第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応
予算・決算・行政監視
国民生活無視の2022年度第2次補正予算
長期化するコロナ禍、物価高騰、低賃金、年金支給額減少の四重苦により、国民生活が厳しい状況に置かれるなか、政府は十分な経済対策を実施せずにいた。2022年9月には、予備費を支出して住民税非課税世帯への5万円給付などを実施したが、いずれも不十分な内容にとどまった。
こうした状況を受けて、立憲民主党は10月14日、総額7.2兆円規模となる「『生活氷河期』を乗り越えるための緊急経済対策」を発表した。同対策は、18歳までの全ての子どもへの10万円給付、政府の5万円給付の対象拡大、「暮らしと地域応援重点交付金」の創設、中小企業のコロナ債務負担の軽減、住宅の断熱改修支援、省エネ家電買い替え支援などからなっており、真に必要な人や事業への支援を集中的に実施すべく、当面6カ月間(年度内)の緊急経済対策を提言するものであった。
遅れること10月28日、政府は「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定し、本対策に基づき、210回臨時国会に2022(令和4)年度第2次補正予算を提出した。一般会計歳出の追加は28.9兆円に上り、巨額の財政出動により逆に物価高騰が助長される懸念があったが、政府は経済対策の実施で消費者物価を1.2%程度押し下げる効果があると主張した。しかし、国会審議等でそのエビデンスが示されることはなく、立憲民主党は政府の欺瞞を厳しく問いただした。また、その内容についても、8.9兆円の基金と4.7兆円の予備費に象徴されるように、補正予算に求められる緊要性の要件を欠き、年度内執行が困難な予算が大部分を占めた。肝心の経済対策も、食料品の値上がりへの対策は乏しく、全国約2400万世帯が利用するLPガスの高騰対策が含まれていないなど、極めて不十分な内容にとどまった。
こうした状況を踏まえ、立憲民主党は日本維新の会と共同で、特に大きな影響を受けている若者や子育て世代に対する支援の抜本的拡充を求める組み替え動議を提出した。しかしながら、同動議は与党等の反対により否決され、12月2日、2022年度第2次補正予算は原案通り成立した。
なお、政府は2023年3月、同補正予算で積み増された予備費の一部を支出し、追加の物価高騰対策の実施を決定したが、その内容は立憲民主党の提案の後追いであると同時に、相変わらず不十分なものにとどまっており、評価できるものではなかった。
節度と理念が見えない2023年度予算
政府は2022年12月23日、2023(令和5)年度予算を閣議決定した。一般会計総額は114.4兆円に上り、11年連続で過去最大規模を更新した。2022年度の当初予算額を7兆円も上回ったことに加え、概算要求時点から4兆円以上も増額されるなど、バラマキ財政が一層顕著となった。
本予算最大の焦点は、2027年度までの5年間で総額43兆円規模を確保するとした防衛費だったが、その積算根拠は示されず、まさしく「数字ありき」の予算であった。また、その防衛費が対2022年度比で26%増となった一方で、子ども関連予算は2.6%増にとどまるなど、少子化対策への本気度が疑われる配分であった。のみならず、合計5兆円以上に上る予備費の計上、35.6兆円に及ぶ巨額の国債発行など、財政民主主義を軽視して次世代にツケを回す政権の姿勢は看過できない。こうした理由から立憲民主党は同予算に反対したが、3月28日、与党の賛成により成立した。
2021年度予備費等使用承諾に一部反対
2021年度の予備費8案は211回通常国会で承諾された。立憲民主党は、一般会計コロナ予備費については感染拡大下で各種支援策、ワクチン確保等に使用したことは理解できるが、結果的に大量の廃棄や調達過程の不透明さなどの問題があったことから反対、一般会計予備費は家畜伝染病予防費や燃料油価格激変緩和対策、除雪事業などへの使用は必要だったが、政府広報への巨額の支出、基地騒音訴訟の賠償金仮執行停止のための保証金などを含むことから反対、特別会計予備費は燃料油価格激変緩和対策への使用、特別会計経費増額調書は地震再保険特別会計・交付税及び譲与税配付金特別会計の増収分を経費増額に充てたものであり賛成した。
2018・19年度決算是認に反対
衆議院では211回通常国会で、2018・2019年度の決算・国有財産が決算につき一部批難の上是認された。衆議院では内閣への批難と決算の是認を一括して議決に付しているが、これでは内閣への批難につき各党の態度を明確化することが困難であり、見直しが必要である。決算本体については、予備費計上の在り方、国家公務員OBによる再就職あっせん行為、教職員の働き方改革、コロナワクチン費用の情報開示、FMS調達の問題点など多数の事項が指摘された。近年、特に衆議院では決算審議の遅れが顕著であり、決算審議を予算編成のPDCAサイクルに生かすという決算本来の役割を果たせているとは言えない。こうした理由から立憲民主党は決算の議決案に反対した。国有財産無償貸付は地方公共団体の公園・緑地など住民生活に資するものであることから賛成した。
2021年度決算是認に反対、警告決議等に賛成
参議院では211回通常国会で、2021年度の決算・国有財産が是認された。新型コロナ感染拡大の中で各種支援策、ワクチン確保等に緊急対応が必要だったことは事実だが、5兆円という巨額のコロナ予備費や約36兆円という過去最大の補正予算などにより、いたずらに規模を膨らませた予算とそのずさんな執行が続いた結果、事業の有効性や予算執行の効率性に疑問のある支出、さらに繰越額や不用額も巨額に上った。通園用バスの置き去り事案の続発、刑務所での暴行・不適正処遇事案、東京オリパラの不透明な運営、防衛省・自衛隊での千件を超えるハラスメント被害申し出、マイナンバーカード利用サービスで個人情報漏洩の多発など多数の不適切事案があり、立憲民主党は決算と国有財産増減・現在額総計算書に反対、内閣に対する警告決議と国有財産無償貸付状況総計算書に賛成した。
2022年度政策評価実施状況を参議院で質疑
参議院では211回通常国会で2022年度の政策評価の実施状況等に関して質疑を行った。マイナンバーカード制度見直しの必要性、国交省OBによる民間企業人事への介入に対する政府の反省、国土強靱化対策予算の不適切使用問題への対処なども含めて政府の取り組みや姿勢をただした。