毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2024
(212回臨時国会、213回通常国会総括)

第1章212回臨時国会、213回通常国会総括

まっとうな政治を
取り戻すため
多くの政策を提案

2年目を迎えた「次の内閣」

2022年9月に発足した「次の内閣」(ネクスト・キャビネット)は、2024年1月に従来の外務・安全保障部門を外務部門と安全保障部門に分離し、17名の体制となった。

また、新たにマイナンバー在り方検討プロジェクトチーム、ビジネスと人権プロジェクトチーム、島政策プロジェクトチーム、物流対策プロジェクトチーム、機能性表示食品の見直しに関するプロジェクトチームを設置し、社会的課題に機動的に対応した。

212回臨時国会、213回通常国会

212回臨時国会は2023年10月20日から12月13日(55日間)の会期で開かれた。臨時国会では、自由民主党派閥の裏金問題や旧統一協会の被害者救済、悪質ホストクラブ対策、補正予算案が焦点となった。臨時国会終盤の12月12日に、政治とカネを巡る問題で説明責任を果たしていないとして、内閣官房長官不信任決議案を衆議院に提出したが、与党の反対多数で否決された。

213回通常国会は2024年1月26日から6月23日(150日間)の会期で開かれた。通常国会では、能登半島地震の復旧復興の在り方、自由民主党派閥の裏金問題や、令和6年度予算案、紅麹サプリ健康被害対応、子ども・子育て予算財源、共同親権、外国人労働者、農林水産政策が焦点となった。予算案をめぐっては、3月に衆議院予算委員長解任決議案を衆議院に提出し、衆議院としては最長となる3時間弱の趣旨弁明を行った。通常国会終盤には、岸田内閣としては初めてで3年ぶりの党首討論が行われた。自由民主党派閥の裏金問題の事実解明と再発防止のための政治資金規正法改正が不十分であることから解散して信を問うべきと迫ったが、総理が拒否したことから内閣不信任決議案を提出したものの、与党の賛成多数で否決された。

2024.3.1 衆議院史上最長2時間54分の趣旨弁明で徹底抗戦
2024.3.1 衆議院史上最長2時間54分の趣旨弁明で徹底抗戦

33本の議員立法を提出

212回臨時国会では、8本の議員立法を提出した(成立は2本)。また、政府提出法案への賛成率は71.4%であった。

212回臨時国会に提出した主な議員立法は、保険証廃止延期法案、政治資金世襲制限法案、旧統一教会財産保全法案、悪質ホストクラブ被害対策推進法案である。政府提出法案に対しては1本の修正案を提出した。

213回通常国会では、25本の議員立法を提出した(成立は7本)。また、政府提出法案への賛成率は82%であった。政府提出法案に対しては8本の修正案を提出した(可決は3本)。

213回国会に提出した主な議員立法は、被災者生活再建支援法改正案、就労支援給付制度の導入に関する法律案、国境離島みんながJR運賃並法案、外国人労働者安心就労法案、機能性表示食品被害防止法案、政治資金透明化法案、水俣病問題の解決支援法案、手話言語法案、日銀保有ETF活用法案、公的新品種育成促進法案、ローカルフード法案、などである。

あらゆる分野で立憲民主党の政策立案能力が発揮され、議員立法に結実した。

「人からはじまる経済再生」を発表

これまで経済政策は、個別の政策については様々な機会で発表してきたものの、経済政策としてまとまった形で取りまとめられてはこなかった。労働組合や経済団体等との意見交換の際に、経済政策についての意見交換を行う機会も増えたことから、経済政策プロジェクトチームでこれまで党内でまとめてきた政策を再構成する形で、「人からはじまる経済再生」を取りまとめ、2023年11月10日の代表記者会見で発表した。

格差を放置し、多様性を認めず、自己責任論を押し付ける政治が社会の活力を損ね、経済の発展を妨げてきた。この経済と政治を、大転換させることが必要であり、日本を伸ばすために掲げる目標として、物価高を上回る賃金上昇を掲げた。この目標を達成するために、①「人」を伸ばす(稼ぐ力アップ)②「産業」を伸ばす(供給力アップ)③「消費」を伸ばす(需要アップ)、必要があるとし、これにより働く人が報われる、まっとうな経済を取り戻すとした。

政策課題発掘チーム(りっけんチェック)の活躍

身近だが、まだまだ明らかになっていない課題や不正、事実を明らかにするために、政調会長補佐を中心とした政策課題発掘チーム(りっけんチェック)を2022年9月に発足させた。チームでは、政府基金、コロナ対策、働き方、防衛、公務員、公共事業・公共調達、ODAの7分野について調査を進めた。その中で特に、予算を膨らませる要因になっている政府基金(200基金事業、152基金)について、補正予算で基金を積む必要があるのか、過大な金額が計上されていないかなどについて、徹底調査を行った。

まず、補正予算での基金の新規造成や積み増しについては、2023年11月22日に、財政法第29条に定められる緊要性の要件を満たさないものは認めないなどとする「補正予算における政府基金に対する方針」を決定した。また、基金の過大計上については、2022年度では45事業で約1578億円もの「積みすぎた基金」があることを国会で指摘した。こうしたりっけんチェックの取り組みが政府を動かし、2024年4月22日、「基金全体の点検・見直し結果」が公表され、2024年度末までに5466億円が国庫に返納される見込みとなった。しかし、政府が示した「基金への新たな予算措置は3年程度」とする新方針は、既存の基金には適用されないなど、依然として改革が不十分な点が目立った。

2022.11.22 りっけんチェックで政府の基金を厳しくチェック
2022.11.22 りっけんチェックで政府の基金を厳しくチェック

エネルギー負担軽減策を主導

政府は、家庭や企業の電気代・ガス代を値引きする「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を2024年5月末で終了させた。しかし、現在、電気代・ガス代は高止まりしており、事業終了により標準家庭で年間2万円以上の負担増が生じるとの試算も示されている。中低所得者・中小企業が取り残されることになれば、消費は腰折れして、賃金と物価の好循環は望めないことから、立憲民主党は、①月額3000円の「エネルギー手当」を中低所得層に給付、②月額最大50万円の「中小企業 電気・ガス補助金」を給付、③ガソリン1リットルあたり約25円の減税を行う「トリガー条項」の発動を内容とするエネルギー負担軽減策を5月31日に取りまとめた。

泉代表が6月19日の党首討論で復活を訴えた直後、6月21日になって総理がようやく電気ガス代補助を8月から3カ月間「酷暑乗り切り緊急支援」と名付けて再開を表明したが、気温が上がる7月は補助が出ない内容となっており、対策の内容に疑問が残る。