第3章焦点となった法案・課題への対応
人権保護と情報保全の両立セキュリティ・
クリアランス法案
政府は213回通常国会で重要経済安保情報保護活用法案を提出した。本法案に対し、内閣、経済産業、外務、安全保障の4部門と外交・安全保障戦略プロジェクトチームとの合同で経済団体、労働団体や弁護士会等からヒアリングを重ね、審査した。
近年は、安全保障の概念が防衛や外交だけでなく経済・技術の分野に拡大し、経済安保情報の保護が必要となっており、政府案は、経済安保と経済活性化の両立を図るものとして一定評価できた。
また、経済団体からは、機密を扱う国際共同研究に企業が参加できるよう、国際標準のセキュリティ・クリアランス制度の導入の要請があった。
修正で合意し制度の濫用に歯止め
一方で、政府案には国民の知る権利等が侵害される懸念もあった。同様の懸念があった特定秘密保護法では、2013年の成立時に国会修正で衆参両院に情報監視審査会が設置され、一定のチェック機能を果たしていることから、本法案でも国会や専門家等による適正監視のシステムについて立憲民主党主導で修正案に盛り込み、与野党で合意した。
衆参両院で①情報保全の必要性と国民の知る権利のバランスに立った運用、②調査への不同意や結果による労働者への不利益取り扱い防止のガイドライン作成の検討、③情報指定の基準の公開、④中小企業が適合事業者となれるための支援、等の20項目超の附帯決議を付した上で、立憲民主党は賛成し、本法案は可決・成立した。
立憲民主党は、法案の衆議院通過の際に談話を出した。今後も重要経済安保情報の指定等に係る運用基準の閣議決定などを注視していく。