第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応
文部科学
文部科学部門では、教育無償化政策の精緻化に向けた有識者ヒアリングや議論を積極的に行うとともに、教員の働き方改革、学校給食無償化実現等の取り組みに力を入れた。
大学の自治・学問の自由を守る
政府は212回臨時国会に「国立大学法人法の一部を改正する法律案」を提出した。特に事業規模が大きい国立大学法人に運営方針会議の設置を義務付ける等を内容とする法案である。
大学関係者から多くの反対の声があがる中、立憲民主党は、①運営方針委員の任命に文部科学大臣の承認が必要になることにより、大学の運営が文部科学省の意向に従わざるを得なくなり、大学の自治・学問の自由に対する不当な介入につながる懸念がある、②日本学術会議の任命拒否事案と同様に、大学の自主性・自律性が奪われる恐れがある、③法案作成過程において大学関係者の意見を幅広く聴取していない、④中教審での審議を経ていない等拙速すぎること等から、附帯決議を付した上で法案には反対したが、可決・成立した。
教科書バリアフリーによる日本語指導の推進
公立学校における日本語指導が必要な児童生徒が約10年間で1.8倍増となるなど、教育機会の提供と質の維持・向上が必要となっている。
日本語指導が必要な児童生徒にとって、教科書の内容を音声化した音声教材が有用であるが、現行の制度では、音声教材は障がいのある児童生徒を対象として作成されているため、使用することができない。そのため、対象の拡大を目的として「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」(教科書バリアフリー法案)が213回通常国会において衆議院文部科学委員長より提案され、立憲民主党は賛成し、全会一致で成立した。
膨張を続ける基金造成・積み増しに反対
政府は212回臨時国会において「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)法の一部を改正する法律案」を提出した。内容は、JAXAの業務として、民間事業者等が行う先端的な研究開発に対して必要な資金を充てるための助成金の交付に関する業務を追加するとともに、「宇宙戦略基金」を設けるものである。
宇宙開発能力を維持・強化するための先端的研究開発の推進や、民間企業や大学等が複数年度にわたる予見可能性を持って研究開発に取り組むための仕組みは必要であり、内容は評価する意見も多かったが、補正予算で闇雲に基金を造成・積み増す政府の姿勢に否定的な意見が多く上げられたため、立憲民主党は附帯決議を付した上で法案には反対したが、可決・成立した。
専修学校における教育の充実に向けて
213回通常国会では、専修学校における教育の充実を図るため、専門課程の入学資格を厳格化するとともに、専修学校における専攻科の設置に係る規定の創設、一定の要件を満たす専門課程の修了者への称号の付与、専門課程を置く専修学校への自己点検評価の義務付け等の措置を講ずることとする「学校教育法の一部を改正する法律案」が政府より提出され、立憲民主党は賛成し、全会一致で成立した。