毎年9月に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2023
(第209回臨時国会、210回臨時国会、211回通常国会の総括)

第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応

震災復興

震災から12年を迎えた被災地視察

泉健太代表は、東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故から12年を迎えた2023年3月11日、宮城県亘理町・名取市閖上・仙台市若林区荒浜を訪れ、農家や震災遺構などの視察や仙台市長への表敬訪問を行った。またこれに先立ち、東日本大震災復興対策本部は福島県内を視察し、福島県漁業協同組合連合会や大熊町長、双葉町長、浪江町長との意見交換、福島国際研究教育機構の訪問などを行った。立憲民主党は、代表談話を発表し、生活や仕事、学業、コミュニティの再生などでさまざまな困難を抱える被災者に寄り添い、支援を続けていくことを確認している。

2023.3.6 東日本大震災復興対策本部が現地視察し、福島県大熊町長から説明を受ける
2023.3.6 東日本大震災復興対策本部が現地視察し、福島県大熊町長から説明を受ける

福島復興再生特別措置法の改正に賛成

政府は福島の復興をさらに進めるため、「福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案」(福島復興再生特措法改正案)を211回通常国会に提出した。従来の法改正等では、福島県内に将来にわたる居住制限を原則とする帰還困難区域の中に、住民や移住者の生活や地域経済再建の拠点となる「特定復興再生拠点区域」を市町村長により設定し、集中的な除染やインフラ整備が進められ、一部では避難指示も解除されてきた。今回の法改正により、市町村長が拠点区域外の「帰還困難区域」に新たに「特定帰還居住区域」を設定できる制度が創設された。帰還困難区域のうち、現行の拠点区域外では帰還を望む住民が避難生活を余儀なくされている。地元住民からの「自宅に帰りたい」「元居た場所で生活を再開したい」等の声を受け、地元自治体からは避難指示解除方針を早急に示してほしいとの強い要望があり、立憲民主党は改正案に賛成した。今後、居住できる住宅に戻すには資金も期間も必要であることから、一人ひとりの生活再建に応えていく息の長い支援が重要である。住民間の分断や不公平が生じないような十分な配慮、自主避難者・県外避難者を含めた避難者への必要な支援の継続など、被災者へのきめ細かな対応を政府に求める附帯決議を付し、法案は可決・成立した。

ALPS処理水の海洋放出への考え方

ALPS処理水の処分をめぐって、政府は国民的な議論を経ることなく2023年夏ごろの放出を見込み、必要な設備の設置を進め、完了させた。原子力規制委員会の検査に加えIAEAの調査も経たものの、漁業関係者の反発や海外からの不安の声は根強い。被災地各県の漁業関係者や全国漁業協同組合連合会は強く反対しており、立憲民主党はこのように地元や漁業関係者等の理解を得ないままの海洋放出には反対することを確認した。政府による風評被害対策が具体的かつ実効性ある取り組みとなっているかの徹底的な検証や風評の払拭とあわせて、トリチウムの分離等の技術開発による根本的な解決策を目指す必要がある。

復興特別所得税の防衛費転用は認められない

防衛費増額のための財源の1つとして復興特別所得税の一部を転用し、課税期間を延長することについて、被災地から怒りの声が上がっている。復興費用を防衛費に充てるとの目的外使用は到底認められず、国会審議で厳しく問いただすとともに、国民に約束したとおり、あくまでも復興財源としての活用を進めるよう強く求めた。