第3章焦点となった法案・課題への対応
「本気の政治改革」の実現に全力政治資金規正法等改正案
裏金事件を徹底追及
2023年秋、自民党派閥の政治資金パーティーに関して、キックバックや中抜き、還流が行われ「裏金」となっていたことが発覚した。東京地検特捜部は、212回臨時国会閉会後、安倍派と二階派の事務所を捜索し、政治資金規正法違反の疑いで強制捜査に乗り出したが、国会議員3人と会計責任者ら7人の立件のみで特捜部の捜査は事実上終結した。
今回の自民党の裏金事件は、政治資金規正法上の不記載という犯罪であるとともに、所得税の脱税であり、断じて許されるものではない。立憲民主党は、還流の仕組みをいつ、だれが考え、裏金は何に使ったのかなどの真相究明に向け、「国民は増税、自民は脱税」として予算委員会等で追及し、任意団体が開催する「岸田方式」やオンラインパーティー、その他団体に付け替える「茂木方式」等、政治資金規正法の「抜け穴」の問題を浮き彫りにした。
さらに立憲民主党は、裏金作りに関わった議員の政治倫理審査会への出席を求めた。しかし弁明したのは、衆議院では岸田首相に加え6人、実質的に初めての開催となった参議院では3人にとどまった。参議院の残る29人の弁明を求めるとともに、2024年4月の衆議院補欠選挙で立憲民主党の議席が増えたことで野党単独の申し立てが可能となったことから、衆議院では正式に44人の弁明を求めたが、全会一致での申し立てが黙殺された。
「本気の政治改革」の実現に全力
立憲民主党は2024年1月18日に政治改革実行本部を立ち上げた。政治とカネの問題に対する党の考え方「本気の政治改革実現に向けて」をまとめ、再発防止のための実効性ある法制化の作業を進めた。
政治家本人の処罰強化、外部監査の拡大、「政策活動費」の禁止、収支報告書のオンライン化の推進などを盛り込んだ政治資金透明化法案と、裏金事件の舞台となり、事実上禁止されている政治家個人への企業・団体献金の代替となっていた政治資金パーティーの禁止法案を取りまとめ、それぞれ提出した。
立憲民主党をはじめ野党は、①いわゆる「連座制」の導入などの政治家本人の処罰強化、②最終的な使途の報告義務がなく裏金の温床ともいえる「政策活動費」の廃止または全面公開、③献金額で政策を歪める利益誘導政治からの脱却を求める企業・団体献金の禁止の3点を共通要求として修正協議に臨んだ。しかし、いわゆる「連座制」の導入、企業・団体献金の禁止について与党はゼロ回答で、他の項目も附則や附帯決議の検討事項として先送りされた。党首会談で日本維新の会が提案した10年後の「政策活動費」の領収書公開と、公明党が提案したパーティー券購入の公開基準の1件5万円超への引き下げを自民党は受け入れて、修正が行われた。しかし、この自民党案および修正案は「抜け穴」を残したものであることから、立憲民主党は附帯決議も含め反対した。
「政策活動費」は禁止されるどころか法的に位置づけられ、温存されることになった。参議院では、有価証券が除外されている、党の役職者からお金を受け取った国会議員の最終支出に関わる領収書が公開対象として明確化されていない、領収書の黒塗りやマスキングの可能性などの問題を追及した。裏金事件の幕引きは許されない。「本気の政治改革」の実現を目指し、取り組みを強化する。