第2章焦点となった法案・課題への対応
11 医療法等改正案 あるべき地域医療の確立に向けて修正提案
財源に問題がある医師手当事業
政府は2025年の217回通常国会に「医療法等の一部を改正する法律案」を提出した。本法案は、地域医療構想の見直し等、医師偏在是正に向けた総合的な対策の実施、これらの基盤となる医療DXの推進のために必要な措置を講ずるものである。
本法案では、都道府県は重点的に医師の確保を図る必要がある区域において、当該区域に勤務する医師の手当の支給に関する事業を行うことができるとされている。しかし、この医師手当事業に要する費用は、各医療保険者等が負担することとなっている。これは、本来の保険給付とは関連性が乏しい医師手当事業に医療保険の保険料を充てることと同義であり問題である。本法案は継続審議となり、219回臨時国会で審議が行われた。
医師手当への保険料充当の規定削除等を求める
立憲民主党は217回通常国会から修正案の検討を進め、①本法案に盛り込まれた、医師手当事業に医療保険の保険料を充てる規定を削除して、医師手当事業に要する費用は全額国費負担とすること、②市町村計画に定める事業に医療従事者の確保に関する事業等を追加して、新たに市町村も地域医療介護総合確保基金を設置できることとし、市町村計画の事業に支出できるようにすること、③実効性ある医療計画の確保のためのロジックモデルに基づくPDCAサイクルを実施することを盛り込んだ修正案を準備してきた。
提案の実現に向けて各党と協議
一方、国民民主党、自由民主党・日本維新の会・公明党からも修正案が提示された。国民民主党案は立憲民主党の修正案の内容を盛り込んでいたことから、立憲民主党は国民民主党案を国民民主党と共同で衆議院厚生労働委員会に提出した。同日、自由民主党・日本維新の会・公明党も共同で修正案を提出した。その後、各党との修正協議が調ったため、立憲・国民案、自民・維新・公明案ともに取り下げ、立憲民主党は自由民主党・日本維新の会・公明党・国民民主党と共同で修正案を提出した。5党案は、①医師手当事業を行うに当たり医療保険者等が意見を述べる仕組みの構築についての検討、②実効性ある医療計画の確保のためのロジックモデルに基づくPDCAサイクルの実施、③介護・障がい福祉従事者の適切な処遇の確保についての検討等を盛り込んだものであり、可決された。
粘り強く協議したものの、立憲民主党が強く求めた、医師手当事業に医療保険の保険料を充てる規定の削除は実現せず、医療保険者等が意見を述べる仕組みの構築についての検討規定を追加するにとどまった。しかし、医療ニーズの増大に対応するために医療提供体制を整備すること、医療の効率化や質の向上のために医療DXを推進することなど、本法案の方向性には賛同できるため、立憲民主党は本法案に附帯決議を付して賛成した。本法案は衆議院で修正の上、可決・成立した。