毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2023
(第209回臨時国会、210回臨時国会、211回通常国会の総括)

第1章209回臨時国会、210回臨時国会、211回通常国会総括

多様性や人権、
暮らしを守るため
多くの政策を提案

「次の内閣」を設置

従来の政務調査審議会に代わり、党の政策を審議し決定する機関として、「次の内閣」(ネクスト・キャビネット(NC))の設置が2022年9月13日の両院議員総会で了承された。「次の内閣」は、泉代表をネクスト総理大臣、長妻政務調査会長をネクスト内閣官房長官とし、11のネクスト大臣を置いた(2023年4月27日、ネクスト子ども政策担当大臣を追加した)。

2023年6月11日には、「次の内閣」合宿を行い、社会保障や税財政の在り方等の中長期的課題について闊達な意見交換を行った。

また、立憲民主党は、明らかになっていない課題や不正をただすため、政務調査会長補佐で構成する「政策課題発掘チーム」(りっけんチェック)を2022年9月29日に設置した。

2022.9.13 泉「次の内閣」発足
2022.9.13 泉「次の内閣」発足
泉「次の内閣」閣議の模様(会期中は毎週木曜日に開催)
泉「次の内閣」閣議の模様(会期中は毎週木曜日に開催)

209回臨時国会~211回通常国会

209回臨時国会は2022年8月3日から8月5日(3日間)、210回臨時国会は10月3日から12月10日(69日間)、211回通常国会は2023年1月23日から6月21日(150日間)の会期で開かれた。通常国会終盤、岸田首相は、衆議院の解散・総選挙に含みを持たせる発言をしていたが、6月15日に一転して、「今国会での解散は考えていない」と表明した。翌16日、立憲民主党は内閣不信任決議案を単独で衆議院に提出したが、否決された。

日本維新の会と個別の政策テーマで共闘(210回臨時国会)

立憲民主党と日本維新の会の国会対策委員長会談が2022年9月21日に開かれ、210回臨時国会では6つの政策項目について国会内で共闘することに合意した。10月6日には、2項目が追加され、合意事項は8項目となった。

この合意に基づき、臨時国会の召集期限を20日以内とする国会法改正案、通園バス置き去り防止法案、旧統一教会を念頭に置いた悪質献金被害救済法案、感染症法等改正案への対案、旧文通費の使途報告・公開・残余額返還法案、子育て・若者緊急支援法案を共同提出した。また、衆議院小選挙区の10増10減に関し、政府が区割り改定法案を国会に提出しない場合は同じ内容の法案を提出する準備をし、北朝鮮のミサイル発射に対応するための衆議院の連合審査会の開催も実現した結果、合意した8項目はすべて達成した。旧統一教会被害者救済に関しては、政府に新法を提出させ、修正を実現した他、通園バス置き去り防止装置設置に関しても、政府の方針を事業者の実質負担をゼロに転換させるなどの成果を上げた。

立憲民主党は210回臨時国会に14本の議員立法を提出した(成立は6本)。なお、政府提出法案への賛成率は100%であった。

臨時国会終了後に、政府は、反撃能力の保有を含む「安保3文書」を決定した。立憲民主党は、その問題点について代表声明を発表するとともに、「外交・安全保障戦略の方向性」を取りまとめた。

41本の議員立法を提出(211回通常国会)

立憲民主党と日本維新の会の党首会談が2023年1月18日に行われ、211回通常国会でも共闘を継続することに合意した。これを受けて、両党は、児童手当所得制限撤廃法案、正当な理由なく国会に登院しない国会議員への歳費の支払いを制限するための歳費法改正案、保育士配置充実法案、学校給食無償化法案を共同で提出した。

しかし、4月6日、日本維新の会代表が共闘の凍結を表明し、両党で協議中だった案件は、いったん全て凍結することとなった。

その後、5月9日に両党の国会対策委員会連絡会で、凍結されていた法案の協議の再開を確認した。両党の協議の結果、給特法廃止・教職員の働き方改革促進法案は、立憲民主党単独での提出となったものの、ネット投票法案、天下り規制強化法案、公文書管理法改正案・公文書院設置推進法案は、日本維新の会と共同で提出した。さらに、電気料金高騰対策についても、共同で経済産業大臣に申し入れた。

日本維新の会と共同提出した法案以外にも、政府提出の入管法等改正案への対案である難民等保護法案・入管法等改正案や、LGBT理解増進法の与党案および日本維新の会・国民民主党案への対案として、超党派議員連盟合意案を提出した。同性婚を法制化するための婚姻平等法案、大手芸能事務所の件を受けての地位利用第三者児童虐待防止法案、非正規雇用処遇改善法案、コロナ後遺症対策推進法案、コロナワクチン健康被害救済法案なども含め、立憲民主党は41本の議員立法を提出した(成立は12本)。なお、政府提出法案への賛成率は、76.3%であった。

予算審議等で論戦をリード

2022(令和4)年度第二次補正予算については、立憲民主党が2022年10月14日に策定した「『生活氷河期』を乗り越えるための緊急経済対策」に基づき、すべての子どもへの10万円給付や給食無償化、住民税非課税世帯の2倍の水準以下の世帯への5万円給付、省エネ・再エネ投資などの歳出追加、水膨れ予算の減額などを主張するとともに、若者・子育て世代への支援拡充を求める組み替え動議を提出し、反対した。

2023(令和5)年度当初予算については、コロナ禍・物価高騰への対策など、国民生活上の喫緊の課題への対応が全く不十分なだけでなく、今後5年間で総額43兆円規模を確保するとした、数字ありきの防衛費増額が最大の問題であった。立憲民主党は政府に全体の内訳を示すよう強く求めたが、不十分な開示にとどまった。防衛増税も復興特別所得税を流用する等の問題があり、受け入れられないと指摘した。

岸田首相は子ども関連予算の倍増も掲げたが、倍増の約束がほごにされかねない答弁が続いた。6月13日には「こども未来戦略方針」が発表されたが、政府が示した対策は、児童手当の所得制限の撤廃、支給期間の延長をはじめ、立憲民主党がすでに訴えてきたものであり、遅すぎて不十分であった。また財源確保策の結論は2023年末に持ち越された。立憲民主党は、政府の少子化対策に先んじて、3月16日に発表した「もっと良い『子ども・子育てビジョン』」に基づき、多様な生き方や人権を尊重し、希望をかなえる社会を構築するため、子ども・子育て関連予算を増やし、育ちや学びの壁を取り除くことを求めた。

通常国会の終盤では、相次ぐマイナンバーカードのトラブルについて、普及を急ぎ過ぎたことに原因があるとみて厳しく追及するとともに、健康保険証の存続を厚生労働省に申し入れた。