毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2024
(212回臨時国会、213回通常国会総括)

第3章焦点となった法案・課題への対応

離婚後共同親権民法等の一部を改正する法律案

政府は213回通常国会に離婚後共同親権、法定養育費の導入等を含む「民法等の一部を改正する法律案」を提出した。特に離婚後共同親権の導入は、子の監護や財産管理などを離婚後も行いたい、親子交流を何とか実現したいと期待する賛成派と、家庭裁判所がDVや虐待の事実ないし「おそれ」を正確に判定し、「DVや虐待のおそれ」がある場合に単独親権にする判断ができるのかを懸念する反対派で意見や価値観が大きく分かれる法案であり、立憲民主党は国会での慎重な議論を求めた。

政府案の問題点や曖昧な表現をただす

本法案には、問題点や曖昧な表現が含まれていたことから、立憲民主党は国会審議を通じて問題点を追及し、曖昧な表現を明確にするよう法務大臣にただした。例えば、単独での親権行使が可能とされる「急迫の事情」「監護及び教育に関する日常の行為」に何が含まれるのか、親権者を判断する家庭裁判所の人員等の体制の不十分性等である。加えて、親権に関連して誤った主張が流布されていたことから、審議を通じ、次のような政府答弁を引き出した。共同親権、単独親権どちらかを原則とする趣旨ではないこと、日本も批准しているハーグ条約は日本に共同親権の導入を求めるものではないこと、偽装DVであるとか不当な子の連れ去り・略取誘拐だと一方の親を罵り犯罪者扱いすることは人格尊重義務の違反となること、共同親権の是非と親子交流とは別物であること、父母双方の合意がなくても裁判所が共同親権と認め得るケースは極めて限定的であること等である。

修正案、附帯決議でDVや児童虐待被害を抑止

立憲民主党は、こうした問題点や不安、懸念を払拭すべく、11項目におよぶ修正項目案を与野党に提案し交渉を重ねた。その結果、協議離婚における親権者の定めが父母の双方の真意から出たものであることを確認するための措置等を講ずることを追加する等の修正について合意した。

合意した修正案は立憲民主党の案を全て反映したものとは言えないが、最低限盛り込まれたものであり、原案のまま運用されることによって生じる被害を少しでも軽減できると判断し、修正部分を除く政府原案には反対、附帯決議を付して修正案が溶け込んだ法案には賛成し、法案は可決・成立した。

附帯決議の内容は、「急迫の事情」「監護及び教育に関する日常の行為」「子の監護の分掌」等についてガイドライン等で明らかにすること、子の意見の適切な反映、家庭裁判所の人的・物的体制整備、DVや児童虐待の防止に向けた加害者プログラムの実施推進、居住地等がDV加害者に明らかになること等によるDV被害・虐待・誹謗中傷・濫訴等の被害発生回避措置の検討、子に不利益が生じないよう税制・社会保障・社会福祉制度等において関係府省庁が連携して対応すること等である。

また、養育費の支払い確保や適正な面会交流については今回の法案とは別途取り組む必要があるとの認識から、立憲民主党は6月12日、「不払養育費の立替・取立制度の導入に関する法律案」を衆議院に提出したが、継続審議となった。