毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2023
(第209回臨時国会、210回臨時国会、211回通常国会の総括)

第3章焦点となった法案・課題への対応

納税者の視点で徹底的に精査・追及43兆円規模の
巨額防衛費・財源

「数字ありき」の巨額防衛費を閣議決定

政府は2022年12月、新たな防衛力整備計画を閣議決定した。この中で、防衛費の対GDP比2%を目指し、2027年度までの5年間で総額43兆円規模を確保するとしたが、何をどれだけ整備するのか積算根拠も示さず、自衛隊OBでさえ精緻な議論に基づいたものか疑義を抱くほどの漠然たる決定だった。

立憲民主党としても、真に必要な予算を積み上げた結果として防衛費が一定程度増額されることは否定していない。しかし、今回のような「数字ありき」の予算急増は、非合理・非効率な支出を招きかねず、納税者の視点から厳しく精査する必要がある。

説明責任から逃げる政府を追及、防衛費を精査

43兆円のうち当初説明があったのは30.6兆円分(約7割)に過ぎず、政府は巨額予算に対する説明責任を果たそうとしなかった。立憲民主党が精査の上、度重なる要求を行った結果、政府は予算審議後半の3月にようやく全体の内訳を示した。しかし、政府の説明は兆円単位での積算にとどまり、現在も予算の適切性を十分に検証することが困難な状況が続いている。これは予算の審議を通じて行うべきシビリアン・コントロール(文民統制)上も大問題である。

こうした経過も踏まえ、立憲民主党は3月に「令和5年度防衛予算、特に装備調達についての論点メモ」を外交・安全保障戦略プロジェクトチームで取りまとめ、防衛予算や防衛力整備計画の問題点を指摘した。

課題山積の財源確保策

巨額防衛費の問題は、その財源確保策にも及んだ。政府は、総額43兆円規模の防衛費を確保するために今後5年間で約17兆円が追加で必要となるとして、その財源を①防衛増税、②税外収入、③決算剰余金の活用、④歳出改革で確保する方針を示した。

しかし、これらはそれぞれ①東日本大震災の復興財源に充当される復興特別所得税を流用していること、②年金財源を流用していること、③本を正せば借金であり、「剰余金」と言えるものではないこと、④具体策が欠如していることなど、姑息かつ不合理であり、無責任極まりないものであった。特に防衛増税については、その問題の大きさに鑑み、立憲民主党が主導して、野党6党1会派で一致して反対する態勢を構築した。

防衛財源確保法案の廃案を目指して徹底抗戦

政府はこれらの問題点を放置したまま、211回通常国会に防衛財源確保法案を提出した。しかも、同法案で確保されるのはわずか3.4兆円の税外収入のみであり、残る大部分の財源を確保する規定は全く存在しなかった。国民に負担をお願いする立場でありながら、このような欠陥法案を提出したことは到底認められるものではなかった。

こうした理由から立憲民主党は同法案の廃案を目指し、衆議院財務金融委員長解任決議案、財務大臣不信任決議案を提出するなどして徹底抗戦したが、6月16日、同法案は与党の賛成により可決・成立した。今後も引き続き、財源の安定確保や装備品調達の合理性・妥当性など、「入」と「出」の両面で防衛費の問題をただしていく。