毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2026
(218回臨時国会~221回特別国会総括)

第3章各分野の対応

29 環境・エネルギー・原子力

気候危機と生物多様性の損失に立ち向かい、持続可能な環境政策を推進

 パリ協定は世界の平均気温上昇を1.5℃以内に抑える努力を求めている。しかし、2025年の世界の平均気温は約1.44℃上昇し、1.5℃目標の一時的超過が現実化した。気候変動は生態系の崩壊を加速し、生物多様性の損失は炭素吸収源の弱体化を通じて温暖化をさらに進めるため、両者は相互に増幅し合う。国際機関は、地球システム全体の安定性を脅かす深刻な危機であると警告している。

 こうした状況を踏まえ、2026年衆議院解散までは立憲民主党環境部門および環境・エネルギー総合調査会にて、以降は中道改革連合・立憲民主党・公明党三党合同環境部会(3党合同会議)として、市民団体や有識者等を招き、政策議論を深めた。

 221回特別国会では、政府から「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」のほか、「環境省設置法の一部を改正する法律案」「南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」および「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案」が提出された。これらの法案については、いずれも賛成し、可決・成立した。

 法案審議に際し、南極観測隊経験者から南極調査の重要性を確認し、金属リサイクル施設の多い自治体から現場の課題を聴取するなど検討を重ね、委員会質疑および附帯決議等に反映した。また、日本維新の会提案の議員立法「犬猫肉等を食すること等の禁止に関する法律案(仮称)」について、党内手続である議員立法登録を行った。

いまだ終わっていない水俣病問題

 2026年5月1日、水俣病公式確認から70年の節目を迎えた。人命や環境よりも経済を優先した結果、多くの被害者を生み、水俣病は「公害の原点」と呼ばれるに至った。環境部門は政府の対応状況を聞き取り、議論を重ねるとともに、環境の日の談話や政府への要請、議員立法の提出などに取り組んだ。(詳細「12 水俣病」)

クマ被害対策~人命等の被害防止と生態系保全の両立~

 2025年度、クマによる人身被害件数は統計開始以降最多となった。連日のクマ出没報道や、通学にも不安が生じる状況であったため、農林水産部門と合同会議を開催し、政府から状況を確認し、専門家の意見を聴取した。2025年10月・11月には緊急対応体制の強化や出没防止策の徹底、専門職員・ハンター等の人材育成や予算の確保などについて、環境省および農林水産省に要請を行った。

 また、政府の対応を促すため、議員立法「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)」の議員立法登録・審査を行ったが、時間的な制約から法案提出には至らなかった。今後もクマの出没状況や政府対応を注視し、対策を後押ししていく。

2025年10月、11月 緊急対応体制の強化や出没防止策の徹底、専門職員・ハンター等の人材育成や予算の確保などを政府に求める
2025年10月、11月 緊急対応体制の強化や出没防止策の徹底、専門職員・ハンター等の人材育成や予算の確保などを政府に求める

太陽光パネルリサイクル制度の実効性の追求

 「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」は2025年の国会提出が見込まれていたが政府内で意見集約が進まず、221回特別国会に提出された。パネルリサイクルは、再エネの最大限の導入を図る上で重要な課題であるため、より実効性のある制度とするべく、有識者や再エネの主力電源化に取り組む事業者から意見を聴取した。また、リサイクル費用の確保が課題となることから、設置時点で費用負担を明確化する仕組みの検討を求めるなどの修正案を検討したが、成案を得るに至らなかった。政府案の不十分な点については、委員会質疑および附帯決議等で補い担保した。

気候変動と社会への影響

 気候変動の影響は、激しい豪雨や干ばつをはじめとする異常気象や自然災害となって現れ、私たちの暮らしを脅かしている。一方、その深刻さに比して、国会における議論は十分に進んでいない。

 環境部門ではCOP30に関する報告を市民団体および政府から聴取し、3党合同会議ではイベント・アトリビューション(実際に発生した気象災害に対する地球温暖化の寄与の度合いを定量的に示す手法)の専門家と、気候変動と水資源の関係に関する専門家から最新の見解を聴取した。激しい豪雨の増加や水不足の発生など、一人ひとりの生活と気候変動の影響との関係性を知ることが、気候変動対策への理解と対策の前進につながるのではないかなどの議論を深めた。

2026.7 気候変動による洪水や渇水リスクと適応策の重要性について専門家からヒアリング
2026.7 気候変動による洪水や渇水リスクと適応策の重要性について専門家からヒアリング

浄化槽を巡る課題

 浄化槽を巡る課題は各党議員連盟で検討が進められた。環境部門では2025年12月、現状を確認し、2026年以降は3党合同会議で立憲民主党と公明党の議員連盟の検討状況を確認した。その結果、手法は異なるものの、浄化槽の清掃率向上を目指す点で一致しており、公明党議員連盟の「浄化槽法の一部を改正する法律案(仮称)」および立憲民主党の議員連盟の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)」両案の議員立法登録を行った。その後、3党合同会議で、公明党議連案の法案審査を行ったが、両案の整合を図るため、立憲民主党は同法案への態度を保留とした。

原子力発電所を巡る不適正事案への対応

 原子力発電所を巡る不適正事案については、早急な対応が求められる。環境部門では、東京電力柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護秘密を含む文書が適切に管理されていなかった事案等について、政府から状況を聴取し、必要な対応を求めた。

再エネ最大化とメガソーラー対策

 2025年、環境・エネルギー総合調査会は、再エネの最大限の導入および省エネ促進を目指し、「再エネ産業創生ワーキングチーム」および「農地再生×ソーラーシェアリング戦略ワーキングチーム」を設置し、関係する企業から現場での課題を聴取した。

 また、これまで提出してきた議員立法「分散型エネルギー利用の促進に関する法律案」および「国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律案」について、最新の状況を政府および市民団体から確認した上で、議員立法登録・法案審査を行った。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度導入により、各地で大規模な太陽光・風力発電施設が建設され、発電量は増加したが、自然環境の破壊や景観悪化、騒音、土砂流出や火災、不適切な開発・管理などの問題が生じ、各地でトラブルや反対運動が起きている状況を踏まえ、2025年12月、自治体主導のゾーニング制度、地域資本参加の促進、環境アセスメント対象拡大、対話プロセスの法定化、自治体の関与強化を柱とする「再生可能エネルギー施設の立地規制のあり方(中間報告)」を取りまとめ、政府に申し入れを行った。