第2章焦点となった法案・課題への対応
13 健康保険法等改正案 高額療養費制度の抜本改革等を提案
患者の受診抑制を招きかねない政府提案
立憲民主党は2025年3月、政府が行おうとした高額療養費の自己負担限度額引き上げを当事者とともにストップさせた。その後、政府が2025年末に高額療養費の自己負担限度額の引き上げを改めて決定したことを受け、立憲民主党は法案の立案に取り組むとともに、公明党と共同で提出した令和8年度予算に対する修正案の中に、引き上げ凍結のための予算を盛り込んだ。
一方、政府は221回特別国会に高額療養費に関する規定等を盛り込んだ「健康保険法等の一部を改正する法律案」を提出した。政府案には、高額療養費について長期療養者への一定の配慮が規定されているものの、政府は2段階で高額療養費の自己負担限度額を引き上げることを予定しており、患者負担が現行より増加すること等が想定されていた。また、そもそも現在の高額療養費制度においても、公的医療保険の中核制度であるにもかかわらず、経済的な負担から治療を断念したり、生活の困窮に陥ったりする場合があり、憲法第25条の生存権保障の趣旨に適合するものとなっていない。
また、政府案には、自由民主党と日本維新の会が連立政権合意書に基づいて検討してきた、市販薬(OTC医薬品)との代替性が特に高い薬剤(OTC類似薬)について患者に追加負担を求める規定が盛り込まれており、受診抑制につながること等が懸念された。
患者負担への配慮を求め修正案等を提出
衆議院での政府案の審議に合わせて、立憲民主党は中道改革連合、公明党とともに「全ての国民が安心して医療を受けられる環境の整備を図るための高額療養費等の制度の在り方に係る措置に関する法律案」(国民が安心して利用できる高額療養費制度の見直し法案)を取りまとめた。衆議院で政府案と並行審議するため、中道改革連合がチームみらい、日本共産党と共同で野党案を衆議院に提出した。野党案は、全ての国民が安心して医療を受けられる環境を整備するため、高額療養費制度の在り方に係る措置についての基本方針を定めるとともに、政府に対してこの基本方針に基づいて必要な法制上等の措置を講ずることを義務付けるものである。
衆議院で野党案は採決されず、政府案が可決された。そのため、参議院では立憲民主党は、①高額療養費については、政令を定めるに当たっての考慮事項等の追加、詳細な実態調査を行い、患者等の意見を聴いた上での抜本的改革の実施等、②OTC類似薬の追加負担については、対象薬剤を判断する観点、必要かつ適切な受診が抑制されることがないようにするものとする旨の追加の規定を盛り込んだ修正案を公明党とともに提出した。
立憲民主党は、政府案の問題点について改善等を図るための附帯決議を勝ち取ったものの、修正案は否決された。その結果、国民が安心して適切な医療を受け続けられる環境が担保されないことになったため、立憲民主党は政府案に反対した。政府案は可決・成立し、衆議院に提出した野党案は継続審議となった。