毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2024
(212回臨時国会、213回通常国会総括)

第3章焦点となった法案・課題への対応

農政の憲法、25年ぶりの改正食料・農業・農村基本法改正案

地域の声を審議に反映

政府が213回通常国会に提出した食料・農業・農村基本法改正案は、食料・農業・農村基本法が1999年に制定されてから25年で初めての大きな改正であった。

立憲民主党は、農林水産部門、新 食料・農業・農村基本法検討ワーキングチーム(2024年1月より食料・農業・農村基本法検討WTに改称、現在は食料・農業・農村政策WT)合同会議において、政府をはじめ、有識者、農業関係団体からヒアリングを実施し、法案審議に臨んだ。また、2023年7月より実施してきた「農林水産キャラバン」を継続し、全国各地での現地視察、車座集会、農協等関係団体との意見交換等を通じていただいた地域の声を、法案審議に最大限反映させた。

同法案は当初、政府・与党より食料供給困難事態対策法案、農業振興法等改正案、スマート農業技術の活用促進法案の3法案と一括での審議を求められたが、農政の憲法ともいわれる基本法の改正法案の審議は慎重かつ丁寧に進める必要があるため、立憲民主党はこれを認めず、同法案は単独で審議された。

法案審議等を通じて、基本法制定から25年間、食料自給率の低迷、農業従事者数・農地面積の減少、農業・農村の弱体化を招き、国民の食の安全・安心は危機に直面しているという農政の失敗に対する検証が不十分であること、法案における基本理念や基本的施策の書きぶりが曖昧であることなど、様々な問題点が浮上した。

そのため、立憲民主党は、食料自給率の向上、農村振興の意義、多様な農業者の役割、有機農業の促進、農業生産活動の自然環境の保全等への寄与、農業所得の確保による農業経営の安定、基本計画に定める食料自給率等の目標の達成状況に係る調査結果の国会報告、種子の公共育種事業に関する規定等を明記・追加する等の修正を求めた。しかし、政府・与党は、修正項目全てを規定済み、対応不可などとして拒否した。このため、立憲民主党は同法案および与党など提出の修正案に反対し、同法案は与党などの賛成多数により修正議決、成立した。

附帯決議を主導的に勝ち取る

立憲民主党は、法案審議で明らかにされた課題への政府の対応を確保するため、附帯決議の取りまとめを主導的に進めた。

その結果、①国民一人一人が安全かつ十分な量の食料を入手できるようにすることが政府の責務であること、②食料自給率の向上に努めること、③農業経営の安定および農業の収益性の向上を図ること、④アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理を促進すること、⑤多様な農業者の役割の重要性に配慮すること、⑥有機農業の推進等により環境と調和のとれた食料システムを確立すること、⑦種子の安定的供給を確保するために地方自治体等と連携すること、⑧農村の総合的な振興を図ることなどを内容とする附帯決議を付することができた。

また、基本法改正案に国産種子の重要性を盛り込む修正が受け入れられなかったため、立憲民主党は国民民主党と共同で公的新品種育成促進法案およびローカルフード法案を213回通常国会で参議院に提出したが、審議未了となった。

立憲民主党は、政府・与党による農政を厳しく監視するとともに、今後も、より良い農政の構築に向けた取り組みを継続する。