毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2024
(212回臨時国会、213回通常国会総括)

第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応

国土交通

国土交通部門では、213回通常国会における国土交通省所管の政府提出法案6本(「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案」「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」「奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案」「都市緑地法等の一部を改正する法律案」)への対応と内閣府所管の政府提出法案(経済安保推進法改正案)への対応、議員立法(「公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」)への対応を協議し、審議を行った。また、物流対策プロジェクトチームを設置して物流の2024年問題について議論を行い、沖縄・北方対策では、予算や政策について国土交通省および内閣府からヒアリングを実施し、今後の政策立案につなげていくことを確認した。

さらに2024年1月に羽田空港において大手航空会社の旅客機と海上保安庁の航空機が地上で衝突した事故や、大手航空会社にて半年間に5件もの安全上のトラブルが発生したことに対して国土交通省が厳重注意を行ったことについて、国土交通省よりヒアリングを実施し、問題が起こり得る構造上の課題やヒューマンエラーに対する再発防止策への取り組み等の議論を行った。また、立て続けに発覚した大手自動車メーカーにおける型式指定申請の不正行為を受け、国土交通部門は経済産業部門と合同で国土交通省と関係団体よりヒアリングを実施し、不正事案の再発防止に向けた議論を行った。

物流の2024年問題に対応

立憲民主党は、2024年4月から施行された働き方改革関連法によって生ずると懸念されている「物流の2024年問題」に取り組むため、国土交通、経済産業、農林水産部門が連携し、物流業界における諸課題の解決に向けた物流対策PTを設置した。

本PTでは、国土交通省、経済産業省、農林水産省、物流業界、卸売・小売業界、農業関係団体等との意見交換を行い、政府がこれまでに行ってきた対策、課題の解消に至っていない理由、実効性ある現場での具体的な取り組みなどを検証し、パレットの標準化、混載、価格転嫁、下請け構造の明瞭化など、様々な課題の解決へ向けた議論の深化を図り、現場の声を政策に反映させることを改めて確認した。

国土交通部門では、政府が213回通常国会に提出した「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」(物流法改正案)を議論した。本法案は、物流の持続的成長を促進するため、荷待ち・荷役時間の削減、積載率の向上、実運送事業者の適正運賃収受を目的とするものである。部門会議にて有識者や関係団体等から物流の置かれている状況や様々な課題をヒアリングし、①適切な価格転嫁に向けた標準的運賃の適時適切な見直し、②トラックGメンと関係行政機関の連携強化、③事業者への負担を配慮すること、等の必要性があるとの議論がなされ、懸念事項を委員会でただすとともに、附帯決議に反映させたうえで賛成し、本法案は可決・成立した。

グリーンインフラ産業展を視察

国土交通部門と森林・林業政策ワーキングチームは合同で、東京ビッグサイト(江東区有明)にて開催された「グリーンインフラ産業展2024」を視察した。グリーンインフラを取り巻く国内外の動向や「グリーンインフラ推進戦略2023」への取り組みに関して説明を受けた後、出展各社および国土交通省の取り組みを視察し、関係者との魅力ある国土づくりへ向けた意見交換を行った。自然環境が持つ多様な機能を活用した持続可能な社会をつくることが豊かな暮らしへとつながることを再確認し、グリーンインフラの整備と活用による、社会資本の再生、市場規模の拡大を目指して必要な施策の推進に引き続き取り組んでいく。

2024.2.22 グリーンインフラ産業展2024を視察
2024.2.22 グリーンインフラ産業展2024を視察

「大手町の森」を視察

世界と比較してわが国の都市緑地の充実度は低く、減少傾向にあることや、気候変動対応などの課題解決へ向けて緑地が持つ機能に対する期待の高まりがあることを踏まえ、政府は213回通常国会に「都市緑地法等の一部を改正する法律案」(都市緑地法改正案)を提出した。国が主導して、戦略的に都市緑地を確保すること、貴重な都市緑地の積極的な保全・更新をすること、緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込み等を図るものである。

立憲民主党は本法案の審議に先立ち、民間企業が良好な都市環境づくりの開発を進める「大手町の森」(東京都千代田区大手町)を視察した。敷地面積3,600平方メートルの「大手町の森」を整備したことによって、①生態系ネットワークが形成されたこと、②ヒートアイランド現象が緩和されたこと、③水の循環利用が可能となったこと、といった効果が表れている結果から、都市緑地を質と量の両面において確保することの重要性を確認した。部門会議の法案審議にて指摘された都市緑化支援機構への天下り問題、情報公開、相続税猶予への対応強化等といった諸課題については、委員会でただすとともに、附帯決議を付したうえで賛成し、本法案は可決・成立した。立憲民主党は、都市と緑地の共存に向けた必要な施策の推進に引き続き取り組んでいく。

2024.5.7 「大手町の森」を視察
2024.5.7 「大手町の森」を視察

島政策(中間報告)を取りまとめ

立憲民主党の島政策プロジェクトチームは、「立憲民主党の島政策(中間報告)」を2024年6月20日に取りまとめた。離島は、わが国の領土・領海・領空・排他的経済水域の保全といった国家的役割や、自然との触れ合いの場の提供、食料の安定的供給等の国民的役割などの重要な役割を担っている。しかしながら、急速な人口減少によって過疎高齢化が進み続けており、また、離島は本土と比較して物価が1割以上高く、昨今の原油高等も日常生活により深刻な影響を及ぼしているなどの課題がある。

今回の中間報告の柱は、①国土連続性の確保(離島航路・離島航空路の低料金化)、②物価の格差是正(税制上の措置やガソリン価格の値下げ)、③生業の確保と生活利便性の向上(スマートアイランドの推進等)、④医療体制の確保、⑤教育環境の確保、の5つを掲げているが、その中で①については、2024年4月に有人国境離島法改正案(国境離島みんながJR運賃並法案)を衆議院に提出して対応した。(詳細 第3章 内閣

その他の柱についても、政策の実現へ向けて引き続き取り組んでいく。