第3章焦点となった法案・課題への対応
エネルギー手当と大胆な省エネ・断熱投資を電気料金高騰対策
立憲民主党と日本維新の会は211回通常国会で、両党政務調査会長の下、実務者がエネルギー価格高騰に関する勉強会を開き、「電気料金高騰対策についての提言」を取りまとめた。
2023年1月から始まった政府の対策は、事業者への補助制度であり、いわゆる「中抜き」の懸念があるほか、省エネへのインセンティブや低所得者支援などが欠落している等の課題があり、それらを踏まえたものである。
「エネルギー手当」と将来へ向けた対策を提案
提言は、事業者への補助金でなく需要家への直接給付とし、需要家の省エネ・節電のインセンティブが働く制度への転換、持続的な省エネ・節電に資する設備・家電への投資を促進するとともに、影響が大きい低所得層への手厚い対応を行うことを原則としている。具体的には、①政府の支援策が終了する予定の2023年10月から新たな激変緩和策として、低圧・高圧・特別高圧の電力契約に応じた「エネルギー手当」(例えば各家庭は月3千円)を、2024年3月までの6カ月分を一括して給付、②既存住宅の窓やサッシの断熱化への補助による支援、特に低所得者層へは賃貸も含め40万円を上限として10割を補助、③省エネ家電の買い換え支援策の導入、④政府が実施している省エネ投資促進や既存建築物省エネ化事業など中小企業向けの省エネ推進事業のさらなる支援を提案した。
立憲民主党は本提言を基に、需要家への直接支援を行いつつ、省エネや既存住宅の建物の断熱投資に力点を置くことで、中長期的な効果も生む電気料金高騰対策の実施を政府に求めた。