毎年9月に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2023
(第209回臨時国会、210回臨時国会、211回通常国会の総括)

第3章焦点となった法案・課題への対応

国際基準の難民保護、透明性ある入管行政を難民等保護法案・入管法等改正案

政府案は2年前の焼き直し

政府提出の入管法等改正案は、2年前に多くの国民の批判を受けて廃案となった旧法案の焼き直しに過ぎなかった。

政府案では、送還停止となる難民認定の申請回数を2回までとし、退去命令違反に対する罰則を設けるとした。このため、保護されるべき難民が逮捕、投獄、拷問、虐殺など迫害の危険がある母国に強制的に送還される可能性が大きくなった。また、退去命令違反に罰則を創設しても長期収容が解消されるかは大いに疑問がある。

国会審議の過程で、政府側の立法事実は完全に崩壊した。酩酊医師の疑惑は、ウィシュマさん事件後も医療体制が何ら改善されていなかった事態を明らかにし、また特定の難民審査参与員による偏った難民審査のずさんな実態も判明した。

難民を認定・保護する第三者機関の創設を

国際人権機関などは、日本の極端に低い難民認定率に深刻な懸念を示すと同時に、司法審査を経ない身体拘束や無期限収容を国際法違反の人権侵害だと批判している。

立憲民主党を含む4会派提出の議員立法は、出入国を規制する入管庁ではなく、政府から独立して難民を認定・保護する第三者機関の創設を提案し、収容に当たっては裁判所の許可を要件とした。

衆議院の審議では、与野党に対してこの対案の考え方を説明したが、与党からの回答は、第三者機関の設置を検討するなどの附則の修正にとどまった。立憲民主党は、この与党回答に反対を決定し、与党と維新が合意した若干の修正案、政府原案ともに反対した。