毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2024
(212回臨時国会、213回通常国会総括)

第3章焦点となった法案・課題への対応

「年収の壁と歪み」を給付で埋める就労支援給付制度の導入に関する法律案

立憲民主党は「年収の壁」等の課題を解決するため、213回通常国会で「就労支援給付制度の導入に関する法律案」を衆議院に提出した。

本法案に盛り込んだ「就労支援給付制度」は、①②の2つの給付金から成る。①配偶者の扶養家族だった方が年収130万円を超えて働く場合、社会保険料の負担が生じて手取り収入が急激に減ってしまう「年収の壁」に直面する。この手取り減収分を補うため、「就労促進支援給付」として、年収が130万円を上回って一定額に達するまでの間、年収の増加に伴って、徐々に金額を減らしながら給付金を支給する。②低所得にもかかわらず国民年金や国民健康保険などの保険料を負担している年収130万円前後の方を対象に「特定就労者支援給付」を設ける。年収が130万円を上回る場合は①と同様の給付金を支給し、年収が130万円を下回る場合には生活保護など福祉による支援が受けられる手前の年収まで徐々に金額を減らしながら給付金を支給する。

①は、「年収の壁」で就労を控えている人が壁を感じずに働けるようにする仕組みである。しかしこれだけでは、配偶者の扶養に入らず、低所得なのに社会保険料を負担しながら働いている人との間で手取り額の格差が広がってしまう。そこで②により、両者の間の「年収の歪み」を埋め、低所得の方が働く意欲を高める仕組みを設けた。

なお、将来的には第3号被保険者に係る制度の見直し、厚生年金・健康保険の適用拡大、多様な就労形態に応じた処遇の改善、社会保障の充実等の抜本改革を行った上でいずれの給付も役目を終えることとしている。法案は継続審議となった。