第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応
消費者問題
政府は210回臨時国会に「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」(消費者契約法等改正案)および「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」(不当寄附勧誘防止法案)を提出した。両法案は、2022年7月に起きた安倍元首相に対する銃撃事件から明らかとなった旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による悪質な高額献金等による被害に対応するため、与野党での協議を重ねる中で提出されたものである。両法案には課題があるものの、最低限の修正を行い今後責任をもって前進させていくために、立憲民主党は附帯決議を付して賛成し、両法案は可決・成立した。(詳細 第3章 悪質献金被害救済法案)
政府は211回通常国会に「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案」(景品表示法改正案)を提出した。立憲民主党は、審議で消費者の選択の権利を確保するための表示の在り方などについて提案を行い、改正内容には異論なく賛成し、法律は成立した。
消費者に関する政策課題は、幅広く多岐にわたっている。内閣部門(消費者問題)では、できる限り当事者の声を重視し、救済に携わる弁護士や支援団体、消費者団体の発言・傍聴の機会を設け、現場で起きている問題の把握とその解決に向けた議論を行い、政策提言を行った。
書面電子化の課題など解決へ向けて現場の声を聞く
2021年の204回通常国会での特定商取引に関する法律改正時に最大の論点であった契約書面の電子化について、立憲民主党をはじめとする野党提出の修正により施行日が先延ばしされたものの、2023年6月より施行されている。この契約書面の電子化をめぐり、消費者庁の検討会が約1年2カ月にわたり協議し取りまとめた報告書の内容は、スマホ画面でも契約書面として表示させることを可能とするものとなり、多くの消費者団体や弁護士から反対の声が挙がっている。
コロナ禍から新しい生活様式となり経済が活発化する中、成年年齢の引き下げによって新たな消費者被害が発生している。このような状況を踏まえ立憲民主党は、被害相談や救済の現場の声を真摯に聞き、あるべき法制度の検討を行っていく。
消費者の選択、一番身近な投票行動に向けて検討
商品やサービス等に関する広告等に問題がある場合、消費者は適切な商品選択を行うことが困難となる。そのため多くの場合、適格消費者団体が当該広告を行った事業者にアプローチし、是正を求める。大抵は、その段階で広告等の改善が行われるが、回答がない、または改善されない場合は適格消費者団体が裁判を行い、消費者の選択の権利のための是正を求めることとなる。この際、適格消費者団体側で商品等の効能等について疑義があるとの立証を行うことは、大変な負担となっている。そのため国会審議では、事業者側に対し、効能等を証明する情報の開示等、消費者団体の立証負担軽減を求めた。
最近ではエシカル消費(人権・環境・社会に配慮した消費)を促進する機会も増えてきた。国内外では各産業で自主的な取り組みが進み、さまざまな認証制度が存在する。立憲民主党は「消費は一番身近な投票行動である」との観点から、認証制度などが消費者にとって真にエシカルな消費を選択できるツールとなるよう、検討を続けていく。