き税額控除」と呼称することは、実態と著しく乖離しており、国民の誤解を招く恐れがあることから、別途適切な名称とすべきであること、③今回の制度は、あくまでも今後に向けた第一歩であり、引き続き、本格的な「給付付き税額控除」の早期導入に向けて議論を継続すべきであることなどを訴えた。また「つなぎ」については、①減税終了後、低所得者・無所得者が大幅増税となること、②影響を受ける農業・外食産業への具体的な支援策や財源が全く示されていないことなどを問題点として指摘した上で、現下の状況に鑑みれば、消費税の減税にこだわることなく、まずは、住民税非課税世帯等を対象とした給付など、速やかな実施が可能な給付を年内に行うべきと主張した。

 このうち、特に「つなぎ」の食料品消費税の減税については、ヒアリングした関係団体や専門家の大半が否定的見解を示していたことに加えて、野党側からの反発が強く、結局、全22回に及ぶ実務者会議の結果、「中間とりまとめ」は、各党の意見を併記する形で取りまとめられ、国民会議に報告されることになった。

国民会議で「中間とりまとめ」反対を明言

 7月29日、高市首相や各党代表出席の下、第2回となる国民会議が開催された。同会議では、実務者会議議長から「中間とりまとめ」の内容が報告された後、各党代表が意見を表明した。立憲民主党からは水岡代表が出席し、実務者会議で主張してきた意見を改めて表明し、「中間とりまとめ」には反対であることを明言した。

 しかしながら、わずか1日後の7月30日には、高市首相が「議長案」通りの内容で進める方針を表明し、自民党内の反対意見も押し切って、8月5日には「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」を閣議決定した。これは「国民会議」と銘打って22回に及ぶ真摯な議論を重ねてきた全ての関係者に対する冒涜であった。

 立憲民主党は、これまでの議論を踏まえ、国民生活に資する政策が行われるよう、引き続き、全力を挙げていく。

2026.07.29 首相官邸で開催された社会保障国民会議に出席し、意見表明をする水岡代表
2026.07.29 首相官邸で開催された社会保障国民会議に出席し、意見表明をする水岡代表